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その2  1日目昼

 

先山を下りて洲本市街まで戻り、引き続き淡路島東岸沿いを南下するために海沿いへ向かう。その途中にトイレに行きたくなり、ちょうどイオンモールがあったので立ち寄り。そしてイオンモールのすぐ側に、旅行計画時に観光を検討したもののボツになったレンガ造りの建物が偶然あったので、そちらにも立ち寄り。旧鐘紡洲本第3工場汽缶室(きゅうかねぼうすもとだいさんこうじょうきかんしつ)という、長くややこしい名前の1920年にできた建物。昔は紡績工場だったらしいが、現在はレストランになっている。歴史ある建物だが、多過ぎるレストランののぼりが景観を崩している気が… 空腹になり始めていたが、車中泊の一人旅で入る店ではないと思い入店せず。

旧鐘紡洲本第3工場汽缶室

イオンモールの前は公園になっていて、そこにもレンガ造りの建物が。こちらも何かの商業施設だったのだろうか。現在は図書館らしき近代建築と融合している。レンガ造りの1階部分にはオシャレなカフェがあり、ここで軽く食事をとろうと思ったのだが、残念ながら準備中だった。ちょうど11:00になるところなだが、随分遅い開店のよう。ともあれ、この辺りはとても景観が良く落ち着いた雰囲気の場所で、時間があればもう少しゆっくり散策してみたかった。

イオンモール前の公園

このカフェで食事がしたかった

紡績工場跡のレストランに入らず、カフェにも入らず、結局はイオンモール内で適当に食事を済ませるという、ただ空腹を満たすための食事となってしまった。やっぱりレストランに入っておけばよかったかなぁ…と一瞬思いつつも、男の車中泊旅にオシャレなレストランやカフェなど不要っ!飯に時間を掛けるより観光と移動に時間を掛けよ!!という本来のスタンスを思い出し、無理やり納得する。

洲本城跡

(すもとじょうあと:兵庫県洲本市)

洲本市街の海沿いの道路に出て直ぐに、前方にある山の上に天守閣が建っているのに目が留まる。しかしよく見てみると、城跡によくある天守閣風展望台のよう。それでも見晴らしが良さそうなので上まで行ってみることに。「洲本城跡」と書かれた案内表示に従い道を右に折れ、坂道を上っていく。

石垣を上る

天守閣風の展望台

車でほぼ山頂まで上ることができ、駐車場から歩いて直ぐに天守台に建つ展望台に到着。展望台は昭和3年に建てられたもので、この手の天守閣風展望台としては日本最古のものらしい。残念ながら現在は展望台には上れないようになっている。古いだけに老朽化が進んでいるのだろうか。しかしながら展望台が建つ天守台からでも十分に眺めはいい。これは立ち寄って正解だった。こういうちょっとした発見があると旅がより楽しくなる。

天守台からの眺め

レンガ造りの建物も見える

生石公園

(おいしこうえん:兵庫県洲本市)

洲本市街から10kmほど南に走り、展望台があるとういう理由だけで立ち寄った生石公園。正直なところ、淡路島に自分好みの観光スポットが沢山あったら観光リストに入れないところだが、思ったよりも惹かれるスポットが少なかったために立ち寄ることにした場所。

南北に延びる公園の南端にある第二駐車場に車を停めて公園散策開始。まずは駐車場の隣にある「生石山堡塁跡(ほうるいあと)」へ。「〜跡」とあったので、砲台跡や建物なのどの戦争遺構がるのかと思ったが、低いレンガ塀が続く道だった。木々に覆われ外の景色は見えない。そのまま先へ進むと、公園北端にある第一駐車場まで続く遊歩道に合流。そして遊歩道を歩き始めて直ぐに、公園内に3ヵ所ある展望台のひとつの「紀望台」。南東側の景色が広がり、遠くに和歌山県の陸地が見える。他には周囲に島や岩場は一切見えず、かなりシンプルな眺め。

生石山堡塁跡

紀望台

紀望台からの眺め

紀望台からさらに遊歩道を北へ進んでいくと、途中に小さな灯台。灯台のすぐ側に小さな神社もあったが写真を撮り忘れた。遊歩道の端から端まで、西側すぐ隣には第一〜第五までの砲台跡があるのだが、位置的な関係で遊歩道からではほとんど見えない。砲台跡にも道があるようなので、遊歩道を北端まで進んで引き返す時に砲台跡を見物することに。

遊歩道の途中にある灯台

木々に囲まれた遊歩道

生石海峡展望台

生石海峡展望台からの眺め

遊歩道のほぼ中間地点あたりには「生石海峡展望台」。5kmほど先にある友ヶ島が見える。友ヶ島は四つの無人島群の総称で、砲台跡などの戦争遺構が多数残されている。2009年の車中泊旅行で友ヶ島観光をした際に訪れた、沖ノ島の最西端にある友ヶ島灯台が小さく見える。友ヶ島西部に位置する沖ノ島は、東京に住んでいた時におこなった車中泊旅行の”小さな旅”で訪れた最西端に位置する場所。広島県に移住してからは車中泊旅行で兵庫県より東へ行くことはないだろうと思っていたので、生石海峡展望台からの友ヶ島の眺めに感慨ふけってしまった。

友ヶ島灯台が見える

生石公園の北寄りまで遊歩道を進んだ所に第五砲台跡があり、木々の隙間から少しだけ遺構が見える。安全のためからか砲台跡の中に入ることはできない。第五砲台跡の先から長い下り階段が続いていて、そこから成ヶ島というやたらと細長い島が一望できる。

まだまだ続く遊歩道

第五砲台跡

第五砲台跡付近から眺める成ヶ島

成ヶ島は砂州でできた約2.5mの島で、淡路橋立とも呼ばれている。確かにこの風景を見て、同じく砂州でできた日本三景のひとつの天橋立(あまのはしだて)がすぐに思い浮かんだ。成ヶ島へは近くの港から出ている渡し舟で渡ることができる。旅行計画時にこの島を知り、島のかたちだけで興味をそそられ調べたものの、島内は貴重な植物の群生地であるという事意外に際立った観光スポットはないよう。主に潮干狩りや釣り、海水浴を楽しむスポットとなっているらしい。なので成ヶ島へは渡らず。時間に余裕も無いし…

生石岬展望台

生石岬展望台から見える成ヶ城南端

公園南端の第二駐車場から遊歩道を歩いて30分弱で、北端の第一駐車場前にある生石岬展望台に到着。生石岬展望台からは成ヶ島の南端が目の前にあり、遠くに友ヶ島も見える。

生石岬展望台から第二駐車場まで遊歩道を引き返しつつ、今度は砲台跡の見物をしようと途中で遊歩道を外れ砲台跡の入口へ行くが、門は閉ざされ立ち入り禁止になっていた。大抵この手の砲台跡地は自由に立ち入って見学できるものなのだが、ここは安全上の問題でも起きたのだろうか。唯一砲台跡の遺構をしっかり見物できたのは、第二駐車場付近にある見学テラスから見られる第一砲台跡の端っこ部分のみ。ちょっと残念。まぁ、ここに来るまで砲台跡があること自体知らなかった訳だが…

砲台跡の遊歩道は立ち入り禁止

見学テラスから見る第一砲台跡

見学テラスから見る第一砲台跡

生石公園から先は南淡路水仙ラインという海岸線沿いの県道を進み、淡路島南端へ向かう。洲本市街と南部を行き来をするには内陸部を通る国道の方が近いため、淡路島南東岸をぐるっと周る南淡路水仙ラインの交通量は非常に少ない。そんな道路を走っていると何やら怪しい看板に目が留まる。「ナゾのパラダイス 淡路立川水仙郷」…ナゾのパラダイスって何だ??

あまりにも怪しく気になる看板

今は入口ではない模様

秘宝館って…

何度か怪しい看板を目にしつつ道を進んでいくと、淡路立川水仙郷の入口と思われるゲートが現れる。しかし現在このゲートは使われておらず、すぐ先にあるドライブインが水仙郷駐車場兼入口となっていた。明らかに超B級スポットの匂いぷんぷんなので立ち寄る気は無く、先へ進む。後から調べたところ想像通りのB級おバカスポットで、18歳未満入場禁止でシモネタ満載の秘宝館があったりと、友達とわいわいするには楽しめそうな場所だった。水仙郷としては立派な場所で、シーズン中には約400万本もの水仙が咲く、淡路島二大水仙郷のひとつとの事。

何と比較して3倍なの

ドライブインからの眺め

ハーハー笑うところ…

南淡路水仙ラインは坂道や狭い道が多く、海岸沿いから高台までの急なアップダウンもり、サイクリストにとってはかなりの難所。元々は今回の旅でロードバイクで淡路島一周する予定だったので、旅行計画時に淡路島の道路状態をざっと調べて南淡路水仙ラインの事も承知してはいたが、いざ車で通ってみると予想以上にアップダウンがきつい。レーサーパンツ姿の本気モードサイクリストでさえ、上り坂で自転車を降りて歩く姿を何度も見かける。ここまで来て初めて、淡路島一周はしまなみ海道往復よりもずっとハードなサイクリングコースであると知る。そして今の自分の体力・脚力では、1日で一周するのはかなり厳しいと思い知らされる。淡路島一周サイクリングは中止にして本当によかった

南淡路水仙ライン

南淡路水仙ラインからの眺め

上り坂を頑張る

若人の広場公園

(わこうどのひろばこうえん:兵庫県南あわじ市)

淡路島の最南部にある若人の広場公園に14:00到着。第二次大戦の戦没学徒を慰霊する施設で、淡路島の代表的な展望スポットでもある場所。1967年に造られたものの展示室は20年前に閉館し、公園は廃墟のように荒れ果ててしまったらしいが、2015年にリニューアルされ現在は綺麗で真新しく見える。

若人の広場公園管理棟

記念塔

駐車場から遊歩道を進んでいくと、城の石垣のような外観をした管理棟がある。塹壕をイメージしているらしいが、大抵の人は城壁をイメージすると思われ。この建物内に展示室があり、学徒の遺品や手記などが展示されている。管理棟の上部は展望台のようになっていて、西〜北〜東の景色を眺望でき、淡路島と四国を繋ぐ大鳴門橋まで遠くに見える。公園は管理棟から北へ細長く延びていて、北端には記念塔が建っている。ここは本当に素晴らしい展望スポット。

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管理棟の先には記念塔まで続く細長い通路。石垣に囲まれた細道を歩いていると、何だか神聖な場所へ向かっているような気分にさせられる。管理棟のデザインといい、本当によくできた公園だなと思う。この公園の設計者は、広島平和記念資料館や東京都庁の設計をした建築家との事。

記念塔

記念塔へ続く道

記念塔は高さ25mあり、細長く尖った形はペン先をモチーフにしたもの。シンプルなデザインながらどの角度から眺めても印象的。記念塔の足元には「永遠の灯」が灯っている。記念塔の裏手からは眼下に福良湾を一望でき、ここからも鳴門海峡まで眺望できる。他に観光客の姿も無くとても静かで、暫くのんびりと景色を眺めていた。

記念塔を見上げる

永遠の灯

記念塔背面

記念塔から見下ろす福良湾

美しい公園と美しい風景、若人の広場公園は最高に気持ちのいいスポットだった。しかしながら訪問時に観光客の姿を数人しか見かけなかったのは、公園の立地が関係していると思われ。ともあれ、有名スポットでも土産屋や飲食店が軒を連ね観光客で混雑する場所はあまり好まず、ここのような静かで景色のいい穴場的スポットを訪れた方がずっと充足感を得られる。若人の広場公園は淡路島観光で一番印象に残る場所となった。