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その1  1日目早朝〜昼

 

富士山の後ろから昇る朝日を見たいという事で、深夜1:00にレンタカー営業所を出発。ゴールデンウィーク中という事もあり、深夜にも関わらず環八通り(23区の外縁部を結ぶ大動脈)はかなり交通量が多い。東京から富士山までは百数十キロと近いので、高速道路を使わずに行く予定だったが、一般道を普段の深夜帯のようにスイスイ走れそうにもないので、日の出の時間に遅れないように東名高速道路に入る。高速道路も予想以上に車が多く、富士山周辺の道路一帯が日中は渋滞するのではないかとかなり不安になる。

2:30に御殿場ICから高速道路を下り、富士山スカイラインを進み日の出を眺める田貫湖へ向かう。富士山スカイラインにある気温表示は-1℃と、思っていたよりもずっと寒い。車中泊大丈夫かなぁ、と不安が重なる。

田貫湖

(たぬきこ:静岡県富士宮市)

田貫湖は富士五湖の1つではないが、富士山の後ろから昇る朝日を眺める事ができる場所として撮影スポットの1つ。4月20日前後には、富士山の頂上から朝日が顔を出す「ダイヤモンド富士」を見ることが出来る。4:00過ぎに田貫湖に到着すると、すでに駐車場はほぼ満車状態。駐車場から湖畔の遊歩道を歩いていると、三脚を立ててカメラを構えた人がずらりと並んでいる場所が。どうやら日の出の撮影スポットらしいので、自分も三脚を立てカメラをセット。周りは皆しっかりした三脚に立派な一眼レフカメラを構えているのに対し、自分だけ伸長の短い安価な三脚にコンパクトデジカメの組み合わせというのが少々恥ずかしい…湖面には富士山のシルエットと朝焼けが映り込んでいて綺麗。そして空は雲ひとつ無い晴天。

この日の日の出時刻は4:50頃だったが、太陽は富士山の後ろから出てくるので、太陽が顔を出すのは日の出時刻よりも遅くなるのは分かっていた。が、日の出時刻から30分経っても太陽が出てこない。富士山の両裾野からは太陽光が漏れてどんどん明るくなっていくのに、いつになっても太陽が出てくる気配がない。外はかなり寒く、手の指先はかじかんでだんだん痺れてきて、外で待ち続けるのが辛くなっていく。それでも周りのカメラマン達は皆じっと待ち続けているので、自分も寒さに耐えじっと待つ。そして5:55、日の出時刻より丸1時間遅れて山頂よりやや左下からようやく太陽が顔を出す。

ダイヤモンド富士ではないが、これはこれで十分綺麗な朝日。湖面には富士山から顔を出した太陽と、対岸の湖面に反射した太陽光が映り、計三つの太陽が輝いているような光景。正に旅の始まりにふさわしい景色。いい旅が出来そうな予感。寒い思いをして待ち続けた甲斐があった。

白糸の滝

(しらいとのたき:静岡県富士宮市)

日の出を眺めた田貫湖の近くにある白糸の滝は、富士山麓にある滝の中で最も大きく、日本に数ある「白糸の滝」と名の付く滝の中でも代表的な滝。駐車場から白糸の滝まで続く道の途中に音止の滝がある。

音止の滝

滝へ下る階段から眺めた白糸の滝…建物邪魔っ

滝と言えば山中や渓谷など奥まった所にあり、山道を歩いてやっとたどり着く場所、的なイメージを持つものだが、駐車場から白糸の滝へ続く遊歩道は舗装され、観光客目当ての売店が建ち並んでいてそういう雰囲気が全く無い。訪れたのが朝早い時間で店はまだ閉まっていたのが幸い。さらに滝へ下る階段から滝をいい感じに眺める事ができるのだが、滝本流のすぐ左側に大きな建物が見えて非常に邪魔!日本の滝百選にも選ばれるくらいの名瀑なんだから、もっと景観に配慮して欲しい。とことん観光地化されてしまっているのは残念。

滝の目の前まで来ると滝の全貌が明らかに。湾曲した長い絶壁を無数の細い滝が流れている。これだけ幅の広い滝を見るのは初めて。ネットで調べると滝の幅は200m(一部130mという記載も)とかなり広い。日本でこれだけの規模の滝はなかなか無いと思う。これだけ横幅が広いと全景を一枚の写真に納めるのは不可能。上の写真は三枚繋げて合成しているが、実際は写真右端から先にも滝は続いている。とにかく横に長い滝。

朝霧高原

(あさぎりこうげん:静岡県富士宮市)

富士山西麓に広がる朝霧高原に行こうと、地図上に「朝霧高原」と大きな字で書かれた場所にある国道を走るも、それらしい景色が目に入らないまま通り過ぎてしまった。すると「あさぎりこうげん」という名前の道の駅があったので寄ってみる。道路は空いているのに広い駐車場は満車。しかし人の姿はとんど無い。そして富士山は見えても広い高原風景は見えず。変わった木の伐採?をされた山が見えたのがちょっと気になった。

道の駅朝霧高原から見えた山

仕方なく「朝霧高原」と書かれた辺りまで来た道を戻り、今度は国道から細道に入り富士山に向かって少し進んでみる。すると牛の牧場地帯に入る。ネットで見た朝霧高原の風景とはちょっとイメージが違うが、これはこれでのんびりした風景でいいかなぁと思った。

牛のいる場所は細い針金で囲まれているのだが、よく見ると針金には電流が流れている。なるほど、これで牛が外に出ないようにしているのか。牛に効果のある電流なのだから人が触れたらそれなりのショックを食らう事になるのだろうと思い、針金に触れないように気をつけて写真を撮っていたのだが、うっかり針金に触れてしまった!…が、電流はかなり微弱なもので大したものではなかった。こんな程度の電流で牛は怖がるものなのか、と不思議に思った。

本栖湖

(もとすこ:山梨県富士河口湖町)

富士五湖の中で最も水深の深い湖。水脈の関係で水位がある程度上下するらしく、最大水深は約138m。千円札(旧五千円札)裏面の富士山の絵は、本栖湖北岸からの景色を描いたもの。湖畔を一周する道路の一部の、湖の逆側が岩壁になっていて、路上に落石がゴロゴロ転がっている場所が数箇所。ちょっと危険…

千円札裏側の絵はここからの眺め 車はレンタカーのスイフト

のんびりしていたくなる景色と陽気

雪化粧の富士は美しい

水辺から眺める富士山は本当に綺麗で絵になる。じっと眺めていると何だか癒される。雪化粧の富士山をじっと見ていてちょっとした事に気づく。雪の積もった部分は山肌の形状が良く分かるということ。大した事じゃないけど何だか少し感動。富士山を間近からじっくり眺めるのはこれが初めて。今回の旅は4月上旬にする予定だったのを、天気の関係でGWまで伸びてしまったため、富士山の雪が減ってしまい見劣りするのではないか心配だったが、実際はまだ十分に雪が残っていたのでよかった。雪の無い富士山もそれはそれでいい眺めかもしれないが、やはり富士山は雪化粧の方が絵になる。早朝はとても寒かったが、陽が昇ってからどんどん気温は上昇し、長袖の服では暑いくらいに。日差しも強くて夏のよう。青空と湖と雪化粧の富士と夏の陽気と。とても気持ちがよくて本栖湖の水辺に1時間ほどいた。

千円札の眺めの場所から少し進んだ所に何台もの車が路駐していて、道路脇からカメラを構える人が沢山いたので何かと思ったら、湖面に富士山が映り込む「逆さ富士」が見えていた。湖面には僅かに波が出ているで、鏡のような完璧な映り込みの一歩手前と言った感じ。それでも十分見応えある眺め。これがあの逆さ富士なのかぁ〜、とその美しい景色に見とれる。しかし微かな風が吹いた途端に逆さ富士は消えてしまった。やはり無風でないと見れないようだ。

精進湖

(しょうじこ:山梨県富士河口湖町)

富士五湖の中で最も小さい湖。精進湖から富士山を眺めると、手前に寄生火山の大室山が見え、富士山が大室山を抱き込んだように見える「子抱き富士」を見ることができる。精進湖では沢山のカヌーが一列に連なって何かをやっていた。何かの練習だろうか?湖畔の道路ではマラソン大会のランナーが走っている。GWなだけにいろんなイベントが行われているようだ。

精進湖からの眺めで気になったのが、富士山の左側裾野に突如現れた灰色の雲のようなもの。雲というより噴煙のように見える。まさか噴火!?しかし誰も騒いでいないし警報も鳴っていないので、やはり突発的に発生した雲だろうか。しかし富士山周辺の空一帯には雲ひとつ無い。噴煙のようなものは精進湖を出る頃にはほとんど消えていた。一体何だったのだろう。

西湖

(さいこ:山梨県富士河口湖町)

富士五湖の中で精進湖の次に小さい湖。写真は湖最西部。ここでもカヌーや釣りを楽しむ人が。西湖の道路でも大勢のマラソンランナーが走っていた。

富士山西麓の田貫湖や朝霧高原から眺める富士山と比べると、富士山の輪郭や雪の模様が違うことが分かる。眺める方角によってさまざまな表情を見せるのも富士山の魅力の1つ。

…しかし朝から富士山ばかり眺めていると、さすがに少し飽きてくる。と言う事で次は風穴の見学。