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その2  1日目昼〜夜

 

丸岡城

(まるおかじょう:福井県坂井市)

時間の関係上で観光することを保留にしていた丸岡城だったが、ずっと道路の流れが良く予定よりも早く旅が進んでいたので立ち寄る事に。三國町から20kmほど車を走らせる。朝からスピード違反の取締りを度々目にしていたので、いつも以上にスピードメーターを気にしながらの運転。秋の交通安全週間というやつだろうか。そして13:00に丸岡城に到着。入場料\300を払って天守の中へ。

特別城が好きなわけではないが、丸岡城は日本に12しかない現存天守のひとつで、現存最古の天守とも呼ばれているので出来れば観光しておきたかった。昭和23年の福井地震によって倒壊してしまい、現在の天守は昭和30年に部材を組みなおして修復再建したもの。倒壊したものを再建したのだから再建天守では?と思うのだが、オリジナルの部材で再建すれば「現存」扱いになるという事なのだろうか。

天守1階

天守3階

丸岡城は三階建ての小ぶりな城ではあるが、現存天守ならではの時代を感じさせる風格があり、天守内外共に見応えがある。特に天守内の年期の入った太い柱は現存天守ならでは。天守最上階の3階からは周囲の景色を一望。天守自体は低いが高台の上に建っているので眺めはなかなか良い。高い建物は見当たらず、郊外の長閑な町並みと山々の風景が広がっている。パンフレットによると、ドイツのマルクスブルグ城と姉妹城になっているとか。何か交流でもしているのだろうか。

越前海岸

(えちぜんかいがん:福井県坂井市〜敦賀市)

丸岡城から海沿いの国道に出て、福井県坂井市の東尋坊から敦賀市まで続く越前海岸を南下。越前海岸は水仙が有名らしいのだが、残念ながら開花時期は12月〜2月。しかしながら越前海岸には観光スポットになっている奇岩なども点在しているので、所々立ち寄りつつ敦賀市へ向けて車を走らせる。

最初に立ち寄ったのは「神の足跡」。ほぼ垂直の岩肌に両足跡の形が浮き上がっている。足跡の大きさから考えると神様の身長は65m以上になるらしい。そもそも足跡と言われれば見えなくもないが、意識しなければただの岩肌という感じ。大体地面に対して垂直な壁面に足跡というのもおかしい。

神の足跡

窓岩

次は「窓岩」。名前のまんま、窓のように穴の空いた岩。このように穴の空いた岩はそこら中にあるわけではないが、名前を付けて見物スポットにするほどのものでもないような。これから15:00をまわるという時間ですでに日はだいぶ傾き、越前海岸から日本海を眺める風景は逆光になってしまい、海岸の岩場を撮った写真は黒いシルエットになってしまう。こういう点でも日が沈むのが早い時期の旅行は少し損な気分になる。

午前中に観光した越前松島や雄島、東尋坊で海岸の岩場の風景を十分見てきたので、海岸沿いの観光は飽きてしまい正直面白くない。もう何処へも立ち寄らず敦賀市まで進みたい気分だったが、やはりせっかく長い道のりを経て福井県まで来たので、旅行計画時にピックアップしておいた残りの3箇所だけは立ち寄る事にした。

呼鳥門

届きそうだ…

越前海岸を代表する景勝地の「呼鳥門(こちょうもん)」。波と風の浸食によってできた高さ約15m、幅約30mの洞穴。洞穴の下を通れると思っていたのだが、崩落の危険があるため立入禁止になっていたのは残念。ここも逆光で撮った写真は暗い。呼鳥門の裏手には「鳥糞岩(とりくそいわ)」という高さ50mの断崖がある。断崖の先端が海鳥の生息地になっていて、鳥の糞で岩が白くなっているためその名が付いたのだが、それにしても凄い名前だ。名前に「クソ」が付く景勝地なんてそうないだろう。

鳥糞岩

糞で白くなった断崖先端

玉川洞窟観音

(たまがわどうくつかんのん:福井県越前町)

越前海岸最後の観光地は、コンクリート製のトンネルの中に本殿がある「玉川洞窟観音」。昔、漁師の網にかかった十一面観音が祀られている、と言われても自分にはさっぱり。トンネルの中に観音様というのがちょっと変わっている気がして、観音云々には全く関心は無く興味本位で立ち寄っただけなのだが…

玉川洞窟観音入口

本殿入口

本殿

玉川洞窟観音入口の鳥居をくぐり先へ進むと社務所があり、拝観料\100を払うと線香とろうそくを渡される。え、これどうすればいいの…と尻込みしてしまう。今まで神社仏閣などで線香やろうそくを供えたことなど無いので作法も何も分からない。とりあえず社務所の先の本殿へ入る。ちなみに現在はコンクリート造のトンネル内が本殿となっているが、十数年前までは天然の洞窟の中に祀られていたらしい。洞窟が土砂崩れに遭ってしまったためトンネルをつくり移転したとか。

トンネルの両脇には小さな観音様がずらりと並んでいて、一番奥に御本尊がある。本殿の中には自分以外誰もいなく静まり返っていて、ちょっと神聖な雰囲気。トンネルの真ん中辺りに線香とろうそくを立てる場所があり、短くなった線香とろうそくが2本づつ備えられていた。早速社務所で渡されたろうそくと線香に火を点ける。間違ったやり方でも気持ちの問題、仏教は全てにおいて寛容なのだという事で。線香もろうそくも真ん中に供える。

線香を供える

ろうそくを備える

トンネルの一番奥にある御本尊に上がれるようになっていたので、靴を脱いで畳みに上がり、座布団の上に腰を下ろして正座する。すると何故かとても落ち着いた気分になり心が休まる。そして今自分が抱えている悩みや雑念に対して素直に向き合えるようになった気分。宗教心など全く無いのに何故だろう。とにかく落ち着いた気分でいられるので居心地が良く、いろいろと考え事をしながら暫く座っていた。

御本尊

御本尊

15分は経っただろうか、何だかずっとここに居たい気分だったが、まだ旅の途中なので腰を上げる。御本尊にいくつか置かれている賽銭入れにそれぞれ小銭を入れて本堂を後にする。軽い気持ちで立ち寄っただけの玉川洞窟観音であったが、旅行1日目に観光した中で最も印象深い場所となった。これまで仏教や禅と言ったものには全く無関心だったが、今回の経験を経て自分にとってそういうものがプラスになるものなのではないかと思った。

シンボルロード

(しんぼるろーど:福井県敦賀市)

越前海岸の観光をしつつ敦賀市まで進み、もし時間が余っていたら観光しようと思っていた「シンボルロード」。港と鉄道の街として栄えた敦賀港開港100周年を記念して、1999年に敦賀駅から続くシンボルロードという商店街に、「銀河鉄道999」のブロンズ像16体と「宇宙戦艦ヤマト」のブロンズ像12体の、計28体のモニュメントが設置された。市のイメージである「科学都市・港・駅」と敦賀市の将来像を重ね合わせて999とヤマトらしいが、少々無理があるような…

「銀河鉄道999」

「少年 星野鉄郎」

「メーテルとの出会い」

「旅立ち」

ともあれ、自分は「劇場版 銀河鉄道999」が好きなので、近くを通るのなら寄ってみたいと思っていた。大人になってからふとしたきっかけで劇場版の999(テレビアニメの内容を2時間にまとめたもので、原作漫画とテレビアニメでは不細工な鉄郎は二枚目顔になっている)を見て、若さと限りある命の尊さをテーマにした素晴らしい作品だと知る。

「ガラスのクレア」

「エメラルダス」

「友の眠る星」

「別離」

敦賀に着いたのは17:00少し前。敦賀駅前から999のブロンズ像を順番に撮影していく。17:00を過ぎると外は一気に暗くなり、フラッシュを焚かないと撮影できなくなってしまった。まぁ、風景写真と違い一応被写体はちゃんと撮影できるからいいか。大通りに沿って長く続いているシンボルロード商店街は、すでに半分以上の店のシャッターが閉まり人通りもほとんど無い事に驚く。人通りが多いと何となく撮りづらそうなのでよかったが。約30分かけて999のブロンズ像16体を撮り終える。ヤマトのブロンズ像は撮らないでも別によかったのだが、後は食事と入浴以外する事がないので、ついでにヤマトの12体のブロンズ像も足早に撮影。

シンボルロードの撮影を終えたのが18:00。外は完全に真っ暗。これが夏場ならまだ明るく十分観光できる時間帯。やはり日照時間の短い時期は損な気分になる。食事は出来ればご当地グルメっぽいものを食べてみたかったが(ご当地グルメが分からないが…)、開いている店も限られ空腹の状態で店を探し回る気力もないので、シンボルロードの側にあるファミレスで済ませる。そしてあらかじめ調べておいた、敦賀駅近くのスーパー銭湯で入浴。翌日朝一の観光スポットは敦賀から近いので、入浴後は長距離移動する必要もなく寝る以外にする事が無いので、19:00〜21:00までのんびり入浴し(主にテレビ付きの露天風呂で時間潰し)、それから銭湯の閉店時間23:30まで休憩所で文庫本を読んだりゴロゴロしたりして過ごす。近くに道の駅は無いので、銭湯を出てすぐ目に付いたコンビニに車を停めて就寝。