トップページ

その4  2日目昼〜夜

 

獅子崎稲荷神社

(ししざきいなりじんじゃ:京都府宮津市)

半年前に初めて日本三景のひとつである広島県の宮島を観光し、機会があれば他の日本三景も観光したいと思っていた。という事で今回この機会に天橋立の観光。天橋立には「天橋立四大観」という4ヵ所のビューポイントがあり、時間があればその4ヵ所全てから天橋立を眺めようと計画していた。まずそのひとつである「雪舟観(せっしゅうかん)」と呼ばれる、東から西を見た眺望を眺める事が出来る獅子崎稲荷神社へ。

神社入口

獅子崎稲荷神社

高台山頂

赤い鳥居が並ぶ階段を上り、獅子崎稲荷神社を通ってさらに階段を上ったところに「雪舟観望所」という高台の山頂がある。雪船観望所からは南北に伸びる天橋立を一望。が、見た目はただ海岸に沿って木々が立ち並んでいるだけにしか見えず、特に見応えも印象も無い。立ち寄る必要無かったかも… 室町後期の画僧の雪舟という人がこの風景の絵を描いたことから名前が付いたらしい。獅子崎稲荷神社に着いたのは12:00過ぎ。午前中に三方五湖を観光した時は青空が広がっていたのだが、いつの間にか空一面に薄雲が広がり日差しが遮られてしまった。

雪船観望所から眺める天橋立

天橋立ビューランド

(あまのはしだてびゅーらんど:京都府宮津市)

雪舟観の次は、「飛龍観(ひりゅうかん)」という南から北を見た眺望。「天橋立ビューランド」という、小高い山の山腹にある遊園地から眺める事が出来るのだが、飛龍観の眺望のために往復\850のリフト(モノレールもある)に乗って遊園地に入らなければならない。有料駐車場に車を停める際、リフトの割引券を配られたのだが使い忘れた…

ビューランド行きのリフト

天橋立ビューランド入口

天橋立ビューランドから眺める飛龍観

遊園地は時代遅れのこじんまりとした感じ。それでも有名な天橋立眺望スポットなので観光客が多い。ビューランドは天橋立南端のすぐ側にあり、飛龍観の眺望を間近から眺める事が出来る。天橋立は、流水によって砂が堆積された砂州で、南北に約3.6km続いている。南からの眺めが龍が天に昇るように見立てられる事から飛龍観と呼ばれている。飛龍観の眺望は、天橋立の特徴的な形がよく分かりなかなかの眺め。曇り空なのが本当に残念。天気予報では晴れだったのに…

天橋立ビューランドには「股のぞき台」なるものがあり、そこに後ろ向き立ち股の間から天橋立を眺めると、正に天に架かる橋に見える?ようになっている。普通ならかなりマヌケで恥ずかしい格好だが、天橋立の名物的なものなので多くの人が股のぞき台に立ち、股覗きポーズの写真を他の観光客に撮ってもらっている。せっかくなので自分も。

特徴的な形をした東岸

股のぞき台から股覗き

天橋立

(あまのはしだて:京都府宮津市)

天橋立ビューランドから飛龍観を眺めた後は、天橋立南端のすぐ側にある智恩寺をざっと見物し、三回くぐると頭が良くなると言われている知恵の輪灯篭に寄って、いよいよ天橋立観光。本当は智恩寺の手前にある店が数件並ぶ通りで食事を済ませようと思っていたのだが、学生の団体(修学旅行?)で飲食店や土産屋が混雑していたので止めてしまった。空腹のまま、廻旋橋という回転式の赤い橋を渡って天橋立に入る。

智恩寺

知恵の輪灯篭

廻旋橋

廻旋橋

廻旋橋を渡った先に日本三景碑が建っている。半年前に観光した宮島にも形は違うが日本三景碑があった。しかし宮島にあって天橋立には無い碑がある事に気付く。それは世界文化遺産記念碑。意外な事に、日本三景の中で世界文化遺産に登録されているのは広島の宮島のみだと後から知る。天橋立と宮城の松島も世界遺産登録に動いたのだが、登録されるに至らなかったらしい。

世界文化遺産記念碑は無かったが、「日本の道100選」と刻まれた碑があった。日本の特色ある優れた道路に選ばれるものらしい。天橋立は遊歩道になっていて、自転車と125cc以下の二輪車も通行できる。学校の通学路として利用されているようで、自転車に乗った制服姿の学生が多い。日本三景が通学路とはある意味贅沢な気がするが、当の学生からしたらただの道に過ぎないのだろうな。日本の道100選の他、日本の松100選、白砂青松の100選にも選ばれている。

日本三景碑のすぐ先に大天橋という橋がまたあり、その先から松並木に囲まれた道が続いている。さぞ観光客が多いのだろうと思っていたのだが、拍子抜けするくらい人通りは少ない。天橋立ビューランドなどの展望スポットから眺める人は多くとも、約3.6kmある天橋立を歩いて渡ろうという人は少ないのだろうか。昔の人と同じように自分の足で歩いてこそより旅に深みが増すと思うのだが。

大天橋

天橋立の松並木

松並木を歩いていると、途中途中に昔の史実を記した碑を見かける。そして大天橋から10分ほど歩いた所に橋立明神という神社と、磯清水という井戸。うーん、何故かイマイチ気分が乗らない。やはり天気のせいだろうか。空一面薄灰色の雲が広がり全く陽が射さない。天橋立の両側に広がる海も青さを失い景色が映えない。せっかく京都まで来て日本三景の観光をしているのに… 翌日は滋賀県の琵琶湖を一周する予定なのだが、翌日まで天気が回復しないようなら琵琶湖の観光は中止して今日中に帰ろうかと考え始める。

橋立明神

磯清水

それにしても本当に人通りが少ない。橋立明神の先はこれと言って見物するものも無く、観光客と思われる人の姿もほとんど無く、地元の人と思われるスクーターに乗った人や自転車に乗った学生をたまに見かける程度。淡々と北端へ向けて歩くが、曇っていて風景も映えないし飽きてきてしまった。曇り空 旅の深みも 満たされず… 大天橋から30分ちょっと歩いて天橋立北端に到着。

天橋立北端からさらに北へ歩いて、天橋立ビューランドと並んで人気の展望スポットである傘松公園へ向かう。傘松公園のリフト乗り場の少し手前にある「つるや食堂」という店で遅い昼食。ご当地名物の赤米うどんを注文。本当は天橋立を渡る前に昼食を済ませて、赤米うどんは間食程度に考えていたのだが、これが昼食になってしまった。空腹にはいささか量が足りないが仕方ない。名前の通りほのかに赤色に染まったうどんなのだが、味は特に普通のうどんと違いがないような。まぁこんなものか。

赤米うどん

傘松公園

(かさまつこうえん:京都府宮津市)

傘松公園から眺める昇龍観

傘松公園は、天橋立ビューランドのある山と天橋立を挟んで向かい合った山の山腹にあり、ビューランドと同じくリフトに乗って公園まで登る。料金は往復\640と、天橋立ビューランドや見方五湖山頂公園よりも割安、とケチ臭い事に気付く。獅子崎稲荷神社の雪舟観、天橋立ビューランドの飛龍観に続き、天橋立四大観のひとつである傘松公園の「昇龍観」を眺望。傘松公園にも股のぞき台があり、ここが股のぞき発祥の地らしい。股のぞきをすると天地が逆転したように見え、天にかかる橋のように見えるところから「天橋立」と呼ばれるようになったとか。「斜め一文字」とも呼ばれるこの眺望が伝統的に美しいとされている。

床がガラスの展望台

天橋立のマスコットキャラ?

とりあえずやっとかないと

一応ここでも股のぞき台に立ち股覗き。傘松公園には真新しい円形の展望台も設置されていて、床がガラス張りの突き出た部分がある。ここからの眺めも構図的にはいいのだが、いかんせん空模様が残念な状態で景色が映えない。雨が降り出してもおかしくない雲行き。いよいよ翌日の天気が心配になり、ケータイで琵琶湖やその周辺の天気予報を調べる。天気予報では場所と時間帯によって曇りや晴れとなっているが、予報もあまり当てにならないのでどうするべきか頭を悩ませる。

真新しい円形展望台

こんなものまである

傘松公園のさらに上には成相寺というのがあり、そこからの天橋立の眺めが笠松公園以上に素晴らしいらしいのだが、この天気でこれ以上景色を眺める気分にはなれないし、傘松公園から少し離れていてバスに乗って行く必要があり、時間的にも難しいので行くのを止める。

千躰地蔵

(せんたいじぞう:京都府宮津市)

傘松公園を下りたのが15:00。天気が悪くテンションも上がらず、成相寺へ行かなかった事もあり予定より少し早く旅が進んでいたので、時間があったら立ち寄ろうと考えていた、傘松公園近くにある千躰地蔵へ。住宅地の奥にある細い山道を数分歩いたところの山の斜面に、石仏や石塔がぎっしりと並べられている。かなり古そうなものが多く、歴史を感じさせられる。天保12年(1841)の記録に「千躰地蔵御座候」とあることから、それ以前からこの地にあったのではないかとの事。

再び天橋立を渡り、車を停めてある天橋立南端へ戻る。時間短縮のため戻りは観光船に乗ろうと思っていたのだが、この後に観光予定だった大内峠一字観公園へ行くのを止めたので、また3.6kmの道のりを歩く。計画では天橋立観光の最後に、天橋立四大観のひとつで西から東を見た眺望の「一字観(いちじかん)」を眺める事ができる、大内峠一字観公園へ立ち寄る予定だった。天橋立が漢字の「一」の字に見える風景を高台から眺めることの出来る場所。しかしこれから向かっても公園に着くのは17:00頃になってしまい、天気が悪い事もあり景色がかなり暗くなってしまうので諦めた。1日に沢山の場所を観光しようと計画を立てる旅には、日照時間を考えてもやはり10月半ばあたりが限度のようだ。

本当は天橋立南端にある、人気の入浴施設である「知恵の湯」に入浴したかったのだが、生憎この日は定休日。なのであらかじめ調べておいた別の入浴施設に向かう。入浴前に夕食を済ませようと車を走らせながら手頃な店を探すが、店自体がなかなか見当たらず入浴施設を通り過ぎ、天橋立北端まで来てやっと営業中の店を見つける。17:00になり外も暗くなり、観光客の姿はほどんどなくなる。

客が誰もいない定食屋で食事をしながら翌日の事を改めて考える。ケータイで天気予報を確認するがさっきと変わらず。琵琶湖周辺は場所と時間帯により曇りか晴れ。かなり微妙… ここで旅を終えて翌日観光予定の岐阜県は別の機会にまわす事も考えたが、やはりせっかく計画を立てたのに途中で切り上げてしまうのもイヤだし、次回にまわしても晴れの保障はないので、計画通り翌日に岐阜県の観光をする事にした。

入浴施設のクアハウス

旅と言えば温泉などの広い入浴施設でゆっくりと入浴し、心と体をリフレッシュすのも毎回の楽しみではあるが、この日は何だか疲れて長湯する気分になれず20分ほどで上がり、入浴施設の閉館22:00まで休憩所で寝ていた。

翌日朝一から観光できるよう、岐阜県へ向けて車を走らせる。国道を約140km淡々と走り続け、二条城や金閣寺、清水寺などの世界遺産が点在する京都市の中心を横切り、滋賀県に入ったのが25:00過ぎ。琵琶湖西岸沿いの国道に入り、「道の駅 びわ湖大橋米プラザ」に車を停める。翌日(と言っても24:00を過ぎているので正確には当日)は祝日だからか、道の駅は車中泊と思われる車でほぼ満車状態。翌日天気が悪い上に道路は混雑、という不安がよぎる。 26:00過ぎ就寝。