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その3  2日目朝〜昼

 

2:30頃に寒くて目を覚ます。エンジンをかけてヒーターを点け、しばらく暖めてから消して再度眠る。そして今度は4:30にまた寒くて目を覚ます。空腹感があったのでコンビニで弁当を買って車内で食べるも、もう眠れそうにないので5:00出発。旅行2日最初の目的地の常清滝へ向かう。道路脇にある温度計は6℃、そしてフロントガラスにポツポツと雨粒が… 常清滝に着くまでずっと小雨は降り続く。

常清滝

(じょうせいだき:三次市)

7:10常清滝駐車場に到着。幸い雨は止んだ、しかし空は一面雲が広がっている。早い時間で悪天候、当然のように駐車場は空っぽ。今回の車中泊旅行は本当に天候に泣かされている。天気予報では晴れだったのに…山の天気は当てにならないということか。観光する時に雨に降られていないだけまだマシなのかもしれないけど。。駐車場から遊歩道を数分歩いて常清滝へ。

常清滝遊歩道入り口

遊歩道

常清滝は滝壺まで行くことができ、滝壷手前の階段を上って見晴台から眺めることもできる。常清滝は広島県内で唯一、日本の滝百選に選ばれている滝。落差は126mあり中国地方で一番。日本三大名瀑の那智滝(133m)や華厳滝(97m)に並ぶ落差ということになるが、それらの滝のように垂直に勢いよく流れているのではなく、いくつもの段差のある岩肌を流れているので、それほど迫力は感じない。上の方は奥まっていてよく見えないというのもある。ともあれ見ごたえのある滝である事は確か。

常清滝

見晴台

見晴台からの眺め

高谷山

(たかたにやま:三次市)

高北広域農道に入ってすぐに、「霧の海展望台 700m」という案内表示が目に留まり、展望台からどんな景色が見られるのか気になり立ち寄る。駐車場から続く遊歩道は途中でふた手に分かれている。片方は「高谷山展望台」、もう片方は「大平」とあり「高谷山山頂→」と書かれている。山頂も気になるがとりあえず展望台の方へ。

これは気になる

分かれ道

霧の海展望台

霧の海展望台は三次市を一望できるなかなかの眺め。しかし霧の海の風景ではなかった。霧の海が見られるのは主に秋〜早春の朝早い時間で、幻想的で神秘的な光景らしい。

展望台からの眺め

展望台からの眺め

霧の海展望台の後に高谷山山頂へ向かう。緩い上りの山道が続き、途中途中に電波塔がり、7、8分歩いたところで「山頂 0.1km」の案内表示。しかし先へ進んでも何もなく、山道は上りから下りに。もしかしたら山頂には何もない?山頂だから展望台があるとは限らないし、よくよく考えてみれば霧の海展望台が高谷山の展望台だし… これはとんだ早合点だ、山頂には展望台が必ずあるものだと勝手に思い込んでいた。山道の往復約20分強とカロリーを無駄に消費してしまった。

歩いても歩いても何もない…

高北広域農道

(こうほくこういきのうどう:安芸高田市)

20数キロある広域農道の中に、約1km一直線の道がある。道路は中心に向かって下り坂になっていて、それが結構な斜面でなかなか特徴的な眺め。北海道の広大な牧場地帯の道路を思い出す。写真を撮ろうと車から降りると、道路は毛虫だらけっ!道路脇から毛虫が行き来しているのだろうか。薄っすらと青空が出はじめ景色は明るくなり、写真も何とか絵になる。そして車で直線道路を走る。これは気持ちいい!ちょっとジェットコースター気分。いや決してスピードを出しすぎている訳ではない。戻ってもう一往復しようかとも思ったが、止めておいた。

一直線

結構な傾斜

空はどんどん晴れていき日が射すように。気温は15℃まで上がり昨日よりも温かい。しかしまだまだ雲が多く先行きの分からない空模様。天気を気にしながらも、のどかな風景が広がる農道をのんびり走る。

高北広域農道

天使の庭

(てんしのにわ:北広島町)

また気になる看板

天使の庭

山道を走っていると、周囲一帯緑の景色の中に鮮やかなピンク色の花が沢山咲いている場所が。「天使の庭」と書かれた看板がある。公園かと思いきやそうではないようで、一角がちょっとした広場のようになっていてベンチやテーブルが置かれている。まわりには何もない山中に一体なんだろう。

名水を大量に汲み取り中

天使の庭には「火の泉」という湧き水が流れている。水をすくうためのひしゃくが所々に置かれていて、唯一の先客であるおじさんが、ペットボトル・ポリタンク・樹脂製容器にひたすら水を汲んでいる。そんなにおいしい水なのかと飲んでみると、ほのかに甘みがあっておいしい。これは本当に名水だ。

火の泉を飲んでみる

王渡橋

(おうわたりばし:北広島町)

天使の庭を出てから再び雨がポツポツ降り始め、やがて大粒の本降りに。空は再び一面雨雲。うもう勘弁して…こんな雨では観光どころではない、と半分諦めていたところ、目的地の王渡橋に着くと同時に雨は止む。そして雨雲の間から部分的に青空が見え、陽射しが出たり隠れたり。山の天気は本当に分からない。。

新旧ふたつの王渡橋

新旧ふたつの橋が並んで川に架かっている王渡橋。近年架けられた鉄骨アーチ橋の新王渡橋と、古い吊橋の旧王渡橋。新王渡橋は車で通る分には普通のアスファルト道路、よくできた普通の橋。目当ては旧王渡橋。かなり古さを感じさせる吊橋で、床部分は木の板。新王渡橋から旧王渡橋を見下ろすように眺めることができる。なかなかこういう角度から橋を眺めることはないので新鮮。かなり古そうだし幅も狭いので歩行者専用と思いきや、モトクロスの集団が通り過ぎて行った。

旧王渡橋を見下ろす

旧王渡橋

新王渡橋を渡って少し進んだところに旧王渡橋まで続く細道発見。結構狭い道なので車で入るのを少しためらうも、歩いていくのは面倒なので車で進んでいく。が、やはり狭く草や枝が車に触れる上、地面がでこぼこで結構厳しい。途中に折り返し出来る場所があったのでそこで車を反転させて停車。そこから歩いて旧王渡橋まで下りてみると、上から眺める以上に老朽化が目に付く。ワイヤー関係の金属部品はさび放題で真っ赤。床板を固定しているボルトは緩んでいたり外れていたりして、歩くとガタガタと板が上下に動く。こんなんでも通行止めにはしないんだなぁ、と思いながら橋を渡っていると、不意に足をつまずき転びそうになる。足元を見てみると、真ん中で折れた床板が出っ張っていた。折れた板はぐらぐらして抜け落ちそう。これは危ない、しかしこの老朽具合がたまらなくいい。

旧王渡橋

ちょっと不安

これは危ない

吊橋の先はトンネル

旧王渡橋の片側には小さなトンネル。素彫りのトンネルで中はゴツゴツ。トンネルの先も道が続いていて、そのまま進んでいけば新王渡橋のある通りに出ると思われ。少し先を散策してみようかとも思ったが、戻るのが面倒なので止めておく。

素彫りのトンネル

振り向いてみた

仙水湖

(せんすいこ:北広島町)

王渡橋からは、西日本一高さのある温井ダムへ向けて南下。途中、王泊(おうどまり)ダムのダム湖である仙水湖の上に架かる王泊橋を渡り、王泊ダムの堤体の上に立ち寄り。といっても目的はダムでもダム湖でも無く、昔ダム湖の上に架かっていた橋の橋脚。

仙水湖と王泊ダム

王泊橋

湖の両岸に王泊橋と並ぶように建っている古い橋脚。ただそれだけなのだが、古びたコンクリートの橋脚は形のせいもあってか、遺跡のような雰囲気があり存在感がある。ちなみに王渡橋は仙水湖の上流3、4kmの場所に架かっている。他にも調べればこの辺りには古い橋や遺構があるのかもしれない。古い橋巡りの旅、というのも面白そうだ。以前、奈良県を中心とした吊橋巡りの旅行計画を立てたのだが、実行する前に旅行地が台風で大きな被害を受けてしまい、旅行は中止になってしまった。

霧の海展望台、天使の庭に続きまた気になるものが目に留まる。「盆徳滝」と書かれた案内板。0.3kmなら直ぐなので寄り道してみよう、ということで車を停める。長い階段を下りていくと、大小の岩がゴロゴロしている川に出る。川の脇の道を進んでいくと直ぐに行き止まり。滝らしいものは見当たらない。もしや岩をつたって川の対岸へ渡り先へ進むのか、などと考えたが、違っていたら戻るのが面倒だし足場も悪いので引き返す。

目に留まってしまった

長い階段を下りる

道の先は行き止まり

川へ下りる階段とは別に、丘の上へ続く階段もあり、そっちの方なのかもしれないと上り始めるが、上へ続く階段は所々木の枝が掛かっていて歩きづらい。滅多に人が通らないのだろうか、何だかこの道は違うように思えたが、先が気になるのでとりあえず階段を上り切る。そこから遊歩道が続いているが草が生え放題。さらに途中から草が生い茂り、何処が道なのかよく分からないほど。明らかに違うだろうと思うも遠くから滝の音が聞こえ、さらに生い茂る木々の隙間から滝らしきものが見える。引くにも引けず草を掻き分けヤケクソで先へ進む。もう何でこんなに必死になっているのか自分でもよく分からない。

枝が邪魔する階段を上る

草が茂った道を進む

木々の間から滝らしきものが…

 時間は13:30を過ぎている。道の駅を出発する前にコンビニ弁当を食べて以来、食事をしていないので結構空腹。空腹なのにこんなわけの分からない道を必死に歩いている状況が訳分からない…やがて細い車道に突き当たり、右手に進んでいくと県道に出る。ここ何処…?何処からか滝の音らしきものは聞こえる、何処かといえば足元のほうから聞こえる。自分が立っている県道に架かる短い橋の下を見下ろすと…

県道の橋から見下ろす

段差になった岩場を川が流れている。もしかしてこの下が滝なのだろうか、きっとそうに違いない。木々の隙間から見えたものはこの下にある滝に違いない。でもどうやって滝まで行くのか分からない。どうにもならず引き返すしかなかった。また草を掻き分けてあの道を歩くのか、と思い気が滅入る。腹が減った、結構歩いてクタクタ、かなり重い足取りで来た道を戻る。ちょっとした好奇心で思わぬ発見をすることもあるが、これは大失敗だった… 車に戻り、非常食として用意していたカロリーメイトを食べる。

またここを歩かねば…

盆徳滝について後から調べてみたところ、最初に行った川沿いの道で合っていた。行き止まりだと思ったところは実は行き止まりではなく、少しでも川が増水すると道が浸かってしまうらしい。半分水に浸かって滑りやすい岩場を強引に進み、その先も足場の悪い岩場が続き、やっとの事で滝に辿り着くらしい。盆徳滝は岩場の段差を勢いよく流れ落ちる滝で、なかなか迫力があり見ごたえがあるらしい。間違って行ってしまった県道の橋の下から見た川の岩場の段差が、正に盆徳滝の上流だった。もう本当にやるせない気分。。