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その4  2日目昼〜夜

 

温井ダム

(ぬくいだむ:安芸太田町)

高さが156mあり西日本一高さのある温井ダム。アーチ式ダムとしては黒部ダムに次いで日本で2番目に高い。幅も382mと大きく、実際に目の当たりにする温井ダムは思っていた以上に迫力がある。ダム湖の龍姫湖(りゅうきこ)はダム湖100選に選ばれていて、ダムの上から眺める湖と周辺の山々の風景はなかなかのもの。しかしもう少し晴れていれば…いや天気の事はいいかげん諦めよう。ちなみに何故か、日本のダム100選というものはない。ダム湖はあるのに何故?灯台50選はあるのにダム50選はないのは何故??

堤体の上は道路になっている

龍姫湖

ダム管理所の建物に資料館があり、屋上は展望デッキになっていてダムを見下ろすことができる。展望デッキからダムを眺めていると、中位標高放流設備という場所に人が立っている事に気付く。作業服にヘルメットを着用しているように見えるが、小さくて表情までは見えない。ダムの大きさと比べると豆粒のような小ささ。作業中で何かの確認でもしているのかなと思ったのだが、外を向いてじっと立ったまま動かない、というかピクリともしない。もしかして人形?だとしたら何故あんな分かりにくい所に置かれているのだろうと不思議に思う。

管理所展望デッキからの眺め

中位標高放流設備に人?が立ってる

迫力あるアーチ式ダムを下からも眺めてみたいと思い、後で車で下まで移動しようと考えていたのだが、管理所からダムの下までエレベーターが通っていた。しかも無料。エレベータで下まで下りると、堤体の中のトンネルに出る。コンクリート造の長いトンネルはSF映画に出てくる地下施設のよう。それにしても長い。

エレベーターを降りたところ

長いトンネル

トンネルを抜けると目の前にはダムの堤体。と、放流が始まった!この日この時間に観光放流がある事は知らなかったので(温井ダムについて事前にろくに調べていなかった)、この偶然のタイミングに一気にテンションが上がる。

トンネル出口付近から

もの凄い水しぶき

温井ダムの観光放流はかなりの迫力。轟音と共にもの凄い水しぶきを撒き散らし、周囲が白く霞むほど。トンネル出口から堤体へ近づいていくと、途中から地面は水浸し。さらに側まで行くともの凄い水しぶきが人のいるところまで飛んでくる。気をつけないとあっという間にずぶ濡れになってしまう。観光客の中には雨合羽や傘を用意している人もいる。この迫力は静止画像では全く伝わらない、という事でデジカメで動画も撮影。しかし安価なデジカメで撮った動画ではやっぱりイマイチ迫力が伝わって来ない。。

雨合羽と傘で完全防備

真下から眺める放流はド迫力

実際に目の前で見る放流は本当に迫力があって見ごたえがある。久しぶりに興奮した気分。できれば上から見下ろす放流風景も見てみたいが、下から見物する方が圧倒的に迫力があると思うので、次に放流を見る機会があったらまた下から見物したい。今まで沢山のダムを訪れてきたが、その中でも温井ダムは観光放流のおかげで特に印象に残るダムとなり、もう1度訪れたいダムになった。

高さ156mの巨大な壁

放流設備の人はやはり人形だった

放流後に渦を巻く

予期せぬ観光放流に興奮して気付かなかったが、トンネル出口の側に人形が立っていた。中位標高放流設備に立っているものと同じ人形。身長170cmの人形で、温井ダムの大きさを実感してもらうために放流設備に設置しているらしい。高い所にいるのが治水太郎、下にいるのが利水次郎。温井ダムはいろいろと楽しめる。

利水次郎とツーショット

温井ダムの観光を終えたのが15:30。駐車場に停めた車の中で、残りわずかな旅行の計画を練り直す必要があった。腹が減ったのでコンビニで買っておいたおにぎり2つを食べながら、手書きの旅行計画書と県別マップル広島県を見て考える。温井ダムの次は広島を代表する景勝地の三段峡に行く予定だった。三段峡は散策に3時間以上かかると見ていたので、14:00頃には着くようにしたかったのだが、2日目はいろいろと寄り道をしたり、温井ダムでは予期せぬ放流があったりと、かなり時間を押してしまった。これから三段峡へ向かっても散策途中で日没を迎えてしまう事になるので、三段峡観光は無理だと判断し諦めることに。どうせ天気も今ひとつで帝釈峡の二の舞になりそうだし、三段峡は別の日に改めて行くことにした。

小瀬川ダム

小瀬川貯水池

残る観光地は山口県の錦帯橋のみ。温井ダムから山中の国道をひたすら南下していく。途中道路脇にダムがあったので立ち寄る。温井ダムと比べてしまえばあまりにも普通な感じの小瀬川ダム。さらに国道を走らせ今度は変わった形の山が目に留まる。三角の頂きがみっつ並んだ三倉岳。そして次はトンネルのようになった木。これは面白い。気になるものがあるとつい車を停めてしまう。そうしてどんどん時間をロスしてしまうわけだが、これも自由気ままな車一人旅の醍醐味なわけで。。

三倉岳

自然にこんな形になるもの?

17:30頃、またダムのある風景が目に留まる。夕日に照らされたダムが黄色く輝いていて、それがダム湖に映りこんでいる印象的な風景。弥栄ダム(やさかだむ)という広島県と山口県の県境にあるダム。堤体は国道から横道に入って直ぐなので、あまり時間を取らない程度にと立ち寄る。そしてダム正面を見渡せる場所まで来てその大きさに驚く。高さ120m、長さは何と540mもあるダムで、温井ダムに劣らない存在感。できれば端から端まで行っていろんな角度から見物したいところだが、時間が押している上あまり動き回る気力も無かったので切り上げる。

弥栄ダムと弥栄湖

長さ540mもある弥栄ダム

山口県に入り、川沿いの道路を走っていると夕日が山陰に沈もうとしていたので、路肩に車を停めて川の堤防へ。気付けば空に雲はほとんど無く快晴になっていた。今頃晴れても遅いよ…もしかしたら山中の方はまだ曇っているのかもしれない。それにしても今回の旅は天気を含め、いろいろと思い通りに行かない旅だったなぁと振り返る。特に高谷山や盆徳滝の無駄なハイキング…

錦帯橋

(きんたいきょう:山口県岩国市)

最後の観光スポット、木造五連アーチ橋の錦帯橋に18:30到着。この橋の存在についてはテレビや旅行雑誌等で目にして知っていたが、錦帯橋という名前や山口県にあることを知ったのは、実は広島に移ってから。補修しながら昔から在り続けている橋だと思っていたが、それも違っていた。最初に架けられたのは1673年で、その翌年に洪水で流出し、1950年には台風で流出し、2001年から2004年にかけて橋の架け替え工事が行われたりと、何度か造り直されていて現在のものは10年ほどしか経っていないものだった。実際に橋を渡ってみると木材がまだ新しい。錦帯橋の通行は有料で大人が往復300円。

まだ新しさの残る木造橋

後ろの山に岩国城

河川敷の一部は石畳

岩国城

錦帯橋の西側にある山の上に岩国城が建っている。天主からの眺めがよさそうなので時間に余裕があれば城まで上るつもりだったが、時間的に間違いなく閉館している。現存天主ではなく特に執着もないので構わない。それよりも空腹が辛い。空が暗くなってライトアップされるのを待つので、その間に食事をしようと通りに出るが、軽く食事ができそうな店が見当たらない、というか19:00を過ぎた通りに人通りはほとんど無く、どの店のシャッターも閉まっている。仕方ないので我慢。

ライトアップの照明は19:00前から点灯していたが、外が十分に暗くなってライトアップが映えてきたのは19:20頃から。橋に照明がついているのではなく、両岸から黄色いライトが橋に当てられている。橋の柵の影が床に複雑に映りこんで模様になっている様子が綺麗。

19:40に錦帯橋観光を切り上げ、帰路に向かいつつ目に留まったファミレスに入店し食事。もう本当に腹ペコだった。後は国道を1時間半ほど走って自宅に22:00到着。車中泊の旅で自宅から旅行地が遠いと、帰路が長く途中途中で渋滞する事もあり毎回クタクタになっていたが、今回は広島県内プラス錦帯橋のみの狭い範囲だったので、2日間の走行距離は約560kmと少なく、帰路も短かったので運転疲れは無かった。