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四度目の登山 2007年8月11日〜8月12日

2年前の2005年、ご来光(日の出)とお鉢巡り(火口一周)を目的に登ったのだが、悪天候のためご来光を見る事が出来ず。お鉢巡りはしたものの、山頂は雲の中で景色どころか数メートル先が見えず…と散々な結果に。そして翌年の2006年に再挑戦しようと計画を立てるも、同行する予定だった友人との予定や天気の折り合いがつかず、結局富士山に登る事は出来なかった。

今年こそはっ! 何が何でも絶対に晴天の日に登山をしたいっ!! そして山頂からご来光を眺めてお鉢巡りもして最高の景色を眺めたいっ!!!」

という2年越しの悲願があったので、今回は他人の予定に左右されないように単独登山にし、富士登山シーズン開始の7月頭から毎日のように富士山周辺の天気予報をチェック。仕事が休みの週末に晴天の見込みがありそうな日を待ち続けるが、例年より長引く梅雨の影響もあってなかなか良い天気は訪れず。そして8月の2周目になってやっと天気予報に晴れマークが続くようになり、8月11・12日に登山決行。

今回は最も登山客の多い8月中旬の登山ということで、登山道の混雑が予想される。登山道の渋滞で来光の時間までに山頂に辿り着けなかった…なんて事にならないように、時間に十分余裕のあるタイムスケジュールを立てる。8月11日から道路規制が始まり、一般車は五合目まで車で登る事が出来なくなるので、新宿から富士山五合目まで直通運転する高速バスを予約。東京都内の自宅から富士山五合目まで単身で行く場合、レンタカーを借りて(マイカーを所有していない)高速道路を利用して行くよりも、高速バスの方が安く上がる利点もある。登山当日から3日前の予約だったので、希望する発車時刻よりも30分ほど遅いバスになってしまったが、とりあえず席を確保できて一安心。

四度目の登山その1  河口湖口五合目→山頂

8月11日、16:50出発の新宿発富士山五合目行きの高速バスに乗車。高速道路の流れは良く、予定より10分ほど早い19:00に富士山河口湖口五合目に到着。自宅を出る直前にwebで富士山のライブカメラを見た時は、山頂が少し雲掛かっていたので心配していたが、バスの車窓から見えた富士山は雲ひとつ無い快晴で一安心。五合目からの景色は広範囲に雲が広がっていたが、見たところ翌朝まで富士山が曇る事は無さそうな感じ。

五合目から眺める河口湖方面

四箇所ある五合目の中で最も観光地化されていて、登山道に山荘が多く一番人気のある河口湖口なので、登山客や観光客でごった返しているのかと思っていたが、予想していたより全然混雑していなかった。登山ピークのこの時期は、八合目辺りから山頂までの登山道が深夜から早朝に掛けて大渋滞すると言われているが、五合目の様子を見る限りそうなるようには思えない。五合目ですでに半袖シャツ一枚では肌寒い気温なので、タートルネックシャツを上に着る。

数軒の建物が並ぶ河口湖口五合目

五合目から見上げる富士山頂

19:40に登山開始。翌日4:50頃に出るご来光まで約9時間とかなり時間に余裕があるが、登山道が混雑する心配があるのでついつい早いペースで歩いてしまう。疲れない富士登山のコツは、最初から飛ばさずゆっくり目のペースを保って登ること。

登山道からは富士吉田市の夜景が一望できとてもいい眺め。そして空を見上げれば沢山の星が見える。夜間の富士登山は真っ暗で景色も何も見えないのがネックだと思っていたが、晴天だと綺麗な夜景や星を眺める事ができるのだと初めて知る。

20:10六合目に到着。張り切って歩いていたら体が温まって少し暑い。で、すでにちょっと疲れ気味?おいおい…

富士吉田市の夜景

21:00七合目に到着。七合目の山荘の前には沢山の登山客がいてちょっとびっくり。ツアーの団体客と思われる人たちが沢山いる。

それにしても結構疲れてる…普段全く運動をしないからだろうか。とにかく予想より疲れるのが早い。七合目ではある程度休憩をとってから出発。これ以上疲れないようにもっとゆっくり歩かねば。

登山道は七合目から登山者が急に多くなり、ぞろぞろと列が続く。自分のペースでは歩けない状態。道は若干険しい岩場が出てきて、足場に注意しながら進む。両手はライトと金剛杖を持ってふさがっていたのだが、足場の悪く険しい岩場では手を突いてバランスを取らなければ危ないので、片手を空けるためライトをしまう。それでも周りの登山者のライトのおかげで足元が十分に見えるので不便なく歩ける。

八合目に集まる登山者

22:20八合目に到着。相変わらず人が多い。あちこちでツアー客が集まっていて、点呼を取ったり地面にしゃがんで休憩を取っている。

下界の眺めは富士吉田市の夜景に加え、御殿場市の夜景も見ることが出来る。そして上を見上げれば満天の星空。富士山の天気は快晴が保たれている。これなら確実にご来光を見れると確信。2年越しの悲願もあと少しで達成できると思うと、俄然ヤル気が出てくる。でも結構疲れてる…八合目辺りから気温がグンと下がり、一気に寒くなってくる。タートルネックの上に長袖のシャツを重ね着したがあまり変わらない。しかし軽装主義が災いしてそれ以上服を持ってきていないので、あとは気合で寒さに耐えるしかない状態。

御殿場市の夜景

八合目から登山道は本格的な渋滞に。少し進んでは少し止るの繰り返しで非常に流れが悪い。しかし八合目に着いた時点でかなり疲労が出ている自分にはちょうどいいペース。渋滞する登山道は登山者が灯す光が連なり「夜景」になっている。

本八合目から登山道を見下ろす

日をまたぎ8月12日の0:00に本八合目到着。河口湖口登山道の八合目は、「八合目→本八合目→八合五尺」と分かれていて、登っても登ってもなかなか八合目から抜け出す事ができず精神的にもしんどい。初登山者の多くは、八合目の次に辿り着いた山荘が九合目だと思ったら実はまだ本八合目、さらに登って次こそは九合目と思ったらまだ八合五尺…とうんざりしてしまう。

標高3400mとだいぶ高い所まで登り、頭が結構痛くなってきた。富士登山では毎回頭痛に悩まされているので、自分は高山病になりやすい体質なのかもしれない。

八合五尺から登山道を見下ろす

1:00八合五尺に到着。登山道には冷たい風が強く吹きつけかなり寒い。軍手をした手はかじかんで感覚が無い。足の指先までかじかんで少し痺れるような感じがする。これ以上この寒さの中にいたらどうにかなってしまいそうなくらいに寒い。上着を持って来なかった事を酷く後悔…頭痛と疲労と極限の寒さに体力の限界を感じた。八合五尺からは写真を撮る余裕も無くなり、ただただ山頂を目指して一歩一歩地面を踏みしめるようにゆっくりと進んでいく。

3:00、遂に河口湖口山頂に到着。登山道の渋滞の影響で、五合目から山頂までの所要時間は約7時間30分。それでもご来光の4:50までは十分時間に余裕があるので、それまで体を休めることができる。時間に余裕を持った登山計画を立てていて本当に良かった。

山頂にある「東京屋」という食堂に入り腰を下ろす。食堂内の座敷は満席で、座れずに食堂入り口や通路に立っている人で食堂内は超満員。運よく直ぐに座れてよかった…食堂内はストーブでも炊いているのか、それとも沢山の登山客の体温のせいか、外よりもいくらか暖かい。

東京屋

500円の味噌汁

限界まで冷え切った体を温めるために味噌汁を注文。味噌汁を飲んで体の中が暖まると、麻痺していた体温感覚が戻り、カタカタと小刻みに体が震え始めて止まらない。最初は暖かいと感じていた食堂が寒く感じる。いかに体が冷えていたかを実感。

持参してきた食べ物を食べながら体力を回復させる。ご来光の時間が近づいてきた4:30頃になると、食堂内の登山客が動き始めたので、自分も食堂を出てご来光を見物する場所へ移動。