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五度目の登山 2009年8月23日〜8月24日

いつの間にか一年置きに行なう事になっている富士登山。過去三度の登山では、四箇所ある登山道のうち最もメジャーな河口湖口から登っていて、さすがに今回は違う登山道を登りたいという事で、まだ登ったことの無い須走口登山道を登る事に。須走口五合目の標高は2000m。河口湖口五合目(2305m)より約300m低く、最も標高が高い富士宮口五合目(2400m)より約400mも低いので、少し損な気分ではある。普段全く運動をせず、富士登山に向けての体力作りも一切せずに登る自分には、標高300〜400mの差は大きい。そして今回も山頂からご来光を眺めるために夜からの弾丸登山。体力的・時間的な面で少々不安はあるが、初めての登山道に挑戦してみたいという気持ち1つで富士山へ向かう。今回は自宅から須走口五合目までレンタカーを運転。

五度目の登山その1  須走口五合目→山頂

19:00には五合目に到着して登山開始する予定が、予想以上に道路が混雑していたため、約1時間遅れの20:00前に到着。河口湖口五合目や富士宮口五合目と比べて、須走口は登山ピーク時でもさほど混雑しないと言われているが、五合目の少し手前から路肩駐車が目立ち、駐車場は満車状態だった。どうも2009年は富士登山が世間で話題になっていたようで、それが影響したのだろうか。ともあれ、何とか駐車場に車を停めることができた。車内で半袖のシャツから長袖のシャツ&タートルネックのインナーに着替え、靴下を二重に履いて軍手もして、20:00過ぎから登山開始。

須走口五合目

五合目山荘の食堂や外のテーブル席には沢山の登山者が休憩していた。これから登山を始める人達だろうか。本当は五合目に暫く留まり高地に体を慣らしたほうが高山病になり難いのだが、予定よりも1時間近く五合目の到着が遅れてしまったので直ぐに登山道へ入る。が、ここですでに空腹感が。五合目の山荘で腹ごしらえした方がいいのだろうが、やはり時間が押しているしある程度の食べ物を持参してきているのでそのまま先へ進む。

五合目の山荘前

山荘内の食堂

山荘から少し進むと樹林帯の中に入る。須走口は自然を堪能できるルートなのだが、日没後は暗闇で周囲の景色は全く見えない。照明無しでは登山不能。登山者は非常に少なく周囲はしんとしている。そして空を見上げると満点の星空。富士山周辺にはほとんど雲は無く、これなら間違いなくご来光を拝めそうな空模様。

暫く歩いていると、早くも高山病による頭痛のような症状が出始める。まだ六合目にも着いていないのに早すぎでは…空腹状態と若干の睡眠不足が原因だろうか。本当なら食事と睡眠をしっかりとり、五合目で身体を高地に慣らしてコンディションを整える必要があるが、それらの何一つ出来ていない事に気づく。まだまだこれからなのに先行きが不安になる。

21:00六合目に到着。登山開始からまだ間もないのに、すでにふくらはぎが張っている。頭も少し痛い気がするし、本当にこの調子で登頂できるのか不安増大… とりあえず空腹を抑えるため取り出したお菓子の袋は、下界との気圧差でパンパンに膨れ上がっている。六合目の山荘では焼印をやっていたので金剛杖に捺してもらう。焼印は夜間はやっていない所がほとんどなので、ご来光に合わせて夜から早朝にかけての徹夜登山だと、焼印を増やすことが出来ないのが難点。

六合目の山荘

お菓子の袋がパンパン

山道を歩いている時は少し暑いくらいだったが、六合目の野外ベンチに腰を下ろしてじっとしてると寒さを感じてくる。衣服を触ると冷たく湿っている。標高2420mの六合目ですでに結構気温が低い様子。標高2420mと言えば、初登山で訪れた富士宮口五合目とほぼ同じ高さ。富士宮口ならこの高さまで車で登れる事を考えると、やはりちょっと損な気分になる。六合目で20分ほど休憩し、防湿のためウィンドブレーカーを着て登山再開。

休憩中は寒かったが歩き始めるとやっぱり少し暑い。相変わらず登山者は少なく、五合目駐車場が満車だったのが不思議に思うくらい。人が少なく静かだと、落ち着いて自分のペースで歩けるからいい。登山開始直後から疲れ気味の体をかばう様に、歩幅は小さめにして一定のペースを保って歩き、22:00本六合目に到着。山荘は閉まっていて焼印を捺してもらう事が出来なく残念。小休憩して先へ進む。

七合目の山荘

23:05七合目着。山荘は営業していて飲食物の販売もやっていたので、焼印もあるかと思ったが残念ながらやっていないようだった。本六合目を過ぎた辺りから強い風が出るようになったが、寒いと感じていないのはウィンドブレーカーのお陰だろうか。いずれにせよこれから先は寒さが増していくので、持参してきた防寒用の服をウィンドブレーカーの下に着る。20分ほど休憩して出発。

看板が賑やかな売店

0:15八合目に到着、と思ったら本七合目。まだ七合目か…それでも標高は3200m。五合目の標高2000mから1200mも登ってきた。あと500m程度で山頂と考えると大した事の無い道のりにも感じる。風は出ているがまだそんなに寒いとは感じない。防寒着&ウィンドブレーカー様様。寒さに苦しんだ二年前が馬鹿らしい。

本七合目入口

御殿場市の夜景

富士登山をしていて誰もが思う事なのだが、例えば○合目から△合目へ向けて登山道を登っていて、先に山荘が見えるので△合目かと思いきや、「○合目」・「元祖○合目」・「○合五尺」など、○の数が変わっていないと精神的にやられる。さすがに富士登山五度目の自分は慣れた。

八合目に1:05着。疲労を抱えながらも、気づけば登山開始直後から感じていた頭痛は無くなっていた。一定の登山ペースを保ちつつ、各合目で十分な休憩をとり、食料と水分の補給を適度にとっていたからか、体調は安定しているような気がする。

本八合目に1:50到着。須走口登山道は本八合目で河口湖口登山道と合流し、山頂まで河口湖口五合目からの登山者と一緒に登る事になる。登山者が少なく静かだった須走口登山道とは打って変わり、本八合目には山荘に出入りする多くの登山者がいて、そして河口湖口登山道を見下ろすと…大渋滞!!な、なにぃぃ〜、登山ピークの盆休みは過ぎているのに、この混み様はいったい何なんだ?!やはり今年は富士登山ブームなのだろうか。二年前の盆休みに登山した時よりも人が多いような…これでは間違いなくノロノロ登山になるので、ご来光の4:50頃までに山頂に辿り着けるか不安が募る。

登山客で混雑する河口湖口登山道

河口湖口五合目からの登山者の多くはツアー客のようで、引率者が頻繁に大声でいろいろ指示をしている。一体何組のツアーが登山しているのやら。ツアーの多くは七合目〜八合目の山荘で一泊するので、喋ってたり歌ってたりと体力に余裕のありそうな人が多い。しかし徹夜登山の自分には余裕など無い。登山道は延々と渋滞していて、少し進んでは立ち止まっての繰り返しで自分のペースで歩けない。いろいろな意味でこのツアー登山客と一緒に登るのは辛い。

2:30八号五尺に到着。標高3450mと山頂まであと少し。再び頭痛が出てきて疲労もピークに。気温はかなり低いようで、手足の指先が少ししびれている。軍手から厚手の手袋に付け替え、体にカイロを貼る。と、空から何やら白いものが降ってくる。まさか雪?!と思いきや、どうやら小粒のヒョウのよう。すぐに止んだのでよかった。早ければ八月下旬には山頂に雪が降る事もあるらしいので、ちょっとヒヤッとした。

八号五尺

八合五尺から先は修羅場だった。登山道の混雑は酷くなる一方で、一度立ち止まった渋滞の列はなかなか動き出さず、歩いているより立ち止まっている方が多い事も。全く自分のペースで歩けないし、沢山のライトの光が眩しくて気分が悪くなってくる。途中本当に辛くて岩場に座り込んでいたら、よほど具合が悪く見えたのか「大丈夫ですか、がんばってください」と声を掛けられた。10分ほど岩場で休憩して呼吸をしっかり整えて、山頂へ向けて重い足を前へ前へ踏み下ろしていく。そして空が明るくなり始め、空一面に雲が広がっている事に気づく。数時間前までは星空が広がっていたのに…山の天気は本当に分からない。

なんとか山頂に到着

残念ながらご来光は拝めず

ご来光直前の4:50に山頂に到着。しかし山頂から眺める景色は一面雲。雲の隙間から朝焼けが見えるので少し待てば太陽も顔を出すかもしれないと思い、石段に腰を下ろし少し待つことに。日が射さない山頂はかなり寒い。しかしそれ以上に猛烈な睡魔に襲われ、腰を下ろして直ぐにうとうと眠ってしまう。前日の10:00頃に起きてから約19時間、普通なら寝ている時間に徹夜登山で富士山頂まで来たのだから無理も無い。目を覚ますと15分ほど寝ていたようで、それだけでも少し体力が回復していた。ご来光の出る方角を眺めても変わらず厚い雲が広がり、太陽が顔を出す気配は全くない。残念ながら今回の登山ではご来光を眺めることは出来なかった。とりあえず寒さをしのぐため、山頂にある食堂に入る。

山頂の食堂「東京屋」は超満員。何とか座れる場所を見つけ腰を下ろす。とりあえず暖かいものが欲しかったので、500円の味噌汁を注文。体を内側から温める。曇りで陽が射さず外はまだ薄暗いので、暫く食堂で休憩。ただ、他にも腰を下ろしたい登山客も多く、何も注文せずにずっと座っているのは反則なので、今度は900円のラーメンを注文。900円と言っても、袋ラーメンに僅かな具が乗っただけの極めて質素なもの。物資の輸送が大変な富士山頂なのでこの価格でも仕方ない。40分ほど食堂で休憩して、6:00に頃になると外が明るくなってきたので食堂を出る。空腹も満たされ体力はほぼ完全に回復!

900円のラーメン!