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2011年4月19日 5日目 (雨のち晴れ) 熊本県天草市⇒熊本県宇土市

走行距離:191.6km(合計:1944.2km)

給油:00.00L(合計:99.37L)

 

4:00頃に雨音で目を覚ます。土砂降りの雨が降っていて、車の屋根に落ちる雨粒の音がバタバタとうるさい。それでももう一度寝て7:20起床。雨は止んでいたが、外は風が強くかなり寒い。北から東にかけての空は晴れ間が広がり明るいが、これから向かう南西方面には雨雲が広がり暗く、今旅最悪な空模様。まぁ、長期間の旅行中ずっと好天というのは無理な話で、何度か悪天に見舞われるのは仕方が無い。旅行開始早々から軍艦島に阿蘇と大きな見所を無事観光できたので、今日はまぁいいかとポジティブシンキング。

北〜東は晴れ間が広がっているが…

これから向かう南西方面は最悪な空模様

 

旅行5日目一番のハイライトである崎津天主堂へ向けて、熊本県天草市の北岸沿いに延びるロザリオラインを走る。晴天ならば綺麗な海を眺めながらドライブできそうな道路だが、生憎の天気で空も海も灰色で楽しめない。ロザリオラインからサンセットラインに入ると、妙見浦という天草西海岸を代表する景勝地に沿って道路は続くが、本来なら綺麗であろう海岸風景も酷い曇天で残念な眺め。やっぱり快晴じゃないとちっとも楽しくない!…と、早くもポジティブシンキング終了。

ここ妙見浦?

 

大江天主堂

崎津天主堂のすぐ手前にある大江天主堂にもついでに立ち寄り。小高い丘の上に建つ白い教会で、レンガ造りの花壇が入口まで続いているのが印象的。青空が背景ならばいい絵になるんだろうなと。次第に雲が晴れて青空が広がる事を期待していたが、どうやらその見込みはなさそうで諦める。

大江天主堂は礼拝堂の中に入って見学できる。但し中の撮影は禁止。平日の午前中にも関わらず来訪者が多い。駐車場に戻り隣に停まっている車のナンバープレートを見ると、何と東京都の足立ナンバー! ここまでに関西・四国・中国地方のナンバーは何度か見掛けたが、東京のナンバーはこれが初めて。東京から九州まで車で移動しているのは自分だけではなく、自分が特別な事をしている訳ではないという現実を突きつけられた気分になった。まぁいいさ、自分にとっては特別な旅である事に違いはないのだ。

大江天主堂からの景色

 

そして目的地の崎津天主堂へ。10年前の日本一周の旅で天草市を運転していた時に、急に腹痛に見舞われ目に留まったトイレへ。駆け込んだトイレは「教会の見えるチャペルの鐘展望公園」の入り口である神社の前にあるもので、トイレついでに立ち寄った展望公園からは名前通り教会が見え、その景色がとても印象に残った。その教会が崎津天主堂。10年前は展望公園から眺めただけで教会へは行かず、日本一周旅行記を制作している時に教会にも行けばよかったと思い、それ以来崎津天主堂の事がずっと頭の片隅に残っていた。

細い路地を歩いた先に

崎津天主堂

まずは教会の中へ

崎津天主堂がある河浦町の側まで進んだところで、10年前にトイレを探しながら運転した時の風景と重なり、当時の事を思い出し妙に懐かしい気分になる。そして河浦町の観光客用駐車場に車を停め、住宅が並ぶ細い路地を歩いて崎津天主堂に到着。天気は生憎だが、念願だった場所にたどり着くことが出来たので嬉しい。門柱には「崎津カトリック教会」と書かれた表札。「天主堂」とはカトリック教会を意味しているのだろうか。〜聖堂・〜天主堂・〜教会と、いろいろ言い方があるけど違いが分からない。

絵葉書の写真

崎津天主堂も中に入る事が出来るが、大江天主堂と同じく撮影は禁止。中には大抵の教会と同じく、その教会やキリスト教に関連した物品等が無人販売されているコーナーがある。その中の崎津天主堂の絵葉書セットの写真がなかなかよかったので購入。左の写真は絵葉書の一枚、崎津天主堂の中を撮影したもの。崎津天主堂は1934年に建てられた教会なので、それなりに年期の入った建物をイメージしていたが、内外共に綺麗で古さは感じない。過去に大規模な修復をしたのかも知れない。もしくは一度焼失などして再建されているとか。

外に出ると崎津天主堂の背後にだけ青空が僅かに出ていて、しかも天主堂に日が当っていたので、ここぞとばかりに写真を撮る。直ぐに日差しは遮られ青空も隠れてしまったが、一瞬でも明るい天主堂を見ることが出来、写真に収める事が出来たので良しとしよう。

崎津天主堂

崎津天主堂

教会前から展望公園を見上げる

神社が展望公園の入口

そして10年前のように教会のある町並みを眺めるために、教会の見えるチャペルの鐘展望公園(長い名前だなぁ)へ向かう。公園入口でもある神社の手前には懐かしいトイレが健在で、しっかり利用させてもらってから鳥居をくぐり神社の境内へ。が、境内の奥から始まる長い階段道には立入禁止の文字が!

神社から町を眺める

立入禁止だと!?

ここまで来て展望公園に行けないなんてっ!どうしてっ!?…と、かなり動揺しつつも、立入禁止の標識の下に貼られてある説明文に気付き見ると、「山頂施設(チャペルの塔)の老朽化により、外壁落下の危険があるため。」と書いてある。対にある説明書きには「〜省略〜モニュメント(十字架)へは近寄らないでください。」とも。つまり展望公園まで登っても十字架に近づかなければ問題無いだろうと判断。そうでなければ階段が封鎖されているはずだ。という事で展望公園を目指して階段を登る。

ジグザグに続く階段道を歩く

展望公園の少し手前に鳥居

展望公園手前からの眺め

木々に囲まれ外の見えない階段道を黙々と歩き、展望公園の手前まで登ったところで景色が開けて、小さな町とその中心に建つ教会の風景が姿を見せる。と同時に運良くまた日差しが出て景色が明るくなる。やっぱりいい眺めだ。山に囲まれた入り江にある小さな港町と、その中心にある小さな教会と、そしてその町を見下ろすことが出来る高台。映画のロケ地として最高なロケーションだと思う。ここを舞台にした映画がまだ無いのなら、映画制作会社に教えてあげたいくらいだ。

崎津天主堂

十字架の周りは立入禁止

展望公園の様子

展望公園の入口には立入禁止の標識が置かれ、問題の十字架の周りにはロープが張られていた。てっきり十字架はコンクリート製だと思っていたが木製だった。パッと見では崩壊する危険があるようには見えないが、確かにだいぶ古びている。10年前に撮った写真と見比べると、元は無かった金属の補強が沢山巻かれている。何だか10年という時間の経過を実感させられた。しかし10年前と今の自分を比べてみても、大きな変化や成長は無いような気がする。

公園の名前にも入っているチャペルの鐘がある場所からは、入り組んだ湾海を見渡す事ができる。が、灰色の雲が広がり景色は暗くて残念な眺め。空模様は崎津天主堂にいた時よりも悪化し、今にも雨が降り出しそうな状態。しかしこれだけ不安定な天気の中、天主堂に着いた時と展望公園手前から町並みを見下ろした時だけでも日差しが出た事は、本当に救いだった。

チャペルの鐘

公園から教会へ

教会裏手にある漁港

雨に降られないうちにと展望公園を下り、もう一度崎津天主堂へ。ついでに町の中を少し散策。お腹が空いてきたので定食屋みたいな店はないかと探してみるが、めぼしい店は目に付かず。ご当地物らしい「杉ようかん」というのが売られているのを何度か目にしたが、あまり甘いものが得意ではなく特にようかんは苦手なので、少し迷ったがやっぱり手を出すのは止めた。そしてとうとう雨がポツポツと降り出したので車へ戻る。

教会周辺は猫が多い

みんなこっち見てる

 

雲仙天草国立公園

雨は本降りになり、空模様からして天候回復は望めない状態に。予定では崎津観光の後は水俣市までひたすら走るだけなので、天気が旅行行程に影響しないのが幸い。崎津から天草市を北上し、前日夜に通った所まで戻ると雨は弱まる。途中に「雲仙天草国立公園」という景勝地があったが、天気が悪くてとても観光する気にはならない眺めなのでパス。車を運転しながら飲食店を探すもラーメン屋やちゃんぽん屋ばかり。麺より白いご飯と肉と味噌汁が欲しかったので、それらをパスして行き着いたのがジョイフル。やっぱりそうなると思った。14:00に少し遅い昼食。

食事を済ませ外に出ると、雨は止み晴れ間がちらほら出ていて天気が回復に向かっていた。何とも移り変わりが激しい天気だ。全く天気予報は当てにならない。これなら観光が出来そうだという事で、ちょうど通るところだった熊本県宇城市の不知火町松合にある、「白壁造りの集落」と地図に書かれた場所へ寄り道しようかと考える。もしも時間に余裕があったら観光しようと考えていた場所。ただ、予定では夕方までに水俣市に入り水俣病資料館を見学するつもりでいたが、資料館は17:00までで白壁造りの集落に寄り道すると間に合わなくなる可能性が高い。どうしようか少し考えた結果、水俣病資料館よりも白壁造りの集落を優先する事にした。基本的に自分は資料館等の見学施設にはそれほど関心が無い(広島長崎の原爆資料館は話が別)ので。白壁造りの集落がどんな場所か事前に調べていないので分からないが、静かで落ち着いた古い町並を勝手に期待して向かう。

 

白壁造りの集落に入ると、ほぼ想像通りの落ち着いた雰囲気の静かな町だった。観光客用の駐車場に車を停め通りに出たところで、こちらへ歩いてきた男性に声を掛けられる。その人は集落についてかなり詳しく、これから観光を始めようとする自分にいろいろと説明を始める。さらに町の案内所まで連れて行くと言うので、なすがままに付いて行った場所が白壁土蔵の「不知火町松合ビジターセンター」。どうやら男性は案内所の職員らしい。案内所で松合のパンフレットや宇城市の観光ガイドブックを渡される。案内所には女性の職員もいて、お茶とポンカンを出してくれた。しかもポンカンはわざわざ皮をむいてくれた。手厚いおもてなしに恐縮。ありがたくご馳走になる。

不知火町松合ビジターセンター

お茶とぽんかんご馳走中

お茶をしながら白壁土蔵が並ぶ松合の町についてや、周辺の観光スポットについての話、もらったガイドブックに載っている観光地などの話を伺う。これから向かう屋久島・種子島についての話まで。お茶が飲み終わるとコーヒーまで出してくれた。何だかもの凄いくつろいでいる。結局30分以上お邪魔してしまった。散々お世話になった2人の写真を記念に撮らせてもらい、ついでにHP掲載の了承もいただく。案内所を後にして町の散策開始。

お世話になった2人

ビジターセンターはす向かいの家

変わったレンガの積み方

案内所でもらった松合の町並案内図を見ながら、白壁土蔵の家々を見て回る。白壁だけでなく部分的にレンガ造りになっている家も見かける。白壁は修復されて綺麗になっている家が多いが、木造部分は古いままの家が多く、建物に歴史があることが分かる。白壁の家の中には、元は一般的な建物だったものを白壁土蔵風に「修景」したものもある。修景には補助金を受けられるそうで、町並の環境整備に力を入れている事が伺える。

昔この辺りは火事が多く何度も被害を受けていて、そのため火に強い土蔵の家が建てられるようになり、いたるところに井戸が掘られ火事に備えた町づくりになったらしい。松合は元々酒造が盛んだった町で、現在は醤油醸造に代わり、醤油の製造販売所が点在している。

町の中には白壁土蔵以外にも珍しいものがあちこちに潜んでいる。道端にある錆びた万力は一体何をするのに使われていたのか。「ナカムラ式ゴミ焼却炉」と書かれた焼却炉は今でも使われているのだろうか。他にも細い路地裏にぽつんと佇む小さな祠や穴を塞がれた古井戸、昔ながらの木製掲示板や都心では見かけない小さなポストなど、無作為に歩き回っていてもいろんな発見があって面白い。

何故か道端に万力

ナカムラ式ゴミ焼却炉!

小さな祠

小さなポスト

ざっくり町を回ったところで一旦駐車場へ戻り、車内でこれから翌日にかけての計画を練り直す。案内所でもらった観光ガイドブックに石橋の写真がいくつも載っていて、興味を惹かれ行ってみたいと思っていた。複数の石橋は熊本県美里町の一部にまとまってあり、かつ旅行計画の走行ルートから大きく外れずに立ち寄る事が出来るので、翌日に石橋巡りをしようと計画を練る。ガイドブックには他にも気になる観光スポットがいくつも載っていたが、さすがに全部観光するのは無理なので石橋巡りだけにしておく。この日のうちに観光予定だった水俣病資料館は、石橋巡りの後に行く事にした。

時間は17:00。入浴と夕食にはまだ早いし、かと言って他に寄るところも無いので、日が落ちるまで松合の町を再びブラブラする事に。駐車場隣の建物のショーウィンドウに風景画がいくつか展示されていて、松合の町のどこかと思われる細路地の絵に何故か惹かれる。絵の場所へ行ってみたくなり、案内所の2人なら場所を知っているだろうとビジターセンターへ行くも、すでに閉まっていた…残念。流石に自力で探すのは無理だと諦める。

懐かしい雰囲気の町並

何処にでも猫はいるものだが、松合の猫は目つきが鋭く妙に警戒心が強い気がする。こちらに気付くとすぐに逃げてしまうし、家の中や物陰からジッとこちらを見て警戒している。ちょっとコワイよ。

きっと警戒されてる

かなり警戒されてる…

松合の町並はどこか懐かしさを感じさせ、自分が小さい頃の実家の周りの家並みを思い出させる。実際はそれほど似ているわけではないのだけど、とにかく郷愁感があり落ち着く場所だ。人通りは少ないが、たまにすれ違う地元の人が「こんにちは」と挨拶をしてくれる。とても新鮮で穏やかな気持ちにもなる。東京都内の住宅地ではフラフラ歩いていてる見知らぬ人に挨拶する人などいない。

どうしても気になった絵

18:00を過ぎて日も沈みかけたところで散策を切り上げ、駐車場に戻る。そしてもう一度ショーウィンドウ内の気になる絵を見てみると、細路地の先に海と思われる水辺が描かれている事に気付き、何となく場所が掴めたので行ってみると正解だった。しかし実際の風景は絵ほど印象的なものではなかった。まぁ、とりあえず発見できたのでスッキリした。

絵と同じ場所発見

 

白壁造りの集落から車で直ぐの場所にある「道の駅 不知火」へ行き、施設内にある温泉に入浴。2時間ほどのんびり入浴して、その後は閉館の21:00まで休憩所でゴロゴロ。そして道の駅から車を出した直後に、夜空の月と海面に映る月明かりに目に留まり、路肩に車を停めて防波堤の上に三脚を立てて写真を撮る。朝日や夕日など太陽の写真はよく撮るが、水面に映る月明かりの写真を撮るのは初めてかもしれない。

夕食は通り掛かったジョイフル。昼に続き夜もジョイフル。だって店があるんだから仕方ない。ジョイフルを素通りしてその先に店が無かったら困るし。体力勝負の旅だからか、普段はあまり食べない肉料理をつい注文したくなるが、太りたくないし栄養のバランスも考えてねぎとろ丼を注文。翌日の午前中は宇城市美里町の石橋巡りをするので、少しでも近づこうと夕食後も運転を続け、「道の駅 宇城」に車を停めて23:00就寝。

 

本日の食事

朝食 コンビニ パン
昼食 ジョイフル \599の定食
夕食 ジョイフル ねぎとろ丼

ご当地グルメ出来ず。