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その1  1日目早朝〜朝

 

深夜2:00に自宅を出発。関越自動車道・上信越自動車道・北陸自動車道を乗り継ぎ、東京から新潟県最西端までの350kmの道のりを一気に進む。通常ならば7600円もかかる高速料金が、ETC利用者休日1000円制度のおかげで、たったの1600円(600円は割引適用外の都内の走行分)で済んでしまうのだから本当に助かる。

高速道路は終始空いていて、予定通り6:00に新潟県最西端の日本海に到着。太陽は雲に隠れ薄日が射していて、遠くの景色はもや掛かってかすんで見える。つまりかなり微妙な天気。関東人にとって日本海と言えば、”荒波が打ち付け寒く厳しい場所”的なイメージがあるので、快晴の景色よりもこちらのほうが「らしい」眺めなのかも知れない。でもやっぱり海沿いの景色は快晴の方がいい。そのうち青空が出てくる事を期待して新潟縦断開始。

高速を下りて辿り着いた日本海の眺め

親不知

(おやしらず:新潟県糸魚川市)

親不知とは北アルプスの北端が日本海に落ち込んでできた断崖の事。昔の旅人はこの断崖の波打ち際を命がけで渡ったそうな。親は子を、子は親を振り返る暇もないほど危険な断崖だったため、その名が付いたらしい。今は海岸線に沿うように国道と高速道路が通っているので、誰でも簡単に往来する事が出来る。

親不知の近くには、「親不知海岸高架橋」という海岸線を埋め立てて造られた高速道路が延びている。険しい断崖よりも建設が容易な海上を選んだと思われ。昔は命がけで時間と体力を費やして渡った道のりが、今は高速道路であっという間。景観等の話は別として、今はいい時代だと思う。

親不知海岸高架橋

弁天岩

(べんてんいわ:新潟県糸魚川市

海沿いの国道を走っていると見えてきた灯台の建つ岩。糸魚川市能生海岸のシンボルである弁天岩。岩の真正面まで来ると、紅い鳥居が二つと何やら建物の屋根らしきものも見える。さほど大きくない岩にいろいろなものが詰まっていそう。弁天岩のすぐ側に、「弁天岩の参拝者1時間無料」と書かれた駐車場があったので、駐車場に車を停めて参拝を兼ねて弁天岩へ。

曙橋を渡って弁天岩へ

曙橋という紅い橋を渡って弁天岩へ。鳥居をくぐって階段を少し上ると屋根に守られた祠が。なるほど、外から見えた屋根はこれだったのか。厳島神社と書かれている。ご神体は弁天岩の近くにある白山神社にあり、祠はそちらを向いているとか。海の神様「市杵島姫命(いちきしまひめ)」を祭っているらしい。とりあえず参拝。

弁天岩入口

厳島神社

祠の向く景色

厳島神社からさらに階段を上って弁天岩の頂上へ。小ぶりな灯台と紅い鳥居が建つ頂上からは能生海岸を一望できる。能生海岸が見える西側は薄っすら青空が広がり始めなかなかよい眺め。

頂上に建つ灯台と鳥居

頂上から眺める能生海岸

曙橋ある側とは反対の裏手に降りていくと、弁天岩の後に続くかのように並ぶ三つの岩がある。一番手前の岩まで行ってみようと思ったが、やっぱり面倒くさいのでヤメ。弁天岩頂上や曙橋周辺には人の姿が無かったが、弁天岩裏手で釣りをしている人を数人発見。

頂上にある小さな祠

弁天岩の隣にある三つの岩

弁天岩で釣り

足元に極小な祠

能生白山神社

(のうはくさんじんじゃ:新潟県糸魚川市

拝殿

秋葉神社

弁天岩から歩いて数分の所にある能生白山神社にも寄ってみる。弁天岩の厳島神社のご神体がある神社。わらぶき屋根の拝殿やら蔵やら、境内には建物がいくつもある。まだ8:00と早い時間だからか、弁天岩と同じく人影は無し。拝殿の裏手にある本殿へ行ってみると、入口は施錠され中には入れなかった。本殿入口は木々と拝殿の屋根で日が差さず薄暗く、手水舎の龍と岩陰に沢山ある祠が何だか薄気味悪い。他に見るものも無いし、駐車場の1時間無料の時間オーバーをしてしまわないうちに車へ戻る。

手水舎

本殿前の祠

本殿

筒石の町並み

(つついしのまちなみ:新潟県糸魚川市

地図に「断崖下の町並」と書かれた所があり、どんな所かと気になっていた。それは弁天岩のある能生海岸から海沿いの国道を5kmほど進んだ所にある筒石という場所。切り立った山のふもとに木造家屋がひしめくように建ち並ぶ光景が印象的。山と住宅地の間にある、町を上から見渡せる道路から眺めると、家々の異常なほどの密集度がよく分かる。そんな筒石の町並みにとても惹かれ町の中を散策する事に。

筒石の町並み

町と山の間にある道路から

筒石の町のメインストリートである細道に入ると、まず三階建ての家が多い事に気づく。木造瓦屋根の三階建て家屋は珍しいと思う。断崖と海岸に挟まれた狭い土地を有効に利用するためだろうか。そんな木造家屋に囲まれた細い路地を歩いていると、自分が生活している時間とは別の時代に迷い込んだような気分になってくる。何とも不思議な町だ。この路地と過密住宅は何処まで続くのだろうか、ますます興味が惹かれ終わりまで歩く事に。

メインストリート入口

長く続く一本道

床屋や商店などもある

密集した家々を眺めながら歩いているといろんな発見がある。まず玄関脇に流しがある家が多い。筒石の町は漁村らしいのだが、それが関係しているのだろうか。それと玄関に花の咲いた鉢植えを置いてある家が多い。そのお陰か狭く閉鎖的な細道でも暗い雰囲気は無い。古い消火栓も頻繁に目にする。ただ古い消火栓の側には、大抵今時の箱型の消火栓が設置されている。なので古い型の消火栓は機能はしないのかも知れない。いずれにせよこのような木造家屋が密集し道幅も狭い住宅地で火災が発生したら、あっと言う間に辺りに燃え広がってしまう。火の元には特に注意を払う必要がある町。

玄関前に鉢植えを置く家が多い

狭い路地を明るくする花

古い型の消火栓が沢山ある

住宅地の中には床屋や商店などもあり、とりあえずこの町中だけでも生活が出来そうな感じ。土曜日の朝8時台という時間だからか、路地を歩いていても住民の姿はほとんど見かけず、静まり返っている。それにしてもこの昔ながらの景観を現在まで保っているのは、必然なのか偶然なのか分からないが、維持していくのはなかなか大変なのではないかと思う。

横路地

木造三階建てが多い

どの家もかなり古い

メインストリートの路地は入口から10分ほど歩いた所で終端に。そこから坂道を上り、再び筒石の町並みを見渡せる道路へ出る。まるでひとつの塊のように家々が密集した町の眺めは壮観。二階建ての家よりも三階建ての家の方が圧倒的に多いように見える。希少稀な町だと思う。

ちょっと強引に写真2枚合成

新潟県の筒石と言うと、トンネル内に駅ホームがあり、外の駅舎からホームまで300段近くの階段が続くJR筒石駅が有名らしいが、この筒石の町もかなり見応えのある場所。筒石駅を訪れた際は是非筒石の町の散策も。

鳥ヶ首岬灯台

(とりがくびみさきとうだい:新潟県上越市

階段状の形をした珍しい灯台。これまでいろんな灯台を目にしてきたが、こんなのは始めて。灯台は丘の上に建っていて、そこから鳥ヶ首岬を一望できる。なかなかいい眺め。ただどの辺が「岬」なのかよく分からない。岬と言えば陸の一部が海に突き出た地形をイメージするが、灯台から見渡す海岸線風景は特にそういう感じでもなく。心配していた天気は雲がだいぶ晴れて気温も上昇。結構暑い。

鳥ヶ首岬灯台

灯台正面

灯台から鳥ヶ首岬を一望