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自宅から第一番札所まで

 

重いリュックと山谷袋を背負い7:10自宅を出発。通勤ラッシュの地下鉄に揺られ東京駅へ行き、8:30発の新幹線に乗って岡山へ向かう。平日朝の新幹線車内はほとんどがスーツ姿のサラリーマンで、リュックと山谷袋を持った自分が妙に浮いている。前日夜遅くまで、ネットで評判の良い宿を調べていて睡眠時間が短かった事もあり、新幹線の車内ではほぼずっと寝ていた。約3時間半の新幹線乗車で11:55岡山駅に到着。少し時間が空いて、12:42発の快速マリンライナーに乗車。瀬戸大橋を渡り四国の香川県に入り、13:35高松駅に到着。

新幹線

快速マリンライナー

特急うずしお

高徳線

高松駅ホームにある立ち食いそばで昼食を済ませる。麺のコシが違う、さすがうどん県。それから14:12発の特急うずしおに乗り徳島県に入る。うずしおは2両編成のディーゼル列車で、単線を走る車窓からの景色もこれまでとは異なり、四国巡礼の地に来た実感が湧いてくる。板野駅で各駅停車1両編成の高徳線に乗り換え、四国八十八箇所第一番札所の最寄り駅である坂東駅に15:36到着。

坂東駅

東京は晴れていたのだが、徳島は生憎の空模様。小雨がパラパラと降っていて肌寒い。駅からひと気の無い住宅地を歩いて一番札所へ向かう。電車での移動中は終始イスに座れたが、自宅から8時間強の長時間移動で結構な疲労感が。

第一番札所へ向かう

 

2012年4月16日(月)  巡拝1日目  雨

参拝札所:1番

歩行距離:1.8km(第一番札所から)

出費額:¥0第一番札所から)

*準備費用に入る遍路用品と

参拝するごとに支払う納経料とお賽銭は含まず

 

第一番札所 霊山寺(りょうぜんじ) 山門

総合案内所

坂東駅から歩いて10分ほどで第一番札所の霊山寺に到着。参拝をする前に境内外にある総合案内所へ行き、金剛杖と遍路笠を購入。そして白衣を身につけ笠をかぶり、山門の前に立ち四国八十八箇所参りの第一歩を踏み出す。

金剛杖と遍路笠

遍路スタイル 前

遍路スタイル 横

白衣も遍路笠も初めて身につけるので、とても違和感がある。そして荷物が重い。この格好でこれから壮大な事を成そうとしている事に、高揚感と不安が入り混じる。

霊山寺には思っていたよりも参拝者の姿は少なく少し拍子抜け。第一番札所ということで多くの巡拝者の打ち始めの場所なので、沢山のお遍路さんで賑わっていると思っていた。遍路衣装の参拝者は3人くらいしかいなく、一般の参拝者や観光客から見て白衣と遍路笠を身につけた自分がとても目立っているようで恥ずかしい。参拝手順に従いぎこちない手つきでローソクと線香を挿し、納め札を納めてお賽銭を投げる。しかしお経を読むことは出来なかった。自分以外に読経ている人が数人いれば出来ただろうが、1人ではまわりの目が気になり恥ずかしくて出来ない。自分はこんなにも小心者だったのか… まぁ最初からは無理でも何回か参拝をしているうちに出来るようになるだろう、と前向きに考える。

霊山寺 本堂

霊山寺 大師堂

納経所で御朱印と墨書、御本尊御影をもらい(各札所の御朱印・墨書・御本尊御影は後のページに掲載)、何とか初めての参拝を終える。何だか気疲れしてしまった。そこへ遍路姿の女性2人に声をかけられ写真撮影を頼まれる。四国参りを始めて初めてお遍路さんとの会話。2人は東京から来た母娘親子で車で四国参りをしていて、この日第八十八番札所で結願をしてお礼参りで霊山寺に着いたところだった。2人が道中の出来事やアドバイスなどを話してくれて、頑張ってくださいと励まされた。何だかとても気持ちが楽になった。その後2人は本堂で小さな声で読経を始めた。それを見て次からは自分もちゃんと読経しようと思った。

 

霊山寺を出たのが16:50頃。第二番札所は霊山寺から約1.4kmと非常に近いのだがここで打ち止め。納経所の納経時間は7:00〜17:00と決まっているので(例外もあり)、17:00を過ぎてから札所へ行っても御朱印と墨書をしてもらうことが出来ない。四国参りは納経時間も考慮に入れて毎日の巡拝計画を立てなければならない。ということで就寝場所を探す事に。今日はたった1ヶ所しか参拝できなかったのにお金を出して宿に泊まるわけにはいかないっ、と何故か自分に厳しくなり(自宅から坂東駅までの移動で20,000円も使ってしまったからだと思う…)、初日でいきなり野宿を決意。地図を見て周辺で確実に野宿できそうなのは道の駅くらいしか見当たらなかったので、第二番札所へ続く遍路道から少し外れた所にある「道の駅 第九の里」へ。

道の駅 第九の里 右の建物の軒下で野宿

冷たい地べたに寝袋を敷く

道の駅の駐車場の一角に小さなテントが張られていた。屋根とベンチのあるいい場所。お遍路だろうか、人はテントの中にいるようでそこまでは分からない。道の駅に着くと雨は止んだがまだ降りそうな感じなので、他に雨をしのげる場所を探してうろうろし、道の駅の隣にある何かの施設らしき建物の軒下に寝袋を敷く事に。だだ建物の窓からは明かりがついていて誰かいるようだったので、照明が消えるまで他で時間を潰す。と言っても何もすることがなく時間をもてあそぶ。そして建物の照明が消えた19:00過ぎに寝袋を敷く。することも無いので寝袋に入って寝ようとするが、軽さを重視して選んだ寝袋は薄くて地面の冷たさを直で感じる。気温も低くあっという間に寝袋の中は冷え切ってしまい寒い。薄くてクッション性も無いので地面の上に直接寝ているような寝心地の悪さで体が痛い。それでも何とか眠ろうと試みる。しかしやはり眠れず1時間以上経つ。空腹が気になりだしたので非常食として持参してきたカロリーメイトを食べる。歩き遍路には非常食の携帯は必須。しかし夕食がカロリーメイトというのはさすがにひもじい… それから何とか眠りに着くが、22:00過ぎに寒さで目を覚ます。本当に寒い… 他にもっとマシな場所は無いかと、暗闇の道の駅をライトを照らして歩き回る。しかしいい場所は見つからない。諦め冷たく硬い寝床へ戻る。これはきっと試練なんだ、苦しい事・辛い事・理不尽な事・不公平な事…全てが四国参りの試練だと思えば、この程度の事は大して気にならないだろうと思えてきた。夜の何も無い時間も寝心地の悪さも、試練であり意味のある事だと思うことにした。