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寺の参拝

前のページで簡単に参拝手順を紹介したが、ここでもう少し詳しく説明。まず札所入口である山門の門前で合掌し一礼。境内に入ったら水屋で身を清める。右手にひしゃくを持って水をすくい左手に水をかける→ひしゃくを左手に持ち替えて右手に水をかける→ひしゃくを右手に持ち替えて左手に水を取り口をすすぐ→ひしゃくを柄を下にして傾け、残りの水をひしゃくの柄に流して清める。最初にすくった水で全ての清めを行わなくてはならないので、水は少しづつかける。水屋にはタオルが掛けられている所が多く、それで濡れた手を拭いて構わない。

山門の門前で合掌

水屋で清める

鐘を突く

鐘楼堂で鐘を突いてから本堂、大師堂の順でお参りをする。参拝後に鐘を突くことを「戻り鐘」と言い、縁起が悪いのでやらない。本堂、大師堂のお参りの仕方はどちらも同じ。まずはローソクと線香を挿す。ローソクは後の人が供えやすいように燈明立の上方の奥から挿す。すでに火の灯っている他人のローソクから火を点けると、他人の業をもらう事になるのでやらない。線香は三本、香炉の中央から挿す。納め札を納札入に納める。ほとんどの納札入は口が大きく、誰でも手を入れて中の納め札を取れるようになっている。なので納め札に住所は全て書かず、都道府県か市区町村までにするのが無難。変な輩が納め札の住所を見て何かの勧誘に来たりなどというトラブルが過去にあるらしい。個人情報漏洩注意。

燈明立にローソクを1本挿す

香炉に線香を3本挿す

納札入に納め札を納める

気持ち程度の賽銭を入れて、経本を見ながら声を出して読経。読経する項目はある程度決まっているが、読経も人それぞれ読み方は自由。一切読経しなくても間違いではない。参拝者が呼吸する時に口から出る息が経になっている、なんていう考え方もあるらしい。

本堂

大師堂

最後に納経所へ行き、納経帳に御朱印と墨書をもらい、寺の御本尊が描かれた御影(約6.5×12cmの和紙に印刷されたもの)をもらう。納経帳の納経料は300円。納経帳以外にも納経軸(掛け軸:納経料500円)や朱印用白衣(御朱印のみで納経料200円)もある。ほとんどの人は一番かさばらない納経帳だけ用意し納経してもらっているが、中には納経帳・納経軸・朱印用白衣の3つ全てを持って巡拝している人もいる。納経帳を持って八十八箇所巡拝した場合の納経料は26,400円にもなるが、納経帳は四国参りをした証明でもあり思い出の品になるので、どんなスタイルの四国参りであれ納経帳は持った方がいい。

納経所

納経所で御朱印と墨書をもらう

御本尊御影

ここまで基本的な参拝手順を紹介したが、あくまでも手本のひとつで義務ではない。ローソク・線香・賽銭はあげず経を読むだけの人、ただ手を合わせるだけの人もいる。四国参りの目的は人それぞれなので無理に型にはまる必要はない。一番大切なのはやはり「気持ち」という事。

 

遍路道の歩き方

「へんろみち保存協力会」から四国参り用の地図が出版されている。地図には遍路道になっている道に赤い線が引かれていて、どの道を歩けばいいかひと目で分かる。各札所間の距離やその途中途中の距離、遍路道周辺の休憩所や道の駅、コンビニや飲食店、宿泊施設など、あらゆる情報が載せられていて非常に便利な地図。別ページには地図上に掲載している全ての宿泊施設の住所・電話番号・前後札所からの距離まで載っている。

遍路地図 参考1

遍路地図は普通の地図と比べるとかなり特殊なつくりになっている。出来るだけページ数を抑えて重さを抑える工夫のためか、ページによって北の向きも縮尺もバラバラ。旅行計画などで日常的に地図をよく見る自分でも最初は少し戸惑ったので、地図を見るのが苦手な人には使い慣れるまで時間がかかると思われ。方角がバラバラな上に掲載しているのは遍路道の周囲のみなので、巻頭の全体図と照らし合わせないと自分が四国のどの辺りにいてどの方角へ向かっているのかも分かり難い。しかしながら、遍路歩きに必要な多くの情報を130ページでうまくまとめているのでとても助かる。ただ、掲載している宿や店の中にはすでに廃業しているものもあるので注意が必要。何年も前に潰れた店がいつまでも掲載されていたりもするらしい。

遍路地図 参考2

お遍路が道に迷わぬよう、遍路道にはさまざまな道しるべが設けられている。地図と併せてそれらの道しるべで遍路道を確認しながら歩いていけば、基本的に道に迷うことなく巡拝する事が出来る。ただ、道しるべは場所によってやたと多い所もあれば、なかなか見かけない所もある。迷う事が無いような単純な道でも道しるべを暫く見かけないと不安になる。

遍路道には「遍路小屋」と言われる休憩所が所々に設置されている。何処も木造のしっかりしたもので、トイレが併設されている所もある。遍路小屋以外にも休憩所は沢山あり、歩き遍路にはとてもありがたいもの。

四国巡礼の遍路道というと、田園風景の広がる長閑な田舎道を想像する人もいるかも知れない。もちろんそういう道もあるが、大半を占めるのは車の往来が多い国道や県道などの歩道。中には歩道と車道がガードレールや段差で分けられていなく、車が真横をかすめていくような道も多い。特にトンネルでそのような道を歩く時は気が抜けない。歩道となっているトンネルの端は排水溝がり、雨水や砂などが溜まっていたり苔が生えてぬかるんでいて滑りやすい場所もある。車の往来がある狭いトンネルは遍路道の中でも特に危険な道と言える。

車が真横をかすめる狭い歩道

歩道と車道が区切られていないトンネル

険しく足場の悪い道

山道は勾配がキツく足場の悪いところもある。慣れない重いリュックを背負っているのでそのような山道も注意が必要。山越えをする時は事前に遍路地図や宿の人などから先の道の状態を確認し、悪天候の時は足場の悪い道を歩くのは避けるようにしたほうが無難。

 

宿泊施設

遍路地図で紹介されている宿泊施設の多くは民宿や旅館などで、何処もお遍路さんを積極的に受け入れている宿泊施設なので、そういう点で安心して宿泊できる。中にはビジネスホテル等普通のホテルもあるが、問題なく宿泊できる。値段は2食付きで5,000〜6,000円の間が多い。ただ、同じ価格帯の宿でもサービスや食事には差があるので、事前にネットで評判のいい宿を調べて地図にチェックしておいた方がいい。中には従業員の愛想が悪い、部屋が汚い、食事がマズイ…等かなり悪評な宿もあるので注意。宿泊費を安く済ませたいのであれば、ドミトリー(一部屋に二段ベッドがいくつかある)タイプの素泊まり宿もある。ドミトリーなら2,500円前後で宿泊できる。一般の宿泊施設の他に、札所や番外札所の寺にある「宿坊」という宿泊施設もある。2食付きで5,000円程度。宿坊の多くは、夕食後や起床後に経を唱えたり法話を聞いたりする「お勤め」がある。

一般的な旅館や民宿

ドミトリーのゲストハウス

四国にはお遍路のために無料で宿を提供している「通夜堂」や「善根宿」というものもある。通夜堂は寺の境内にある施設で、札所以外の寺でもお遍路のために通夜堂を提供している場所がいくつもある。善根宿は、民宿のような場所や一般家庭の住居の一部、道路脇にぽつんと建つ小屋などいろいろ。これらの無料宿泊所には畳や布団が供えられている場所が多く、寝袋等の寝具がなくても横になって寝ることが出来る。場所によっては無料で食事まで提供してくれるところもある。また、休憩所で畳が敷かれているなどして仮眠できる場所もある。

お遍路用の無料宿

畳が敷かれ仮眠ができる休憩所