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2012年4月25日(水)  巡拝10日目  晴のち曇のち雨

参拝札所:24・25・26番

歩行距離:37.0km

合計距離:277.1km

出費額:¥7,122

合計額:¥61,357

 

6:00起床。妙に鼻の調子が悪く、鼻水とくしゃみが出る。まさか風邪でも引いたのかと心配になる。四国参り中の体調不良だけは避けたい。体調不良で歩けず宿に連泊し、寝込むような事になったら時間もお金も無駄に浪費してしまうし、雨でも足が痛くても毎日歩き続けてきた努力も無駄になってしまうような気がする。体調管理はしっかりしないといけない。長いこと悩まされ続けた右足裏のマメはだいぶ回復したが、今度は昨日からでき始めた左足裏のマメが痛い。そして右足首の痛みは未だ良くなる兆しもなく、このままずっと治らないのではないかと不安になる。

朝食

頂いたスプーン

食後におかみさんが、手彫りの花模様が入った木のスプーンをくれた。和生地のケース付き。確か食堂に販売品として陳列されていた気がしたけど頂いてしまっていいのだろうかと、スプーンに付いている値札を見ると2,000円!!朝夕食事代込みの宿泊代が6,000円と安いのに、こんなにいいものをタダで頂くのはかなり恐縮だが、せっかくのご好意(お接待?)なのでありがたく頂いた。良い四国遍路の土産ができた。

 

室戸青年大師像

御厨人窟

水掛地蔵

7:15宿を出発。室戸岬へ向けて国道55号線を南へ向けて歩く。宿から20分ほど歩いたところで昨日のようにまた、見覚えのある風景が次々と現れる。室戸青年大師像、御厨人窟、水掛地蔵。どれも2年前の四国一周の旅で立ち寄った。全て遍路道沿いにあるので、歩きながら写真を撮って通り過ぎていく。

あと少しで第二十四番札所

さらにもう少し歩けば室戸岬突端にある中岡慎太郎像に辿り着く…と思ったら遍路道は国道を外れ、室戸岬灯台がある丘の上へ続く上り道へ入る。案内板には徒歩20分と書かれてあるので大した事ないと思ったら大間違いだった。勾配のきつい上り道が延々と続く。しんどい、暑い… 朝一からクタクタになってしまった。

札所直前できつい上り道

 

第二十四番札所 最御崎寺(ほつみさきじ) 山門

最御崎寺 境内

8:10第二十四番札所最御崎寺に到着。巡拝7日目に薬王寺を参拝して以来3日振りの札所参拝。札所間75kmというのは本当に長かった。しかも暑かった。ちなみに札所間の距離が最も長いのは、三十七番〜三十八番札所で約82km。二十三番〜二十四番札所が次いで二番目。まだこれよりも長い札所間があるのかと思うと少し気が重くなる。

最御崎寺 本堂

最御崎寺 大師堂

御朱印の判と隅書のスズリ

参拝の最後に納経所で御朱印と隅書をしてもらい、納経料300円を払おうと財布を開くと、300円分の小銭も千円札も無く、仕方なく1万円札を差し出す。が、朝一で千円札が無くお釣りを出せないとの事でサービスしてくれる事に。申し訳ないので財布にあるだけの小銭百数十円を渡す。さらに賽銭用に溜めてある10円玉を出そうとしたが遠慮された。参拝前には極力300円を、最低でも千円札は用意しておかなければいけない。

納経中

朝一から山登りみたいなことをして疲れたので境内で暫く休憩。喉が渇いたので冷たい飲み物を飲もうと自販機の前に立つが、小銭も千円札も無いことに気付き肩を落とす。仕方なく賽銭用の10円玉で購入。やはり小銭は常に持ち合わせておく必要があると痛感。もしも昨日のような猛暑の中やっと見つけた自販機で、万札しか無く飲み物が買えなかったらと考えるとゾッとする。 

休憩後に室戸岬灯台へ立ち寄る。室戸岬灯台も一度訪れているが、最御崎寺から歩いて直ぐなのでついでに。灯台とその後ろに広がる海原を眺めると、室戸岬まで来たのだという達成感も湧いてくる。

室戸岬灯台

 

最御崎寺のある丘からの眺め

空には薄雲が広がり、日差しは昨日ほど厳しくなく割と過ごしやすいコンディションなのだが、どうも体が疲れていて気力が湧かない。おまけに右足首の痛みが酷く、これ以上負担をかけるのは本当にヤバイと思うほど。足首への負担を最小限にすることを最優先にして、ペースを落として歩く。幸い次の札所までは海岸沿いの平坦な道のりで、距離も6.5kmと近いので助かった。がしかし…

 

第二十五番札所 津照寺 山門

第二十五番札所津照寺の山門をくぐった先には長い石段。大師堂は山門をくぐったすぐ先にあるのだが、本堂は石段を上った先。段数は125段とそれほどでもないが、頭をもたげるほどの急勾配で上るのは結構しんどい。もう本当にうんざり。階段の途中には鐘楼門が建っているが、気に留める余裕も無い。息を切らして上ってやっと辿り着いた本堂は少々味気ない建物で、苦労して辿り着いた達成感半減。

まさかの境内に急な階段

本堂でお参りを済ませ、急な階段を下りて大師堂へ。どうして本堂だけ丘の上に置いて大師堂は下なんだと、心の中で愚痴りながら階段を下りていく。急な階段からは海沿いの町を見下ろせるいい眺め。階段を上るときは後ろを振り返り景色を眺める余裕も無かった。大師堂で荷物を全て下ろしてベンチに座り暫く休憩。

津照寺(しんしょうじ) 本堂

鐘楼門から見下ろす

津照寺 大師堂

 

立派な鯉のぼりをあちこちで見かける

人通りの無い通り

津照寺から次の札所までは約3.8kmと、1時間程度で行ける距離。札所間がこれくらいだと気分的にもとても楽でいい。…が、札所の手前でまたもや険しい上り道。朝から上って下りてを繰り返している。疲れるし足もかなり痛いし、山登りはもう勘弁して… どうしてわざわざ不便な高いところに札所をつくるのだろう、などと心の中で文句を垂れながら上っていく。文句や愚痴を垂れているようではお遍路としてまだまだ未熟なのは分かっている。しかし元が未熟極まる人間なので、巡拝10日目くらいでは成長できるはずもない事も分かっている。

上りは本当に勘弁…

海岸沿いの道からここまで登る

 

第二十六番札所の金剛頂寺に12:00到着。体がダルイし足首は痛いし、おまけにいつも以上に荷物が重く感じ肩も痛い。気持ちの張りも失い精神的にも辛い。朝起きた時に鼻の調子が悪かったし、本当に体調を崩しているのではないかと思ったが、病は気からとも言うのであまり気にしないように努める。しかし十分な休憩を取るもリュックを背負うとやたら重く感じて体もだるく、歩く気力が出てこない。どうも体力的なものより精神的な部分で疲れているような気がする。重い荷物を背負って暑い日も雨の日も毎日毎日歩き続ける事は、体力的にだけでなく精神的にも多大な疲労をもたらすのだと実感。

第二十六番札所 金剛頂寺(こんごうちょうじ) 山門

金剛頂寺 本堂

金剛頂寺 大師堂

金剛頂寺の宿坊は食事が豪華で素晴らしい、非常に待遇がいいと話を方々で耳にし、宿泊する事を勧められていたので、タイミングが良ければ宿泊してみたいと思っていた。しかし数日前からの遍路歩き計画で、金剛頂寺を参拝するのは巡拝10日目の昼前後になると予測がついていたので、宿坊に宿泊する事は途中から諦めていた。しかし金剛頂寺に着いた時点で体力的にも精神的にも疲れてしまったので、このまま金剛頂寺で打ち止めして宿坊に泊まろうかと少し考える。でもやはりここで自分に甘えてはこの先も同じ事を繰り返すと思い、弱音を振り払い金剛頂寺を後にする。自分にとって四国遍路は精神修行でもあるのだから、甘えや弱音を許してはいけない。

 

山を下りて国道へ

延々と続く国道

疲れていようが気力が無かろうが歩くしかない。金剛頂寺から山を下りて海沿いの国道55号線に出る。そこから20kmほど遍路道は国道に沿って続く。海沿いの国道55号と言えば、昨日厳しい日差しに苦しめられた道なので一瞬たじろいだが、昼から完全な曇り空になり日差しは遮られ、炎天下を歩くことにはならずに済んだ。快晴ならば海岸線の眺めがいいだろうが、心身のコンディション的に景色よりも体に負担を掛けない事の方が大事。曇り空で本当に助かった。

曇りで空も海も薄灰色

ここも2年前に立ち寄った

国道を1時間半ほど歩いたところで、「吉良川の町並み」と書かれた案内板に目が留まる。ここも2年前の車中泊旅行で立ち寄った場所。国の重要伝統的建造物群保存地区で、国道から一歩入ったところに古い家々が並ぶ細い通りがある。もちろんここも素通り。一度も訪れたことの無い観光地なら立ち寄らないと損な気持ちにもなるが、一度訪れている場所なら気に掛ける必要も無いので気が楽。時間と体力・精神力に余裕のあるお遍路の中には、度々遍路道を外れて観光地をまわる人もいるだろう。自分にはそこまでの余裕はない。

相変わらず国道55号には店など滅多に無く、たまに見つけても閉店している店ばかり。空腹状態で暫く歩き続けやっと営業している店を見つけラーメンを注文。店構えからして何となく予想はしていたがあまり美味くない。まぁ飯が食えるだけでもありがたいと思おう。しかし食事をした店のすぐ先に美味そうなうどん屋があり損した気分になる。。それからさらに国道を歩き続け18:00をまわり、あともう少しで予約した宿に着くだろうという頃にポツポツと雨が降り始める。何とか本降りになる前に宿に着こうとペースを上げるが、足の痛みと荷物の重みで疲労困憊。前日に宿を予約した時に距離計算を10kmほど誤り、前日に宿泊した宿から37kmも先の宿を予約したのがいけなかった。

宿まであと少し…

 

フラフラになりながらも18:30に宿に到着。しかし出てきた主人の様子がおかしい。話を聞くと、自分と同じ苗字の別の宿泊客が先に宿に着いていて、その客と自分が同一人物だと勘違いしていた。先に到着した客と自分の宿泊予約の電話を受けたのが別々の人で、そこで手違いが起きて自分の苗字の宿泊客は1人だと勘違いしていたらしい。なので後から宿に着いた自分の夕食は用意されていなかった。それを聞いて余計に疲れがどっと出た。もうホントに勘弁して…

旅館民宿 浜吉屋

宿泊する部屋

食事が出せないので買いに行くしかないという事になり、一息入れる間もなく宿の主人が運転する車に乗りスーパーへ向かう。遍路中は一切車に乗らないと決めていたが、これは例外としていいだろう… クタクタになりながら歩いてきた国道を車でグングン引き返して行くのは何ともいたたまれない気分。5kmほど戻ったところにあるスーパーで適当に弁当やお菓子を買って宿に戻り、19:00過ぎにやっと食事。

スーパーで買った夕食

食後のデザート

特に肩の痛みが辛かったので、リュックに問題があるのではないかと確認してみると、左肩のベルトがだいぶ緩んで長くなっていた。どうやらそれが肩の痛みの原因らしい。商品の個体差で左が緩み易いのかもしれない。左右のベルトの長さをぴったり揃えて、さらにリュックを背負った時に最もしっくり来るように調節する。

浴場の脱衣所に体重計があったので乗ってみると63kg。毎日数十キロ歩いて汗もたくさんかいているので、四国参りを始める前よりも数キロ体重が減っていると思ったが、意外な事に1kgしか減っていなかった。宿に宿泊する時は朝夕しっかり食事をしているからだろうか。入浴後に洗濯機を回して乾燥まで終ったのが22:30。いろいろと疲れた1日だった。雨は本降りになっていた。翌朝までには止んで日が差さない程度の曇りになることを期待して就寝。