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2012年4月27日(金)  巡拝12日目  晴

参拝札所:28・29・30番

歩行距離:31.7km

合計距離:341.0km

出費額:¥4,291

合計額:¥74,722

 

6:00起床。足の具合を確認してみると、マメは回復傾向にあり良い感じ。問題の右足首も前日よりは少し痛みが和らいだ様子。しかし、今日も1日中歩き続けるのかと考えると気が重い。たまには1日中ごろごろと過ごしてみたい。お遍路を始めて10日を過ぎているのだから、たまには骨休めをしても許されるのではないかと、また甘い考えが頭をよぎる。しかしやはり、1度甘えを許すと2度3度と繰り返しそうなので良くない。朝食を済ませ、テキパキと荷造りをして7:15出発。

朝食

 

身構える猫!

サイクリングコース

快晴で青々とした海と空

朝から快晴で強い日差し。西に向かって歩いているので、午前中は日差しが後ろからなのがせめてもの救い。湿度は低いようでカラッとしていてあまり汗は出ない。昨日に引き続き、国道より一歩海岸側に入ったサイクリングコースを歩いていく。自転車も人通りもほとんど無く静かで、木々がつくる日陰もあるので歩き易い。

線路の高架橋下を歩く

静かな住宅地を歩く

暫くしてサイクリングコースは終わり、国道55号線に出る。強い日差しと通勤渋滞の熱気で暑いので、国道に沿って続く線路の高架下を歩く。日向と日陰では体への負担が全く違う。遍路地図に記されている遍路道は、国道を挟んで高架橋とは反対側の細道になっているが、出来るだけ日陰を歩いていたかったので、高架橋が遍路道とは違う方向に分かれるまで高架下を歩く。ここは体力温存を優先。

高架橋を離れてからは、静かな住宅地の中を歩いたり、また国道を歩いたり、車の通りが少ない県道を歩いたり。そして札所まであと少しというところで、小高い丘の上に建つ西洋の古城のような建物が目に留まる。あれはいったい何の建物なのだろう、古城に見立てた美術館か何かだろうか。普段の車旅だったらサッと行って確かめてみるところだが、お遍路中なのでそれは出来ない。気になったまま見過ごすのはスッキリしない…

もうすぐこどもの日

ヨーロッパの古城風の建物が…

 

10:00に第二十八番札所の大日寺に到着。昨日ほどではないが体がダルイ。足の痛みも昨日ほど辛くは無いが、肩は随分と疲れている。リュックのベルトを確認するが左右の長さは合っているし調節も適切になっている。毎日歩いていれば次第に荷物の重さに慣れて肩の疲労も気にならなくなると聞いていたが、遍路を始めて10日程度ではまだ慣れないようだ。

第二十八番札所 大日寺(だいにちじ) 山門

大日寺 本堂

大日寺 大師堂

 

遍路道らしい道

いろんな道しるべがある

巡拝7日目に参拝した第二十三番札所薬王寺から長らく歩いてきた国道55号線からようやく外れ、長閑な風景が広がる農道を主に歩いていく。やはり車の通りが多い国道や県道よりも、昔ながらの住宅地や農道などの田舎道を歩いた方が四国参りの雰囲気が出ていい。

遍路小屋で休憩

のどかな田園風景

大日寺辺りからお腹が空き始め、空腹感はどんどん増して行き歩く気力は薄れていく。日差しの強さも増して喉が渇く。農道の遍路道には食事ができる店も自販機も無い。歩くペースが落ちて本当に疲れてきたところで遍路小屋を見つけ休憩。それから農道を抜けて2kmほど歩いてまた休憩。日陰の地べたに座り込む。激しい空腹で足がフラフラで本当に歩くのがしんどい。あと2km強歩けば着く札所がとてつもなく遠く感じる。とにかく腹に食べ物を入れたい、そしてキンキンに冷えたかき氷でも食べたい、それしか頭に無い。

再び歩き始めて直ぐに飲食店を発見。お好み焼屋だが店の選り好みなどしていられないので入店。できれば米が食べたいと思っていたのでカレーライスを注文。そしてメニューにはタイミング良くかき氷もあったので、食後に注文。かき氷は200円と安いが量は多く、食べきるのに少し苦労した。ともあれ、カレーとかき氷ですっかり生き返った。体力勝負の歩き遍路は、食事と水分はしっかりとらないとダメ。

無難にカレーライス

やっと見つけたかき氷

 

第二十九番札所 国分寺(こくぶんじ) 山門

良い雰囲気の参道

鐘は撞けない

第二十九番札所の国分寺に13:20到着。国分寺では参拝で鐘を撞けない事になっていた。これまで参拝してきた札所では初めて…かどうかは分からない。四国参りを始めて最初のうちは、出来るだけ形式どおりの参拝手順でやろうと努めていたが、この辺りになるとだいぶ自己流の参拝(つまり適当)になって来た。形式的な参拝手順はあくまでもお手本であって、必ずその通りにやる必要は無いとされているし。宗教心の無い自分が無理に形式的に参拝をしても意味は無い。四国参りをする目的、気持ちがしっかりしている事の方が大切なのだ、と思う。半分言い訳。

国分寺 本堂

国分寺 大師堂

 

国分寺を後にし、田んぼの中の農道を歩き出して直ぐに、逆打ちをする若い男性2人と女性1人の3人組と出会う。少し会話を交わし別れ際に女性からあめ玉2つもらう。こういうお遍路同士のちょっとした触れ合いが元気を与えてくれる。単独で四国参りをしていても、多くの同士や地元の人達に支えられているのだと強く感じる。

国分寺から続く農道

すれ違った3人

農道を抜けて細道を歩いていると、自転車から降りてじっと立っているおじさんに目が留まる。何も無いところでいったい何をしているのだろうと怪訝に思いつつ、おじさんの前まで来ると声を掛けられる。1本飲んで行きなと、チオビタドリンクを渡される。自転車の後ろのカゴには栄養ドリンクが沢山入った箱が2箱、前のカゴはクズカゴとして空の瓶が数本転がっている。そして、他に後から誰か来るか、と聞かれる。何とおじさんは、歩き遍路に栄養ドリンクのお接待をするためにお遍路をじっと待っていた。話を聞くと、時々国分寺周辺の遍路道で2、3時間お遍路を待ってお接待しているとの事。箱買いの栄養ドリンクは勿論自腹。おじさんのお接待精神に感激してしまった。四国には本当に、お遍路とお遍路の文化を大切にしている人が多いのだなと思う。そしてお接待という風習の素晴らしさ、お接待が今もなお受け継がれている素晴らしさに改めて心を打たれる。

午後から日差しが一層厳しくなり汗だくになる。暑さで体力が奪われ休憩も増える。そんな時に屋根とベンチのある遍路小屋があると助かる。疲れてはいるが、暫く野宿をしていないので今日はしようかと考える。想定外の寝心地の悪さと寒さに敬遠していたが、そろそろ野宿しようと。せっかく寝袋を持ってきているのに、最初の2日間しか使っていない。宿泊費の節約だけでなく、人生経験のためにも遍路中に最低5回は野宿をしたいと考えていた。ただ、かなり汗をかいたので最低限入浴はしたい。

遍路小屋

 

第三十番札所 善楽寺(ぜんらくじ) 本堂

善楽寺 大師堂

15:30に第三十番札所の善楽寺に到着。遍路地図に従って歩いてきたのに山門を通らずに境内に入る。辺りを見回しても山門らしいものは見当たらない。もしかしたら善楽寺には山門が無いのではと思ったが、参拝と休憩を済ませ、遍路地図に従い長い参道を歩いた先に山門があった。本来は山門から入るのが正しい参拝方法なのだが、遍路地図の道順がそうなっていないのは珍しい。善楽寺の場合は山門から入るとなると、本堂と大師堂まで行くのにかなり遠回りしなければいけなくなるからだろうか。

えらく長い参道

善楽寺 山門

 

見かけない自販機

味が気になる

第三十一番札所に納経所が閉まる17:00前までに着くのは無理なので、札所の手前にある街で入浴施設を探して入浴し、それから野宿する場所を探す事に。疲れた足取りでトボトボ歩いていると、色使いが目立つ見たことの無い自販機を発見。側面に大きく「ウィスパー」と書かれてある。そして販売されている飲み物の中にも「ウィスパー」という炭酸飲料がある。西日本限定、それとも四国限定だろうか。色使いと名前に胡散臭さを感じるが味が気になる。試しに飲んでみようか迷ったが、口に合わなかったら余計に疲れるので止めておく。後日また見掛ける事があったら飲んでみようよと思ったが、この先「ウィスパー」を目にする事は無かった。

17:00をまわり空腹が辛くなってきたとことで、ラーメン屋とうどん屋が並んであったので、ラーメン屋に入店。四国ではうどん屋は何処にでもある感じで、ラーメン屋はそれほど見掛けない気がする。何処にでもラーメン屋がある東京とは逆のようだ。ラーメンのメニューとしては珍しい、トマトが入ったラーメンを注文。トマト大好物。

トマトラーメン

土佐電鉄後免線

街へ入り、路面電車の線路を渡り、入浴施設など店がありそうな国道へ向かう。その途中、翌日の宿を予約しようと道の隅で遍路地図を見ていたところ、自転車に乗ったおじいさんに声を掛けられる。どうやら道に迷ったと思われたようで、次の札所までの道のりの説明が始まる。これがとても長いのだが、せっかくのご好意なので最後までありがたく聞く。そして別れ際に胸ポケットから出したあめ玉2つを渡される。部屋の整理をしていたら出てきたからあげる、と。気持ちはありがたいが、いつのものか分からないし包みはくしゃくしゃだしで、口に入れるのはためらわれる…気持ちだけいただこう

予定では翌日は35km前後歩く事になりそうで疲れるだろうし、翌々日朝一に参拝する予定の第三十五番札所の側の宿に泊まりたかったので、珍しく前日からの予約。第三十五番札所の近くには三軒しか遍路宿は無く、評判が良さそうなのはそのうちの二軒。最初に電話した一軒目は予約で満室。少し焦って二軒目に電話をするが通話中でなかなか繋がらない。何度か掛けなおしてやっと繋がり、何とか部屋を取る事ができて一安心。

 

国道に出て、入浴施設の場所を尋ねに交番へ行くが不在。通行人や通りに並ぶ店の店員に尋ねると、一番最寄の入浴施設で3kmほど離れていると分かり、仕方なく入浴は諦める。汗をかいたのでスッキリしたいが、入浴のために遍路道から外れて片道3kmも歩く気力は残っていない。目の前にネットカフェがあったので入店してみるが、シャワールームは完備されていなかった。しかし、評判のいい宿やその他の情報をネットで調べたいと思っていたので、野宿は止めてネットカフェのナイトパックを利用する事に。お遍路がネットカフェで一夜を過ごすのは店員に嫌がられるのではないかとも思ったが、遍路道の側あるネットカフェなのでお遍路の利用が日常的にあるのだろうか、受付の人は非常に対応がよく親切にしてくれた。18:30頃からネットでいろいろ調べていたらあっという間に時間は過ぎて、22:30就寝。

ネットカフェの個室で就寝