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2012年4月28日(土)  巡拝13日目  晴

参拝札所:31・32・33・34・35番

歩行距離:36.3km

合計距離:377.3km

出費額:¥7,756

合計額:¥82,478

ネットカフェを利用し座敷タイプの個室で横になって寝たのだが、思ったほど眠れなかった。宿の布団の寝心地にすっかり慣れてしまったらしい。再度寝袋で野宿しようという意気込みも弱くなる… 6:00にネットカフェを出発。山を登り植物園の中を通って、約2km先の札所へ。

日の出から間もない

山を登る

 

6:50に第三十一番札所竹林寺に到着。本堂・大師堂と参拝して納経所へ行くと、6人ほど納経待ちのお遍路さんが並んで待っていた。7:00を過ぎているのに納経所の窓口は閉まったまま。窓口に呼び出しブザーがあるので押してもなかなか来ず、納経待ちのお遍路さんの列ができてしまう。暫くしてやっと納経書きが来たが、遅れてきたにも関わらずやたら無愛想。こちらが納経料を払ってもお礼を言っても目も合わせず無言…お遍路さん達は皆苦い顔をしていた。お遍路に対して態度の悪い寺(特に納経書き)が多いと方々で耳にはしていたが、これは酷い。納経と言っても、結局は人から金を取る商売なんだし、納経書きを雇う住職は接客作法くらい教育するべきだと思う。

第三十一番札所 竹林寺(ちくりんじ) 山門

竹林寺 本堂

竹林寺 五重塔

竹林寺 大師堂

 

川沿いを歩く

竹林寺のある山を下りて、暫く平坦な道を歩いて、そして次の札所も山の上で山登り。四国八十八箇所の遍路道というのは、思っていた以上に山道が多い。この登って下りての繰り返しが結構しんどい。

札所へ続く山道

 

竹林寺から1時間半ほど歩いて第三十二番札所の禅師峰寺に到着。淡々と札所まで歩いて、淡々と参拝を済ませ、少し休憩をして次の札所へ向かう。そんな繰り返しに少し飽き始める。

第三十二番札所 禅師峰寺(ぜんじぶじ) 山門

禅師峰寺 本堂

禅師峰寺 大師堂

 

禅師峰寺から次の札所へ行くには浦戸湾を渡る必要があり、渡し舟に乗って行くルートと橋を渡って行くルートの2ルートある。橋を渡るルートだと結構遠回りになってしまうのだが、今回の四国参りは乗り物には一切乗らず自分の足だけで八十八箇所まわり切ると決めていたので、遠回りでも橋を渡ろうと考えていた。しかしよくよく考えてみると、昔は橋など無く渡し舟で渡っていたはずなので、昔ながらのルートで考えれば渡し舟を利用するのが正しい事になる。なのでやっぱり楽な渡し舟に乗ろうと船着場へ向かうが、遍路道の道しるべを全く見かけず途中で道に迷う。

遍路地図には載っていないコンビニがあったので店員に道を尋ね、地図で自分がいる場所を確認。船の発着本数も尋ねると、1時間に1便程度しかないと聞き、再び迷う。タイミング悪く船着場で1時間近く待たされるなら橋を渡った方がいいのではないのか。おそらく1時間待たされたとしても、渡し舟を利用したほうが橋を渡るより早く次の札所に着くだろうし、体力的にも全然楽に違いない。しかし船をじっと待っているよりは橋を渡りたい気分だったので、結局最初の考え通り橋を渡る事に。

浦戸大橋を渡る

浦戸大橋から北を眺める

浦戸大橋の下を通過する船

浦戸大橋という全長1480mある大きな橋は、橋の中心までずっと上り道。また上り道…しかも歩道は狭く、真横を対向車が飛ばして次々と横切っていくので怖い。やはり船を待った方がよかったかと後悔しかけたが、橋の上からの眺めが非常によく風が出ていて気持ちいいので、橋を渡って正解だった事にする。

浦戸大橋から西を眺める

浦戸大橋から東を眺める

漁港から眺める浦戸大橋

浦戸大橋を渡ってからも遍路道の道しるべが全く無く、裏道のような道で目印にするものも無く、人通りも全く無くお遍路の姿も無く、不安になりながらも遍路地図を頼りに歩く。今まで当たり前のように目にしてきた道しるべが、いかに便利でありがたいかを実感。分かりやすい道なのに道しるべがしつこいくらい沢山ある場所もあれば、迷いやすい道でも滅多に見掛けない場所もある。この差はなんだろう。お遍路に理解のある地域の方が道しるべが多い、という関係があったりするのだろうか。

 

道に迷いながらも第三十三番札所雪渓寺に12:15到着。雪渓寺の山門には木造の門は無く、両隅に石柱が建っているだけ。こういう山門は第十四番札所の常楽寺以来2箇所目。門を設置しないのには何か意味があるのだろうか。

缶ジュースが沢山入った袋をぶら下げてお遍路に配っている人が境内にいたので、自分の所にもまわって来るのを期待したが、自分の存在に気づく事は無く寺を出て行ってしまった。お接待を期待してはいけない。。

第三十三番札所 雪渓寺(せっけいじ) 山門

雪渓寺 本堂

雪渓寺 大師堂

ジッパー付きのビニール袋

納経所で納経をしてもらう時に、雨に濡れて歪んで染みのついた納経帳を見た納経書きが、「これはいい納経帳ねぇ、この染みは自分の足で四国参りした勲章のようなもの、汚れの無い綺麗な納経帳よりもずっと価値があるものなのよ」と褒めてくれた。そしてこれ以上濡れないようにと、ジッパー付きのビニール袋をくれた。ちょうど遍路地図も入るサイズで、この先雨の日でも紙物を濡らさずに済むので本当に助かる。これまでの巡拝でいいかげんな納経書きを何人か見てきたが、お遍路の事をちゃんと見て気遣ってくれる人もいるのだなと、少しホッとした。

 

雪渓寺から約6.3km先の次の札所まで、静かで人通りの無い農道や住宅地を歩く。それにしても本当に人の姿が無い。住宅が並ぶ通りを歩いても人の気配が無く、本当にここで人が生活しているのか疑問に思うほど。お腹が空いても当然店は無いので我慢。非常食としてカロリーメイトとウィダーインゼリーは常備しているが、味気ない栄養補助食品では空腹は抑えられても気分的に満足できない。

 

第三十四番札所 種間寺(たねまじ) 山門

種間寺 本堂

第三十四番札所の種間寺に13:50到着。一つ前の札所の雪渓寺に続いて、種間寺にも山門には木造の門が無い。とにかくお腹が空いたので、参拝後に種間寺前にある売店で菓子パンとジュースを買って空腹を満たす。そして山門手前の露店でアイスも購入。暑くて汗をかいて疲れたときに食べるアイスは格別においしい。朝から天気が良くとにかく暑い。白衣の袖から出た腕は日焼けが進行。

種間寺 大師堂

誘惑に勝てない

ゆず味

 

種間寺を出て少し歩いたところで、後ろから追い上げてきた体つきが良く健脚そうな中年男性のお遍路さんに声を掛けられ、会話をしながら一緒に歩く。仕事の休日を利用して関西から区切り打ちで四国参りをしている人で、自分は通し打ちで四国参りをしている事を話すと大層羨ましがられた。仕事等の関係で休日にだけ四国を訪れ、四国参りを何回にも分けて区切り打ちで巡拝する社会人遍路も多くいる。区切り打ちの場合、その都度前回進んだ所まで交通機関を利用して戻らないといけないので、お金も手間もかなり掛かり本当に大変だ。

自分が立てた計画では、次の第三十五番札所に納経所が閉まる17:00までには間に合わないと思い、札所から約3kmほど手前の宿を予約していた。種間寺を出た時点では予想通り次の札所には間に合わないと思ったが、関西の人が今のペースで歩き続ければ間に合うと言うので、札所までその人に付いて行く事にした。関西の人は歩くペースが自分よりも少し早く、後れを取らないよう気合を入れて歩く。1人で歩いていたら疲れた足取りでとろとろ歩いていたかも知れないが、先頭に立って引っ張ってくれる人がいると、意外とそのペースに合わせて歩いていける。毎日毎日歩く四国遍路の歩き疲れには精神的なものも大きい。そういう時は1人よりも同じ目的を持った人と一緒に行動したほうが、意識も高まり力も出てくる。

 

第三十五番札所 清滝寺(きよたきじ) 山門

清滝寺 境内

最後の最後で山登り。疲れて喉も渇いてクタクタだが、納経所は17:00より早く閉まる可能性もあり、ここまで来て納経に間に合わず翌日また同じ道を歩くハメになるのは避けたいので、無我夢中で足を動かす。関西の人は上りが苦手らしくペースが落ちたので先に行かせてもらい、休まず一気に急勾配の坂道を上り、それから石段を上り、山門をくぐってまだ石段を上り…息を切らして第三十五番札所清滝寺に16:25到着。無事納経を済ませることができた。関西の人も少し遅れて到着し、納経に間に合い一安心。

清滝寺 本堂

清滝寺 大師堂

境内からの眺め

ラストスパートの山登りでどっと疲れたが、計画では翌日朝一で参拝する予定だった清滝寺まで進んだので、気分的には余裕ができた。関西の人とは清滝寺で別れ、約3km先の宿へ向かう。疲労と空腹で完全な電池切れ状態で、足取りはフラフラ。それにしても毎日よく歩くもんだと、自分に感心してしまう。

 

白石屋旅館

宿泊する部屋

17:40宿に到着。本当にクタクタだが、夕食後に食べるお菓子と飲み物がどうしても欲しかったので、荷物を宿に置いて最寄のコンビニへ。買い物から戻ったらすぐに入浴。自分の後に入浴する客がいるのでゆっくり湯に浸かることもできず慌ただしく体を洗い、入浴後にやっと一息つくことができる。足のコンディションを確認すると、マメは完全に固まり痛みは無く、長らく苦しめられた右足首の痛みもだいぶ和らいだ。一時は、足首に後遺症が残るのではないかというほどに辛い傷みがあったが、それも回復して治りつつある。人間の体というのは意外と無理が利くものなのだなと思った。足の方はいいとして、今度は日焼けが気になり始めた。結構派手に日焼けしていて、両腕と首周りだけ別人のように赤黒い。入浴時に熱い湯が沁みた。しかし白衣の下に長袖のシャツを着るのは暑くてたまらない。まぁ、日焼けもそのうち慣れるだろうとあまり気にしない事にした。

19:00から夕食。宿にはお遍路以外に家族連れもいて、お遍路と家族連れは別々の部屋で食事。で、お遍路は自分以外に2人いたが、どちらも話しかけにくい雰囲気が漂う中高年の男性で、軽く挨拶した以外食事中全く会話が無いままご馳走様。何だか重い空気で気疲れしてしまった。一言でお遍路と言ってもいろいろな人がいる。笑顔で挨拶を交わして気軽に会話ができる人もいれば、こちらから声を掛けても反応の無い人、明らかに話しかけて欲しくないオーラを醸し出している人もいる。お遍路にもいろんなタイプの人がいて、いろんな目的があって、いろんなものを背負って四国参りをしているので、どうこう文句をつけることはできない。

夕食

食後に洗濯物を抱えて洗濯場へ行くが、洗濯機が二層式で使い方が分からない。すると洗濯場にいた従業員のおばちゃんが洗濯機を回してくれた。未だに二層式洗濯機が使われている事に少し驚き。入浴・食事・洗濯と、一通り済ませた後は部屋でごろごろとテレビを見ながらお菓子を食べて、23:00過ぎ就寝。