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2012年5月2日(水)  巡拝17日目  雨のち曇

参拝札所:38番

歩行距離:46.0km

合計距離:553.2km

出費額:¥5,011

合計額:¥109,556

6:00起床。外は相変わらずの雨。6:30からの朝食まで、昨日の雨で濡れて乾かしていた荷物を片付け荷造り。朝食の時にお接待で焼きおにぎりのお弁当をもらう。朝食後、今日は何処まで歩いて何処で寝るかを考える。昨日宿に着いた後に、何軒か宿に予約の電話をしてみたが何処も満室だった。民宿いさびりでもう1泊できないか聞いてもみたが満室との事。やはりGWは宿を取りにくい。野宿という手段もあるが、夜になっても雨が止まないと厳しい。しかし宿が取れない以上、行き当たりばったりでとにかく進むしかない

朝食

お接待のおにぎり

山谷袋をレインウェアの中に

これから向かう第三十八番札所は高知県の足摺半島の突端にあり、その次の第三十九番札所までは複数のルートがある。大きく分けると半島を一周するコースと、第三十八番札所から20km以上打戻りするコース。さらにどちらのコースにも複数のルートがあり複雑で、どのルートが一番近くて身体への負荷が少ないか地図を見ただけでは分からない。幸い、複数回四国参りの経験があり遍路道に詳しいお遍路さんや地元の人から、三十八番から三十九番まではどの遍路道がお勧めかを聞いていたので、一番歩き易い打戻りをするルートを選択。打戻りのルートは民宿いさびりより手前まで戻るので、重いリュックは宿に置かせてもらい、山谷袋だけを持って第三十八番札所へ向かう。山谷袋は一応防水仕様となっているが、雨の日は毎回中の荷物が濡れていたので、レインウェアを山谷袋の上から着て完全に隠す。山谷袋の中の物を取り出すのは少々面倒だが、これなら長時間雨に降られても荷物が濡れる事は無い。最初からこうしていればよかった。

 

3日続けて雨…

景色は楽しめない

7:40に宿を出る。雨はさほど強くなく、重いリュックも無いので足取りは軽い。宿から第三十八番札所までは約20km。リュックが無ければ20kmくらい大した事はないなと、四国参り中盤まで来て距離感覚がだいぶ麻痺している事に気付く。普段の生活では10kmでも歩きで移動するなんて考えられない事。

第三十八番札所の手前約10〜20kmの間には遍路宿が10軒ほどあり、打戻りのコースで遍路道を往復するお遍路さんが多いので、雨にも関わらず頻繁にお遍路さんの姿を見かける。2日間雨の中を歩いてきて、道中お遍路さんの姿をほとんど目にしていなかったので、自分と同じように雨に濡れながらも歩いて巡拝している姿をたくさん目にし挨拶を交わすことが、何だかとても励みになる。

死の道と何があるの…

浜辺を歩く

雨水が流れる道を歩く

足元の滑りやすい道を歩く

遍路道は海が目の前に広がる浜辺へ出て、砂利や岩のある足場の悪い道に。これは雨の日には歩きたくない。そして浜辺から一般道へ戻る際に通った細道は、足場が悪い上り坂で雨水が流れていて非常に滑りやすい。これは本当に危ない。転ばないように慎重に足を運んでいく。打戻りの時は別の道で迂回することにした。

いい加減青い空と青い海が見たい…

視界が悪い足摺岬

9:00頃から雨は小雨になり、蒸れて鬱陶しいレインウェアの上を脱ぐ。打戻りですれ違ったお遍路さんに、札所まであとどれくらいで着くか尋ねると、ここからだと13:00をまわるのではないかと言われ少し焦る。宿から片道20kmの道のりを往復して、荷物を受け取って就寝場所を探す事まで考えると、札所に12:00には着くようにしたい。重い荷物は無いのでその分頑張ろうと、それからは休憩無しでひたすら歩き続ける。

 

やっと到着

四国最南端の足摺岬にある第三十八番札所金剛福寺に12:15到着。宿を出発してから約4時間半。頑張って20km歩いてほぼ予定通りの到着。しかしまた何時間もかけて同じ道を戻る事を考えると少々気が滅入る。金剛福寺の参拝中に一時雨が強くなり、軒下で少し雨宿り。3日続けて雨の中の巡拝にいい加減うんざり。体も荷物も濡れるし足元は滑りやすいし、などと思っていたら…

第三十八番札所 金剛福寺(こんごうふくじ) 山門

金剛福寺 本堂

金剛福寺 大師堂

この石段で転ぶ

参拝を終え札所の石段を下りている時に、足を滑らせて後ろに転倒っ!尻餅をついて左腕を石段の角に強く打つ。一瞬ヒヤッとしたが、不幸中の幸い左腕を軽く打撲しただけで済んだ。荷物もカメラも無事。雨の日は特に足元には注意していたのだが、考え事をしていて足元がお留守だった。こんな所で骨折などの大怪我をしてリタイアなんて最悪だ。本当に気をつけないと… 山門裏手の休憩所で、お接待でもらった弁当を食べてから札所を出る。

左腕負傷…結構痛い

 

札所を出るとまた本降りの雨に。しかも海からの強い風で横殴りの雨。慌てて軒下に避難しレインウェアを着る。どうしようもない天気なので海の景色など見ても仕方ないのだが、せっかく四国最南端まで来たので足摺岬の展望台へ。晴天ならばなかなかの絶景を楽しめる場所なのだが、悪天候で空と海の境界もよく分からない灰色の景色。展望台はかなり強い風雨に晒され少々危険を感じるほど。写真1枚撮るのも大変ですぐに引き返す。まぁ、1年半前に車中泊旅行で四国を周った時に、晴天の下で観光しているので別にいいさ。13:15から打戻りを始めて直ぐに雨は止むが、海岸沿いの道路には深い霧が立ちこめ10m先が見えないような状態。幸い歩道と車道がガードレールで区切られているので安心して歩けるが、歩道の無い道だったら歩くのは恐い。

荒波の足摺岬

濃霧で視界不良

濃霧の中を歩いていると、昨日会った女性のお遍路さんと再会。これから金剛福寺へ向かうところで、自分のように楽な打戻りのルートではなく、足摺半島を一周するルートで進むとの事。なので荷物を宿に置いておく事はできないので重そうなリュクッを背負っている。山谷袋だけの身軽な格好の自分が情けない… 歩きで四国参りをしているとはいえ、楽な方を選ぶ自分はまだまだ小者なんだなと思い知らされる。

 

途中小さな郵便局があったのでお金を下ろす。野宿もするので一度に沢山のお金を持ち歩かないようにしているが、田舎道だとお金を下ろせる場所もなかなか無いので、万が一の時のためにリュックの中に入れてある小物入れと納経帳に3万円ずつ忍ばせてある。お金を切らして宿泊できないなんて事になったらたまらない。

生活できそうな遍路小屋

しばし休憩

郵便局から少し歩いた所にある遍路小屋で休憩。自販機でジュースを買って、郵便局でいただいたもみじ饅頭を食べる。遍路小屋の中には流しや洗濯機などがあり、ここで生活ができるような感じ(少々散らかっていて綺麗とは言えないが…)。宿に困っている人にはとてもありがたい遍路小屋だが、浮浪者や職業遍路などが住み着いてしまわないのだろうか。雨はもう降らなそうなので、ここでレインウェアの上下を脱ぐ。それにしても札所で転んだ時に打った腕が痛い。まぁ打撲なんて放っておけばそのうち治るので気にしない。

郵便局で貰った饅頭と飴

宿から札所までは雨が降っていたので、急な上り下りのある遍路道は避け、遠回りでもずっと車道沿いを歩いていたが(最初に浜辺の酷い道を歩いて懲りた)、雨が止んだので打ち戻りは遍路地図に記された通りの道で歩く。但しあの浜辺の道だけは避けて… 途中、金剛福寺へ向かう顔見知りのお遍路さんと会う。巡拝13日目と14日目に会った、関西からの区切り打ちのお遍路さんとの再会。何度も会っているとお互い笑ってしまう。淡々黙々と1人で歩いている時にばったり顔を知ったお遍路さんに会うと、嬉しいのとおかしいので(長い遍路道なのにまた会っちゃったよって感じ)顔がほころぶ。関西のお遍路さんは金剛福寺の宿坊に泊まるらしい。そういえば自分は何処に泊まるかまだ決めていなかった…

打戻りは昔からの遍路道を歩く

やっと青空が見え始める

17:00間近に青空が見え始める。かなり久しぶりに青空を見た気分。3日間も雨中を歩き続け、ようやく灰色の景色からの開放。少し気持ちが楽になる。しかしまだ宿泊する場所が決まっていない上、朝から40kmほど歩いているのでだいぶ疲れて気力は低下。足の裏もかなり疲れていて、荷物を預けている宿まで残り4、5kmの道のりがかなりしんどい。疲れた足取りで何とか歩き続け宿に着いたのが18:10。前日の宿泊客はお遍路さんだけだったが、この日は若いサーファー達で賑わっていた。やはり満室で連泊は無理。宿の前で少し休憩させてもらっていると、外の風呂場から出てきて自分の前を通り過ぎるサーファーの視線が何だか痛い… 早々に宿を出て再び歩き始める。

宿にリュックを預けてずっと身軽な状態だったのでそれに慣れてしまい、クタクタに疲れた状態で背負う重いリュックが尚更に堪える。歩くのが本当にしんどい。おまけに空腹でたまらないので、とりあえず宿からさらに2kmほど打戻りして、前日の夕方に休憩したコンビニに立ち寄り、弁当を買ってコンビニ外のベンチで食事を済ませる。すっかり外は暗くなり、そんな中1人ベンチにぽつんと座ってコンビニ弁当を食べる様は、きっと誰が見ても寂しく見えるに違いない

コンビニのベンチ

これが夕食

コンビニで弁当を食べていると、年が近そうな男のお遍路さんが通り掛ったので声を掛ける。どうやらこれから野宿する場所を探すらしい。基本的に有料の宿には泊まらず、野宿や無料の遍路宿、善根宿などで四国参りをしているとの事。自分の小者さをまた思い知らされる。しかしほぼ1日雨に濡れたので風呂に入りたいし、靴は雨を吸ってぐっしょりなので新聞紙を詰めて乾かしたい。やっぱり宿に泊まりたい…ダメ元で、前日に電話して満室で断られたコンビニ裏手の宿に再度電話。すると当日になってキャンセルが入り一部屋空いているとの事で、土壇場で運良く宿を確保する事ができた!コンビニのすぐ裏手、歩いて1分!助かった…

 

宿に入ったのは19:30。案内された部屋は一人で過ごすには広い。ただ、部屋には外された引き戸数枚に座卓がふたつ、積み重ねられた座布団に大量のハンガー、そして窓のカーテンは無し。何だか物置き場のようになっているが文句は言えない。雨風をしのげる部屋に泊まれるだけでありがたいのだ。入浴と洗濯ができる事がありがたいのだ。濡れた靴に新聞紙を詰め込んですぐに入浴と洗濯。洗濯機は古い二層式でしっかり脱水ができず、乾燥機を回しても乾かず… まぁ、部屋に乾かしておけば翌朝には乾く。ハンガー沢山あるし。

旅館安宿(あんじゅく)

少々物置化された部屋

だいぶ減った杖

第一番札所霊山寺からの歩行距離は550kmに到達し、そろそろ折り返し地点だろうと金剛杖の長さを測ってみると、新品の状態から約11cmも減っていた。杖に書かれている般若心経の文字まで減っている。本当に減るのが早い。このペースだと最終的には20cmほど減る事になりそうだ。杖もよく頑張っている。翌朝も早起きしてたくさん歩く予定なので22:00過ぎに就寝。