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2012年5月3日(木)  巡拝18日目  晴

参拝札所:39番

歩行距離:40.5km

合計距離:593.7km

出費額:¥5,395

合計額:¥114,951

何処からか聞こえてくる激しい咳声に4:00頃起こされ、再度眠りに就いて携帯の目覚ましで5:00起床。部屋で乾かしていた洗濯物を畳んで荷造りして、菓子パンを食べて5:30に宿を出発。背負ったリュックがいつも以上に重く感じる。どうも昨日身軽だった感覚がまだ抜けていないようだ。足の裏の疲れも残っている。朝一から歩く気力が出ない…

4日振りの快晴

抜けるような空

外に出でると空は快晴。日が昇る前の薄い水色の抜けるような空が気持ちい。やはり雲で覆われた空よりも青空の方が気分がいい。ただ日中の日差しが少し心配。宿からほんの少し歩いて長い打戻りは終わり、山間部の道へ入っていく。山間部と言っても、道はずっと山あいを通っているのでアップダウンは少なく、車の通行もほとんど無いので歩きやすい。第三十八番から三十九番までの道のりは複数のルートがあり、何度か巡拝経験のあるお遍路さんや地元の人から一番歩きやすいと勧められたルートを選択。

広く真新しい道路から…

突然こんな道に

山あいに続く道に入って最初は広く真新しい道路で、その割りに全く車が通らないことを疑問に思ったが、途中からいきなり狭く曲がりくねった酷道になって納得。確かに好んで車で通る道ではない。ただ歩き遍路にはこういう道のほうが静かで気分良く歩ける。本当に車も人も全くと言っていいほど見掛けない。誰もいないならと、少しでも暑さを避けるため白衣を脱いでTシャツ1枚で歩く。

山あいの中を歩く

久しぶりの明るい景色に心が和む。連なる山々に青々とした緑、山あいを流れる綺麗な川。そんな景色を眺めながら緩やかで歩き易い道を進んでいく。しかし足は重くペースは遅い。出発した宿から次の札所までは30km弱あるのだが、今日中に着く自信が無い。昨日の疲れが残っている上に、気分的にも巡拝意欲が沸かない。精神的にも少し疲れているようだ。

山あいの道を10kmほど歩いて小さな集落に出ると、お遍路のための小さな休憩所があったので入る。テーブルにはインスタントコーヒーにカップラーメン、お菓子にバナナにみかん。小さな冷蔵庫も設置されていて缶飲料などが入っている。大盤振る舞いじゃないかっ!しかし逆に手が出しにくい…などと躊躇していると、おじさんがふらっと現れ挨拶してきた。どうやら休憩所のオーナーのようで、インスタントコーヒーを淹れてくれた。遠慮なさらずどうぞと言われ、ありがたくみかんとお菓子もいただく。とても親切で人柄のよい方。こういう人がお遍路の文化と巡拝者を支えているのだなと思う。本当に感謝。

個人運営の遍路休憩所

テーブルの上に食べ物がたくさん

休憩所のオーナーと雑談をしていると、もう1人男性のお遍路さんが休憩所に入ってくる。自分が背負っているリュックの倍はありそうな大きさのリュックに驚く。野宿のための道具がいろいろと入っていて、ずっと野宿で四国遍路をしているらしい。見た感じ年齢は50代かなと思ったが、聞いてびっくり71歳。実年齢よりもだいぶ若く見える。何て若々しくて健康的な人なんだろう。休憩所から暫くその人と一緒に歩く。朝から足が重くペースが上がらなかったが、人と会話をしながら一緒に歩くと足取りも弾む。

長閑な風景が続く

バス停留所兼お遍路休憩所

青い空に白い雲、視界に広がる緑の山々や田園風景。快晴で少々暑いがとても気持ちい。山間の田舎道で車の通行も滅多に無く、のんびりとした気分で楽しく歩ける。単に歩く事だけを優先するなら曇りや小雨の方が体力の消耗が少なく距離を稼げるが、歩く事を楽しむならやはり晴天のほうがいい。あまり強い日差しは困るが… 暫く一緒に歩いていた71歳のお遍路さんとは途中で分かれ、札所に向かって猛進。

札所の間近まで来て国道に出る。宿を出てから7時間強歩いてクタクタ。お腹も空いてフラフラ。遍路地図に載っている札所から一番近いコンビニで、弁当と冷えた飲み物を買って一息入れようと思ったら、店は潰れて無くなっていた。少し手前にもコンビニがあったのでそちらへ行っておけばよかったと後悔。遍路地図には載っていても実際は廃業している店は結構多い。来た道を少しでも戻る気力も無いので、空腹と疲労困憊のまま札所へ向かう。

 

13:30に第三十九番札所の延光寺に到着。かなり疲れて参拝前に境内のベンチで一休み。参拝後、少しでも空腹を抑えようと駐車場の自販機でコーラを買い、境内のベンチに座り手持ちの菓子パンをコーラで流し込む。足の裏がだいぶ疲れていたので、裸足になって暫く足を休ませる。小川の冷たい水に足を浸したい気分。

第三十九番札所 延光寺(えんこうじ) 山門

延光寺 本堂

延光寺 大師堂

 

延光寺から6kmほど進んで16:00頃に町に入る。町を出ると山越えがあり、次はさらに10km歩かないと宿は無い。山越えするだけの体力も気力も残っていないので、無理はせず翌朝からすることにした。暫く野宿をせず宿に泊まっているので、たまには野宿をして宿泊費の節約と精神修行をしようか、やっぱり宿に泊まろうか、遍路地図を眺めながら考えていると、町から3kmほど先に通夜堂がある事に気付く。しかし…

鯉のぼりの長い列

通夜堂は山の中にあるので、地図を頼りに行ってみたら万が一通夜堂が無い、もしくはあっても利用できなかったら困った事になる。さすがに山中で野宿は厳しいので、そうなると町まで戻るか山越えするしかないが、そんなに歩くだけの余力は残っていない。なので町で通夜堂について情報収集することに。しかし、町を歩いていて声を掛けてくれる人達に通夜堂の事を聞いてみるも、誰も通夜堂の事を知らない。警察なら分かるだろうと、運良くすぐ近くにあった警察署へ行って聞いてみるが、何とそこでも誰も通夜堂の事は分からなかった。利用できるか不明のまま行くのは時間と体力的に無謀なので、通夜堂での無料宿泊は諦め町の遍路宿に泊まる事に。

 

通夜堂について尋ね歩いている時にとある商店主に声を掛けられ、この町で泊まるのならと勧められた旅館(いとこが女将さんらしい)に電話。まだGW中だが、昨日に続いて運良く当日キャンセルが出て一部屋空いたとの事なので予約。早めに予約を入れないと宿の確保が困難なGW中に当日予約する時は、キャンセルによる空きを狙って当日の昼以降に電話するのがいいのかもしれない。最初は野宿や通夜堂利用で宿泊費を掛けないつもりでいたので、少しでも節約しようと食事なしの素泊まりにした。なのでコンビニで弁当を買ってから宿にチェックイン。通常は素泊まりで4,200円のところ、お遍路は3,800円と少しお遍路に優しい宿。遍路地図に評判のいい宿をチェックしていた中には含まれていなかったが、女将さんが明るくひょうきんな感じで好感を持てる宿。氷の入ったグラスと缶ジュースをサービスしてくれたので、それと一緒に晩御飯の弁当を食べる。

岡本旅館

宿泊する部屋

2日続けてコンビニ弁当

食後に入浴した時に、足の裏に大きなマメが出来ていることに気付く。地面と密着しない部分で歩いても痛みを感じないので気付かなかった。しかし何でそんな所にできたのだろう。入浴後直ぐに安全ピンで水抜き。いい加減マメの水抜きという作業から開放されたい… 第一番札所の霊禅寺から歩き始めて約600kmになるが、その程度ではマメができないくらい厚く強固な足の裏にはならないようだ。宿に着いてから鼻水鼻詰まりの症状が出ていたので、念のため風邪薬を飲んでおく。風邪は引き始めが肝心。風邪を引いて熱でも出たらさすがに1日中歩くのは厳しい。体調が微妙に怪しいのと翌朝は早起きで出発するため、少し早めの21:30就寝。