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2012年5月5日(土)  巡拝20日目  晴

参拝札所:41・42・43番

歩行距離:37.5km

合計距離:678.0km

出費額:¥7,869

合計額:¥125,616

4:30起床。夜間の寒さや寝心地の悪さ、通りを走る車の音などで夜中に2、3度目が覚めたので、実際眠れたのは4時間くらいだろうか。寒さに縮こまって膝を曲げて寝ていたからか、妙に膝の関節が痛い。身長177cmに対し寝袋は180cmなので、寒さをしのぐ為に頭まですっぽりと寝袋の中に入るには膝を曲げなければいけない。17日振りと本当に久しぶりの野宿だが、やはり薄い寝袋1つでは冷え込んだ夜は厳しい。寝心地も悪くて腰や肩や肘などの骨の出た部分があちこち痛いし…

トンネルの先に小屋は無かった

国道を歩く

菓子パンを1つ食べて寝袋を片付けて5:00出発。温泉を出て直ぐにトンネルに入り、昨日コンビニ店員が教えてくれた、野宿できる小屋があるというトンネル出口まで行ってもそれらしきものは見当たらず。それどころか、小屋が見えると言っていた出口左手には、地図には載っていない高速道路が通っている。手持ちの遍路地図は2年前に発行されたものだが、その後につくられた高速道路だろうか。遍路道周辺の情況も月日と共に刻々と変わっている。とりあえず昨日は温泉で野宿して正解だった。

歩道のある平坦な国道を淡々と歩いていく。2時間ほど歩くと空腹でペースが落ちてくる。弁当ではなく店内でゆっくり食事をしたいので、食事処を探しながら歩いていると、西日本の車中泊の友「ジョイフル」があったので入店。和風ハンバーグ定食を注文。ドリンクバー付きで499円は安い。普段はそんなに肉料理を食べないが、カロリー消費の激しい歩き遍路をしていると肉が食べたくなる。

国道から少々入り組んだ市街地に入り、街を抜けて山あいの県道を歩く。快晴で9:00をまわる頃には日差しが強くなり、とにかく暑い。歩道に日陰は滅多に無く、ジリジリと厳しい日差しを浴びながら歩き続ける。コンビニで冷えた飲み物かアイスでも買って日陰で休憩したいと思っても、山あいの何も無い所を通る県道には店など滅多に無い。もうバテバテ。夜間と日中の気温差ありすぎ…

山あいの県道を歩く

日陰とフローズンでクールダウン

お接待のアイスクリーム

暑さに参りながら歩いているとようやく店を発見。小さな売店と外にひさしのあるテーブル。とにかくキンキンに冷えたものが欲しかったのでフローズンを注文。シャリシャリの細かい氷を食べて体が生き返る。熱射病を避けるためにも定期的な水分補給と体のクールダウンは必須。外のテーブル席でくつろいでいると、店のおばさんがお接待でアイスクリームをサービスしてくれた。束の間の休憩を経て再び県道を歩く。そしてまた直ぐにバテる。とにかく暑すぎる…

やがて道は長い長い上り坂に。タダでさえ暑くて参っているというのに上り坂。頻繁に遍路地図を見てはあとどれくらい、あともう少しと、上り坂の終わりはまだかまだかと考えながら重い足取りで進んでいく。そしていい加減登り切る頃だろうと思ったところで激坂に。もう目が眩みそうなほどにきつい(ように見えた)急勾配。先を見るのが辛いので下を向き足元を見て歩く。少しでも気を緩めたら足が止まってしまいそうで、とにかく必死に足を動かして何とか立ち止まらずに上り切る。疲れきって足元はふらふら。それから県道を外れて長閑な景色が広がる農道に入る。視界の先まで続くほぼ平坦な道を見て心底ホッとする。

長閑な風景

 

第四十一番札所 龍光寺(りゅうこうじ) 山門

龍光寺からの眺め

第四十一番札所の龍光寺に11:50到着。暑さと上り坂にかなり苦しめられたが、それでも予定より1時間も早い到着。龍光寺には山門が無く、境内入口の少し手前にある鳥居がその代わりのよう。石段を上った高台にある境内からは、山あいに広がる小さな町の風景を一望。何とも長閑で落ち着く風景。早々に参拝を済ませて一休み。本当に疲れた。。

龍光寺 本堂

龍光寺 大師堂

 

龍光寺から続く山道

木々の中を歩く

龍光寺から次の札所までは僅か2.6km。暫く札所間の距離が長かったので、1日に複数箇所の札所を参拝するのは久しぶり。巡拝14日目から前日までの6日間、1日に1箇所の札所しか参拝しておらず、16日目に限ってはは1箇所も参拝していない。なので体力的にも気分的にも楽になるはずなのだが、暑さと疲労で足は重い。龍光寺から延びる山道を少し歩いて、長閑な田園風景が広がる県道に出る。真っ直ぐに続く県道の先が果てしなく遠く感じる。

平坦な道を歩く

先が途方も無く遠く感じる…

 

12:00に第四十二番札所佛木寺に到着。真新しい山門をくぐって境内に入ると、多くの参拝者で賑わっていた。境内の一角で無料のお茶を配っていたのでいただく。あま茶という甘いお茶、初めて飲んだ。参拝後に山門外の休憩所で一休みし、宿の予約。2日連続野宿をするガッツはもう無い。温かい布団の中で寝たい。洗濯もしたいし。甘えは良くないが無理するのも良くない。

第四十二番札所 佛木寺(ぶつもくじ) 山門

佛木寺 本堂

佛木寺 大師堂

 

また山道か…

10.6km先の第四十三番札所へ向けて重い足を前に進める。途中で未舗装の山道に入る。また山越え…何だか毎日山登りをしている気分。歩き遍路道の9割はアスファルトで舗装された道で、未舗装の道は1割程度と言われているが、思っていたよりも未舗装の山道が多い。1割程度と言っても約1,200kmの道のりの1割なので、100km以上ある訳で…

急登坂…

ベンチなどに腰を下ろしてゆっくり休憩できる場所がなかなか無く、ひたすら歩き続け山を越えたところでやっと一休み。低い石垣に腰を下ろす。左足の裏が痛いし暑くて喉はカラカラ。手持ちのぬるくなったペットボトルのお茶では喉が潤わない。遍路地図を眺めていたらウトウトと一瞬眠ってしまった。やはり野宿で睡眠不足なのだろうか。もうそこら辺に寝転がってしまいたい気分だが、そうもいかないので重い腰を上げる。

山頂

山頂付近からの眺め

日差しの強い田舎道をトボトボと歩く。15:00頃から右足のふくらはぎに痛みが出始め、さらにペースが落ちる。何だか足がつりそうな痛みで、急に足がつって激痛になりそうで恐い。佛木寺を出る時には、納経所が閉まる17:00前に第四十三番札所に十分間に合うと思っていたが、想定外のペースダウンで納経時間に間に合うか怪しくなってきた。つりそうな足を気にしながら出来るだけペースを上げて歩く。5月5日の子供の日なのであちこちで鯉のぼりを見かける。都心では目にする事の無い大きな鯉のぼりも多い。本当に長閑でいい眺めだ。しかし暑過ぎる…

急な登りも下りもイヤ…

景色は長閑、でも厳しい暑さ

あちこちで鯉のぼりを見かける

納経時間に間に合うよう無我夢中で歩き続けるが、とにかく暑くて余計に体力を消耗する。屋根のある休憩所で一休みし、地下水の出る蛇口があったので素足になり疲れた足に浴びせる。冷たい水が気持ちいい。足をクールダウンし少しだけ疲れも回復し、あともう一息を頑張って歩く。そして何とか札所まであと一歩という所まで来て、最後の最後でもの凄い上り坂。ありえないくらいの急勾配(に見えた)に息を切らし必死に足を前へ進め、札所の駐車場に16:30到着。もう本当に体力の限界…音を上げそう。全身疲れ切った様相で駐車場にある売店を横切ると、店員に声を掛けられお茶のお接待をいただく。冷えたお茶が体を生き返らせる。

 

無事17:00前に第四十三番札所の明石寺に到着。本当は本堂と大師堂の参拝をした後に納経所で納経してもらうものなのだが、時間がギリギリなので先に納経所へ。本堂は修復中?で白いネットに覆われていた。参拝後に境内のベンチで暫く休憩。本当にクタクタでもう一歩も歩きたくない。予約した宿が明石寺から2kmも無い場所でよかった。

第四十三番札所 明石寺(めいせきじ) 山門

明石寺 本堂

明石寺 大師堂

 

明石寺から宿までは直ぐ!と思ったのだが、明石寺から未舗装の上り道が続き、歩き始めて直ぐにぐったり。上りはすぐに終り長い下りが続く。疲れ切った足には下りもかなりしんどい。フラフラになりながらも何とか歩き、白壁と格子のある落ち着いた町並みの通りに出る。宿まであと少し、もう直ぐ、もう歩きたく無い…と、そんな事が頭の中をぐるぐる回っている。そしてやっとやっと宿に到着。しかし、どうしても夕食後部屋でまったりとテレビを見てゴロゴロしながら食べるお菓子とジュースが欲しかった(子供か)。なので宿から約100m先にあるJRの駅までとりあえず歩き、その間にコンビニや商店が見当たらなかったので駅の売店で買い物をしてからチェックイン。

 

まつちや旅館

宿泊する部屋

宿に入ったのは17:30。もう本当に一歩も歩けないくらいに疲れた。部屋に荷物を置いて直ぐに入浴。疲れ切った足に温かい湯船の湯が最高に気持ちいい。入浴中に従業員が洗濯をしてくれた。クタクタで何もしたくないので本当に助かる。明石寺の手前辺りから鼻の調子が悪く、くしゃみを連発している。時期的に考えてスギ花粉の影響だと思うが、万が一にも風邪だったらと考えると心配になる。巡拝中の体調不良だけは避けたい。

夕食

夕食は大広間で他の宿泊客と一緒に。食事中に女将さんが、旅館や地域にまつわる話やお遍路の話など、いろいろと話をしてくれた。大広間の掛け軸は季節やその日の天気などで変えるとか、この旅館のおひつ(炊いたご飯を入れておく器)は貴重なもので、職人がいなくなってしまい今あるものが最後とか。話を聞いていると歴史のある旅館のようだ。そして何より女将さんの風貌と接客態度が絵に描いたような「女将」で、とても印象に残った。

貴重なおひつ

久しぶりに早めに宿に着いて、部屋でのんびりして、22:50就寝。