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2012年5月12日(土)  巡拝27日目  曇のち晴

参拝札所:無し

歩行距離:27.5km

合計距離:950.2km

出費額:¥5,288

合計額:¥155,439

 

3:00過ぎにガサガサという物音で目が覚める。もう一人の宿泊者が部屋のゴミの片付けをしていた。ずいぶん早いな…起きるには早いので目をつぶるがどうしても眠れず、とりあえずトイレに行って部屋に戻ると、もう一人の宿泊者が部屋のシャッターを全開、これはもう寝られないと諦めたのが4:00。それでも畳の上に布団を敷いて睡眠できたので、普通の宿に宿泊した時のようにぐっすり眠ることができた。電気を点けて改めて部屋を見回してみると、どうやらガレージを改装してつくった善根宿のようで、畳と布団が複数枚置かれていて、テーブルにはポットやお茶が用意されている。それに整理整頓されていてとても綺麗。このような場所を無料で提供してくれる事が本当にありがたい。四国遍路の文化と風習の素晴らしさ、それが今日でも残されている事の素晴らしさを改めて思う。

清潔な善根宿

ここで寝ていた

もう一人の宿泊者もお遍路さんだったが、何度も遍路経験がありこの無料宿の常連のよう。この部屋を使い慣れている感じで、部屋の隅にあるダンボールから缶コーヒーを出して渡される。この部屋のオーナーがお遍路さんのために用意したものらしい。そしてお茶まで淹れてくれて、暫く談話をして4:40に宿を出る。

国道に出て、昨夜道を尋ねたコンビニの向かいにあるファミレス、ジョイフルに入店。ここで朝食を食べようと目を付けていた。ジョイフルは安くて24時間営業の店舗が多いので本当に助かる。朝食には時間が早過ぎるが、空腹だし何だか体がだるくて気分的にもう少しゆっくりしていたかったので、ここで朝食兼休憩。注文した豚汁定食をゆっくり食べて、食後は遍路地図を眺めて計画を立てたりメモ帳をまとめたり。そして外がだいぶ明るくなってきた5:40出発。

早過ぎる朝食

 

空も心も曇ってる

空模様は昨日と同じようにどんよりと曇っていて、雨が降り出してもおかしくない天気。少し肌寒い。そして相変わらず痛みのある足首。特に左足首が痛くて歩くペースが上がらない。リュックと山谷袋を背負っている肩も歩き出してすぐに痛くなり始め、ジョイフルを出てから1時間ほどで休憩。重い腰を上げて再び歩き出すが、次は1時間も経たずに休憩。そして眠気まで出てきて歩く気力はミニマム状態に。眠くなると本当にしんどい。何とか眠気を覚まそうと、善根宿でもらった缶コーヒー(無糖ブラック)を飲んでみるが頭はスッキリせず。

次の第六十五番札所まで距離的には納経時間に間に合いそうなのだが、札所を出てから10km以上先まで旅館・民宿等の宿が無い。それに札所は山頂にあり山登りをしないといけないので、無理せずその手前で泊まったほうがいいと、25日目の善根宿で一緒になったベテランお遍路さんからアドバイスを受けていた。朝から足が痛くてあまり歩く気力が無いし、野宿をする気分でもない。ならば札所の参拝は翌日の朝一でいいかと、アドバイスに従い札所の手前で最も近い旅館を9:00に電話予約。こんなに早い時間に宿の予約をしたのは初めてな気がする。普段の自分なら気合で六十五番まで進んでいたと思うが、心身共に疲れてそんな気合は出てこない。何だか自分に負けた気分。

気になったけど引っ込み思案で入れなかった

途中から抜きつ抜かれつしていたお遍路さんと一緒に歩き、珍しい松の木がある場所へ寄り道するというので、気分転換に自分もついて行く。小さな公園の敷地内に、枯れてしまった幹の一部が横たわっていた。この松は、弘法大師お手植えの松と伝えられ、地面に大きく枝を広げた樹相から、「土居のいざり松」と呼ばれ親しまれ…と説明書きがある。なるほど、とりあえずお遍路と関係ある木のようだ。そこへもう一人お遍路さんがやってきて、三人で公園のベンチに腰掛け雑談が始まる。予約した宿までそう遠くないので、時間を気にせず30分以上の雑談。二人とも歩き遍路を何回か経験していて知識が豊富。そして二人とも定年過ぎの高齢なのだが、実年齢よりもずっと若く見えてとても活き活きしている。年をとっても活動的で体力のある人は若々しく見えるものなのだなぁと思った。将来の自分もそうでありたいものだ。

いざり松

いざり松

いざり松から先は再び一人で歩く。暫く足を休めていたからか、足首の痛みがある程度和らぎ少し歩きやすくなった。しかし代わりに今度は空腹で歩く気力が出ない。朝食が早過ぎたせいで、まだ10:00前なのに空腹で仕方ない。手ごろな飯屋なんかがあればなぁと考えながら歩いているとコンビニ発見。できればコンビニ弁当ではなくちゃんとした食事がしたい。と、コンビニの先にうどん屋の看板が見えたので、コンビニは素通りしてうどん屋へ向かう。そしてたどり着いたうどん屋は…営業していなかった。

昼飯〜

もうコンビニ弁当でも何でもいいから空腹を何とかしたいっ、けど歩いて来た道を戻るのは嫌っ、なので素通りしたコンビニへは戻らず先へ進む。かなりの空腹を堪えてさらに1kmほど歩くとまたコンビニがあり、売れ残りの弁当を買う。コンビニの外にベンチは無く(遍路道沿いにあるコンビニには外にベンチが置かれている店舗が多い、気がする)、いつの間にか晴れて日が差して暑いが日陰も無く、コンビニ裏手へまわり直射日光の当たる鉄パイプの上に腰を下ろして弁当を食べる。とりあえず空腹は満たされたが妙にひもじい気分。いや、飯が食えるだけでもありがたいんだ。コンビニという便利なものを利用できるだけでもありがたいんだ。そうだ、この何か満たされない気持ちも修行なんだ。とりあえずそう自分に言い聞かせて乗り切る。

のんびりした風景

たまには自分撮り

空腹を満たし再び歩き始めるが、相変わらず気分は乗らずペースは上がらない。日差しは強く暑いが涼しい風が出ていて、その中途半端な陽気と食後の満腹感が眠気を誘う。う〜ん、眠い、だるい、やる気が出ない…そんな感じでノロノロと歩き続け1時間ごとに休憩。こんなにのんびりと歩くのは初めてかもしれない。遍路道からの眺めは雄大な山々と田畑の緑、気持ちのいい青空と真っ白い雲。のんびりとした風景が続く。そこらへんに寝転がってぼけーっとしたい気分にもなるが、さすがにそうはいかない。一度でもそんな事をしたら間違いなく癖になってしまい、ダラダラ四国遍路になって精神修行にならない。ゆっくりでもいいから確実に前へ進んでいかないと。

石垣が続く住宅地

 

旅館大成荘

宿泊する部屋

ダラダラ歩きつつも14:20に予約した宿に到着。ちょっと早過ぎた…この先山登りになるとはいえ札所まであと6km程なので、このまま進んでいけば納経時間までに間に合ったと思われ。まぁたまには宿でゆっくりするのもいい。この日の歩行距離は約27km。一日の歩行距離が30kmを切ったのは、巡拝8日以来の実に19日ぶり。その間に一日40km以上歩いた日が9日。そして最高で一日55km歩いた日も。ここまで一日の平均歩行距離は約35.2km。我ながらよくも毎日こんなに歩けているなと感心してしまう。

肉うどんとイカ

宿泊費をケチって素泊まりにしたので食事は無し。夕食にはまだ早いが、空腹なので部屋に荷物を置いて食事をしに外へ出る。おかみさんに教えてもらった近所のうどん屋へ行き、肉うどんにイカをトッピング。食後はスーパーに立ち寄り夜食を買う。夕食が早かったので寝るまでの間にまた空腹になるので。何でお菓子ばかりなのかって、床に寝転がってテレビ見ながら食べるものと言ったら、せんべいかスナック菓子でしょ。

夜食

15:30に宿に戻り、16:00〜16:40までゆっくり入浴し、洗濯を済ませて一段落。あとは部屋でゴロゴロとテレビを見て、あぁこのささやかな自由が幸せなんだと実感。翌朝は早起きして山を登り、朝一で札所の参拝をしたいので20:30過ぎに就寝。