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あとがき

この四国遍路記は、33日間の四国巡礼の記録を1日1ページという形で、当時毎日メモ帳に記録していた簡単な日記や遍路地図への書き込み、そして少々当てにならない記憶を元に制作。四国遍路の経験がしっかりと形に残るように作成したつもりだが、遍路記が完成して改めて見直してみると文章も写真も不十分だと感じる部分が多く… 33日間という長い旅路の記録と記憶をきれいにまとめて形にするのは難しい。そしてこのページは当初「まとめ」ページとして、33日間の遍路旅を自分なりに評価・反省し総括しようと思っていたが、やはりうまくまとめることが出来ず(文章力が無いのが大きい…)、結局「あとがき」というかたちに変更した。四国遍路というあまりにも大きな経験を無理にまとめようとしても、ぞんざいな締めくくり方になるだけだと思ったので。

33日間の四国巡礼を通して、普段の生活では経験することの無い多くの事を経験してきた。多くの出会い・苦労・感動・教訓などを通じて、人生観…と言ったら大げさかもしれないが、多かれ少なかれ物事の考え方や価値観に影響を与えられた。ただ、このあとがきを作成したのは四国遍路から1年4ヶ月経ってからで(仕事が忙しかったりHP制作に飽きてしまったりで遍路記の完成がだいぶ遅れてしまった)、当時心に強く深く感じた事も時間と共に薄まって行き、四国遍路の経験が日常生活に大いに活かされているかと言えば難しいが、心の底にはしっかりと四国遍路で得たものが根付いていると思う。特別な経験をしたからと言ってそう簡単に人は変われない(少なくとも自分は)という事は分かっていたが、多少なりとも四国遍路の経験は自分を変えたと思う。そしてやはり変われない部分も多く、四国遍路は己を知る旅でもあった。1200kmの道のりを歩いて巡礼するというのは本当に苦難の連続で、巡礼中はこんな経験一度やれば十分だと思っていたが、自宅に戻って直ぐに、機会があれば今度は逆打ちで四国遍路をしてみたいと思うようになった。そう思わせるのはそれだけ得るものがあるからなのだと思う。

四国遍路を旅行感覚でする人もいれば、強い信仰心を持って巡礼する人もいる。人生に行き詰まったり心に重いものを背負い活路を求めて巡礼する人もいる。そんなお遍路さん達を敬い「お接待」という無償の施しを提供する四国の人達がいる。四国遍路という文化、お接待という風習、本当に奥深い。山あり谷ありの遍路道を歩き、苦難の中に喜びがあり、その先に何かを得る者もいればそうでない者もいる。四国遍路ひとり歩き同行二人は人生の縮図のようだ。