トップページ

その3  2日目朝〜昼

 

白島展望台

(しらしまてんぼうだい)

深夜に雨音で2度ほど目が覚め、そして4:30過ぎに起床。雨は止み空には月が出ていた。車の温度計では外気温9℃と結構寒い。駐車場の先にある展望台へ行くと、強い風が出ていてさらに寒い。やはり強風は隠岐の日常なのだろうか。一旦車に戻り日の出時刻の5:10頃まで風を凌ごうかと思ったが、戻るのも面倒なので寒さに耐え展望台で待つことに。展望台から空を見渡す限り、雲が多いものの晴れ間が広がっていて、とりあえず直ぐに雨が降り出すことはなさそうな空模様。

白島展望台

白島展望台から北側の眺め

白島展望台から南東側の眺め

強風の中で日の出を待ち続けるも、5:10を過ぎても太陽は姿を現さない。海の向こうは雲が掛かっていって、水平線から昇る日の出を見ることはできなかった。それなら雲の後ろから出てくるのを待つしかないと、寒い中をさらに待ち続け5:25になってようやく朝日が顔を出す。

水平線から昇る朝日というのは意外となかなか見られないものなので、今回は輪郭がくっきりとした朝日を見られただけでも良しとする。何よりも昨晩の雨からここまで天気が回復しただけでも嬉しい。昨晩就寝前に確認した天気予報では曇り時々雨だった。天気予報は本当に当てにならない。

なかなかきれいな朝日

こういうの絵になる

朝日を見物した後は、展望台の近くにある白島灯台へ。白島崎突端の海岸までも遊歩道が続いているが、約1.7kmも歩かないといけないので止めておく。前日に歩いたローソク岩第二展望台までの道のりと同じく、行きは下り道が続き戻りはずっと登り。しかも歩行距離は2倍。朝一からクタクタにはなりたくない。

これ日本海側でよく見かける気がする

灯台へ向かう

展望台から数分歩いて白島灯台に到着。デザインも大きさも質素で特徴の無い灯台だった。回転中の投光器も随分と小ぶり。それにしても相変わらず風が強く、次々と雲が流れていく。前日の夕方以降のように、いずれは曇り空になり雨が降り出す可能性も十分あるので安心はできない。車に戻り出発する前に、5個入りの菓子パンを全部食べる。これで朝食用に買ったパンは残り2袋になった。

白島灯台

小さい投光器

旅行1日目は島後南端から時計回りに島後西側を周って北端の白島崎まで進んだ。2日目は引き続き時計回りで北から南へ、島後東側を進む。そして島後の内陸部を一周するという計画。それから前日は入浴し損ねたので、島後唯一の入浴施設の営業時間に十分余裕を持って着くよう、時間を考えながら観光しないといけない。さすがに2日連続入浴できないのは辛い。

<< SCROLL    八王子神社前からの眺め パノラマ写真180°    SCROLL >>

次の目的地の隠岐海苔田ノ鼻への入口を探すも標識や案内板が見当たらず、辺りを見回しながらノロノロと車を走らせる。すると何とも印象的な田園風景が目に入って来て、その向かいに神社があったので鳥居前の路肩に車を停める。神社のある通りからは朝日に照らされた綺麗な田園風景を一望。水田には背後の山々や空が映り込んでいて、とても清々しく落ち着く風景。観光スポットでもなく、特別に特徴のある風景でもなく、それでも晴れているだけでこれだけ見応えのある風景になる。旅行2日目の始まりも晴れてくれて本当によかった。

八王子神社

神社境内からはあまり景色が見えなかった

鎧岩

(よろいいわ)

隠岐海苔田ノ鼻の入口は神社の直ぐ側にあった。車1台がぎりぎり通れる細道に入って直ぐに駐車場があり、そこから岬の突端まで遊歩道が続いている。目的は岬突端付近にある「鎧岩」という特徴的な岩を見ること。駐車場から約1kmの道のりになるが、ここは絶対に押さえておきたいスポットだった。しかし…

なるほど

遊歩道入口

えっ?!

遊歩道の入口には通行禁止の標識が立てられていた。法面崩落により危険との事。想定外の事態に一瞬衝撃が走る。しかし入口は塞がれていない。これはあくまでも安全を配慮しての忠告だと判断し、自己責任で遊歩道に入る。そして歩き始めて直ぐに法面崩落現場に遭遇。斜面の土砂崩れにより石積みの法面が崩壊し、歩道を塞いでいた。万が一という事もあるので、崩壊した斜面をじっと観察して危険が無いかを確認し、歩道を塞いでいる崩れた石積みを乗り越えて先へ進む。

法面崩落現場

土砂崩れが起きた跡

コンクリート舗装された道

木道の階段道

遊歩道は最初のうちはコンクリート舗装や木道が整備されていて歩きやすいが、前日の雨で地面は濡れていて滑りやすく、足元に十分気をつけて歩いていく。時間は7:00になったばかりで人の姿は無し。鎧岩は隠岐の島を代表するスポットのひとつだと思っていたが、道路に案内板が無いし駐車場は狭いし、法面崩落現場を直ぐに修復する気も無さそうだし、観光スポットとしてはマイナーな気がする。

未舗装の遊歩道を登る

まだ太陽は低い

遊歩道から眺める風景

上部が平らな岩が見えた

途中から遊歩道は未舗装になり、登り道が続き少々険しい場所もあり山登り状態に。結構高い所まで上がり周囲の海岸風景を一望。そして今度は下りが続き、やがて前方の視界が開けて岬の突端が姿を現す。鎧岩までの道のりは歩き易い散策路だと勝手に思っていたが、実際はそこそこのハイキングコースだった。想定外の体力消耗にクタクタ。

下り道の先に岬の突端

鎧岩の展望スポット

駐車場から約20分歩いて鎧岩の展望スポットに到着。切り立った断崖の上で足場が少々悪く、足元の真下には波が強く押し寄せる岩礁がある。なかなかスリルのある場所。

鎧岩の展望スポットからの眺め

柱状節理という柱状の割れ目ができた岩の上に、放射状節理の鎧岩が乗っている。岩については詳しくないが、今までに見てきた奇岩の中でもインパクトの強い岩だと思う。鎧のように見えるかは別として見応えはある。ここまでの微妙に険しい道のりや切り立った断崖風景なども相まって、特別な場所という雰囲気もある。通行禁止の表示に怯まず遊歩道へ入って正解だった。但しあくまでも自己責任。

鎧岩の展望スポットの目の前が丘のように高くなっていて、眺めがよさそうなので上まで登る。足場がかなり悪く斜面がきついので、気をつけないと転倒や落下の恐れあり。ここが隠岐海苔田ノ鼻のほぼ突端で、周囲の景色を一望できる。奇岩は鎧岩の他にもうひとつ、兜岩というのがあるらしいが何処にあるのか分からなかった。

<< SCROLL    隠岐海苔田ノ鼻からの眺め パノラマ写真180°    SCROLL >>

駐車場までの戻りは下り道がメインとなり、滑りやすい足場に気をつけながら歩きつつも2度ほど足を滑らせ転びそうになる。そして結構足が疲れてしまった。冬から春にかけて趣味のサイクリングはほとんどしておらず、ロクに身体を動かしていなかったのでだいぶ鈍っていた模様。若い頃は不摂生でも身体が順応していた気がするが、40歳間近ともなると身体がついていかない…

遊歩道入口の直ぐ側にある滝に立ち寄るつもりだったが、滝の場所がイマイチ分からず滝の音も聞こえず、おかしいなと思っていた。で、海苔田ノ鼻の案内板をよく見たら下の隅っこに滝の事が書かれていて、大雨の後にしか見られない事を知る。そりゃ見つけられない訳だ… 観光地で案内板等にはしっかり目を通さないといけない。

浄土ヶ浦海岸

(じょうどがうらかいがん)

浄土ヶ浦海岸

晴れてるけど雲が多い

隠岐海苔田ノ鼻から南東に少し進んで浄土ヶ浦海岸へ。ここも遊歩道を歩いて散策。案内図を見ると遊歩道には山道があり「険しい」と書かれているので、少なくとも楽な道のりでは無く気持ちが後退。鎧岩までの往復で足が少し疲れている事もあり、浄土ヶ浦海岸の遊歩道を歩くのは止めようかと一瞬考えたが、そんな事では何処も観光できないので意を決して遊歩道に入る。

浄土ヶ浦海岸遊歩道案内図

険しいのはイヤ…

駐車場から歩き始めて10分ほどで小さな灯台に辿り着く。写真を撮ろうとすると日差しが雲に隠れ、少し待って日が出たところで写真を撮ろうとカメラを構えるとまだ日差しが遮られる。前日と同じく空には雲が多く風が強く、太陽は雲に隠れたり出たりの繰り返し。それでも青空が見える天気になってくれただけでもありがたい。

遊歩道を歩く

遊歩道の途中にある灯台

浄土ヶ浦海岸の遊歩道は基本的に未舗装の山道。勾配のきつい場所は木を敷いた階段になっている。それにしてもアップダウンが多くて疲れる。遊歩道の終点にある崎山岬の展望台を目指して歩くが意外と遠い。写真に撮った遊歩道案内図を見ても自分がどの辺りにいるのかイマイチ分からず、とにかく先へ続く道をひたすら歩く。

登って下りてのくり返しが続く遊歩道

遊歩道から見える海岸の断崖

そしてようやく展望台に到着。駐車場からの歩行時間は20分くらいだろうか。ここまでの道のりで見掛けた人の姿は、灯台の手前ですれ違いざまに話を交わした登山ルックの女性一人だけ。やはり離島の隠岐の島は観光客が少なく、前日のフェリー乗船客の大半は帰省客なのだと思う。

崎山岬の展望台

展望台から東側の眺め

展望台からは周囲の海岸風景を一望。なかなかいい眺めだが、鎧岩がある隠岐海苔田ノ鼻を観光した後なので印象は弱く感じてしまう。周囲を見渡す限り前日よりも雲が多く、まとまった厚い雲が島後内陸部の上空にあるように見える。前日から続いている島後一周は午前中に完了し、午後は島後の内陸部を周る予定なので天気の動向が心配になる。

展望台から西側の眺め

展望台から南側の眺め

浄土ヶ浦海岸の遊歩道はぐるっと一周できるかたちになっていて、展望台からの復路は往路とは別の海岸沿いのルートを歩くつもりだった。しかし展望台側から海岸沿いのルートに入る分岐点が見当たらず、気づかず通り過ぎたのかと思い途中で引き返して行くと分岐点を発見。しかし入口はロープで遮られ、道は木々が生い茂っていてパッと見では遊歩道だと分からない状態。これはだいぶ前から通行止めになっていると思われ。こんな状態なのに駐車場にある遊歩道案内図に通行止めの訂正が無いのは問題だと思う。

通行止めになった海岸側遊歩道の入口

茂みとなった道を歩いていく

通行止めにはなっているが、もしかしたら通る事ができるかもしれないと思い、ロープをくぐって遊歩道に入る。完全に茂みと化した遊歩道は足元が全く見えず、足裏の感覚で足場の安全を確認しながら歩く。所々にトゲトゲした植物があって痛い。遊歩道は急斜面に沿って続いていて、場所によっては足を踏み外したら転落してしまうような危険な場所も。

きれいだけどトゲのある花

荒れ放題の遊歩道

遊歩道が続く斜面の下は海岸で、向かいそびえる岩壁のちょうど真ん中辺りに水平な窪みができている。昔の海面の跡かな?曇りがちな空と逆光で景色が陰っているのが惜しい。

印象的な海岸風景

これ以上は危なくて進めない…

遊歩道は途中で何処が道だったのかも分からなくなり、これ以上は本当に危険だと判断して途中で引き返す。せっかくここまで進んできたのにという思いもあるが、引き返す勇気も必要だ。このルートは一時的な通行止めではなく、完全に維持管理が放棄されたんだと思う。ただでさえ疲れ気味なのに無駄に労力を消費してしまった。自己責任なので仕方ない。茂みとなった遊歩道を抜けると、スニーカーに小さな黄緑色の丸い植物がたくさん付着していた。これは種?

靴に沢山付着した丸い植物

展望台までの道のりを引き返し、駐車場の近くにある分岐点から通行止めのルートへと向かう。しかし途中でまたロープが張られ通行止めになっていた。だいぶ疲れたのでこれ以上先へ進むのは止める。通行止めの場所からはローソク島と名づけられた岩が見える。方角的に考えて朝日が岩の上に重なりローソクのともし火に見えるのかもしれない。

通行止めだったルートへ向かう

ローソク島

海岸沿いの遊歩道を歩いて駐車場へ向かう。風の影響か波は高く、岩場に強く打ち寄せ波しぶきが遊歩道に思いっきり掛かる場所もあり、波の動きに注意しながら歩いて遊歩道を抜ける。で、遊歩道の出入口には通行禁止の標識が立っていた。結局浄土ヶ浦の遊歩道で通行可となっている場所は、駐車場から崎山岬展望台までの山道のルート1本のみだった。何だかなぁ…

駐車場側の海岸まで戻る

このルートも通行禁止だった

黒島展望所

(くろしまてんぼうじょ)

浄土ヶ浦海岸から島後東岸をさらに南下している途中に展望所があったので立ち寄り。黒島と言う柱状節理の小島が見える。黒島は350万年前に噴火した火山の火口跡らしいが、ただの岩にしか見えない。黒島展望所から海岸まで下りられる遊歩道があったが、隠岐海苔田ノ鼻と浄土ヶ浦海岸の遊歩道を歩いて疲れたので、これ以上歩く気は無し。

黒島

いい言葉だ

黒島展望所の案内板の隣にあった、人生の格言のような言葉が心に響いた。「日常の幸せは 非日常の体験に宿る」。確かに非日常の体験をすることによって、普段の当たり前の生活がいかに便利で快適なものかを実感させられる。車中泊旅行でも毎回それを実感しているが、6年前に経験した四国遍路は正に日常の幸せを知る旅でもあった。

黒島展望所より手前にあった展望所からの眺め

黒島展望台より少し先の道路からの眺め

旅行1日目から島後を外周する道路を走って一周しているが、意外と海を眺めながら運転できる海岸沿いの道路は少ない気がする。黒島展望所の前後の道路からは綺麗な海岸風景を望む事ができた。そして1日目から何度も思っていることだが、天気予報が外れて晴天になってくれて本当に良かった。やはりずっと雨天・曇天ではかなりつまらない旅になっていた。雨では隠岐海苔田ノ鼻や浄土ヶ浦海岸などの遊歩道は危なくて歩けないし、何気ない海岸風景や田園風景を楽しむ事もできなかった。