トップページ

その4  2日目昼〜夜

 

佐々木家住宅

(ささきけじゅうたく)

佐々木家住宅外観

修復箇所の木材が真新しい

島後東岸側最後の観光スポットとなった重要文化財の佐々木家住宅。古い町並みがあるわけではなく建物一軒のみなので、時間に余裕があり気が向いたら立ち寄ろうと思っていた。建物内の見学は有料で大人411円。パンフレットには佐々木家の歴史概要等が書かれてあるが、歴史的背景等にはあまり関心が無い(学校の歴史の授業が嫌いだった・年表や歴史上人物の名前を覚えるのが苦手だった・過去の出来事に関心が無かった…)ので、ほとんど頭に入らない。古い町並みや昔ながらの日本家屋を眺めるのが好きだから立ち寄った、それだけでいいじゃないか。

土間とカナエ

霊前の間

佐々木家には数組の観光客の姿が。前日からの島後観光でまとまった観光客の姿はあまり見ていないので、意外と知名度の高い観光スポットなのだろうか。島後の玄関口である西郷港から近いという立地も関係しているかもしれない。パンフレットには各部屋の名前が書かれてあるが、チャノマ・カミノマ・シモノマ…と何故かほとんどが片仮名。漢字ではなく片仮名にしているのは何故か、妙に気になった。

ヤリノマからシモノマを見る

シモノマ

これぞ日本家屋的な

屋根裏にも入れた

建物内をあちこち眺めながら写真を撮っていたら、佐々木家のガイドさんに声を掛けられいろいろと説明してくれた。玄関は三箇所あり身分によって出入りする場所を使い分けたとか、建物の端から端まで1本の松材の梁があるとか、シロアリの被害を受けて大掛かりな修復をしたとか…等々、なるほどためになる。どうやら自分は伝統的日本家屋に関心の高い人間だと思われたらしい。確かに歴史や細かいうんちく抜きなら関心はあるが、歴史上の話や専門的な説明になると右の耳から左の耳に抜けていくので、何となく分かったように頷くしかない。

佐々木家で一番長い梁

遊び心のある引き出し

カナエに置かれてある家具がおもしろかった。ガイドさんに上の扉を開けてみてくださいと言われたので、小さな引き戸の取っ手に手を掛けるもピクリとも動かず。しかし直ぐにピンと来て、上段部分全体を手前に引いたら開いた。思った通り、引き戸に見せかけた引き出しだった。これはなかなか面白い。

佐々木家の屋根

佐々木家がある集落の他の民家は一般的な木造家屋のようで、古い町並み的な雰囲気は無く普通の住宅地と言った感じ。佐々木家手前の坂道にある民家の石垣に、色とりどりのつつじの花が咲いていたのが印象的だった。本当に何気ない町角風景だが、青い空と白い雲をバックに咲いている花はとても絵になる。石垣の家の裏手には小さな神社があったので、ついでに立ち寄り。極々普通の神社だった。

佐々木家の手前にある坂道

森神社

銚子ダム

(ちょうしだむ)

佐々木家住宅から西郷港の側まで進み、今度は島後の内陸部を一周するように通っている県道と国道を走る。まずは東寄りの県道を北へ進んで銚子ダムに立ち寄り。ダム駐車場には父親に撮影を頼まれたSL動輪のふたつ目があり、他に車が停まっていないうちにと先に写真撮影を済ます。そして水木しげるの妖怪オブジェもあった。

SLの動輪

ちょうちんお化け

割と新しいダム

ダム湖の伊賀湖

銚子ダムはそこそこ大きいが、ダムの形もダム湖の眺めも至って普通というか、特別印象のある場所ではなかった。ダムは放流されていて上から見下ろすも、特に迫力があるという訳でもなく。下から放流を眺めればもっと見応えがありそうだが、ダムの下へ行くには車で少し下流まで下りてダムの前まで戻るかたちになる。微妙に時間が掛かるし面倒だし空腹なので止めた。後になって時間に余裕ができて、やっぱりダムの下へも行っておけばよかったなと少し後悔する事になる訳だが。。ダムの管理事務所は展示室になっているらしいが、GWなのに閉館していた。

ダムの放流を見下ろす

ダム堤体

銚子ダムに着いたのがちょうど12:00で空腹だったので、ダムの端にある東屋で昼食。たい雑炊・缶詰のコンビーフ・スイートコーン・ツナコーン…コーンがダブってる。雑炊は湯せんした方がおいしいが、バーナーで湯を沸かすのが面倒だったのでそのまま。コーンは途中で飽きた。もう少し気の利いた保存食・インスタント食品を用意したかったが、買い物をしたのが旅行の2日前だったので仕方ない。保存の効くものなので早めに用意しておいても問題なかった。

ダムの端にある東屋

2日目の昼食

銚子ダムから北東に続く山道を進むと「岩倉の乳房杉」という観光スポットがある。しかし細く曲がりくねった山道を暫く走らないといけないので、計画当初から観光リストには入れていなかった。同じ理由で岩倉の乳房杉から2kmほど北にある「トカゲ岩」も。トカゲ岩は見物スポットからでもかなり遠くに小さく見えるだけという事もあり。無理して全ての観光スポットを周ろうとすると時間に追われ忙しくなる。あまりせかせかした旅にはしたくなかった。

かぶら杉

(かぶらすぎ)

銚子ダムから県道をさらに北へ進んで「かぶら杉」へ。根元辺りから幹が6本に分かれて上に真っ直ぐ伸びている珍しい杉の木。高さは約38mあり樹齢約600年との事。これはなかりインパクトがある。かぶら杉は道路脇にあり駐車スペースもあるので、目的地まで徒歩0分というお手軽スポットでもある。

それにしてもこの木のインパクトは凄い。比較したら申し訳ないが、1日目に観光した八百杉よりもずっと見応えがある。玉若酢命神社の八百杉、かぶら杉、観光しなかった乳房杉は「隠岐の島三大杉」と言われている。どうせなら乳房杉も観光すれば良かったかもしれないが、面倒だと思ったから今回はやはりパス。あまりガッツリ観光しないでマイペースに旅を楽しむ…それでいい。

かぶら杉にも妖怪オブジェがあった。「せこ」という名前の妖怪で、ものまねやちょっとしたいたずらをするらしい。せこ…変な名前。

かぶら杉にも妖怪オブジェ

せこ…という名前の妖怪

かぶら杉から県道をさらに北上し、朝に通った隠岐海苔田ノ鼻近くの国道に出て、白島崎入口を横切り西側に周りこむ。そして1日目に観光した福浦トンネルから少し西にある入浴施設へ。

長閑な風景の中を走って温泉へ

隠岐温泉五箇

14:00に「隠岐温泉 五箇」到着。ここが島後唯一日帰り入浴できる温泉施設(多分)で、前日に行きそびれた場所。入浴するには時間が早いが、別の場所を観光した後にここまで戻るのは時間の無駄になる。それにたまには昼間の入浴もいいだろうと。温泉の営業開始がちょうど14:00なので客はまだほとんどいないだろうと思いきや、高齢者を中心に何人もの客が入っていった。娯楽施設の少ない離島なので、日帰り温泉は住民憩いの場となっているのかもしれない。

打たせ湯や泡風呂、ミストサウナ等のスーパー銭湯的な設備があるが、それらは水着着用の混浴風呂という珍しいシステム。多分それぞれの設備がひとつあれば済むからと思われ。水着を着て入浴というのはどうも落ち着かなそうだし、賑やかな子供がいたので混浴風呂には入らず。男女別の浴場は普通の湯船がひとつあるだけだった。まぁ入浴できるだけでもありがたい。1時間ほどゆっくり入浴して、前日から潮風を浴びまくった体もすっきり。

あごなし地蔵

(あごなしじぞう)

国道をさらに南下し、夕日を眺めるために1日目の午前中に観光した夕日ヶ丘公園へ向かう。その途中に「あごなし地蔵」というものが国道から少し外れた場所にあり、名前だけで変わった地蔵があると勝手に思い込む。時間に余裕があるので立ち寄る事に。

あごなし地蔵の駐車場前には色とりどりのツツジが咲いていた。日差しを浴びて色鮮やかできれい。それはさておき、あごなし地蔵とやらは何処にあるのかと、境内の階段を上ってお堂の中を覗いてみるが、それらしい地蔵は見当たらない。お堂の周囲を見て周ってもやはり地蔵は無い。これはいったいどういう事だろうか。てっきり顎の無い地蔵でも祭られているのかと思ったが、どうやら違った。何気に立ち寄った場所で思わぬ発見!的な事をを期待したが、今回は失敗だった。

あごなし地蔵尊

お堂の中

前日に観光した玉若酢命神社の側まで国道を南下したところで、大きなスーパーマーケットを横切る。そのまま運転を続けつつ、何か食べ物を買えば良かったかなと考え始めたら無性にインスタントでも缶詰でも塩分過多でもないものが食べたくなり、スーパーに引き返す。

隠岐の島旅行中の食事は、基本的には予め用意したもので済ますつもりでいたが、予想以上に塩分過多&インスタントな味に早くも飽きてきている。残り2日間を持参した食事で無理なくやり過ごすには、ここで少しフレッシュな食事をして気分もリフレッシュしておいた方がいい。それにしても、このスーパーを食料調達の拠点にして島後観光をしていれば、食べ物を持参しなくても何とかなったと思われ。まぁ、今回の半自炊キャンプ飯はひとつの経験にもなるので無駄ではなかった。そういう事にしておこう。

立ち寄ったスーパー

弁当とサラダとチョコ菓子購入

時間はまだ16:00過ぎと夕食には早いので、夕食までの繋ぎとして軽く腹を満たす程度の食べ物を選んで購入。とりあえず弁当が食べたかったので、おにぎりといなりの入った小さな弁当を選び、それとおまけのマカロニサラダ、さらにチョコレート菓子も。急にチョコレートが食べたくなったが、塩気のあるものばかり食べていたから甘いものを欲していたのかもしれない。

西郷岬公園・夕日ヶ丘公園

(さいごうみさきこうえん・ゆうひがおかこうえん)

前日の昼に訪れた西郷岬公園に17:00到着。ここも相変わらず風が強い。デザインが気に入った西郷岬灯台を見物し、その奥の見晴台からも再度景色を眺望。隣の夕日ヶ丘公園から日没までの夕景を眺めるにはまだ時間が早いので、海を見渡せる東屋でスーパーで買ったものを食べる事に。これは昼食と夕食の間食ということで。いや、これが早めの夕食でその後に食べるのが夜食になるのかもしれない。

再び西郷岬公園

この灯台いいねぇ

東屋の長椅子の上に弁当やサラダを置くと、強風で動いて椅子から落ちそうになる。満タンの500mlペットボトルもガタガタと移動する程の強風で、食事をするには困難な状況。それでも海を眺めながら外で食事がしたいんだっ!と手足で上手く食べ物のパックや袋を押さえながら食べ始める。しかしちっとも落ち着いて食べられず、結局諦めて車の中で食べる。本当に隠岐の島の風は困りものだ。観光するにも食事をするにも苦労させられる。食後直ぐに眠くなったのでそのまま仮眠。朝からハイキングコースのような遊歩道を2ヵ所も歩いたのでさすがに疲れた。

西郷岬公園の東屋で食事

1時間ほど仮眠をして18:30を回ったところで夕日ヶ丘公園へ移動し、遺跡の高台に上がる。西側の空は雲が多く最初は太陽が雲に隠れていたが、少し待っていたら太陽が姿を現した。日の入り時刻は18:55頃なのでこのまま日没を待とうとしたが、ずっと強風にさらされているのは寒くてたまらず、西郷岬公園の駐車場に停めた車に戻り、夕日ヶ丘公園に車を移動して車内で日没直前まで待つ。

夕日ヶ丘公園からの夕景

車内で日没直前まで待機

夕日は西に移動しながら沈んでいき、台形の山の上に来たところで雲の陰に隠れ始める。沈みゆく太陽よりも下には雲が無いように見えていたので、まさかの雲隠れにガッカリ。まぁ、ここまで太陽が下がるまで見られたので、これは日没を見る事ができたと言っていいだろう。前日最後に観光した尾白鼻園地の展望台からは、もっと高い位置で太陽が雲に隠れてしまったし。

夕日が台形の山の上に

雲の後ろに隠れる太陽

日没後、夕日ヶ丘公園駐車場に停めた車を西郷岬灯台手前の駐車場へ移動。この駐車場は5メートルほどの高さがある土壁に囲まれていて、それがいい感じに風を遮ってくれるのではないかと期待していたところ、正にその通りだった。相変わらず強風が吹きっぱなしで周囲の木々は強くざわめいているが、駐車場は完全な無風。これなら風に悩まされる事なく食事ができる。本当にいい場所に目をつけたなと自分に感心する。それから他の観光客等がいなくてよかった。駐車場の片隅でキャンプ飯しているのを見られるのは恥ずかしい。

風をしのげる駐車場に移動

夕食の準備

1人ひっそりと麺をすする

19:30から夕食の準備を始める。準備と言っても車から荷物を出して椅子を組んで湯を沸かすだけだけど。旅行2日目の夕食メニューはカレーヌードル・ハヤシメシ・缶詰コンミート・缶詰マッシュルーム…塩分過多は言わずもがな。それでも前日の夕食ほど塩分過多に感じないのは、SPAMがメニューに含まれていないからに違いない。何となく買ったマッシュルームはカレーヌードルにぶち込んだ。それにしても、食事をする上で無風であることがいかに重要であるか、今まで考えた事も無かった。予定ではキャンプ飯は海岸で夜の海と星空を眺めながら食べるつもりだったのが、風の影響でトイレの横や駐車場の隅になってしまったのは本当に残念だ。

点灯中の西郷岬灯台

レンズの形が窓に映ってる

食事を終えてふと灯台を見ると灯りが点灯されていた。これぞ灯台という形のレンズ。朝に立ち寄った白島灯台は正直物足りなかった。自分は灯台マニアではないが、複数のガラスを組み合わせた灯台の丸いレンズには魅力を感じる。スチームパンク的な巨大ガジェット感がかっこいい。

早くも定着した寝袋車中泊

食事と灯台見物の後はもうする事も無く、歯磨きをして寝る準備。と言っても寝袋は前日から敷いたまま。毎日寝袋とエアマットを畳んで仕舞ってまた広げて…というのは面倒くさい。リアドアとリアハッチの窓には暗めのスモークフィルムが貼られていて、外からでは敷きっぱなしの寝袋はほぼ見えないので問題ない。車内からも外の風音が聞こえるが、車には一切風が当たらないので風音は遠くさほど気にならない。風が当たらないからか前日の就寝時よりも車内はずっと暖かく、半袖シャツ1枚とハーフパンツに着替えて寝袋に潜る。21:00就寝。