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その7  4日目

 

鬼舞展望所

(おにまいてんぼうじょ)

4:00に目が覚め、再度眠れそうにないので寝袋とマットを畳んで片付け、これから観光する場所や道路をスマホで確認しながら6個入りの菓子パンを全部食べる。これで朝食用に買ったパンは無くなった。4:30過ぎから空が薄っすらと明るくなり始め、空全体に雲が掛かっているのが判りガッカリするも、幸い雨は降っていないので日の出見物をする予定だった鬼舞展望所へ移動。前日夜に駐車場の先にいた馬の群れは居なくなっていた、よかった。丘の上にポツンと建つ東屋までは階段道が続いていて、それから先は芝と草が生える馬の放牧地が続いている。

展望所の丘に上る

鬼舞展望所駐車場に着いた時には既に朝焼けが始まっていて、丘に上がると東の空の雲がいい感じに赤く染まっていた。とても朝日は見られそうにない曇り空でも綺麗な朝焼けは見られるんだなと、これだけでも鬼舞展望所に来てよかったと思った。が、やがて対岸の山の後ろから眩しい朝日が姿を現す。

鬼舞展望所から眺める朝焼け

失敗写真だけどこれいい

朝日も雲間から

5:13に山の影から出てきた朝日は直ぐに雲に隠れ、暫くして雲間からまた姿を見せてと、前日に赤尾展望所から眺めた夕景の逆回しのような見え方。ともあれ、冴えない曇天の下で前日の夕日に続き朝日も見ることができて救われた気分。本当に何事も最後まで諦めてはいけない。

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展望所の東屋から南に延びる丘の上を歩いていくと、正面に知夫里島が見えてくる。知夫里島の全景を見下ろす眺めはなかなかインパクトがある。そして鬼舞展望所が結構高い場所にあるのだと気づかされる。今回の隠岐の島旅行で唯一観光できなかった知夫里島、できれば別の機会に訪れたい。

鬼舞展望所から眺める知夫里島

曇り空なのが惜しい

北西の眺め

太陽は日の出から30分ほどで完全に雲に隠れてしまい気分は一気に下がる。鬼舞展望所は本当に眺めのいい場所なので、晴れていれば暫くこの丘に留まり(一度車に戻り仮眠を取って、日が高くなってから再度展望所に上がるつもりだった)景色を堪能しているところだが、雨が降り出しそうな曇り空と彩度の低い冴えない風景をいつまで眺めていても仕方ないので丘を下りて車に戻る。隠岐の島観光初日から続いた奇跡の快晴は3日目昼過ぎまでだった。まぁそれでも、元はと言えば初日から雨天・曇天を覚悟で臨んだ旅行なので、初日から3日間快晴に恵まれたのは本当に運がよかったのだと思う。

国賀海岸の天上界

(くにがかいがんのてんじょうかい)

前日に赤尾スカイラインと赤尾展望所から眺めた天上界を観光するため、鬼舞展望所から北上して赤尾展望所の北にある国賀浜へ。海岸より一段高い場所にある駐車場から国賀浜まで下りていく遊歩道は工事中で立入禁止になっていて、仮設の遊歩道が設置されていた。

仮設遊歩道から海岸へ下りる

”から見た”×2!

仮設遊歩道の入口にある案内板の文章に誤字発見!「遊歩道から見たから見た天上界の奇岩」…”から見た”が2つ続いてしまっている。自分がHP制作でこんな文章ミスをたまにやるな、と思った。文章作成後の確認はしっかりしないといけない。

仮設遊歩道からは左手に赤尾展望所のある切り立った断崖、右手に天上界の岩々が並ぶ風景。スケールの大きい特徴的な海岸風景だが、日差しを遮った曇天のせいで気持ちのいい風景は見られずガッカリ。惜しい、本当に惜しい、青空と日差しを隠す雲が恨めしい。

仮設遊歩道からの眺め

象鼻岩…陸地からだとさっぱり

観音岩…陸地からだと”ロウソク岩”の方がしっくりくる

天上界にある岩のいくつかは特徴的な形を様々なものに見立てて名前が付けられている。象鼻岩・観音岩・蛙岩など。ただし名付けられた形に見えるのは海上からの眺めなので、国賀海岸を運航する遊覧船に乗らないと分からない。

国賀浜に出てまず目に留まるのが細く尖った観音岩で、それから観音岩より手前にある神社の鳥居。ふたつの鳥居をくぐった先には国賀神社の本殿となっている祠がある。変わったところに神社があるなぁという印象。ちなみに、国賀浜に着いたのは6:30と早かった事もあり観光客の姿は無し。景勝地を独り占めできるのはいいが、天気が悪く彩度の低い景色の中にぽつんと1人でいるのは物寂しさを感じる。

国賀浜

国賀神社ひとつめの鳥居

国賀神社ふたつめの鳥居と本殿

国賀浜から遊歩道を歩いて国賀海岸のハイライトとも言える通天橋へ向かう。海岸には特徴的な岩がいくつもあるが、天気が悪く気分が上がらずあまり写真は撮らなかった。

遊歩道を歩く

特徴的な岩がたくさん

<< SCROLL    天上界の岩々と通天橋 パノラマ写真180°    SCROLL >>

そして通天橋に到着。写真だと大きさがイマイチ分かり難いがかなり大きい。通天橋のようなアーチ地形は、海岸の洞窟(海食洞)の奥行きの部分の大地が崩れ落ちて作られる…と案内板に書かれてある。国賀海岸の地形は強い北西風と荒波に岩石が浸食されて形成されたもので、この侵食作用は今も続いているらしい。隠岐の島に強い風が吹くのは大昔から続いているのかもしれない。

通天橋

入れそうなので入ってみた

通天橋の前から国賀海岸のもうひとつのハイライトである摩天崖まで遊歩道が続いている。海抜257mある摩天崖の上までの道のりは1.8kmあり、ちょっとした山登りになる。このウォーキングコースは風光明媚な歩道などが選ばれる「遊歩百選」に選ばれていて、道中からは摩天崖の迫力ある断崖風景が見られる。晴れていれば遊歩道を歩いて摩天崖まで行こうと思っていたが、この天気では気持ちのいい景色を楽しめないので遊歩道を歩くのは止め、摩天崖へは車で行く事にした。

摩天崖

(まてんがい)

摩天崖入口

摩天崖から眺める赤尾展望所のある断崖

国賀浜から車で山道を上って摩天崖の上へ。標高250m台の高台は言うまでも無く強風。駐車場にある摩天崖入口には、放牧されている馬牛が出て行かないように扉が設置されている。扉を入った直ぐ左手にある公衆トイレの入口にも馬牛避けの扉が。トイレの扉を閉め忘れて用を足している時に馬牛がトイレに入ってきたらと考えると恐ろしい。駐車場ではなくわざわざ放牧敷地内にトイレを設置したのは何故だろう。糞を踏まないよう注意しながら摩天崖の先端へ向かう。

<< SCROLL    摩天崖駐車場側からの眺め パノラマ写真180°    SCROLL >>

摩天崖からは南に続く西ノ島の陸地を一望でき、鬼舞展望所がある西ノ島南端とさらにその先にある知夫里島まで見通せる絶景。これが快晴だったらどんなに素晴らしい光景だっただろうか…などと考えてしまう。しかしまぁ、前日からの天気予報では朝から雨となっていたところを曇りで留まっているだけまだ運がいい。

<< SCROLL    摩天崖先端側からの眺め パノラマ写真180°    SCROLL >>

摩天崖の先端まで行くと第二次世界大戦中の監視所跡がある。割れたコンクリートの板のようなものがあるだけで、元はどんな監視所だったのかさっぱり分からない。説明文によると半地下式で窓だけが陸上部に出ていたとの事なので、板のようなものは屋根だったのかもしれない。

監視所跡

あの断崖の上からの摩天崖の眺めがいい

摩天崖の先端からは、通天橋から摩天崖までのウォーキングコースのほぼ中間にある断崖がよく見える。あの断崖の上から摩天崖の迫力ある絶壁が見られる。せっかくなのでやっぱりウォーキングコースを摩天崖から歩いてみようかと一瞬考えたが、日差しを遮る曇り空と彩度の衰えた風景に気持ちが負けた。次回快晴の下で隠岐の島を訪れる機会があったら、その時に西ノ島と今回上陸できなかった知夫里島を隅々まで観光しようと思った。

摩天崖で西ノ島観光は終わり。旅行4日目は朝から曇天で各観光スポットに留まる時間が予定よりもかなり短かったため、8:00過ぎには西ノ島観光を終えてしまった。これで4日間の隠岐の島観光の全行程が完了。とりあえず空腹になったので、まだ残っている食料で調理不要な雑炊ふたつを摩天崖駐車場に止めた車の中で食べる。そしてお腹が満たされると眠気と疲労感。疲れがどっと出てきたようで、自宅のベッドでたっぷり睡眠を取りたい気分になる。運転席をリクライニングするだけよりもずっと安眠できる寝袋車中泊でも、やはりベッドのようにはいかない。予定では別府港15:15発境港行きのフェリーで帰路へ向かう事になっていたが、隠岐の島観光を終えたので直ぐにでも帰って自宅でくつろぎたい。フェリーの時刻表を確認したところ10:20発境港行きのフェリーがあり、電話で問い合わせたところ車両積載の空きがあったので予約変更。別府港へ向かう。

別府港

(べっぷこう)

別府港にも妖怪オブジェがあった

事前予約無しの1番って事かな

9:00に別府港到着。別府港はほぼ無風だった。乗船まで時間があるので港を少しブラブラ散歩してからターミナルで乗船手続きを済ませ、車両待機場に車を移動。そこからフェリーが来るのを暫く待っていると、9:50に中ノ島の菱浦港を出航したフェリーが別府港に向かってくるのが見え始め、10:10に別府港に着岸。大きな船が自分に迫ってくるのをじっと眺めていると、そのままこちらに突っ込んで来そうな威圧感とも重圧感とも言える凄みがある。

フェリー接近

着岸前に船首ハッチ開放開始

迫力あるよ

今回の隠岐の島旅行でフェリーに車を載せるのはこれで4度目。1回の車中泊旅行で4度もフェリーに車を載せて航路を移動するのは今回が初めて。航路を利用した離島旅というのは陸続きの旅には無いおもむきがあっていい。ただ、本土からあまり距離の離れた離島はフェリーの自動車航送運賃が高くなるのがネックだ…

フェリー着岸

最後の車両積載

フェリーに乗船しデッキに出ると、港の地面に描かれた一反木綿と目玉の親父を発見。それと紙テープを使った見送りの準備をする一組の乗客と見送り人の姿。出航時間になると船内に蛍の光の曲が流れ始め、野太い重低音の汽笛が鳴らされ出航。蛍の光、汽笛、テープ投げ、そしてありがとうの文字…あまりにも典型的というか古典的な別れの一幕のようだった。ひとまずさようなら、隠岐の島。

ありがとう隠岐の島

紙テープで見送り

さようなら隠岐の島

別府港から30分航行して知夫里島の来居港に寄港し、それから島根県本土の境港へ向けて出航。小腹が空いたのでフェリー内の売店でサンドウィッチとチョコレート菓子を買って食べ、後は境港に着くまで睡眠。この帰路のフェリーだけはほとんど揺れなかった。来居港から2時間半の航行で堺港に着くと小雨が降っていて、広島県へ向けて高速道路を走っている途中で雨は一時土砂降りに。高速道路の運転中に一度パーキングに寄ってトイレ休憩をしつつ、高速道路も一般道路も終始流が良く17:10に無事帰宅。