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その4  3日目早朝〜朝

 

2:30過ぎに目が覚めると、車内がちょっと寒い。もう一度寝ようと試みるが、寒さ以上に目が冴えてしまって眠れそうにない。とりあえずトイレに行こうと外に出ると結構寒い。道の駅にある気温計は13℃と表示されているが、もっと低いように感じる。そして上を見上げると満天の星空!これは都心では絶対に見れない眺め。この天気なら日の出が見られるかもしれないと思い、日の出見物によさそうな佐渡島東端側にある姫崎へ向けて、3:00に道の駅を出発。

姫崎(ひめざき)

独特な形をした姫崎灯台

灯台の灯

姫崎に着いたのは4:00少し前。海岸の見晴台へ続く遊歩道は足元が暗くてよく見えないので、カバンの中に入っていたLEDライトを点けて進む。道の途中には姫崎灯台が建っている。ロケットのような珍しい形の灯台。日本にある鉄造灯台の中で、稼動しているものとして最も古い灯台らしい。前日にフェリーから見えた灯台がこれ。さらに先に進んで見晴台まで行ってみると、確かに海は一望できるのだが何かパッとしない眺め。日の出時刻の4:45までまだ少し時間があるので、もっといい場所を探そうかとも思ったが、移動中に日の出が始まってしまったらマヌケなのでやめる。

日の出時刻まで30分以上時間があるので、しばし姫崎灯台の写真を撮って時間を潰す。灯台の写真を撮っているうちにだんだんと空が赤く染まってきたので、再び見晴台へ。灯台と見晴台の間にはキャンプ場があり、夜明け前からテントを出てお茶をしている人がいる。佐渡島の観光スポットには大抵キャンプ場があるような気がする。

残念な事に太陽が昇る方向には雲が広がっていた。それでも時間通り4:45に、雲の隙間から朝日が顔を出し始める。それから5分くらいで再び雲の中に隠れてしまった。雲さえなければ…しかしこれまでの旅行記を見返してみると、完全快晴の下で水平線から顔を出す朝日を眺めたのは、3年前の房総半島一周の旅以来だったりする。日の出も日の入りもなかなか満足のいくものは見られない。

雲に隠れた太陽は5分くらいで再び顔を出す。なかなか綺麗なのだが、やはり姫崎の見晴台からの眺めはロケーション的にインパクトが弱い気がする。風景の中に奇岩や巨岩などがあればもっと印象的な眺めだったと思われ。

姫崎から次の目的地に向けて海沿いの道路を走っている間も、日の出から間もない太陽とオレンジ色の朝焼けが視界に入る。2日前の天気予報では降水確率40%の曇りだったので、晴れることは全く期待していなかっただけに、こんな景色を見ることが出来て本当に嬉しい。

赤亀岩(あかがめいわ)

二つの亀のような形をした鉄石英の赤い岩で、真ん中に穴が空いている。朝日の逆光で岩の輪郭と松の木が強調されて印象的な眺め。そして岩の真ん中の穴には朝日が射しこんでいる。時間は5:00をまわったばかりで、赤亀岩の目の前にある道路を通る車は一台も無く静まりかえっている。こんな風に早朝の時間帯は観光客の姿もなく静かで、自分の心まで澄んでくるようで気持ちがいい。

穴から朝日が射す

赤亀岩のすぐ側に木造の見晴台があるのでとりあえず上ってみる。見晴台からは風島弁天という巨岩がよく見える。その岩の左端に細長い隙間が開いた部分が見える。自然がつくりだした形にしては違和感を感じるが、それでもやっぱり自然に出来たものなのだろう。不思議。

赤亀岩の祠

見晴台から眺める風島弁天

変わった形の岩

風島弁天(かざしまべんてん)

風島神社

頂上?目指して上る

岩から突き出た木

弁天様を祭る高さ60mの巨岩。岩の前には風島神社があり、鳥居をくぐった先には岩の上へ続く階段がある。岩の頂上まで上れるのだろうか、景色はいいのだろうか、興味がそそられる。時間には十分余裕があるので、上までまで行ってみる事に。石造りの急な階段を上っていくと、途中から緩い傾斜の土道に。そして幅狭な道の先には岩から水平に突き出た木が。何だか凄い道だ。この道の先に一体何があるのか、余計に期待が膨らむ。

風島弁天から眺める海岸線

透き通っていて綺麗な海

道は風島弁天をぐるっと周るように続いていて、周囲の海の眺めがとてもいい。海岸線の浅瀬は透き通っていて底がよく見える。曇りだった前日は佐渡の海がこんなに綺麗だと分からなかった。やっぱり自然の風景は晴れていないと映えないものだと実感。晴れてくれて本当によかった。しかしそれを考えると前日はもったいなかったとも思う。前日にまわった観光スポットを再度観光したい気分。いやしかし元々曇りを承知で佐渡まで来た訳だし、逆に天気予報が外れて晴れてラッキーだったと思うべきだろう。

道の終点

木のブラインドで海が見えない

風島弁天のシルエット

神社から階段を上り始めて10分弱で赤い鳥居に辿り着く。鳥居の奥にあるのは神社の社?とりあえずここで道は終わりのよう。風島弁天を上から見て、風島神社から反時計回りに半周ほどした辺りだろうか。赤い鳥居の周辺は木が生い茂っていて外の景色が全然見えない。見晴台でもあるのかと思っていたのでかなり拍子抜けしてしまった。結果として道は頂上まで続いていなかった上、外の景色を眺めることも出来なかったが、まぁこれはこれで良しとする。

日の出を眺めた姫崎から時計回りに佐渡島を南下していく。佐渡島の海沿いの道路を走っていると、集落とでも言うのだろうか、時々民家の集まりを通り過ぎる。何気ない風景なのだけど、のどかで落ち着いたいい景色。天気がいいとどんな景色もよく見えてテンションが上がる。

何気ない海岸風景

何でも絵になる

養老之瀧(ようろうのたき)

このごろ滝の見物は飽きてきているのだが、走っている海沿いの道路から近いという理由でついでに寄ってみる。海沿いから細い山道に入り、車で少し進んだ所に滝入り口の赤い鳥居。鳥居の横にある駐車場に車を停め、鳥居をくぐって遊歩道を進む。まだ6:00過ぎで木々に囲まれた遊歩道は薄暗い。そして人影もない。五分弱で滝に到着。

養老之瀧は落差30mの線の細い滝。う〜ん、やはりこれまでの車中泊の旅で沢山の滝を見てきただけに、この程度の規模の滝では感動出来なくなってしまったらしい。久しぶりに栃木県にある日本三大名瀑の1つ、落差97mの華厳滝が見たくなった。それにしても「養老の滝」という名の滝は日本中に複数存在している。「不動滝」や「白糸の滝」も多い。何故同名の滝があちこちに点在しているのだろう。偶然?

松ヶ崎(まつがさき)

養老之瀧から再び海岸沿いの道路を南下していると、海に映り込む白亜の灯台が見えてくる。灯台のある松ヶ崎まで行ってみると、そこはキャンプ場になっていた。佐渡島は本当にキャンプ場が多い。晴天の下こんな海の見渡せる場所でのキャンプ。気持ちいいだろうなぁ。実はテントでキャンプをしたことが一度も無いのである。

旧赤泊(きゅうあかどまり)

海沿いの道路に面した住宅地に入ると、丘の上に建つ展望台が目に留まる。なかなか立派な造りで見晴らしも良さそう。とりあえず寄っておこうと展望台へ続く住宅地の道路に入る。が、道狭っ!一瞬先に進むのを躊躇してしまったが、まだ時間も早く車の通りも無いだろうと希望的観測で先へ進む。狭い住宅地を抜けると続いて狭い山道に入り、展望台の駐車場へ。

城の山公園展望台

車を停めて展望台の入口へ行くと、まだ開館していなかった。外観の造りからして開放時間が管理されているだろうとは思ったが、案の定であった。現時間は7:30。開館は8:30。さすがにこの程度の展望台のために1時間も待っていられないので、諦めて引き返す。

海沿いの道路まで戻ると、「旧赤泊の町並み」という看板が目に入る。どうも歴史のある町のようで、住宅の中には昔の面影を残す風景があちこちにある。民家も昔ながらの木造家屋が多い。道が狭いのも昔のままだからなのかと納得。時間に余裕があれば町中を練り歩いてみたい所なのだが、天気もいいしまだまだ寄りたい所が沢山あるので、ちょろっと町の一角を覗いただけ。

古い造りの家

何かいい感じ

日本社会党掲示板!

旧赤泊を出るとすぐに「○○洞窟」と書かれた標識が目に入り、反射的に標識が指す方に右折し先に進むものの、本当にこの道でいいのか不安になり車を停める。と、そこは山の斜面に広がる茶畑?のような所の上で、水田風景と海岸線を一望できる場所だった。何てのどかで落ち着く眺めだろう。行楽客の集まる観光スポットもいいが、佐渡は何気ない住宅地や海岸線の風景も魅力的な所が多いと思う。

外を眺めていると、後方から一台の軽トラックが走ってきて自分の後ろに停車。軽トラから降りてきた地元民と思われるおじさんに洞窟の事を聞いてみると、やはり自分が来た道は違っていた。ただおじさんに言わせるとその洞窟は、ちょと窪みがある程度で観光するほどのものではないらしいので、行くのを止める。おじさんは何やら道具を持って茶畑?の中に消えていった。道を間違えて思わぬ景色と出会う。こういうのも旅の醍醐味。

さらにさらに南下を続け、持参の地図に「白壁の町並み」と書かれた辺りに差し掛かる。しかしそれらしき町並みは見当たらない。気になって辺りを右折左折して探してみるが、やっぱり見当たらない。地図の表記ミス?それともまさか、さっき通った白壁造りの味噌醸造蔵の事だったのだろうか。しかしあれだけでは「町並み」とは言えないし。頭の中にモヤモヤを残したまま先へ進む。と、水田に映り込む古民家の風景が目に入る。写真では何でもない一風景なのだが、その場では青空と暖かい日差し、ほのかにそよぐ風と自然の匂いを感じながら眺めるこの風景、とても癒されるのだ。

のどかな古民家風景