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その6  3日目昼〜4日目

 

佐渡金山(さどきんざん)

佐渡島を代表する観光スポットのひとつの佐渡金山。1601年から1989年まで金の採掘が行われていた場所で、江戸時代は幕府の重要な財源になっていたとか。佐渡金山のシンボルである「道遊の割戸」は、金山を試掘するための露天掘りの跡で、地表に金鉱脈が発見されたため掘り進み割れてしまったとか。

道遊の割戸(どうゆうのわれと)

道遊の割戸が見える所に案内板

佐渡金山のある大佐渡スカイラインに入ると、所々に「道遊の割戸が見えます」と書かれた案内板がある。確かに割れ目の部分は見えるのだが、どのビュースポットも周りの木々が邪魔して山の全景が見えない。もっといいビュースポットはないのだろうか。

大佐渡スカイラインを進んでいくと、佐渡金山の採掘場の建物が見えてくる。特に印象的なコンクリート造りの細長い建物は、壁面全体につるが張り巡らされていかにも廃墟な感じ。しかし工場などの廃墟と言うと、見た目や雰囲気が暗く負のイメージがあるが、ここは緑に囲まれ何だか落ち着いた雰囲気がある。

採掘場の廃墟

複数の建物が残されている

廃墟群のすぐ側には佐渡金山の坑道見学コースの入口がある。これは完全にノーマークだったが、折角ここまで来たので見学してみることに。坑道は江戸時代の金採掘の様子を再現した宗太夫坑コースと、明治から平成元年までの佐渡鉱山を紹介した道遊坑コースの2つ。初めて入館する人は江戸時代の宗太夫坑コースがお勧めとの事。両コース周ると見学に1時間以上掛かってしまうようなので、宗太夫坑コースのみを見学することに。ちなみに入館料は各コース800円。お得な両コース共通券は1200円。

坑道見学コース入口

入口から地下深くへ続く宗太夫坑コース

宗太夫坑コースは、原寸大の人形を使って江戸時代の採掘の様子を再現している。これがとてもよく出来ていて、当時の採掘方法や厳しい作業環境などの様子がよく伝わってくる。基本的に資料館等の見学施設にはあまり興味の無い自分ではあるが、この佐渡金山宗太夫坑コースは見ていて面白い。入館料ばかり高くて見応えの無い観覧施設も多いが、ここは料金分の価値は十分にあると思う。

手回しポンプで湧き水のくみ上げ

坑道の補強作業

神事の様子

坑道見学コースを出ると資料館へ。資料館には沢山の大判小判が展示されている。と言っても当時のものでは無く復元されたものらしい。綺麗な訳だ。同じサイズのものでも製造された時代によって金の含有率が違ったりする。なるほどなるほど。

宗太夫坑コースがおもしろかったので、明治から平成の道遊坑コースにも行ってみたい気がしたが、天気がいいので前日に訪れた大野亀まで行って2度目の登山をしようなどと考えていたため、道遊坑コースの見学は止めて先に進む事に。

大佐渡スカイラインに入ってから坑道見学コース入口までにある道遊の割戸のビューポイントは、何処も山の眺めがイマイチだったので、もっとよく見える場所はないかと大佐渡スカイラインをさらに進む。しかし暫く山道を上って辿り着いたビューポイントは、角度的に割れ目がほとんど見えなかった。これ以上先に進んでもいいビューポイントは無さそうだし、細く曲がりくねった山道が続きそうなので引き返す。海に囲まれた離島まではるばるやって来て、山道を長々と走る気分ではないのである。

道遊の「割戸」が見えない…

この旅行記を制作している時に知った事なのだが、入館しなかった道遊坑コースは道遊の割戸の目の前まで行けたり、道遊の割戸の全景を見渡せる公園を通ったりするコースだった。やっぱり道遊坑コースも行っておくべきだった…

秋葉山全景

上の方に社が見える

百足山神社(むかでやまじんじゃ)

佐渡金山から海沿いに出てすぐに、特徴的な小高い岩山とその上に建つ社が目に留まる。なんだろこれは!と興味を惹かれ、車を停めて山のふもとへ。そこには「秋葉山」と刻まれた岩が。そしてその側には「百足山大権現」と刻まれた石柱が。つまり秋葉山にある百足山神社という事なのか。山山と紛らわしいなぁ。鳥居から山を上る階段が続いているのだが、これがなかなか傾斜がきつく足幅も狭い。注意して上らないと足を踏み外して転げ落ちてしまいそう。しかしおもしろいものを発見した。前日同じ道を北から南下して来たが、その時はこの岩山に全く気づかなかった。

階段を上って社までは1、2分程度。下から見上げるほど大した高さではなかった。それでも社からの眺めはなかなかのもの。秋葉山のある石切町と海が一望できる。やはり個人的に佐渡島は、多くの観光客が集まるありふれた観光スポットよりも、こういう長閑な町の風景に魅力を感じる。ちなみに石切町は石切職人が沢山いた事からその名が付いたらしい。

御社様

海と石切町を一望

石切町の町並みを眺めていいて、海岸にある高台に建つ建物が目に留まる。建物の屋根よりも高い石灯籠が印象的。鳥居があるので神社だろうか。ちょっと気になる。しかしちょっと気になる場所を全部寄っていたらきりが無いので止めておく事にした。

ふと気づけば日差しが午前中よりも弱くなってきている。北側はまだ青空が広がっているのだが、反対の南側の空を見るといつの間にか一面雲で覆われている。その雲で日差しが遮られてしまっている。朝は快晴だったのに…しかし自宅を出発する時の天気予報では、佐渡2日目は降水確率40%の曇りだっただけに、ここまで晴れて運が良かったと言えるのだけど。とにかく大野亀の頂上に登るまではこれ以上曇らない事を祈りつつ車を走らせる。

佐渡を代表する観光スポットのひとつで、佐渡全体と日本海を広く展望できるドンデン山にも寄っておこうと思ったのだが、ドンデン山へ続く山道が残雪のため封鎖され通行不可と電光掲示板に書かれていたので諦める。前日フェリーで両津港に入港する時に見えた、残雪のある高い山が多分ドンデン山。

先に見えるのは大倉トンネル

細長い岩が立っている

前日に立ち寄った尖閣湾・平根崎・入崎を通り越し、集落道を走っていると正面に山が見えてきて、山の海岸側に細長い岩が立っているのが目に入る。またまた面白いものを発見、と車を道路脇に停めて海岸に出てみる。山の斜面に人為的に岩を立てたように見える。しかしそんな事はありえないので、やっぱり自然にああいう形になったのだろう。そういえば早朝に立ち寄った風島弁天も不自然な形をした部分があった。佐渡には巨岩・奇岩と変わった岩が沢山ある。それにしても南側の空に広がる雲の北への進行が早い。

大野亀(おおのがめ)

亀の甲羅のような形

頂上の善宝寺石塔が見える

残念な事に大野亀に着く頃には北側の空にまで雲が広がってしまった。しかしそれでも前日よりは明るく海も青く見えるし、後は帰るだけで他に寄る所も無いので、もう一度山登りをする事に。

前日のような蒸し暑さは無く、ほどよく風も出ていて山登りにはいい状態。しかし登山客は前日よりも少ない。やはり今回のGWは観光客が少ないのだろうか。個人的には助かっていいのだが。

この景色は快晴の下で眺めたかった

二度目の頂上からの眺めはというと…一面曇りっ。どうやら今回の旅では大野亀からの景色には縁が無かったようだ。ちょっと悔しい。善宝寺石塔以外何も無い狭い頂上で、30分ほどボーッと曇り空の景色を眺めていた。

車の燃料計を見ると針が残り2目盛くらいまで落ちている。しかし離島の佐渡島はガソリン代が高いので、フェリーで本土に戻るまで何とか粘りたい。燃費に気を使いながら車を走らせ、大野亀からフェリー乗り場のある両津まで戻って来て17:00。これで佐渡2日目は島を丸一周した事になる。予約してあるフェリーの出航時間は21:10とだいぶ時間があるので、温泉に立ち寄りのんびり入浴。入浴後に温泉内の休憩所のソファーに腰掛けテレビを見てくつろいでいると、完全に気が抜けて帰るのがおっくうになってきた。これ以上だらんとしていると居眠りしてしまい、本当に帰り損ね兼ねないので、20:00前に温泉を出てフェリー乗り場のある両津港へ向かう。燃料計の針はとうとう一番下の目盛まで落ちた。ギリギリ。

フェリーの出航まで1時間ほど時間があるので、両津で食事を済ませておこうと商店街に入ろうとしたら、祭りが行われている関係で車両通行止めになっていた。なのでとりあえず商店街から一本裏の道に入ると、長い直線道路の路肩には延々と路駐の車が並んでいる。これは全部祭りに訪れている人のものだろうか。どんな祭りなのか少し気になり、長い路駐の列に車を停めて商店街へ入る。

商店街の人通りはほとんど無く静かで少し拍子抜け。店や住宅の玄関先にはちょうちんが吊るされ、道路脇のあちこちには灯篭が置かれ、なんだかいい雰囲気ではある。そんな商店街を少し歩いていると、祭りで賑わう声が聞こえてきた。

幼稚園の敷地内で祭り

赤い面を着けた子供が太鼓に合わせて踊る

赤い鳥居の建つ幼稚園敷地内で祭りは行われていた。露店も並びいい感じに賑わっている。パッと見た感じ見物客のほとんどは地元の人のよう。大声でみこしをかつぐ若者や面をかぶり太鼓に合わせて踊り狂う子供、半被姿の男達によって延々と繰り返される独特な歌など、熱気と郷土色の強さを感じる祭り。

この人たちの歌が特に印象的だった

延々と繰り返される歌の様子

赤い鳥居の先へ行ってみると、道路を挟んで神社があった。こちらはほとんど人がいなく静か。再び賑やかな祭り会場まで戻りしばし見物。しかしフェリーの出航時間が迫っていた。もっと見物していたかったが仕方なく車に戻る。この祭りの事を事前に知っていれば、温泉の休憩所でのんびりテレビなど見ていないでもっと早い時間から祭りの見物をしていたのに。正に後の祭りであった。そして食事をとり損ねた。

八幡若宮神社

沢山のちょうちんが灯された商店街

両津港のフェリー乗り場に着くと、乗船待ちの車でぎっしりと埋まっていた。21:10発の最終便なのでそんなに混まないだろうと思っていたのだが、ここにいる車全部フェリーに収容しきれるのだろうかと思うくらいの数。自分と同じく、高速道路1000円効果による日中の渋滞を避けるため、深夜帯に高速を走ろうと考えているのだろうか。帰りのフェリーも予約しておいてよかった。

定刻通り21:10に両津港を出航。船内の軽食コーナーで空腹を満たそうと思ったら、営業時間外で閉まっていた。仕方ないので新潟に着くまで2等船室で横になる。

両津港フェリー乗り場

フェリーが新潟に着いたのは23:30。燃料計は遂に警告ランプが点灯。旅行1日目に給油したガソリンスタンドに行くと、予想通り給油待ちの車の列が出来ていた。フェリー乗り場から新潟亀田ICまでの道の間にある、唯一?深夜営業しているガソリンスタンドなのでここで給油するしかない。皆考える事は同じ。

給油して高速に入ったのがちょうど0:00頃。行きと同じく交通量が多い事は予想していたが、渋滞がいつ発生してもおかしくないくらいの交通量に驚く。ただ幸い流れはよく一気に東京まで走り、3:00に無事自宅に到着。

今回の旅は自宅と新潟までの往復でも佐渡島でも、1度も渋滞に遭わず運転でストレスを感じることは無かった。そのため走行距離が1000kmを超える旅だった割には、自宅に帰ってきた時の疲労感がほとんど無かった。