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その4  2日目

 

目が覚めて時計を見ると2:00。やっぱり寒くて眠れない。仕方ないので米子大瀑布の山道入り口へ向かう。入り口にある看板には米子大瀑布まで12kmと書かれている。結構距離がある。それと「全線落石注意」、「山火事注意」の看板も。そんな危険な山道を12kmも走るのか、暗闇の深夜に。「危険なので深夜の通行は避けてください…」みたいな事も書かれていたような気がしたが、よく見えなかったので気にせず山道に入る。

山道は特別危険な感じはしないが、道幅が狭くすれ違いが困難な所が多い。交通量が多いとちょっと大変そうな道。深夜なので対向車が来る事も無くサクサク進む。しかし細く曲がりくねった山道なのでスピードは出せない。走っている途中にも「山火事注意」の看板をちょくちょく見かけるが、頻繁に山火事が発生しているのだろうか?そんなに念を押されると不安になる。12kmの道のりを約40分ほどかけて米子大瀑布駐車場に到着。車は1台も停まっていない(当たり前か)。灯りもなく車のライトを消すと完全な闇。少し不気味。そして再び就寝。相変わらず寒い。

川をたくさん見かける

雨宿岩

積み石をたくさん見かける

6:00に目が覚め外も明るくなっていたので、車から降り米子大瀑布へ向けて出発。外はかなり寒くて上着が必要なくらいだが、持参してきてないので我慢。そして予想通り足は筋肉痛で重い。前日志賀高原で15kmも歩いたので仕方ない。そんな状態でまた山道を歩かないといけないのはちょっとしんどい。それでも素晴らしい景色を求めて米子大瀑布トレッキングコースに入る。

橋から眺める米子大瀑布

米子不動尊

駐車場から15分ほど歩くと小川に架かる橋があり、橋から断崖を流れ落ちる米子大瀑布が見える。滝までまだ距離はあるが、垂直に切り立った岩壁を流れる滝に「秘境」の風格を感じる。これは期待できる!2日目も天気に恵まれ青空。橋からさらに進んでいくと米子不動尊という寺が。米子不動尊は日本三大不動尊の1つらしいが、半分朽ちかけている感があり少し寂しい場所に感じる。そしてさらに先に進んでやっと滝が目の前に姿を現す。

米子大瀑布 不動滝

米子大瀑布

(よなごだいばくふ:長野県須坂市)

日本の滝100に選ばれている米子大瀑布。米子大瀑布は落差85mの「不動滝」、落差75mの「権現滝」の、2つの滝の総称。

よく見ると虹の上に薄っすらともうひとつ虹が

駐車場から30分ほど歩いて辿り着いた滝は米子大瀑布の2つの滝の1つ、不動滝。滝壺の目の前まで行く事ができ、そこから見上げる不動滝は正に壮観。垂直に切り立った断崖から落ちる落差85mの滝の迫力は伊達じゃない。霧状の飛沫を上げ滝壺に虹をつくる不動滝は、迫力だけでなく繊細さも感じる。正に「秘境」と言うにふさわしい場所。霧状の飛沫が顔に掛かり気持ちがいい。12kmも細い山道を車で進み、さらにトレッキングコースを30分ほど歩いて来た甲斐があった。

不動滝の側にある祠

米子大瀑布 権現滝

小川をたくさん見かける

不動滝からさらにトレッキングコースを歩き、不動滝と権現滝の両方を見渡せる場所に向かう。途中木々の隙間から権現滝が見える。権現滝は滝の流れが不動滝よりも直線的で真っ直ぐ下に落ちる感じ。トレッキングコースは権現滝の滝壺までは通っていない。滝周辺は道を造れないほど険しいのだろうか。

不動滝から15分ほど歩いて米子大瀑布の全景を見渡せる所までやってくる。目の前に巨大な壁のような岩山があり、その切り立った岩壁から落ちる落差85mの不動滝と落差75mの権現滝の眺めは、ただ迫力があるだけでなく、何か威厳に満ちたものを感じる。写真ではそれが全く伝わらないのが残念。周囲の山々の眺めも最高。この日も晴天に恵まれて本当によかった。

権現滝

不動滝

米子大瀑布の2つの滝を見ることができて大満足。しかし近くにもう1つ奇妙滝という滝があるので行ってみようか少し迷う。おそらく米子大瀑布ほど見応えのあるものではなさそうだし、何よりも足がかなり疲れている。しかしよほどの事が無い限り再訪する事も無いので、ここは少しがんばって奇妙滝まで行く事に。そしてふと気づいたが、駐車場からここまでの道のりの間に人の姿を1度も見ていない。まぁ自分の出発が早すぎるからだと思うが。

奇妙滝入り口

奇妙滝

奇妙滝

(きみょうだき:長野県須坂市)

15分ほど歩いて奇妙滝に到着。落差60mの岩壁を流れる滝で、滝壺の真下まで行く事ができる。さすがに米子大瀑布を見た後では感動はないものの、滝壺から見上げる奇妙滝もなかなか見応えがある。滝壺で浴びるマイナスイオンが気持ちいい。「奇妙山」から流れているから「奇妙滝」らしい。滝は特別奇妙なところは無い。

奇妙滝から駐車場まではほとんど下り道なのだが、奇妙滝に寄った分余計に歩いた事もあり、かなり疲労感が出てきて歩くのがしんどい。睡眠不足も原因の1つか。そんな状態で30分ほど歩いてやっと駐車場まで戻ってくる。ちょっと足がガクガク…もう本当に一歩も歩きたくない気分。そしていつの間にか暑い。1日目の大沼池に2日目の米子大瀑布。2日続けて秘境を巡るのは楽ではない。山を下りた所で給油。ガソリンは何とか持ち堪えた。

秘境米子大瀑布を見ることができたので後は帰るだけでもいいのだが、2年前の信州巡りの旅で計画倒れになってしまった、軽井沢の鬼押出し園と白糸の滝、野辺山の国立天文台の3箇所に帰りついでに寄ることにした。ついでにしては結構な寄り道になってしまうが、今回を逃したら今度いつこの周辺を訪れる機会が来るか分からないので。疲れて早く帰りたい気分に負けじと車を走らせる。

軽井沢に入りまず鬼押出し園に行くつもりだったが、思っていたより移動に時間が掛かってしまったのと、何だか面倒くさいので鬼押出し園はヤメ。浅間山の大噴火で出来た世界三大奇勝の1つなので惜しい気もするが、中学1年生の志賀高原林間学校の時に寄ったし(ほとんど記憶に無いけど)、要は一面溶岩の塊が広がっているだけだしいいや、と根拠の無い理由で納得。次の目的地の白糸の滝に行くため、有料道路の白糸ハイランドウェイに入る。米子大瀑布から約2時間で白糸の滝に到着。そろそろ車の運転も飽きてきた。

白糸の滝

(しらいとのたき:長野県軽井沢町)

軽井沢にある有名な滝。名前の通り無数の白糸が垂れているかのように流れる滝。多くの観光客で賑わっている。この滝、写真でみると随分と見栄えがいいが、実際は結構普通な感じで特別印象的という訳でもなかった。綺麗なのは確かだが。しかもこの滝は何度か台風に破壊され、現在の滝は人の手で復旧・整備されたものなので、半分は人工物という事になる。さらに駐車場が滝から徒歩5分程度の所にあり、駐車場周辺には売店が数件建ち完全に観光地化されてしまっている。なので余計に滝に辿り着いた時の感動が得られないのかも知れない。やはり名瀑は山の奥まった所にあり、多少苦労して辿り着けるくらいが達成感や感動があっていいのかも知れない。

駐車場から滝までの遊歩道の脇を流れる川

とにかく写真写りがいい

緑に囲まれ木漏れ日が射す遊歩道

滝返しの滝

滝返しの滝

(たきがえしのたき:長野県軽井沢町)

白糸の滝から白糸ハイランドウェイを5kmほど走らせた所にある滝。こちらは駐車場から林の中の遊歩道を10分ほど歩いた所にある。滝は小規模で有名な白糸の滝の影に隠れたマイナースポット。観光客も少ない。しかし駐車場から滝までの遊歩道は緑に囲まれた雰囲気のいい所なので、散歩がてら自然浴するにはいい場所。

JR線で最も標高の高い駅

軽井沢から最後の目的地の国立天文台野辺山に向けて南下。1時間半ほど車を走らせ天文台の近くまで行くも何処だかよく分からない。子供の頃に1度訪れた時は、巨大なパラボラアンテナが遠くからも見えた記憶があるのだが。1度車を停めて確認しようとしたら、偶然JR(旧国鉄)の駅で最も標高が高い野辺山駅の前に来たので寄ってみる。なるほど、至って普通の駅だ。野辺山駅の近くにJR全路線の最高地点があるので、余裕があれば後で寄ってみようと思いつつ、天文台へ向かうといつの間にか通り過ぎて峠道に入ってしまい、野辺山高原平沢峠の見晴台にたどり着く。平沢峠からは名山八ヶ岳を一望。道を間違えて思わぬ発見。来た道を少し戻って今度こそ天文台へ。

標高1,345.67m

野辺山高原平沢峠から八ヶ岳を一望

ミリ波干渉計

45m電波望遠鏡

国立天文台野辺山

(こくりつてんもんだいのべやま:長野県南牧村)

正しくは、国立天文台 野辺山宇宙電波観測所/野辺山太陽電波観測所。「ミリ波」という電波を観測する電波望遠鏡(パラボラアンテナ)の中で、アンテナ径45mもある世界最大級の電波望遠鏡がある観測所。他にはアンテナ径10mのミリ波干渉計が6台、さらに小型のアンテナがいくつもある。しかし20年ほど前に訪れた時の記憶では、もっと沢山のミリ波干渉計が1列にずらっと並んでいたのだが、記憶が誇張されたのか実際にアンテナが減ったのか、ちょっと拍子抜けしてしまった。ミリ波干渉計からはモーター音のような機械音を出している。ほとんどのアンテナが上を向いているということは、何かを観測中なのだろうか。

全部で84台もあるアンテナ径80cmの太陽専門望遠鏡

世界最大の電波望遠鏡は間近で見るとさすがに迫力がある。アンテナ径45mというのが、世界的に見てどれくらい凄いものなのかはよく分からないけど。この日はパラボラアンテナは真上を向いていて、アンテナ正面部分を見ることが出来なかったのが少し残念。20年ほど前に訪れた時はアンテナ正面が横を向いていて、その巨大な円形の人工物が天文台から離れた場所からもはっきりと見え、少し不気味に感じた事を今でも覚えている。

直径45mの電波望遠鏡

間近でみると迫力ある

JR鉄道最高地点

「最高地点」という文字に釣られ、予定通りJR鉄道最高地点に立ち寄る。鳥居の後にある祠には車輪が奉られてある。それ以外他に何があるという訳でもなく。標高1,375mはさほど高所ではないと思った。JR以外の鉄道で、もっと高所を走っている高山鉄道などがあるだろうし。それにしても外は暑い。暑くてしょうがないので、最高地点の目の前にある売店でソフトクリームを買って食べる。そして時間は14:00を過ぎたところ。高速道路を使えば19:00頃には家に着くかなぁ、などと考えながら帰路へ向けて出発。

JR最高地点を出発してから道路はすぐに渋滞。のろのろ運転が続き眠くなってきたので、最寄の道の駅に車を停めて仮眠。30分ほどで暑くで目が覚めて出発。眠気は取れたが道路は相変わらず渋滞気味。早く高速に乗ってスゥーっと東京まで行きたい、と思いながら最寄の高速ICの近くまで来ると、高速の道路状況を知らせる電光掲示板には2ヶ所のトンネルで長い渋滞の情報が。こりゃ高速はダメだ…という事で一般道を進む。それから次の高速IC、次の次の高速ICと、近づくと目にする電光掲示板には相変わらず長い渋滞情報。仕方ないので高速道路は諦める。高速料金払ってのろのろ運転ではたまらない。世間では度重なるガソリン高騰が騒がれているが、それで車を利用する行楽客が減るものではないらしい。結局自宅に着いたのは予想より2時間も遅い21:00過ぎ。翌日の仕事が辛かったのは言うまでも無い。