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その5  2日目昼〜夜

 

奈良井宿

(ならいじゅく:長野県塩尻市)

国の重要伝統的建造物郡保存地区に指定されていて、かつての宿場町の風情を楽しむことができる奈良井宿。沢山の観光客で賑わっていた。土産物屋ばかり目立つのが少し気になるけど…観光地の定めか。13:30をまわってだいぶお腹も空いてきた。気温はだいぶ上昇してかなり暑くなってきたので、さっぱりと信州名物のそばでも食べようと思い、ちょうど目に入ったそば屋に入るが満席。散歩がてら少し歩いて見つけた別のそば屋へ。

アイスクリームの看板はちょっと…

奈良井宿を代表する建物らしい

ざるそばを注文して暫く待っていると(結構待たされる…)外は急に土砂降りの雨。いいタイミングで店に入った。にわか雨ですぐに止んだが天気は不安定のよう。そばを食べてから奈良井宿を少し散歩するが、人の多さと土産物屋ばかり目に入ってイマイチ昔の宿場町の風情を味わえない。なので早々に駐車場に戻り次へ進む。

奈良井宿を出てさらに木曽路を南下しているとまた土砂降りの雨。しかも今度の雨は車のワイパーを最強にしないと前が見えないほどの物凄い豪雨。車の流れが一気に悪くなりのろのろ運転に。次の観光予定地だった光善寺の近くまで来ても一向に雨は止まず、仕方ないので光善寺の観光は諦めて先に進むことに。それから暫くして雨は止む。

寝覚の床

(ねざめのとこ:長野県上松町)

木曽路観光の中でも特に楽しみにしていた寝覚の床。木曽川の急流が岩を浸食してできた奇勝で、鋭角に侵食した白い岩が印象的。岩の上は歩いて渡ることができる。若干険しい所があるので、足を滑らせないように注意して岩を渡って行き、辺りで一番高い岩まで行くとお堂のような小さな建物が建っていた。

鋭角に侵食した岩

浦島太郎を祭る浦島堂

岩の一番高い所に建っているのは、浦島太郎が弁財天像を残したと言われている浦島堂。ここは浦島太郎が竜宮城から持ち帰った玉手箱を開けた場所とされていて、箱から出た煙で一気に年老いて「竜宮での出来事は夢であったのか…」と目覚める思いをしたことから、「寝覚の床」という名が付いたらしい。

土砂降りの雨から再び晴れて、日焼けした両腕がジリジリと痛む。かなり痛む…車に戻ったら日焼けスプレーを多めに吹きつけ、冷房を最強にしてエアコン吹き出し口に腕をかざして冷やす。明らかに日焼けが旅に支障を来している。十分に冷やしたところで、ハンドルを握った状態で両腕に冷房の風が当たるように、エアコンの噴出し口を調整して出発。これがなかなか効果的で実に気持ちい。もっと早くやればよかった。

柿其渓谷

(かきぞれけいこく:長野県南木曽町)

柿其渓谷はマイナースポットで、緑色の川が美しく美景観のオンパレードなのに観光客が少ない穴場、と書かれた個人HPを見て興味をそそられ寄ってみる事に。柿其渓谷への山道は随分狭く、観光地へ続く道という感じではないので、不安で道を間違えていないかナビで確認しながら進む。車がすれ違うのも困難な道ばかりなので、車の通りが多いと大変な事になる。しかし実際は車の通りはほとんど無く、3kmほどの道のりの間にすれ違ったのは2台ほど。

駐車場に車を停め遊歩道へ入る。川沿いの道を歩いて直ぐに、恋路橋というつり橋に出る。橋の通行は一度に5人まで、と書かれた看板がある。橋を歩くと結構揺れるし確かに一度に沢山通るのは危ない感じ。橋の周囲には川辺で遊ぶ家族連れが1組いるだけで、他に人の姿は無い。16:30と微妙な時間というのもあるかも知れないが、ここは本当にマイナースポットなのかも知れない。つり橋を渡って川沿いの道をさらに進んで、柿其渓谷一番の観光スポットの牛ヶ滝へ向かう。

渓谷を流れる川は透明度が高く、本当に綺麗な緑色をしている。滝へ続く道は川に沿ってあるので、美しい川と渓谷の景色を楽しみながら歩くことができる。恋路橋から先は誰もいなく、ここは本当に穴場なのだと思った。渓谷までの山道が不便だから人が来ないのだろうか。いずれにせよこういう綺麗な景色がある場所は人がいない方が落ち着くし、景色を独り占めした気分になれていい。滝へ続く道は途中から急な登り階段が続いたりと、少々険しくなる。

牛ヶ滝

恋路橋から15分ほど歩いて牛ヶ滝展望台に到着。案の定ここにも人はいない。少々険しい道のり(と言っても、一応整備されてはいる)を経てたどり着いた滝は、切り立った岩に囲まれていてちょっとした秘境的な雰囲気がある。展望台から眺める限りはそれほど大きな滝には見えないが、岸壁を勢いよく流れ落ち、「ゴォーッ」っと大きな音を出していて迫力がある。まるでジェットコースターのよう。滝壺も美しい緑色。

展望台に立ち滝をしばし眺めていると、足元が揺れている感じがするのに気づく。実際は展望台が揺れているのではなく、恋路橋を渡った時の揺れの感覚が残っているらしい。橋を渡るのは一瞬だったのに、ここまで引きずるということは、体が疲れてきているせいだろうか。

滝から戻る途中、川の水に触れてみたらとても冷たくて気持ちよかったので、素足になって両足を浸ける。前日からかなり歩き回っているので足にも疲れが出てきた。まだ時間に余裕があるので暫くここで休憩。車のエアコンの効果があったのか、両腕の熱はだいぶ引いたように感じるが、今度は額に痛みを感じるようになってきた。手ですくった水を額に浸すととても気持ちいい。30分ほど休憩して足もすっきり。18:00柿其渓谷を後にして、信州巡りの旅最後の目的地に向かう。

柿其渓谷を出て木曽路の国道を南下していたら、道路の上を横切る一風変わった橋を発見。気になり車を停めて橋の入り口まで行く。橋の木の部分は真新しい感じだが、橋脚と主塔は随分歴史を感じるものだったので、そのアンバランスさが視覚的に関心を持たせた。この橋は木曽川に架かる「桃介橋」と言って、全長約250mもある長い歩道つり橋。大正11年につくられ老朽化したものを、平成5年に復元したもの。もとは発電所建設のための運搬路で、トロッコのレールが敷かれていた。完成当時は国内最大の橋だったらしい。それだけの歴史的な橋にもかかわらず、何故か持参した信州ガイドブックには載っていなかった。

橋の反対側まで渡ってみようか迷っていたらまた雨が降ってきた。寝覚の床に着いてから天気がよかったのに、空はいつのまにか雨雲でどんよりしている。傘を持ってきてなかったので慌てて車まで走って戻る。

妻籠宿

(つまごじゅく:長野県南木曽町)

信州木曽路にある十一の宿場の中でも、江戸時代の宿場の姿を特に色濃く残すのが妻籠宿。江戸時代そのままの家並みが約500mも続いている。ここは夕方を過ぎると人通りが無くなり、店の看板に灯が点って風情ある昔の風景を見ることができるというので、日が落ちる少し前を狙って予定を組み、ほぼ予定通りの18:40に妻籠駐車場に到着。しかし桃介橋から降り出した雨は本降りの強い雨になり、観光できる状態ではないので車の中で雨が止むの待つ。広い駐車場に車は他に1台だけ。妻籠宿の観光は夕方までが一般的らしい。15分くらい待っていると雨が小降りになったので車から降りて妻籠宿へ。宿場町へ入ってまず感じたのが匂い。ほのかに木を蒸したような匂いがする。そして何処も店を閉じていてシンとしている。なるほど、夕方を過ぎると店が閉まるから観光客がいなくなるのか。妻籠宿の宿泊客だろうか、たまに風呂上りの様相をした人とすれ違う。

写真を見ての通り生憎の曇り空で、ガイドブックに載っていた写真のような、夕日で赤く染まった幻想的な妻籠の町並みを見る事はできなかったが、夕闇の中灯の点った妻籠宿は正に江戸時代の宿場町の景色そのものだった。

妻籠の人達はこの町並みを保存する為に「売らない・貸さない・壊さない」の三原則をつくって生活しているらしい

妻籠宿の観光を終え駐車場を出たのが19:40。後は帰るだけ…なんだけど、その帰路が300kmはある。かなり疲れているので考えただけで気が遠くなる。それでも旅費を抑えるためにできるだけ一般道を走ろうとがんばる。対向車線を走る車のヘッドライトが眩しくて目が辛い。22:00を回っても予想以上に進んでいない。あと4時間後には車を返さなくてはならないのに…体力的にも時間的にも限界が来たので中央自動車道伊北ICから高速に入る。高速道路は時折降る強い雨や霧であまりスピードを出せず、疲労で集中力も落ちているのでいつも以上に注意して走行。東京の高井戸ICまでの200kmの道のりをひたすら走る。高井戸ICを下りたのは日が変わった0:00過ぎで、都内の道路もさすがに流れがよく自宅近くのレンタカー営業所に0:45到着。2日前の2:00に出発してからほぼ丸2日。今回は本当に疲れたし日焼けで酷い目にも遭ったが、いい景色を沢山見ることができて大満足な旅であった。