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その1  1日目朝

 

10月にもなると日照時間は短くなり、旅行期間の日の出時刻は5:40で日の入時刻は17:15。日照時間中にできるだけ沢山観光するには、最初の目的地の鳥取砂丘に6:00には到着するようにしたいところ。しかしそうなると深夜2:00には自宅を出発しないとならない。ちょっとそれはしんどいと感じたので、少し妥協して3:00に自宅を出発。ちなみに、今回の車中泊旅行から三代目プリウスが旅の脚。これまでの車中泊旅行は、東京発では燃費と小回りを重視してレンタカーのコンパクトカーを利用、広島発ではマイカーのホンダ・フィットを利用してきた。フィットから乗り換えたハイブリッドカーのプリウスでこれまで以上に燃費が向上する事に期待。

初のハイブリッド車中泊旅行

自宅最寄の西条ICから山陽自動車道に入り、深夜の高速道路を淡々と運転。岡山Jctで岡山自動車道に入ると他の車の姿が無くなり、数十キロの間前後に車が全くいない状態に。おかげで快走でき予定通りに車は進んでいく。そして北房Jctで中国道に入り、西条ICから200kmほど高速道路を走ったところでPAに入り休憩。もう若くないので高速道路の長距離移動は疲れる… それからさらに50kmほど進んだ辺りで、車中泊の旅史上初の重大な失態を犯していたことに気づく。綿密な旅行計画を書き込んだレポート用紙と観光地散策マップのコピー、そして愛用の道路地図を自宅に忘れてきてしまった。動揺と共に何故置き忘れたのかを思い返すも全く分からない。完全なうっかり忘れとしか言いようが無い。そして自宅出発から2時間が経ち250kmも進んでいるので、今更引き返すわけにもいかない。一瞬の間途方に暮れるも、スマートフォンとカーナビがあるので何とかなるのではないかと、我に返り頭を働かせる。今回の道のりは単純で、基本的には鳥取砂丘から天橋立まで海沿いに走るだけで、大まかな旅行計画は頭に入っている。なのでスマホとカーナビで道のりと観光スポットを確認しながら進んでいけば、問題なく計画通りの旅行ができるのではないかと。そう考えたら気持ちが落ち着き、一度はこういうアクシデントを経験するのもいいかなと思えてきた。しかし今回のような2日間の小旅行だから何とかなるものの、長期間の旅行だったらさすがに引き返すしかないと思われ。以後忘れ物には本当に気をつけないといけない。

鳥取砂丘

(とっとりさきゅう:鳥取県鳥取市)

中国自動車道から佐用Jctで鳥取自動車道に入り、さらに鳥取自動車道無料区間、山陰自動車道と進み、鳥取西ICで高速を下りて鳥取砂丘へ。到着が7:00と計画通りに進んでこられたのだが、天気予報通り空には雲が広がり日差しは遮られ、広大な砂丘風景はパッとしない眺め。まぁ今回の鳥取砂丘訪問は日本海沿いドライブのスタート地点として立ち寄っただけだし、4年前の車中泊旅行では快晴の下で砂丘観光できているので良しとしよう。

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馬の背を目指して砂丘を歩く

馬の背の急斜面

それでもせっかく立ち寄ったのでざっくり観光することに。海沿いにある馬の背と言われる丘の上まで歩いて登る。観光するには少し早い時間で天気も良くないのだが、三連休の中日だからか思っていたよりも観光客の姿が多い。馬の背からは日本海を一望できて快晴ならいい眺めなのだが、曇っているとやはり景色が映えない。快晴時の風景写真はこちらの旅行記を参照→「鳥取・島根・山口 中国地方日本海ちぐはぐ縦断

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前日は雨が降ったため砂が雨を吸っていて、砂が少し硬いと感じる。乾いている時よりも砂が舞い散らないのはいいが、それでも砂丘を歩き回っていると靴の中には砂が入り込み、ズボンの裾にも砂が結構付着。鳥取砂丘観光後は靴と靴下を脱いで念入りに足の砂を払った。砂で汚れるのがイヤであれば、長靴を持参するなどの対策が必要。

スニーカーでは砂まみれになってしまう

砂漠の中に立っているように見える?

鳥取砂丘を40分ほど散歩してから次の目的地へ向かう。途中で空腹になったのでコンビニに立ち寄り軽く腹ごしらえ。空の様子は雲間から日が差すようになり、これから次第に晴れていきそうな予感をさせる空模様。天気予報通り曇りのち晴れになってくれないと困る。

ふと自分の車を見ると結構汚れいることに気づく。前日の雨で路面が濡れた高速道路を走り、さらに山間部の走行が多かったためフロント周りは虫の死骸が目立つ。そして毛の付いた動物の皮膚片らしきものと血と思われる赤いものが、バンパーと右ドアミラーに付着していた。高速道路を300km弱走った間に何度か動物の死骸を見かけたので、死骸片を踏んだのかもしれない。さすがにこのままドライブするのは気分が悪いので、仕方なくウエットティッシュできれいに拭き取る。今回の旅は序盤からアクシデントが多い… 気を取り直して次の目的地である浦富海岸へ向かう。

コンビニから眺める空模様

浦富海岸

(うらどめかいがん:鳥取県岩美町)

海岸寄りの曲がりくねった山道を進み、浦富海岸を散策できる自然探勝路の入口がある鴨ヶ磯展望駐車場に車を停める。そして展望所からの景色を眺めるのも忘れ探勝路へ入り、海岸まで続く階段を下りていく。長い階段道を歩いていると波の音が聞こえてきて一気に気分は上昇。波がほとんど無い瀬戸内海で普段は活動しているため、はっきりと響く波のを音を聞くのは久しぶりで気分がいい。

探勝路の階段を下りていく

水尻洞門

階段を下まで下りて海岸に出たところに水尻洞門。天気は待ちに待った晴れ間が広がり、空も海も青く明るく気持ちがいい。自然探勝路は約3km続いていて、洞門や奇岩などが点在している。自分が散策を始めた場所は自然探勝路の中間辺り。端から端まで歩くと時間が掛かるし疲れるので、案内図を見て適当に周る事にした。

水尻洞門

水尻洞門周辺

案内図によると水尻洞門から少し西に進んだ所に展望台と灯台があるので、とりあえずそちらへ向けて歩く。道は木々が生い茂っていて外の景色がほとんど見えず、未舗装で少々歩き難い場所もある。そして気温はぐんぐん上昇して暑くなってくる。鴨ヶ磯展望駐車場でシャツを長袖から半袖に着替えておいて正解だった。

木々の生い茂った探勝路を進む

少々足場の悪い道もある

時間は9:00をまわり、正に自然探勝日和な快晴になったのだが、未舗装の山道のような道だからか観光客の姿はほとんど無い。道路沿いにも浦富海岸を眺望できる展望スポットがあるので、わざわざ自然探勝路を歩こうという人は少ないのかもしれない。そんな探勝路を歩いていくと景色の開けた眺めのいい場所に出る。どうやらここが案内板の示す展望台のよう。確かに眺望のきく場所ではあるが、特に印象的な眺めという訳でもなく。まぁ晴れてくれたお陰でいい眺めではある。それにしても暑い、軽いハイキングで汗だくになってしまった。

展望台からの眺め

これが指す先は…

道とは言えない道に

展望台には灯台へ向かう道の分岐点が。灯台までは300mとなっているが、行き先表示が指す道はパッと見では道だと分からないほどに木々が生い茂り、完全に獣道状態。さすがにこんな道は歩けない。水尻洞門から歩いてきた道をそのまま進んでいけば灯台まで行けそうなのだが、案内図を確認すると水尻洞門からこの展望台までの道のりの倍程度の距離がある。暑い中これ以上ハイキングはしたくないし、車まで戻るのが大変になるので灯台は諦め引き返す事に。ま、灯台マニアではないのでいいさ。

展望台から水尻洞門まで戻り、そのまま海岸沿いの探勝路を東へ進んでもうひとつの洞門、酒宴洞門を目指す事にした。ところで洞門とは何なのか調べてみたところ、ほら穴の入口の事らしい。洞穴の入口だから洞門、当たり前の事か。では洞穴と定義される穴とそうではない穴の違いは、洞穴と洞窟の違いは何だと考え出したら切りが無いので考えるのを止めた。

こじんまりとした砂浜に出る

透き通った海水

水尻洞門から少し歩くと小さな砂浜に出る。岩場に囲まれたこじんまりとした砂浜に自分以外人の姿は無く、シークレットビーチのような雰囲気。海水がとても綺麗で浅瀬の水底がはっきりと見える。自分が車中泊旅行で求めているのはこういう場所だと思った。観光客で賑わう有名スポットよりも、質素ながらも景色がよく落ち着けるマイナースポット。

これは洞門ではない?

特徴的な岩が点在する

岩場の歩道に上がり

さらに先へと進む

砂浜を横切って岩場につくられた歩道に上がり、さらに先へ進んでいく。この辺りは三角に尖った特徴的な岩が海面にいくつか浮いていて眺めがいい。山道が続く水尻洞門から西側よりも、水際を歩き海岸風景を間近で楽しむことができるこちら側の方が、海岸散策を楽しめるし疲れないで済むのでいい。

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探勝路の途中には「露軍将校遺体漂着記念碑」なるものが。日露戦争終結後に漂着したロシア軍将校の遺体を埋葬した事から碑が置かれたらしいが、歴史に疎い自分からしてみればそんな事で記念碑をつくってしまうのかというのが正直な感想。漂着したのが将校ではなく一般兵だったら記念碑はつくられなかったんじゃないかと思う。

歩いていて楽しい遊歩道

露軍将校遺体漂着記念碑

探勝路をさらに進んでいくと別の砂浜に出る。階段を下りて砂浜に出たところに砂が堆積していて、またしても靴に大量の砂が入ってしまった。また後で靴と靴下を脱いで砂払いしないといけない… 砂浜の反対側に目的地の酒宴洞門を発見。

さらに先へと進む

酒宴洞門がある砂浜

こちらも綺麗な海岸風景

海中観察中

砂浜で景色を眺めていると何処からかボートが一艇やってきて、海岸より少し離れたところで停止。そして乗船客がメガホンのような形をした道具で海中を覗き始めた。浦富海岸特有の魚か海草でも見られるのだろうか。それとも単に海水の透明度高く水底までよく見えるので海中観察しているのか。いずれにせよ、あのような道具で海中観察した事が無いので自分も一度やってみたい。

酒宴洞門

酒宴洞門

酒宴洞門は砂浜の上にあり(満ち潮になると海中になりそう)、反対の出口まで人が通れる穴が数メートル続いてる。自然探勝路は酒宴洞門からさらに先へ続いていて、数多くの奇岩・岩礁が点在する城原海岸まで行けるのだが、これ以上進むと車を停めてある鴨ヶ磯展望駐車場まで戻るのに時間が掛かるし、すでに浦富海岸の観光時間が予定よりオーバーしているので引き返す事に。旅行計画時は軽く立ち寄る程度で済む場所だと思っていたが、いざ探勝路を歩いてみると予想以上に散策の楽しい場所だった。そしてこれだけ楽しめたのは天気のお陰でもある。天気予報通り曇りから晴れに転じてくれて本当によかった。

人が通れる細い穴が続いている

車に戻り東に1km弱運転して城原展望所へ。ここはかなり景色の開けた場所で眺めがよく、複数の観光客の姿があった。断崖の上に位置する城原展望所からは、自然探勝路の東端になっている城原海岸を一望。

城原展望所

城原展望所からの眺め

洞門らしき穴が見える

城原展望所からの眺めは悪くは無いが、少し物足りなさを感じてしまった。広い景色を眺望できる展望スポットからの眺めもいいが、先に観光した自然探勝路のように海や岩場を間近に見られる場所の方が、より自然を感じる事ができて良いのかもしれない。ただ、そのような観光は自分の脚で歩いて周らないといけないので、時間を多く消費する事になる。次回以降で自然散策する場合は、旅行計画時に観光時間を多めに見積もるようにしよう。