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その3  1日目昼〜夜

 

今子浦から先はカーブとアップダウンの多い海岸沿いの道路を暫く進む。鳥取砂丘から日本海ドライブをスタートしてここまで、終始交通量は少なく快適なドライブができている。旅行するには気温的にも快適な10月の、しかも三連休中とは思えない空き具合。今回の日本海ドライブの出発地である鳥取砂丘から最終目的地である天橋立までの間には、県を代表するような際立った観光スポットがあまり無いからかもしれない。ともあれ、おかげで道路も観光地も空いていて気持ちよく旅を楽しめる。

山番

山番からの眺め

ワインディングロードを気持ちよく運転していると、道路脇の小さなパーキングに建つ小屋に目が留まり車を停める。小屋は「山番」という昔の漁の見張り小屋で、魚が海面で群れて跳ねているのを見つけて旗を振り、村人に合図をして地引網で漁をしていたらしい。昭和35年ごろには魚がいなくなって地引網はできなくなった、と説明書きがある。この小屋は当時のものを復元したものと思われ。

ここから先は、当初の旅行計画では立ち寄る予定が無かったが、スマホとカーナビで行き先確認をしていて見つけた観光スポット数ヶ所を続けて周る事に。これで当初の計画で旅行1日目に観光する予定だった場所の2、3ヶ所は日没までに間に合わなくなるが、まぁいいかと思うようになった。旅行1日目に浦富海岸と余部橋梁を過ぎてからで観光必須という場所は特に無かったので。今回の旅のハイライトは2日目にあり。

ハサカリ岩

(はさかりいわ:島根県松江市)

まずは細長いふたつの岩の間に丸い岩が挟まっているように見える、かなり珍しい奇岩のハサカリ岩。ハサカリ岩の説明書きがある展望スポットらしき場所があるのだが、そこからではよく見えない。地形的な関係等で岩の目の前にはつくれなかったのだろうか。なので狭い路側帯を歩いて岩の目の前まで移動。

ここからではよく見えない

岩の側まで移動

ハサカリ岩

説明書きによると、洞門の天井の岩が落ちかけて途中に挟まって止ったもの、との事。こんなにうまい具合に落下した岩が挟まるなんて凄い偶然だと思うが、ここが元々は洞門だったというのも不思議。洞門からこうなる過程を知りたい。

淀の洞門

(よどのどうもん:兵庫県豊岡市)

次はハサカリ岩から1kmほど東にある淀の洞門へ。洞門の手前には海水浴場となっている小規模な砂浜があり、シーズン中は行楽客でそれなりに賑わうのかもしれないが、シーズンオフで人の姿はほとんど無く、駐車場に到着した時点でマイナースポット感が漂っていた。この辺りの海にはカヌー体験できる場所が複数あるようで、洞門の周囲でカヌーを漕ぐ人が複数。これまでにいろいろなアウトドアアクティビティを経験しているが、カヌーはまだ経験した事がない。機会があれば一度やってみたいとは思うが、年と共に積極的にそういう機会をつくろうとしなくなってきた…

海水浴場の端から眺める淀の洞門

カヌー体験中

海水浴場の北端から延びる遊歩道を歩いて淀の洞門へ。立ち入り禁止の表示があったので、洞門内の内壁が崩れる恐れがあるのかと思い、洞門の少し手前で足を止める。いずれにせよ、それより先は足場の悪いゴツゴツした岩場になっているので危ない。過去に車中泊旅行中に岩場で転倒して大怪我しているので、足場の状態には敏感になってしまう。写真だと洞門の大きさが分かり難いが、高さ約15m、奥行き約40mもある大きな洞門。40m先の反対側の穴から見える青い水平線がいい感じ。

これ以上先は危ないかも

こういう風景が好き

波食甌穴群

(はしょくおうけつぐん:兵庫県豊岡市)

次は淀の洞門から3kmほど車を運転して波食甌穴群へ。猫崎という細長い半島状の海岸にある。甌穴群のある岩礁の入口には体験ダイビングやシュノーケリングをおこなっている施設が。そして釣り人の姿も沢山。マリンスポーツや釣りなどのアクティビティではなく、自分のように観光でこの辺りの海岸を訪れる人は少ないのかもしれない。自分のように海岸巡りをして楽しいと思う人間もいるのだ。

岩礁の入口

波食甌穴群

甌穴を含め岩礁の窪みには水が溜まっている事から、今は干潮時ということだろうか。とりあえず岩礁の奥へと進んでいく。朝からゴツゴツした岩場をよく歩いているからか、足に少し疲れを感じ始める。底の薄いスニーカーを履いているのも一因と思われ。靴底のしっかりしたアウトドアシューズを履いてくればよかった。一応車にはアウトドアシューズを常備しているのだが、一度でも履いて汚れたら洗わないといけないので、それが面倒で出し惜しみ。旅行後の荷物の後片付けや洗濯は面倒くさい。基本的に面倒くさがりだがそれ以上に、片付けは帰宅後直ぐにやらないと落ち着かない性格でもあるので尚更面倒くさい。

まんまるな甌穴

よだれを垂らした顔に見えなくもない

日が傾き雲が増えてきた

あの突端へ向かう

岩礁を北へ進んでいくと、岩が海岸から突き出たようになっている場所が先にあったので、とりあえずそこまで行ってみることに。ふと西側の風景を見ると、いつの間にか陸地の上に厚い雲が広がっていた。翌日に2度目の訪問となる天橋立は、初訪問時は曇り空で日本三景のひとつである風景を十分に堪能する事ができなかった。なので翌日は絶対に晴天でないと困り、急に今後の天気が心配になり始める。そして気づけば昼食は結局食べられず空腹のままだった。

このロープは何?

これ以上先へは進めず

岩礁につくられた遊歩道の途中に、手すり代わり?のロープが張られた場所が。特に足場が悪いというわけでもないのに何故だろう。そして目的地の岩の前まで行くも、岩の上には上がれず突端までは進めなかった。仕方なく来た道を引き返す。甌穴群からの往復で20分ほど時間を消費してしまった。まぁこういう散策をして予期せぬ風景や発見に出会える事も多々あるので、決して無駄な行動ではない。今回は鳥の頭に見える岩を見つけたくらいだけど

鳥の頭に見える?

雲間から漏れる太陽の光

御待岬

(おまちみさき:兵庫県豊岡市)

波食甌穴群から峠道を東へ向けて運転し、御待岬にある展望所に立ち寄り。道路脇にある見晴台からは周囲の海岸風景を一望。ただ、日没が近い上に雲がだいぶ広がり空が暗くなり始め、どんよりとした風景に。右手に城崎マリンワールドという水族館があり、そこから少し沖に後ヶ島(のちがしま)という岩が見える。

左端の岩が後ヶ島

後ヶ島

後ヶ島には小さな建物が建っているように見えたので、旅行直前に購入した光学35倍ズームのデジカメでズーム撮影。やはり高倍率ズームのカメラは何かと役に立っていい。後ヶ島にはミニチュアサイズの韓国風建物が建っていて何故だろうと思ったが、後から調べてミニチュアでも韓国風でもなく、竜宮城をイメージした実物大の東屋だと知る。ここは浦島太郎が玉手箱を開けた場所という言い伝えがあるらしい。しかし長野県にも寝覚の床(ねざめのとこ)という、浦島太郎が玉手箱を開けたとされる場所がある。どうもおとぎ話ゆかりの地というのは1ヵ所だけではないらしい。それにしても、後ヶ島の東屋はいったい誰が利用するのだろう。

竜宮城を模した東屋

時間は間もなく17:00。ハサカリ岩から御待岬まで計画外の観光スポットに4ヵ所立ち寄ったため、当初の計画でこの後に観光する予定だった琴引浜と立岩は諦める事に。砂浜や奇岩などがある海岸風景はもう十分観光したので良しとしよう。翌朝は京都府の経ヶ岬から朝日を見物する予定なので、経ヶ岬へ向けてさらに車を東へと走らせる。

久美浜湾

できれば何処かで夕陽が沈むのを見たいと思っていたが、日の沈む西側は曇ってしまったため諦めていた。兵庫県から京都府に入り、久美浜湾の側を通る国道を走っていると西側の空が綺麗な夕焼けになっていたので、何気に国道を外れて久美浜湾へ移動。車を降りて桟橋に出ると、空と湖面がオレンジ色に染まった綺麗な夕景を見ることができた。こういう風景を見られると、あぁ旅をしているな、という気分になる。

久美浜湾で1日目の観光を終え入浴施設へ向かう。久美浜湾と経ヶ岬の中間辺りにある入浴施設をあらかじめ調べておいたのだが、計画表を自宅に忘れてきてしまったのでスマホで再度調べてカーナビに入力。で、入浴施設へ向かう途中で夕食を済まそうと考えていたのだが、国道を走っているにも関わらずなかなか営業している食事処が見つからず、仕方なくコンビニで弁当を買ってイートインスペースで食べる。まぁ仕方ない、素朴な車中泊の一人旅なんてこんなものだ。でも、ご当地グルメなどをして食事の写真を撮れば旅行記のネタにもなるので、できれば1回くらいはグルメ的な食事をしたいとも思う。

あしぎぬ温泉

温泉に続く連絡通路

19:00過ぎに目的の温泉に到着。フロントや食堂のある建物から塔のように突き出たエレベーターで5、6階くらいの高さまで上がり、空中連絡通路を渡って温泉まで行くという、少し変わった日帰り入浴施設。入浴料は大人600円のところをJAF会員割引で500円に。安い入浴料ながら複数の湯があり、人が1人だけ入る箱型の蒸し風呂まであり(入らなかったけど)なかなか満足度が高いと感じた入浴施設。熱い湯が苦手な自分にちょうどいい露天風呂もあり、ついつい長湯。途中で露天の椅子に座っていたら寝落ちしてしまった。温泉を上がったのが21:00で、長湯でまた空腹になってきたので食堂でラーメンを注文。グルメではないが一応写真を撮る。グルメではなくても夜食ラーメンはうまい。

夜食ラーメン

温泉から再び国道を走って経ヶ岬を目指す。車中泊は経ヶ岬の駐車場でする予定だったが、途中に道の駅があったので就寝地を変更。経ヶ岬の駐車場がどんな状態なのかまでは調べていなかったので、道の駅の方が安心できる。「道の駅てんきてんき丹後」という変な名前の道の駅で、到着したのは21:50。当初の計画で1日目の最後に観光する予定だった立岩の直ぐ側だった。ついでに夜の立岩に立ち寄ってみようかと思ったが、ライトアップされていなかったら真っ暗なので止めた。むしろ面倒でもう移動する気にならなかった。

車中泊はいつも通り、運転席を目一杯リクライニングするだけ。ヘッドレストは頭が疲れるのでクッションを枕代わりにしている。それと気温が低く車内が寒い時のブランケット、外灯が眩しい時のアイマスク、トラックのアイドリング音などがうるさい時の耳栓を車内に常備している程度。ほぼ極限まで簡素な車中泊スタイル。今はこんな車中泊スタイルだが、定年後はミニバンを購入してDIYで車中泊仕様にカスタムし、春や秋のいい季節は長期間の車中泊旅行をのんびりと楽しみたいなと考えている。老後の楽しみがあるって素敵だ。

簡易車中泊の極み

これなら寝具を用いた車中泊ができる

ちなみに、プリウスは後部座席を倒せばラゲージスペースとフラットになり、約150cmの床ができる。さらに前席を前へスライドすれば約180cmのスペースが確保できるので、ちょっとした工夫をすれば身長177cmの自分でも身体を真っすぐにして寝ることができる。なので、寝袋等の寝具を用意すればこれまで以上に快適な車中泊ができるようになる。しかしこれまで続けてきた車中泊スタイルを変えてしまうのは面白くない気もする。あえて不便で簡易的で荷物を最小限に抑えた車中泊の一人旅を楽しむ、というのが自分らしいかなと。しかし年と共に何に対しても快適性を多く求めるようになってきた。次回の車中泊旅行では寝袋車中泊を検討してみようかな。

歯を磨いて22:30就寝。車中泊するにはちょうどいい気温で快眠…と思いきや、少々寝心地が悪いからかなかなか眠れず、眠れたのは推定23:00過ぎ。そして翌1:00に目が覚め、それからまた2時間後に目が覚めてと、イマイチしっかりと睡眠を取れず。やっぱり寝袋買おうかな…