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その4  3日目昼〜夜

 

椎根の石屋根からさらに北上し、浅茅湾西南岸の風景が広がるところに出る。薄雲が多いものの青空が広がりなかなかいい眺め。車を停めて浅茅湾の写真を何枚か撮っていると、突然”ピピッ”という音と共にデジカメの液晶画面が黒くなり、「メモリーカードが異常です」という白文字が表示される。突発的なものと思い1度バッテリーを取り出し再びセットして、電源を入れてみるがまた同じ表示が。それからいろいろと試してみるが変化無し。もしやSDカードが壊れた…?今まで撮った画像全損!?それは断固認められないっ!!今までこんな事は起きなかったのに… しばし放心状態。

この浅茅湾西南岸の風景を撮っていたらカメラにアクシデントが…

別のSDカードをデジカメに挿入すると問題なく撮影ができたので、やはり何らかの問題がSDカードに起きたのは確か。万が一これまでに撮った写真データが全損していたら精神的ダメージは計り知れない。しかし自宅に帰ってからでないと詳しく検証ができないので、きっとデータは生きていて何とかPCに落とせるだろうと希望的観測を持つ事にした。気を取り直して次の目的地へ向けて車を走らせる。以降道路は沿いではなく、途中途中で浅茅湾の風景が見られる程度。いっとき青空が広がっていたが再び薄雲が全体的に掛かり、辺りはイマイチ冴えない風景に。しかしそれ以上に、SDカードの件で動揺と不安が残り心が冴えない。

印象的な形の山々

薄雲が目立ちはじめる

金田城跡

(かねだじょうあと:美津島町黒瀬城山)

次の観光スポットは標高273mの城山。山一帯が1300年以上前に築城された金田城の史跡となっていて、城山の北東部には多くの石塁が残されている。山頂部には砲台跡があり、北側に広がる浅茅湾を眺望することもできる。

城山の南端

ここを右折して細道に入る

城山の南端を横切る県道から横道に入り、登山口まで続く細道を進む。この道が本当に狭くて結構長い。車一台分の幅しかなく、対向車とすれ違いができるスペースが数ヶ所しかないので、本当に対向車と遭遇したくない道。対向車来るな、対向車来るなと念じながら運転し、無事対向車の無いまま約2kmの狭い道のりを走りきる。

すれ違い困難な細道が続く

細道は未舗装になってさらに続く

登山口はその前だけ道路が少し広くなっているだけで駐車場は無く、道路脇に車を停める。他に車が1台停まっているだけなので、自分以外の登山客はその車の先客だけと思われ。万が一滑落事故などを起こしても誰にも気付かれないので注意しないといけない。スニーカーからトレッキングシューズに履き替え、他は普通の格好と持ち物で12:00登山開始。入口の「入山ボックス」と書かれたポストの中に、金田城跡のパンフレットが入っていて、所要時間が記された登山マップが載っていたので1部もらっていく。

ここから山登り

パンフレットの登山マップ

歩きやすい道が続く

登山道入口から延びる山道は、旧軍道という山頂の砲台跡まで続く道。未舗装だが地面は整備されていて、傾斜も浅く比較的歩きやすい。登山口から10分ほど歩くと城山の東側にある黒瀬湾が姿を現す。しかし全く日が射さなくなってしまったので景色が映えない。そして”東南角石塁”という城壁跡に到着。山の斜面を縦に延びる石塁は全体的に崩れかけている。この東南角石塁から山頂へ続く旧軍道と、いくつかの石塁をまわり北東の神社まで続く園路とに分かれている。この天気では山頂まで登っても意味が無さそうなので、とりあえず石塁巡りをすることに。そのあと万が一晴れたら山頂まで登ることにした。

東南角石塁と黒瀬湾

東南角石塁

東南角石塁から続く園路は足場の悪い完全な山道。雨に降られると危ないので一層空模様に注意が向く。とりあえず雨は降らなそうにも見えるが、万が一降り出したらほんの小雨でも直ぐに引き返さないとならない。転倒して怪我したら困る。そんな事を考えながら歩いて”三ノ城戸”という城門跡に到着。ここが城の出入り口だったんだろうなぁと思われる石塁の空いた場所があるが、東南角石塁と同じく風化が激しく原形は分からない。

三ノ城戸

三ノ城戸

うっそうと茂った山道を歩く

石塁が続く急な斜面を登る

三ノ城戸から二ノ城戸までの道のりは、パンフレットには約10分となっているのに10分を過ぎても辿り着かない。マップをよく見ると、いつの間にか園路を外れて石塁に沿って歩いている事に気付く。余計な遠回りをして急な斜面も上らされて少々気が滅入る。曇っていても結構暑いので余計に疲れる。それから少々道に迷いつつも先へ進み、途中に”堀立柱建物跡”や”ビングシ土塁・門跡”などの遺跡を通って、三ノ城戸から25分ほどで二ノ城戸に到着。

堀立柱建物跡

まだまだ歩く

ビングシ土塁・門跡

二ノ城戸は綺麗に修復されていて、よく見かける城壁のように整った壁面。二ノ城戸のすぐ先にある一ノ城戸も一部が修復されたように整っていた。しかしよくこんな山奥に造ったものだなぁと思う。ちなみに金田城は対朝鮮半島の防衛施設で、元から天守は存在しない。天守が無くても城に分類されるのか。そして一ノ城戸まで来て初めて人に出会う。登山口に停まっていた車の主だろうか。

二ノ城戸

一ノ城戸

一ノ城戸から岸へ下りる

一ノ城戸から山頂へ向かう道と神社へ向かう道に分岐。空模様からしてこの後晴れる見込みはまず無いので、山頂までの登山は諦める。という事で城山北東端にある大吉戸神社へ向かう。一ノ城戸から神社までは5分程度。黒瀬湾の岸まで続く細道を下りていく。と、岸に出る手前から急にゴミが目立ち始める。食品の袋や電化製品の箱や、いろんなゴミがそこら中に散乱。ゴミに書かれている文字は全て韓国語。水位が高い時に流されてきたものだろうか。対馬の漂流ゴミ問題は本当に深刻だな…

辺りはゴミだらけ

韓国のゴミのよう

これは洗剤…

岸に出ると、周囲の山々に囲まれ湖のように見える黒瀬湾の眺め。快晴ならばいい景色だったろうに、残念だ。そして大吉戸神社の鳥居が建っている。登山口を出発してここまでちょうど1時間。朝起きてからまともな食事をしていないせいもあってか、予想以上に疲れて少々ぐったり。重い足取りで鳥居から続く参道の石段を上って拝殿へ。山歩きをしていて頭から抜けていたSDカードの件をふと思い出す。やっぱり心配だ…でも気にしても残りの対馬旅行がつまらなくなるだけなので、何とかなるさと気にしないよう努める。

 黒瀬湾に出る

大吉戸神社の鳥居

大吉戸神社

鳥居のすぐ後ろに黒瀬湾

疲れたので大吉戸神社で暫く休憩したいところだが、いよいよ雨が降り出しそうな空模様になってきたので早々に引き返す。帰りはただひたすら歩き続けて登山口まで40分弱。もう本当にクタクタ。城山山頂までの登山が中止になり、その次に観光予定の場所も眺望の利く場所なので、城山登山と共に翌日に延期。ということで、まだ14:00なのにすることが無くなってしまった。天気が悪くても楽しめる場所は無いかと地図やパンフレットを眺めてみるが見当たらない。なのでとりあえず、夜に入浴する予定だった入浴施設へ向かう。

城山登山口から車を20分ほど運転して眠気を感じてきたので、路肩の広いスペースに車を停める。もう入浴以外にすることがないのでのんびり昼寝もいいかと、目覚ましはセットせずにシートを倒して仮眠。そして目を覚まして時間を見ると16:40、約2時間寝ていた。しかし妙に体がだるくて重い。仮眠をして余計に疲れた。

湯多里ランド対馬

目的の入浴施設、湯多里ランド対馬に到着したのが17:20。いつもの車中泊旅行と比べたらだいぶ早い入浴だ。施設の玄関前には複数の韓国人観光客の姿が。韓国人の多くが赤・黄・緑など原色系のウインドブレーカーを羽織っているので、ひと目で韓国人だと分かる。韓国では原色の服が流行っているのだろうか。券売機で入浴券を購入しフロントに渡す時に、「韓国人観光客が多いですが大丈夫ですか」と聞かれ、一瞬迷ったが入浴する以外することが無いので了承し入浴。

浴場に入った直後は入浴客は数えるほどだったが、後から後からたくさん入ってきて韓国人でいっぱいに。外にいた韓国人はうるさかったので、浴室も韓国語の話し声で大賑わいになることを覚悟したが、思ったよりずっと静かだったので一安心。ふと、満員になった内風呂に浸かる人の中で頭にタオルを乗せているのは自分だけであることに気付く。韓国人は入浴時にタオルを頭に乗せる習慣はないらしい。のんびり2時間ほど入浴して出た時に、脱衣所にある自販機に韓国語のシールが沢山貼られていることに気付く。どうやら湯多里ランド対馬は韓国人団体客御用達の入浴施設のようだ。

自販機に韓国語

新発売も韓国語

しょうが焼き定食 1260円

入浴の後は食事。前日と同じく朝起きてから食事らしい食事をしていなかったので腹ペコ。湯多里ランド対馬に向かう途中に目に留まった国道沿いのレストランの営業時間が22:00までだったので、そこで閉店までのんびりしようと思っていたのだが、湯多里ランド対馬にも食堂があり、営業時間は21:00までだがまぁいいかということで入店。1日の最後くらいはしっかり栄養を摂って翌日に備えようと、しょうが焼き定食を注文。値段が随分高いが仕方ない。肉のボリュームが思ったよりもあって、小鉢が3つもついていたのでよしとしよう。前日の夜は弁当だったし、ちゃんとした食事をするのは2日振りだろうか。食後は閉店の21:00まで読書をして時間を潰す。

湯多里ランド対馬を出るとポツポツと雨が。翌日の天気予報は晴れ時々曇りとなっているが、天気予報はイマイチあてにできない。翌日こそは城山山頂まで登山したいので、それなりに晴れてくれないと困る。車に乗ろうとドアを開けると、運転席に何やら変な影が…と思ったら少し大きめの蜘蛛が!!つまみ出すっ!いったいいつから車内にいたのだろうか。対馬に来てから虫に絡まれてばかりだ、特に尺取虫に。湯多里ランド対馬のすぐ側にある公園?の駐車場に車を停め、21:30就寝。