トップページ

その1  1日目夜〜2日目朝

 

予定通り20:00に出発し関越自動車道の練馬ICから高速に入ると、予想通り交通量が非常に多く、暫く80〜100km程度の速度で進む。しかし群馬県の藤岡Jctで長野県へ続く上信越自動車道に入ると、交通量は一気に減り道路はガラガラ。そこから先は心配していた混雑や渋滞に遭うことも無く快速走行。関越自動車道→上信越自動車道→北陸自動車道→東海北陸自動車道の約470kmの道のりを、勢いに任せ休憩無しで一気に進む。出発前に十分な睡眠をとっていたので眠気は来なかったが、さすがに疲れたのか少し頭が張ったような感じに。

白川郷

(しらかわごう:岐阜県大野郡白川村

東海北陸自動車道白川郷ICで高速を下り、白川郷荻町城跡駐車場に1:10到着。渋滞無しの休憩無しで予定より約3時間も早く着いてしまった。なので外が明るくなるまで車内で仮眠…しようとしたら寒くて眠れない。外の気温はかなり低い様子。ヒーターを点けて車内を十分に暖めてから消して睡眠。そして5時に目が覚め外に出ると寒いっ!地理的に寒いのを予想してコートを持ってきていて良かった。駐車場前からは白川郷の集落風景を一望。近年世界文化遺産に登録され、すぐ側に高速道路が出来る前は、「陸の孤島」と言われるくらいの辺境の地だったとか。

荻町城跡駐車場から白川郷を一望

世界遺産の碑

荻町城跡には世界遺産の碑や社があり、社の隣からも白川郷を一望出来る。時間が早く観光客の姿も無い、山あいにひっそり佇む集落風景。この集落風景の後ろにある山々の背後から日の出が昇るのを見られるのではないかと少し期待していた。展望台には撮影場所の場所取りで立てたと思われる三脚がいくつか並んでいたので、そこから日の出が見られるのではないかと勝手に思い込み、暫く待つ。

荻町城跡の社

早朝は人影も少なく静かな様子

6:00近くまで荻町城跡をうろうろしたり景色を眺めたりしているうちに、荻町城跡には次々と観光客がやってくる。やはりゴールデンウィーク、そして世界文化遺産白川郷。集落が混雑しないうちに観光を済ませたい。結局日の出は昇る方角が全然違っていた事が分かり諦める。残念… 気温はまだ低いが陽が昇ると共に暖かくなってくるだろうと思い、コートを車に置いて集落へ向かう。

荻町城跡から坂道を下って集落へ下りて行くと、わらぶき屋根の民家と畑や田んぼの広がる風景が目に入ってくる。まだ陽が当たらず暗い集落は静けさに包まれている。道路脇には水路が通り、電柱も無くこれぞ日本の田舎風景、という眺め。ただ、さすがに道路はアスファルトで舗装されている。これが未舗装路だったら過去の時代に迷い込んだと錯覚するくらいなのだろうが。まぁ舗装されていたほうが足を滑らせたり靴を汚す心配もないので、観光するには便利ではあるが。などと思っていたら…

小川とそこに架かる木道があり、木道の上で周囲の写真を撮っていたら突然転倒!あまりに唐突な出来事に一瞬何が起きたのか理解出来なかった。木道が湿って少しぬめっていた為足を滑らせてしまったらしい。膝を打って痛い、そして右手のひらを擦り剥き軽い出血。で、その右手で持っていたカメラは…レンズ部が曲がってしまいズームボタンを押しても電源をオフにしても動かない。手で押し込んだら今度は電源オンにしても出てこなくなってしまった。そして手でレンズを引き出そうとしたらレンズ前面パーツがポロリ。カメラ破損、使用不能…まさかの大アクシデント。

いい感じの小川と木道

木道の上で写真を撮っていたら…

転んでカメラ損壊

不幸中の幸い、カバンには以前使っていたデジカメも予備として入れていた。しかし予備カメラの電源をオンにすると「メモリーカードが異常です」の表示。フォーマットしても同じ表示。何故っ!! メモリーカードの予備までは持ってきていなかったのでかなり焦る。最後の希望、壊れたカメラのカードを入れてみると撮影可能に。よかった、メーカーの違うカメラなのでフォーマットしないと使えないと思ったが大丈夫だった。とりあえず最悪の状況は回避出来た。

ここから予備カメラで撮影

思ったよりちゃんと撮れている

とりあえず写真撮影は出来るようになったものの、転んでカメラを破損してしまったのと軽傷を負った動揺はなかなか治まらず。しかも予備カメラは6年前に買ったもので液晶画面が小さく、ちゃんと綺麗に撮影されているのか確認し辛くかなり不安。楽しいはずの旅がのっけから意気消沈… でもとりあえず集落中心を歩いて周る。

山陰から太陽が顔を出す

いい景色

陽に照らされ景色が明るくなる

沈んだ気持ちでいると太陽が山陰から顔を出し、集落は日差しを浴びて鮮やかな風景に変わる。そんな風景を眺めていたら元気が出てきた。細かい事を気にしていてもしょうがない、別に写真を撮るために旅をしている訳でもないし、とりあえず撮れてるんだからいいでしょ。と、ポジティブシンキングに切り替え。

であい橋

土産物屋の集まり?

集落中心から、吊橋のようでコンクリート製のであい橋を渡ると広い駐車場があり、駐車場の隣にはわらぶき屋根の建物が複数件建っている場所がある。何やら看板が沢山掲げられていて土産物屋の集まりの様子。しかも敷地内にはまだ入れない。「素の集落」ではなさそうなので橋を渡って引き返す。と、観光客がさっきよりも明らかに増えてきている。

まだ人通りの少ない裏通りに入る。白川郷の合掌造りの家々は、実際に住居として使われていてるのだから凄い。普通の家と比べたら生活はし辛いだろうし、わらぶき屋根の維持も大変そう。電柱・電線を見かけないが地面に埋まっているのだろうか。ここでの生活はどんな感じなのだろう、一回体験してみたい。

実際ここで人が生活している

あちこちで見かける水路

ある意味贅沢な車庫

生活のある場所なだけに仕方のない事なのだが、どの家の敷地にも車があるのが目に付く。2台、3台と複数台停まっている所が多い。何でも揃う商店街などなく、電車も通っていない小さな田舎町なので車は生活必需品。合掌造りが車の車庫として使われていたのには驚き。

一眼レフで撮ってる人がいたので自分も

風が出ていればよかった

さらに細道へ入っていくと、道なのか民家の敷地内なのかよく分からない。完全に観光スポットから外れてしまった。そして何処からか犬に激しく吠えられ少し焦る。住民が出てきて怒られたら嫌なので元の道に引き返す。

景観に配慮した街灯

これは実際に使えるの?

犬に吠えられながら眺める風景

集落の中心に戻る。陽はどんどん高くなり、景色は明るく鮮やかになっていき、集落の眺めもどんどん良くなっていく。晴天に恵まれて本当に良かった。古い予備カメラは曇り空だと写真が色かぶり気味になる傾向があるので、晴天の方が写真も綺麗に撮れて助かる。

この集落は正式にはは「白川郷合掌造り集落」といい、合掌造りとは急傾斜の屋根を持つ日本の住宅建築様式の事。屋根の形が合掌した時の手の形に似ているところから付いたらしい。

合掌造りのわらぶき屋根の家が沢山建ち並ぶ風景は見応えある。初めて見る風景なのに懐かしさを感じさせる風景。そして癒される。世界文化遺産の風景は伊達じゃない。だいぶ前に白川郷のドキュメント番組か何かで、合掌造りのわらの葺き替え作業について詳しくやっていて、結構な労力と費用が掛かり維持していくのは大変な事だと知った。文化遺産を守り、そこで生活してる白川郷の人達も伊達じゃない。そんな合掌造りの中を見学出来る家が何箇所かあるのだが、ほとんどが9:00から営業開始なので、時間になるまで集落内を歩き回る。

明善寺

白川八幡宮

集落内は観光客がどんどん増えていき賑やかになってきた。そしてもうひとつ目に付き始めたのが、観光客相手に食べ物や土産物を売る店。確かに観光客相手の商売は格好の収入源ではあると思うのだが、本来の景観が著しく崩されているとしか思えない。正直これにはかなり残念。これは実際問題になっているらしく、保護・保存が目的の文化遺産が観光地化によって価値が低下しているのではないかと危惧されているらしい。やはり白川郷本来の原風景の中を歩きたいなら、観光客も少なく売店も開いていない早朝がいいのかも知れない。

どうも日本は景勝地などを観光地化し過ぎる傾向にあるように感じる。その場に不似合いな人工的な展望台や軒を連ねる売店、自然を大幅に削り過剰整備した道路や駐車場など、折角の景勝地を台無しにしていると感じた場所がいくつもある。利益や利便性も大事だけど、それにより景観を崩して価値を落としてしまっては意味が無いと思う。と、説教染みた事を書いてみる。

長瀬家

長瀬家から続く石畳の細道

後から入館予定の長瀬家の裏手から石畳の細道が伸びていて、途中に極楽の泉というものが。底が階段状になっているのが何故なのか少し気になる。そして階段の先には四角い穴が空いていて人が何とか入り込めそう?な感じ。説明文には「家庭円満・商売繁盛・長寿などの御利益が…」「手を三回洗い清めてから拝む…」と書いてある。なるほど。

極楽の泉

泉の前で合掌

ふぅ、今日は厄日だ…

三脚を使って撮影をし、三脚の足を縮めようとしたらポッキリ…足が折れたっ!コンデジ用の足の細い三脚で強度も弱そうな感じの物ではあるが、ついさっきデジカメを壊したばかりでこのタイミング。厄日としか言いようが無い。二度あることは三度ある。とりあえずこの先気をつけよう、って何に?

人通りの無い細道で猫数匹が日向ぼっこしているのを発見。近づいて写真を撮っていると、一匹がこっちへやって来てじゃれ始めた。しばし猫と遊ぶ。それにしても、旅行中に猫を見つけると写真を撮ったり触りたくなるのは何故だろう。

家の外に薪

道路脇にも薪

放水銃

集落内を歩いていると、家の外に薪が積まれているのをたまに目にする。ほとんどの家はLPガスを使っているのだろうけど、一部では薪で火を起こしているようす。やっぱり白川郷は伊達じゃない。それと集落内のそこら中で目にする高さ2mくらいの三角屋根。これは万が一の火災に備え、勢い良く水を噴射して火を消す為の放水銃が収納されている。年に一回の消防訓練で集落中の放水銃を一斉放水する光景は壮観だとか。