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その1  1日目朝

 

北アルプスにあるアルペンルートは、悪天候だと視界不良で何も見えなくなってしまう所。それだけに旅行数日前から天気予報に神経を尖らせていたが、残念な事に旅行前日夕方時点での天気予報は降水確率40%前後の曇りで、室堂周辺のピンポイント天気予報では午後から雨という予報がほとんど。しかしこの旅のために1ヵ月以上前に夏休みを2日取っていたし、レンタカーも予約済み。なのでとりあえず長野県側のアルペンルート入り口の扇沢まで行く事に。夏休み期間で混雑が予想されるという事もあり、扇沢〜室堂の乗り物は全て朝一の便に乗って室堂平までまで行きたかったので、7:30扇沢発のトロリーバスに確実に乗れるよう自宅を2:30に出発。

東京から長野まで高速道路で一気に進む(中央自動車道:調布IC〜長野自動車道:豊科IC)。空が明るくなってくると、一面に灰色の雨雲が広がっていたのでがっかり。5:30頃に高速を下りて目の前に広がる北アルプスに向かって進むも、相変わらず空は厚い雲で埋め尽くされ青空も日差しも全く見えない。信州一帯が雨雲に覆われている感じ。そして途中から大粒の雨。もう扇沢に向けて車を走らせている事が無意味に感じるくらい絶望的な気分…

しかし奇跡は起きた!扇沢へ続く山道の大町アルペンラインを走っていたら、雨が止み次第に雲が薄くなっていき、扇沢に着くとアルペンルートのある西側だけ青空が広がっていた!! 信じられないくらいの天気の変化。山の天気は本当に予測がつかない。

トロリーバスの扇沢駅

扇沢〜黒部ダムを往復するトロリーバスの切符売り場にはすでに十数人並んでいた。北アルプス一帯は悪天候のせいか、観光客の姿は思っていたよりずっと少ない。これが快晴で土日祝日ならば、扇沢に着いた6:30の時点でかなりの人が並んでいてもおかしくない。6:45に切符売り場が開かれ、扇沢⇔室堂間の往復切符(\8,800)を買って改札口へ。そして改札口が開かれる7:15まで改札前で並んで待ってバスに搭乗。時刻表どおり7:30に黒部ダムへ向けて出発。改札口にあるホワイトボードには、扇沢27℃・大観峰14.5℃・室堂14℃と書かれていた。上と下では気温差が大きい。

きっぷうりば

トロリーバス乗り場

トロリーバスは扇沢から黒部ダムまで全長5.4kmのトンネルの中を走る。トンネルは元々黒部ダム建設の為に関西電力が造ったもので、通称「関電トンネル」。関電トンネルの貫通は20世紀を代表する難工事で、映画になったりNHKのドキュメント番組「プロジェクトX」に取り上げられたりするほど有名。映画は三船敏郎や石原裕次郎主演の「黒部の太陽」というものなのだが、製作者の意向でソフト化されていない為、現在映画を見る手段が無いのは残念。

黒部ダム(くろべだむ)

日本最大級のスケールは伊達じゃない

黒部ダム駅に着いて220段の階段を一気に上り、一番乗りで黒部ダム展望台に到着。ダム周辺は快晴で最高の気分。車を走らせていた時の天気が嘘のよう。ダムは観光放水されていて見応え十分。2年前に信州巡りの旅で訪れた時の視界不良での眺めとは全く違う。ダム湖の黒部湖も周囲の景色が映りこんでいていい眺め。

殉職者慰霊碑

黒部ダムは水力発電ダムで、発電所名が「黒部第四発電所」なので、通称「黒四(くろよん)」とも呼ばれている。ダムの高さは186mもあり日本一。世界的に見ても大規模なダムらしい。黒部ダム建設は、厳しい自然環境や関電トンネルの難工事で171名の殉職者を出し、その慰霊碑がダムの片隅にある。

黒部湖とダムの裏側

黒部ダムは富山県の立山連峰と後立山連峰に挟まれた、黒部峡谷に造られたダム。ダムの規模に伴いダム湖もかなり大きい。貯水量は2億㎥で超大型タンカー1,000隻分、と言われてもさっぱり分からない。とりあえずもの凄い貯水量というのは黒部湖を見れば分かる。

黒部湖の左が後立山連峰、右が立山連峰

ダムの中心にはそれを示すプレートが。ダムの高さ186mというのも凄いが、長さが492mもあるというのも驚き。数字を見て改めて黒部ダムの大きさを実感。

ダムの両端の山肌にあるコンクリートの塊、初めて見た時はダムに関係する設備か何かと思ったが、実はダム建設に使われたクレーンの基礎。

ダムの中心から放水を見下ろす

山肌に残るクレーンの基礎

三度目の黒部ダム観光をザッと済ませ、トロリーバスの黒部ダム駅があるダム東端からダムの上を渡って西端まで歩き、ケーブルカー乗り場の黒部湖駅へ。そして8:10発の朝一の便に乗り黒部平へ向かう。

ダムの上を渡って…

黒部ダム駅の反対側へ進み…

ケーブルカーの黒部湖駅へ

黒部平(くろべだいら)

黒部平から立山を臨む

標高1,828mの駅の外と、駅の屋根の上にある展望台から立山の雄姿を臨む事ができる。その立山の中腹より少し上辺りに見える建物は、黒部平より標高500m上にある大観峰駅。黒部平駅と大観峰駅はロープウェイで繋がっている。立山の眺めはいいが、黒部湖は山肌に隠れてあまりよく見えない。

立山の断崖に建つ大観峰駅

ロープウェイで大観峰へ

20分ほど黒部平で景色を楽しんでから、予定通り8:40発大観峰行きのロープウェイ第一便に乗り込む。移動距離が1.7kmある黒部平駅と大観峰駅の間にロープを支える支柱がひとつも無く、もの凄い宙ぶらりん状態。高所恐怖症の人には恐ろしい乗り物。

大観峰(だいかんぼう)

ロープウェイで大観峰駅に到着して、速やかに室堂行きのトロリーバス乗り場へ移動。途中に黒部湖を一望できる見晴台があるのだが、バスの第一便の発車時刻まで時間に余裕がないので帰りに立ち寄る事に。バス乗り場はひんやりとしていて息も白く結構寒い。大観峰は標高2,316mの高さなので、下界と比べてさすがに気温が低い。9:00発のトロリーバスに乗り、立山黒部アルペンルートの中間点であり最高地点の室堂平へ向かう。

大観峰駅トロリーバス乗り場

室堂平(むろどうだいら)

室堂駅に9:10到着。駅の階段の途中にあるホワイトボードには、室堂平で起きた事故内容が書かれている。室堂平周辺の山で転落事故を起こす観光客が多いようだ。自分も気を付けねば。

しばしば事故が発生しているよう…

駅の外に出ると視界には室堂平と北アルプスの山々が広がっているのだが…結構曇っている。駅周辺は雲の影響で日差しが届かず気温が低くて半袖では肌寒い。登山を計画していた雄山方面は特に曇っていて薄暗い。雄山と反対側は青空が広がっていてなかなかいい眺め。室堂平の北側と南側で全く空模様が違う。

西から南側にかけては曇りで薄暗い

北から東側は青空が見える