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その1  1日目午前

 

旅行前日、仕事を終え帰りがけに車のガソリンを満タンにして帰宅したのが20:00過ぎ。それから洗濯をしてシャワーを浴びて少しネットを眺めていたら22:00。一番最初の目的地であり「ながさきサンセットロード」最南端にある樺島から日の出を見るために23:00には出発しなければならないのだが、少しでも寝ておこうとベッドに横になる。しかしなかなか眠れず、結局睡眠は諦め22:30自宅を出発。これが10年前なら若さで寝ずに約500km先の目的地まで車を運転できたのかも知れない。しかし30代半ばとなった自分には無理だった。高速道路を運転中に眠くなり、サービスエリアに車を停め1:30〜3:00頃まで仮眠。この時点で日の出時刻に樺島に到着するのは不可能となった。さらに運転再開して1時間半ほどでまた眠くなり、4:30〜6:00頃までまた仮眠。どうも仕事疲れが溜まっていたらしい。これで予定通り樺島からスタートすると、計画通りに各観光スポットを周れなくなってしまうという事態に。なので仕方なくサンセットロード最南端からのスタートを断念し、樺島より30kmほど北にある伊王島から観光することに変更。まぁ仕方がない、もう若くないから無理が利かない…

伊王島灯台

(いおうじまとうだい:長崎市伊王島町)

長崎自動車道の長崎ICを下りて、長崎半島西岸沿いの国道(ながさきサンセットロード)を少し南下して伊王島へ入る。最初の目的地は伊王島北西端にある伊王島灯台。灯台に近づくと「伊王島灯台周辺Pありません」と書かれた立て看板が続けざまにあり、この先進んでも駐車できる場所が無いように思わせられ心配したが、実際はちゃんと駐車場があった。何故あんな看板が置かれているのだろうか、紛らわしい。…と思ったのだが、灯台までの道の車での観光が規制されていることを後から知る。しかし訪問時は車両通行止め等の案内表示は見かけなかった。時間が早かったからだろうか。まぁ、気づかなかったのだから仕方ない。

この道の先に駐車場はある

灯台近くの駐車場に着いたのが7:20。当初の計画では樺島に5:00には着く予定だったので2時間半の大遅刻(+目的地変更…)。自宅から478kmの道のりは長かった。天気は正に旅行日和な快晴で、気温が高く長袖のシャツでは暑い。しかし半袖のシャツは持ってきていない。まぁ長袖の方が日焼け防止できるのでいい。駐車場から灯台まで続く遊歩道を歩き、その途中にある夕陽ヶ丘という見晴台に立ち寄り。無料の双眼鏡があり(無料はかなり珍しい)、軍艦島を眺めることができる。試しに双眼鏡の接眼レンズにデジカメのレンズを当てて撮影してみたら、思ったより景色が撮れていた。まぁ普通にデジカメをズームインして撮るのとあまり変わらないけど… 軍艦島へは一度上陸して観光しているが、機会があればまた訪れてみたい場所。

遊歩道の途中にある見晴台

軍艦島が見える

夕陽ヶ丘から坂道を下っていくと、青い海を背景に建つ白亜の灯台が姿を現す。快晴に恵まれ非常に絵になる風景。この伊王島灯台は映画「あなたへ」の鍵となるシーンに使われた場所。不本意ながらもサンセットロード縦断のスタート地点が変更となってしまったが、気分を高揚させるこのロケーションは旅の始まりにふさわしい場所。

遊歩道の先に伊王島灯台

伊王島灯台は慶応2年(1866)に米・英・仏・蘭の4カ国と結ばれた江戸条約によって全国8ヶ所に設置された灯台のひとつで、初点灯が明治4年(1871)。日本で初めての鉄造六角形の洋式灯台らしい。長崎原爆の爆風被害で損傷し、昭和29年に鉄筋コンクリート造に改築された際には四角形になり、平成15年に建て替えられた時に再び六角形に復元…と、小さな灯台ひとつにも長く深い歴史背景があったりする。ドーム型の天井は慶応2年からずっと使われているものらしい。こういう知識を持った上で観光すると物の見方も違ってくるもの。まぁ大抵はロクな予備知識も無いまま出歩いているけど。

歴史の長い伊王島灯台

小ぶりながらも特徴的な灯台

灯台の先には広場と展望台がある。展望台からは周囲の景色を一望。北に延びる長崎県西岸の陸地が遠くまで続く風景。正直なところ、瀬戸内海の多島美風景に見慣れてしまった自分には少々物足りなさを感じてしまった。そして、ここからでもいいので日の出を見ることが出来ればよかったなと。ちょうど1年前の対馬旅行以来日の出を眺めていない。なかなか日の出を見る機会というのは無いようだ。

灯台の先にある広場

広場の先に展望台

展望台から北側を望む

展望台から東側を望む

展望台から東側に見える海岸に石柱か石碑か細長いものが見え、何故か無性に気になりこの後立ち寄る事に。駐車場への戻り際に広場の隣にある伊王島灯台記念館へ寄ってみたが、開館時間は9:00からで入館できず。灯台守の宿舎として明治10年に建てられた、歴史的価値のある建物らしい。

何故かあの柱が気になった

伊王島灯台記念館

徒歩で海岸へ向かう

伊王島灯台駐車場から車を走らせ、展望台から見えた柱の立つ海岸まで続いているであろう道に入る。しかし道は途中で車両通行止めとなり、「海水浴場」と書かれた看板があり細道が続いている。本当にこの道でいいのか先へ進むのを躊躇。こういう時にカーナビやスマホがあれば便利なのだが、未だにどちらも持っていないので確認のしようが無い。自分でもよく分からないが、電子機器の流行に反発心を持つ傾向が強く、アンチカーナビ・アンチスマホを貫いている。迷った末歩いて海水浴場とやらへ向かう。

細道に沿った高台の上には伊王島灯台。位置的に少々手前過ぎるのではと思いつつ、10分弱歩いて海岸に出てみると思った通り柱のある場所はもっと先だった。離れた岩場の後ろに柱の頭が見え、ズーム撮影した写真を見ると英文字が刻まれているようにも見える。何かの石碑だろうか。いずれにせよ、ゴツゴツした大きな石だらけの海岸を歩いて向こうまで行くのは無理そうなので引き返す。戻りは緩い上り坂を歩き、暑さに体力を奪われる。往復約20分の時間とカロリーを無駄に消耗してしまった。もう面倒くさいので別の道を探して柱まで行くのは諦め。

先の岩場の後ろに柱の頭が

文字が刻まれているよう

カトリック馬込教会

(かとりっくまごめきょうかい:長崎市伊王島町)

伊王島灯台より3kmほど手前にある馬込教会に立ち寄り。長崎県は教会が非常に多い地域。別に教会そのものに関心があるわけではないが、西洋の古い建築様式の建物が好きなので、旅行ルート沿いに印象的な教会があれば立ち寄ることに。4年前の軍艦島クルーズで長崎港を航行中に、船上から見えて印象に残った教会でもある。

聖ミカエル天主堂

高台の上にある馬込教会

高台の上に建つ聖ミカエル天主堂はゴシック様式。建物上部にいくつもある尖った形状が特徴的。天主堂正面手前には両手を広げたキリスト像があり、正に絵に描いたような教会風景。昭和6年に建てられたものらしいが、最近修復されたのか日差しを浴びた天主堂もキリスト像も綺麗な白色。残念ながら天主堂内は撮影禁止。高台からは周囲の景色を一望。

天主堂前からの眺め

天主堂前からの眺め

天主堂正面右手にはマリア像。こちらも真っ白で青い帯が際立っている。この後いくつかの教会に立ち寄りそれぞれのマリア像を目にする事になるのだが、そこでひとつマリア像について発見する事になる。大したことではないけど… 天主堂の裏手までまわり、住宅の並ぶ斜面の細道を軽く散策。とてものんびりとした感じで落ち着く場所。しかしとにかく暑い。長時間外を歩き回るのは避けたい暑さ。毎年GWの時期はこんなに暑かっただろうか、暑かった気がする。

マリア像

教会裏手からの眺め

伊王島大橋と伊王島

馬込教会からさらに来た道を戻り、伊王島大橋を渡って本土へ。伊王島大橋からの眺めがなかなか良いのだが、橋の上で車を停めるわけには行かないので、本土側の橋のたもとにある公園の駐車場に停める。歩いて橋の中心辺りまで行こうと思ったが、面倒なので橋のたもとから周囲の景色を眺める。

南には大小五つの島が並んでいるような景色があるが、実際は高島・中ノ島・軍艦島の三島。軍艦島は小さいながらも建物の集合体によるシルエットなので、他の島とは異彩がある。出来ればもっともっとズームアップできるカメラで撮影したい。持ち運びが便利で撮影も簡単なコンパクトカメラ派な自分ではあるが、このような遠景を撮るときには望遠レンズを装備したカメラがあればなぁと思う。

安価な10倍ズームコンデジの限界…

一番左が中ノ島、次が軍艦島、それより右全部が高島

香焼総合公園

(こうやぎそうごうこうえん:長崎市香焼町)

香焼総合公園

公園の展望台

伊王島大橋たもとからは、朝一走ってきた道とは別の道に入り、小高い山の上にある香焼総合公園へ。目的は公園内の高台にある展望台。非常に眺めが良く、長崎百景にも選ばれているというので立ち寄る事に。展望台までは公園駐車場から高台の遊歩道を上って直ぐ。360°の眺望がきく展望台からの眺めは確かに満足できる眺め。先に観光してきた伊王島がよく見える。聖ミカエル天主堂が小さく見え、カーブを描いた伊王島大橋のかたちもよく分かる。ただ、景色に夢中になっているとトンビに襲われる事があるらしいので頭上への注意が必要。

<< SCROLL    南→西→北にかけての眺め パノラマ写真180°    SCROLL >>

展望台から眺める伊王島はふたつの島が繋がっているように見えるが、実際にふたつの島から成っている。伊王島灯台がある北西側の島が伊王島、馬込教会や伊王島大橋のある南東側の島が沖ノ島。そのふたつの島を総じて伊王島というらしい。沖ノ島の立場が無いような感じだが、そのふたつの島で構成される町名が「伊王島町」なので、二島まとめて伊王島と呼ばれているのだと思われ。

二島まとめて伊王島

馬込教会の聖ミカエル天主堂が見える

展望台一番の眺めは伊王島だが、他にも伊王島大橋からも見えた軍艦島を含む三島やその他離島、三菱の造船所やこれから向かう女神大橋などいろいろな景色が見られる。ただ、訪問が9:00という時間でまだ十分に太陽が上っていないからか、東側の景色が霞んでいたのが惜しい。

東側の景色

造船所の後ろに女神大橋

北には長崎市西岸の地形が続く風景

香焼総合公園からカーブの多い道路を進んで山を下りたところで教会が目に留まるも素通りし、200mくらい過ぎた辺りで折角だから立ち寄っておこうと思い、車を停められる場所を探してさらに200mくらい過ぎた辺りで路上駐車。歩いて教会へ。

香焼総合公園から山を下る

教会へ向かう途中に通った広場

辿り着いたのは香焼町にあるカトリック香焼教会。建物はシンプルなデザインで、住宅地の中にあり馬込教会のように周囲の風景を眺望できるわけでもなく、観光スポットという感じの場所ではなかった。馬込教会のマリア像は帯だけ青く着色されていたが、こちらは肌や着衣にも色が付けられている。そしてこちらの帯も青系の色という事に気づく。

カトリック香焼教会

マリア像

次の目的地は香焼から長崎湾を挟んだ向かいにある神ノ島にある教会。香焼総合公園の展望台から見えた女神大橋を渡ったところにある。香焼町からながさきサンセットロードに入ると渋滞。GWなのでこの先もあちこちで渋滞に遭うのだろうかと心配しつつも、10分ほどで渋滞を抜け5kmほど北上して女神大橋に入る。

女神大橋

全長約1.3kmの女神大橋からは長崎湾の絶景。特に北側に細長く続く長崎港には造船所などの工場が並ぶ印象的な風景。じっくり景色を眺めて写真に収めたいところだが、橋上で車を停めることは出来ない。橋を渡った先で車を停め、歩いて橋を渡ろうかとも一瞬考えたが、外は暑くてしんどいし時間のロスも大きいので諦める。橋を渡り神ノ島に入ったところで眺めの良い場所があったので、そこからの風景で我慢。

女神大橋を渡った先からの眺め

カトリック神ノ島教会

(かとりっくかみのしまきょうかい:長崎市神ノ島町)

10:30にカトリック神ノ島教会に到着。ここも馬込教会と同じく軍艦島クルーズで目にした教会。高台に建つ教会と岬の岩場に建つマリア像の光景が強く印象に残っていて、機会があれば一度訪れてみたいと思っていた場所。神ノ島は長崎港の玄関口に位置する場所にあり、高台の教会堂と岬のマリア像は長崎港のランドマークになっている。ちなみに「神ノ”島”」とあるが本土と陸続きになっている。昔は島だったが本土との間が埋め立てられ、現在地理的には島ではない。

神ノ島教会

高台からの眺め

大きなマリア像が見える

高台にある教会からは、のんびりと落ち着いた雰囲気の風景が広がっている。岬の岩場に立つマリア像の背後も見える。日差しを浴びて真っ白に照った教会堂は、馬込教会と比べると質素で小ぶりながらもとても印象的。教会堂内の撮影を禁止する掲示は見当たらなかったが、一応控えておいた。

神ノ島教会堂

教会堂隣にあるマリア像

教会堂の隣にある斜面にはマリア像。やはり帯が青く色彩されている。これまで訪れた3つの教会のマリア像全ての帯が青い。つまり聖母マリアはいつも青い帯を身に付けていたということだろうか。それと、高台へ上がる階段の途中にあるレンガの目地が青く塗られていた。きっとキリスト教において青色は何か意味があるのだろう、多分。

教会堂隣の斜面から

レンガの目地が青い

岬のマリア像へは教会から歩いて直ぐ。島のような大岩は昔から恵比寿神社のあった場所で鳥居や祠がある。神社とマリア像のある風景…平戸の「教会と寺院の見える風景」は翌々日に訪れる事になる。

マリア像が建つ岬

神社とマリア像

<< SCROLL    マリア像からの眺め パノラマ写真180°    SCROLL >>

純白のマリア像は4m60cm。そこからは360°のパノラマ風景を眺望できる。北側真正面には神ノ島と教会、東側には女神大橋。西側には伊王島があり、先に訪れてきた伊王島灯台や馬込教会の天主堂、伊王島大橋などが小さく見える。静かで穏やかな風景が広がり、暑さを忘れさせてくれる風が吹き、とても居心地のよい場所。少しの間ここでのんびりしていたら、修道女と思われる高齢の女性が数人の小さな女の子達を連れてやってきて、周囲の景色やキリスト教についての話をしていた。その様子と周囲の風景が相まって、うまく説明できないが何だか普段生活している場とは異なった時間が流れているような、そんな場所に感じられた。とにかくとてもいい場所。こんな場所が自宅の近くにあったらなと思う。

白一色のマリア像

教会もよく見える