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2011年4月18日 4日目 (曇り所により晴れ)  佐賀県鹿島市⇒熊本県天草市

走行距離:333.0km(合計:1,752.6km)

給油:24.44L(合計:97.37L)

 

4:00に目が覚めトイレに行こうと外に出ると、強い風が吹いていてかなり寒い。トイレを済ませ車内をヒーターで暖め再び寝て、次に目を覚ましたのが6:00。空が朝焼けになっていたので道の駅裏手にある海岸に出ると、ちょうど太陽が雲の後ろから顔を出すところだった。前日の天気予報では雨となっていたが、雲が多いものの晴れも期待できそうな空模様。夜中に強い風が吹いていたので雲が流されたのだろうか。携帯電話で天気予報を確認すると、前日の予報から一転して晴れに変わっている。当てにならない天気予報だ。予報通り1日晴れることを期待して出発。しかし30分ほどで、いつの間にか広がった雲に太陽は隠れてしまう。はっきりしない天気は一番困る。

道の駅鹿島の海岸から

雲に隠れてしまう朝日

 

清水観音の山門

旅行5日目午前中は佐賀県の吉野ヶ里歴史公園を観光する予定だったが、開園時間の9:00まで時間に余裕があるので、観光保留にしていた清水の滝へ先に立ち寄る事に。滝はこれまでに散々見て来たので、よほどのものでないと感動もないが、それでも滝があるとやっぱり立ち寄りたくなる。車で山道を上って鯉料理の店が軒を連ねた山村に入り、そこから清水の滝まで続く遊歩道が延びている。車を駐車するため遊歩道を通り過ぎ、先にある駐車場へ向かうと、駐車場手前に清水観音の山門があり、そこから参道を通っても滝まで行けるようになっていた。なので清水観音経由で滝まで行く事に。

山門をくぐって参道に入ると、木々に囲まれた中に石仏や紅い鳥居、お堂などが建ち並び、その中心に巨木が一本立っている。何だか神々しい雰囲気の場所。お参りか朝の散歩か、地元のお婆さん2人を見かけた以外に人の姿は無く、辺りは静まり返っていて尚更に荘厳な雰囲気がある。

山門から続く長い石段を登って行くと、清水観音本堂にたどり着く。ここにも人の姿は無いが、本堂の中からテレビか何かの声が聞こえてくる。住職が見ているのだろうか。それにしても、思っていたよりも山門から滝までの道のりが長い。本堂の裏手から続く階段を下りてやっと滝が姿を現わす。

清水観音本堂

本堂には小さな石仏がずらり

清水の滝は落差75m、幅13mあり、滝から落ちる水は全国名水百選に選ばれていて、西日本随一の名滝とも言われているらしい。それでも何故か日本の滝百選には選ばれていない。ネットで見た写真は滝の流れが強く迫力があったが、訪れた時はちょろちょろ。雨量が少ない時期だからだろうか。

清水の滝

滝の隣には小屋があり、何のためのものか分からなかったが、滝行をする時に着替えをする場所だと後から知る。清水の滝は清水観音の霊場になっていて、修行者の滝行の場となっているらしい。しかしこの水量では滝行も出来ない。バラエティ番組の罰ゲームなどで滝行をするのを見て、機会があれば一度体験してみたいとは思っていた。今回は長期車中泊旅行中だし準備もしていないので、さすがに滝行に適した水量でもやらなかったけど。

滝から駐車場までは遊歩道を歩いて戻る。遊歩道は滝から流れる小川に沿って続く道で、長い階段などは無く楽に歩ける。しかし遠回りでも清水観音の参道を通った方が、霊場としての清水の滝をより実感する事が出来ていいと思う。往路は清水観音の山門から歩いて正解だった。

 

清水の滝から40分ほど車を走らせ吉野ヶ里歴史公園に到着。吉野ヶ里歴史公園は、日本最大規模の集落遺跡である吉野ヶ里遺跡の発掘調査を元に、竪穴住居や高床住居など当時の建物を復元し、弥生時代の集落を再現した公園。基本的にこの手の施設には無関心な方だが、10年前の日本一周の旅で立ち寄った時は閉園直後で、入園出来ず無性に悔しい思いをしたので、どうしてもリベンジしておきたかった。入園料は\400と安いし。園内はいくつかの集落エリアに分かれていて、墓や発掘現場の公開も行なっているので、順にサクサクっと見てまわる事に。平日月曜日の開園直後ということで、観光客の姿は皆無に等しい状態。

吉野ヶ里歴史公園の東口ゲート

まず「南内輪」という、王やリーダー層の人々が住んでいたとされる場所へ。板壁に囲まれた敷地内には、竪穴住居や物見櫓がいくつも建っている。竪穴住居の中に入ることが出来るが、照明が明るくイマイチ雰囲気が無い。明るい方が中の様子がよく分かるが、もう少し照明を抑えた方がリアリティが出ていいと思う。

南内郭の竪穴住居

竪穴住居の中

次は「北内郭」という、儀礼的な話し合いや先祖への祀りが行われた神聖で最も重要な場所へ。重要な場所だけに北内郭は2重の板壁に囲まれていて、さらに壁に沿って壕が掘られている。ここには弥生時代の衣装をまとった案内役の人が沢山いて、入口をくぐるやいなや有無を言わせず北内郭の説明を始め、それから北内郭の中心にある主祭殿の中へ案内される。

北内郭入口

壁に沿って掘られた壕

高床になっている主祭殿の下階は、重要な会議が開かれている様子が再現されている。衣服のデザインや色などは、発掘された遺物だけでは分からないところも多く、推測や想像で再現されている部分が多いとか。上階は先祖の霊からお告げを聞く儀式の様子。

北内郭主祭殿

主祭殿下階

主祭殿上階

主祭殿上階の天井を見上げると、露骨に張り巡らされた管が丸見えになっている。案内人に聞いたところ、スプリンクラーの配管だった。吉野ヶ里歴史公園の建物は史跡ではなく復元物であり、あくまでも「公園」の施設であるため、十分な安全が確保されていないと営業が認められないので、スプリンクラーを設置するなどの安全対策をしているとの事。他にも、地面は土ではなく舗装されていて、高床住居の木の支柱は地面に埋まっていなく、木の中に埋め込まれた金属のボルトで固定されていたり、見学できる物見櫓の柵には、プラスチック製の手すりを付け高くしたりと、いろんな安全対策がされている。竪穴住居の中が照明で明るいのも安全のためかもしれない。

スプリンクラーの管

上に延長された手すり

地面に埋まっていない木柱

北内郭の主祭殿を含め公園内の建物や板壁は、木の表面が剥き出しなため老朽が早くあまり長く持たず、定期的に補修や建て替えをしているとの事。公園の維持には手間とお金が掛かって結構大変らしい。最初は昔の風景を再現したただの広い公園程度に思っていたが、安全対策や維持の大変さを知ってから改めて公園の建物を眺めてみると、なかなか素晴らしいものに見えてくる。

物見櫓から眺める北内郭

物見櫓から眺める板壁と壕

北内郭の次は「北墳丘墓」という、沢山の棺や出土品が出た古墳へ。古墳の外観は鉄筋コンクリート造の復元したもので、その内部が展示施設になっていて、墓の発掘跡が保存されている。当時の棺は甕棺(かめかん)という、壷のようなものをふたつ繋げ合わせたもの。随分特徴的な棺。佐賀や福岡を中心に北九州で多く発見されているらしい。発掘跡には甕棺が埋まっていた跡が沢山ある。

北墳丘墓の中

甕棺のレプリカ

平日のみ現在発掘中の現場公開を行なっているというので、公園の外れにある発掘現場へ向かう。発掘現場の敷地内入口には警備員がいて、記念にどうぞと整理券を手渡され中へ。入口から続く細い一本道を暫く歩いて発掘現場に到着。麦藁帽子を被ったおばさん達が、草刈のような道具を使って少しずつ土を削っている。縦長な穴がいくつか空いていて、北墳丘墓で見た甕棺が埋まっているのが見える。おおっ、これは凄い。遺跡の発掘現場を見るのはこれが初めてなので新鮮な光景。

発掘現場

作業風景を眺めていると、現場監督と思われる人がやって来て、資料のコピーを手渡され発掘現場について説明してくれた。現在掘っている場所は遺跡のほんの一部で、遺跡の範囲はかなり広いらしい。これまでにあちこち掘り起こして出土品を多数出し、発掘後は元通りに埋めているとの事。資料に載っている過去に掘り起こした遺跡の空撮写真を見ると、広い範囲で沢山の甕棺の発掘跡がある。調査によるとこの一帯に1000基以上の甕棺が埋まっているらしい。出土した甕棺で割れたりせず状態が良いものであれば、中の遺体が人だと分かる形を留めているものもあるとか。ちょっと驚き。

土を少しずつ丁寧に削っている

地面に埋まっている甕棺

発掘現場の見学後は、倉庫群があり市も開かれていた「倉と市」と、一般の人々の居住地だった「南のムラ」をササッとまわる。いつの間にか公園内には観光客や学校の野外活動?の生徒達などで人が多くなっていた。

倉と市

倉と市

南のムラ

公園内をざっくりと一通りまわったところで退園。正直なところ吉野ヶ里歴史公園はあまり楽しみにしていなかったが、弥生時代の集落についての知識を多く得る事ができ、本物の発掘現場を見ることも出来て予想以上に満足出来た。親切に説明をしてくれた案内人や発掘現場の人達のお陰だと思う。

 

吉野ヶ里歴史公園を出てから激しい空腹感に襲われ、何でもいいから店は無いかと車を走らせていると、期待に答えてくれたかのように姿を現すジョイフルの黄色い看板。そして入店と同時に雨が降り出す。食後に携帯で天気予報を確認すると、これから向かう熊本県は晴れとなっていた。それならば阿蘇へ行こうかと考える。計画では旅行後半の宮崎観光の後に、天気が良ければついでに阿蘇へ立ち寄ろうと考えていたが、半年前の旅でも一応阿蘇観光をしているので保留にしていた。前回訪れた時は曇天と視界不良で残念な眺めだったので、再訪するならせめて晴れている時がいい。そして晴れの予報になっている今がいいタイミングだと思った。しかし外の雨は止んだものの、空は青空が広がっているところもあれば雨雲が広がっているところもある。天気予報はあまり当てにならないし…せっかく阿蘇まで行ってもまた悪天候だったら時間とガソリンを無駄に消費するだけになってしまう。今から阿蘇へ向かうべきか、それとも止めておくべきか、かなり迷った結果やはり行ってみる事にした。地図を見て阿蘇までの走行ルートと観光スポットを決め、ジョイフルを出て出発。

 

今回は阿蘇北西部の外輪山を西から北へ向けて進み、阿蘇カルデラを一望出来る展望スポットの中でも一番と言われる大観峰を目指す。時間に余裕があれば、大観峰から南下して前回訪れた米塚と草千里ヶ浜も再訪したい。阿蘇カルデラは日本で2番目に大きく、日本で最も有名なカルデラ。カルデラ内は盆地になっていて、そこには街や農地があり鉄道も走っている。これは世界的に見ても珍しいらしい。

北西外輪山から眺める阿蘇カルデラ

佐賀のジョイフルから車を2時間ほど走らせ、阿蘇北西部の外輪山の道路に入ると、山々に囲まれた阿蘇盆地の平坦な地形が目に入ってくる。周囲に雲は多いが盆地の上は青空が広がっていて、景色が明るくいい眺め。迷いに迷った結果阿蘇観光を決行して正解だった。大観峰へ向けて車を走らせて行くと、阿蘇かぶと岩展望所という展望スポットがあったので立ち寄り。展望所からの眺めは非常に眺望が利いていて、外輪山に囲まれた阿蘇カルデラの地形を見渡す事が出来る。それにしても本当に広く平らな地形をしている。

阿蘇かぶと岩展望所からの眺め

15:30過ぎに阿蘇北端にある大観峰に到着。阿蘇随一の展望スポットという事で、観光客が多く外国人の姿も目につく。駐車場前にある「阿蘇国立公園 大観峰」と書かれた柱からは、阿蘇北部の景色を一望でき、盆地を囲むカルデラ壁である外輪山を近くで眺める事もでき、とにかく雄大な眺め。

大観峰駐車場前から

外輪山の眺め

駐車場から遊歩道の上り坂が延びていて、それを上りきると大観峰頂上。阿蘇北外輪山の最高峰で標高935.9m。かなり強い風が吹いているからか人の姿はほとんど無く、上ってきても直ぐに引き返してしまう人がほとんど。確かに吹き飛ばされそうで少しこわい。それと砂が舞って目に入る…

大観峰頂上

大観峰頂上から阿蘇一望

大観峰頂上からは広大な阿蘇カルデラ盆地を一望。盆地の中心にある阿蘇五岳が正面に広がる。とても1枚の写真には収まらないパノラマ風景。

阿蘇北部の盆地と阿蘇五岳

阿蘇北部東側の眺め

強風に煽られ映像フラフラ

強風にも負けず暫く頂上で景色を眺めてから駐車場に戻る。風に飛ばされた砂で口の中がシャリシャリ、鏡を見ると目の中にまで砂… 用意周到に自宅から持参した目薬をたっぷり点眼して砂を流し出す。時間は16:30を回っていたので、暗くなる前に米塚へ急ぐ。

 

阿蘇パノラマラインから眺める米塚

大観峰から外輪山を下りて盆地を南下し、阿蘇五岳の山道「阿蘇パノラマライン」に入りさらに南下。大観峰から30分ほど車を走らせ米塚に到着。17:00をまわり日が傾き、米塚の山肌には影ができてしまっていたが、それでも曇りがちで視界は霞みがちな条件下で見た半年前よりはいい。米塚は高さ約100mの小さな火口丘の跡で、見事なまでに円錐状に整った形をしている。登りたくとも牧草地の中にあり立入禁止。何の影響かこれまで阿蘇と言えば米塚が印象強かったが、今回阿蘇北部から広大なカルデラの地形を眺めて、阿蘇五岳や外輪山など全てが見所だと実感した。

阿蘇パノラマラインを南下し

草千里展望所へ

草千里展望所から眺める北側の景色

米塚からさらに南へ進んで草千里展望所へ。ここからも米塚がよく見える。しかし米塚が見える北から西にかけて景色はだいぶ霞んで眺めはイマイチ。半年前とあまり変わらない気が… 逆に東から南にかけては青空が広がっていて非常に眺めが良く、草千里ヶ浜や中岳火口の噴煙がよく見える。ただ、半年前に訪れた時と変わらず草千里ヶ浜の池はほぼ枯渇状態。旅行ガイドブックには青々とした広い池に牛や馬が集まっている写真が載っている。時期によるものだろうか。

草千里展望所から眺める米塚

草千里展望所から眺める草千里ヶ浜(写真2枚強引に合成)

中岳火口からはモクモクと白い噴煙が常に上がっている。中岳火口は半年前にじっくり観光したので今回はパス。1ヶ月後の2011年5月16日に小規模な噴火が起きて、半径1km以内が立入禁止となり観光も出来なくなった。鹿児島県の新燃岳や桜島でも火山活動が活発化しているし、九州の地底で何かが起きているに違いない。

中岳火口

鳥帽子岳

草千里展望所で5日目の観光を終えて、あとは食事と入浴を済ませるだけなので、草千里展望所から夕日を眺めようとしばらく留まる。展望所には猛烈に強い風が吹きつけるようになり、寒過ぎて外にいられるのは30秒が限界。なので日没間際まで車内で待機し、時間潰しに旅行計画の確認や見直し。強風で車がグラグラと揺れて少しコワイ…

草千里展望所から眺める夕日

草千里展望所から眺める夕日

そして日が沈みかけた18:40頃に外に出る。山々の後ろに沈む夕日を見られると思ったが、残念ながら遠くに広がる雲の後ろに隠れてしまった。まぁしかし、前日の天気予報では雨だったのがそこそこ晴れて阿蘇観光まで出来たので、なかなか密度の高い1日となって非常に満足。

 

武蔵うどん

今回の旅ではたまにご当地グルメをしようと決めていたので、前日の具雑煮に続いてご当地グルメをしようと、車を走らせながらいい店は無いか探すもなかなか見つからない。そもそも阿蘇のご当地グルメが分からない。広く考えて熊本のご当地と言えば熊本ラーメンになってしまう。阿蘇を出て熊本市へ続く国道に入り、空腹が限界になったところで目に留まったそば屋に入る。残念ながらご当地ものは無かったので、店員に勧められた平麺が特徴の武蔵うどんを食べる。とても美味しかったのでこれはこれで良しとする。

入浴するつもりでいた温泉施設がそば屋から近かったので、温泉までの行き方をそば屋の店員に聞いて国道から横道に入る。しかし何処かで道を間違えたようで細道に迷い込んでしまい、引き返すのも面倒でそのまま先へ先へと進んでいたら熊本市街に入っていた。大通りに出てから「泉」という文字を含んだ看板が目に留まり、温泉施設かと思い車を入れた場所が何と葬儀場… 葬儀場の人に最寄の温泉施設を教えてもらい、途中でまた道に迷いつつも何とか温泉に到着。入浴施設を毎回探すのは本当に面倒くさい。

 

入浴後は熊本市街を通り抜け、翌日に観光する熊本県天草市へ向けて車を走らせる。天草市に24:30頃に入り、「道の駅 有明」に駐車して25:00に就寝…しようとしたら、大粒の雨が降り出す。翌日は雨天になる事を覚悟して就寝。

 

本日の食事

朝食 コンビニ パン
昼食 ジョイフル ねぎとろ丼
夕食 うどん屋 武蔵うどん

朝食は大抵前日夜にコンビニで買ったパン。