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その2  1日目朝〜昼

 

聖ヶ鼻

聖ヶ鼻

(ひじりがはな:新潟県柏崎市

白黒ツートンカラーの灯台がある聖ヶ鼻に行こうと国道を走っていたら、いつの間にか通り過ぎてしまう。Uターン不可な道路なので、とりあえず目に入った横道に入る。その道から聖ヶ鼻がよく見える。海岸沿いに聖ヶ鼻に向かって細道が延びているのが見えるので、道を下りて上輪海水浴場に出る。が、海水浴場から細道の先を眺めると途中から工事中のようにも見える。その道を進んで結局工事中で引き返すハメになるのは嫌なので、仕方なく来た道を戻って国道を引き返す。面倒くさい。

聖ヶ鼻の駐車場まで来ると、誰も居ないし車が一台も停まっていない。マイナースポットなのだろうか。駐車場からは先に訪れた上輪海水浴場と反対側の米山海岸を一望出来る。上輪海水浴場のある北東方面の空は完全な曇りだが、米山海岸が延びる南西側はそこそこ晴れていてなかなかいい眺め。

上輪海水浴場

米山海岸

駐車場は工事中のようで、立ち入り禁止の柵の先は路面がスパッと切られていていきなり急斜面。いったいこれは?さらに灯台へ続く遊歩道の入口がロープで塞がれている。しかし立ち入り禁止とは書かれていないのでロープをまたいで遊歩道を進む。入口が塞がれていたので何かあるかもしれないと思い、一応足場に注意を払いつつ歩くも特に問題なし。5分もしないで灯台に到着。しかし灯台周辺は木々が生い茂っていて外の景色がほとんど見えない。足元も草が茂っていて何処が道なのかよく分からない。完全に放置されている様子。

スパッと切られた駐車場

灯台へ続く道

米山埼灯台

灯台から駐車場に戻る途中に辺りの景色を眺めていると、山肌が土砂崩れでえぐられ道路が崩壊しているのを発見。なるほど、上輪海水浴場から聖ヶ鼻まで続いている道はこれだったのか。土砂崩れの跡は駐車場まで続いていている。駐車場が途中で切れているは、崩落した部分を整備している途中なのか。灯台までの遊歩道の入口が塞がれていたのは地盤が弱っている可能性があるからだろうか。まぁ、問題なくてよかった。

土砂崩れで道が崩壊!

右端が駐車場

旅行後に聖ヶ鼻の土砂崩れについて調べてみると、2007年7月に起きた中越沖地震による地滑りの痕だった。これだけ大規模な地震の爪痕を見たのは初めてかもしれない。

観音岬

(かんのんみさき:新潟県柏崎市

視界が良ければ佐渡島がよく見える観音岬まで来ると、「この先通行止め」の案内板が。とりあえずそのまま国道を先に進むと新しいトンネルの工事現場があり、走っている国道も片側車線が工事中に。そして観音岬で一番高い所まで来ると、先の案内通り国道が通行止め。少し手前で行われていたトンネル工事の関係だろうか。すぐ側に灯台があるので車を降りて灯台へ向かうも、途中で草が生い茂り先へ進めない。探せば他に道があるのだろうけど、海の向こうの視界はかすれていて佐渡島も見えないので車へ戻る。道を引き返し迂回路へ。

椎谷鼻灯台

国道が通行止

実際は観音岬の国道通行止めの原因は、聖ヶ鼻と同じく中越沖地震による斜面崩落だった。建設中のトンネルは崩落した国道に代わる新しい国道と思われ。東京在住の自分にとっては、中越沖地震と言われても何年前のいつごろ起きたものなのか、どの程度の被害があったのかもあまり記憶していなかったが、聖ヶ鼻や観音岬の状況を見る限りでは、地震発生当時はあちこちで道路や家屋の被害があったのだろう。地震は怖い。

西山町の町並み

(にしやまちょうのまちなみ:新潟県柏崎市

観音岬の迂回路を回り海沿いの国道に戻ると、一風変わった住宅風景が長く続く。国道沿いに建つ家々は敷地を囲むように木板で作られた塀が建てられ、家の1階部分は塀に隠れ見えず、2階部分と屋根が塀から頭を出すように覗かせている。これは一体なんだろう。悪天等で海から吹き込む強い風を遮るための物だろうか、それとも風で飛ばされた海岸の砂が敷地内に入るのを防ぐものだろうか。

道路に沿って長く続く塀

どの家も必ず塀がある

海からの風を防ぐ為だろうか

妻入りの街並み

(つまいりのまちなみ:新潟県出雲崎町)

西山町の町並みから北上を続け出雲崎町に入り、国道沿いにある大きな道の駅「越後出雲崎 天領の里」に車を停める。物産センターや歴史資料館、レストランなどがあり、多くの行楽客で賑わっている。出雲崎町は今回の旅で一番楽しみにしていた場所で、「妻入りの街並み」という昔ながらの街並みが、海岸線に沿って長く続く風景を見ることが出来る場所。道の駅には目もくれず住宅地へ向かう。

この看板に惹かれた

店の入口

何かいいセンス

ミートソース食べたい

道の駅を出てすぐに目に留まったのが喫茶店らしき店の看板。看板の形や字体に何か非常に惹かれるものがある。ちょうど空腹を感じていた所だったので、看板に書かれているパスタを食べようと店へ行ってみると、とてもコーヒーやパスタが出てくるとは思えないような、かなり古い木造日本家屋。店の入口には英語の看板やらステンドグラス風?の変わったデザインの看板やらがあって面白い。興味津々で店に入ろうとするとまさかの休み。かなり残念…ガッカリ。何故ここまでこの店に執着してるのか自分でもよく分からない。喫茶店が休みだった事にテンションが落ちたが、気を取り直して妻入りの街へ入る。

妻入りの街メインストリート

細長い家が隙間無く建ち並ぶ

「妻入りの街並み」の「妻」とは建築用語。「勾配屋根のかけられた建築物の棟に、直角方向に平行材が渡される両側面のことを妻側という…」と言われても自分にはよく分からなかったので、右に簡単な図を用意。図のような「妻側」に玄関があり、道路に面して建つ家々を「妻入り」と言うらしい。出雲崎町は昔は間口の広さで税を徴収していたので、幅の狭い妻側を間口にして奥行きのある家が建つようになったとか。妻入りの街並みは日本各地にあるが、新潟県出雲崎町は海岸に沿って約3.6km続く日本一長い妻入りの街並み。

これは?

たくさん碑が立っている

おけさ…?

出雲崎町は海と山に挟まれた細長い街。山側の高台から街を見下ろそうと奥へ進んでいくと、複数の碑が建つ場所に出る。その中に「おけさ発祥之地」と書かれた石碑がある。おけさ?そんな言葉を佐渡島でも目にしたような気もするけど何だろう?と、後から調べて「おけさ」とは新潟県の民謡の事と知る。碑の近くにはお寺らしきものがあり、さらに草の生い茂った裏道を進むとまた別のお寺。出雲崎町は寺院が多いようだ。

善勝寺

草が生い茂った裏道

光照寺おねがい地蔵

時間に余裕があればもっと出雲崎町を散策したいところなのだが、この後もいくつか立ち寄る場所があるので道の駅へ戻る。喫茶店でパスタを食べ損ねて空腹だったので、道の駅にあるレストランで食事をしようと思ったが、混雑気味だったのでやめて車に戻り先へ進む事に。と、道の駅から国道を走り出してすぐに印象的な景色が目に留まる。隙間無く建つ妻入りの家々の風景の中に、開かれた空間とそこに建つ小さな建物。気になり住宅地の横道に入りUターン。住宅内のメインストリートを通って国道に戻ろうとすると、また気になるものが!…それは後回しにして最初に目に留まった場所へ。

良寛て誰?

日本海を向く良寛像

良寛堂

住宅密集地の中にある開けた場所に建つものは「良寛堂」という小さなお堂だった。松の木に囲まれた石畳の先に海を背景に建つお堂。海の上に浮いているようにも見える。何とも印象的で落ち着く眺め。観光スポットとまでは行かない、こういう素朴で静かな場所もいい。ますます出雲崎町が好きになってきた。朝から微妙だった空模様はだいぶ青空が広がり、気温も上昇して真夏のような暑さに。

良寛堂に戻る途中に車から見えた長い階段

良寛堂から歩いてもうひとつの気になる場所へ。それは道路の先にある長い階段。階段の上に鳥居が見えるので神社だろうとは思ったが、妻入りの街並みを見渡せそうなので上まで階段を上る。しかし周囲の木々が邪魔してイマイチ眺めが良くない。神社の横から細道が続いていて、まだ何か発見がありそうな予感。これ以上出雲崎町に留まっているとこの後の旅行計画に支障が出てしまうが、調整すれば何とかなるだろうと思い細道へ入る。

階段の上にある石井神社

細道の途中に

それにしても、街を散策する観光客を全くというほど見かけない。一度ツアーか何かの団体とすれ違ったくらい。道の駅は人で賑わっていたのに。こちらとしては閑静な街並みを落ち着いて散策出来るのでいいのだけど。

神社から続く細道を抜けると車道の坂に出る。そこから妻入りの街並みを一望。風情あるいい眺め。前回の車中泊の旅で佐渡島をまわった時は、昔ながらの木造家屋が建ち並ぶ集落風景に魅力を感じ、今回の新潟縦断でも筒石の町並み・西山町の町並み・出雲崎町妻入りの街並みと、古い町並みを中心に観光している。綺麗な自然の風景だけでなく、昔ながらの住宅風景にも魅力を感じている事に、出雲崎町を散策していてはっきりと認識した。

街並みを眺めながら坂を上っていくと、道の脇に何かの出入り口がある。またまた気になるものを発見してしまった。入口から中に入ると右手に上へ続く階段、左手に下へ続く階段が延びている。上へ行けばもっと見晴らしのいい場所に出られるかも知れないと思い、右手の階段を上って行く。

また何か発見

この階段は…

学校の通学路だったようだ

階段の側壁には子供が描いたと思われる絵がずっと続いていて、その途中に「ありがとう学び舎 ありがとう通学階段」と書かれている。なるほど、この階段は丘の上にある学校の通学路だったのか。「通学階段が役目をおえる日 平成12年3月31日」とあるので、廃校になったのだろうか。階段を上り切り先へ続く道を少し進むと、学校の体育館らしき建物がある。しかし辺りに妻入りの街並みを一望出来そうな場所は見当たらない。もう少し散策して見晴らしのいい場所を探してみたいところなのだが時間は13:30過ぎ。これ以出雲崎町に留まっていると、計画通り新潟の最北まで進んであつみ温泉で入浴出来なくなってしまうので、仕方なくここで妻入り散策終了。通学階段を下りて最初に階段に入った出入り口を通り過ぎ、一番下まで下りるとメインストリートの横路地に出る。

階段からは街がよく見えない

一番下まで下りると…

家に挟まれた細い路地に出た

出雲崎町の妻入りの街並みは海岸に沿って約3.6kmも続く長い街で、今回散策できたのはその中のほんの一部だけ。時間をかけて散策すればもっといろんな発見やいい景色に出会えそうな街。実際この旅行記の制作時にWebで妻入りの街並みについて調べていて、街の見晴らしのいい場所や史跡スポットが多数あった。是非別の機会に1日かけてこの街を練り歩いてみたいと思った。その時は今回休みだった喫茶店でパスタを食べたい。…それにしても暑い。あちこち歩き回ってバテ気味。再訪するなら涼しい季節にしよう。