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2012年5月1日(火)  巡拝16日目  雨

参拝札所:無し

歩行距離:40.0km

合計距離:507.2km

出費額:¥7,925

合計額:¥104,545

朝食

6:00起床。部屋の窓から外を見ると昨日と全く同じで、淀んだ灰色の雲が広がり雨が降っている。テレビから流れる天気予報では曇りとなっているが… 朝食を済ませ、部屋で少しのんびりしてから7:30出発。昨日の雨でぐっしょりと濡れた靴はほぼ乾いていた。新聞の効果は凄い。外に出ると雨は止んでいた。

 

宿を出て少しするとパラパラと小雨が降り始め、やがて本降りに。それから雨は小雨になったり本降りになったりを繰り返す。今日もまた全身びしょ濡れになるのかと少しうんざりしつつも、今日も沢山歩いてやろうと半ば開き直る。昨日参拝した第三十七番札所の岩本寺から次の第三十八番札所までは約82km。歩き遍路道の札所間の距離としては最長。これを乗り切れば四国参りをほぼ半分まで進んだことになる。そう考えると随分早く感じる。

2日続けて悪天候

昨日に引き続き国道56号線を歩く。昨日はずっと山道で歩道が少なかったが、宿泊した民宿内田屋から先の海岸線沿いの道にはほとんど歩道がある。そんな道を歩いていると、地面に”歩道がない箇所”の注意書きが。ここまで散々歩道のない道を歩いてきたが、注意書きを見たのは初めて。別に注意書きが無くとも見れば分かるので必要ない気もする。。

ちょっとこわい看板が目に留まる。津波から逃げる人のイラストが描かれた看板が、消防署の前に立っている。イラストに書かれている「津波てんでんこ」という意味が分からず帰宅後に調べてみると、岩手県の三陸海岸地域にある津波防災伝承の一つで、「津波が来たら、取る物も取り敢えず(必要な物も持たずに)、肉親にも構わずに、各自てんでんばらばらに一人で高台へと逃げろ」「自分の命は自分で守れ」という意味らしい。3.11の東日本大震災で津波避難が問い直されて、この看板が設置されたという記事がネット上にあった。

歩道のある道のほうがいい

海岸沿いを歩く

公園内の遊歩道

宿を出発して2時間半ほど歩いたところに道の駅があったので、建物内のベンチに腰かけ休憩。他にもお遍路さんが休憩していて、暫く談話をしてから出発。道の駅から遍路道は国道を離れ、海岸沿いに続く公園内の遊歩道を歩く。晴れていれば気持ち良さそうな木々に囲まれた一本道。日が射さない曇り空の方が歩くのは楽だが、2日続けて悪天候の下で歩いているとさすがに青空が恋しくなる。

遊歩道を歩いていると、海岸の砂浜にズラッと並ぶTシャツの群れに遭遇。何百、いや千は超えているだろうか、洗濯物を干すように紐に通され並べられている。興味深いので砂浜まで出てみようかとも思ったが、雨が降っているし濡れた砂浜で靴が汚れると面倒なので止める。雨脚はさほど強くないが本降りがずっと続いている。時折海側から強い風が吹くと雨が顔にかかって鬱陶しい。

白いTシャツがたくさん

四万十川に架かる橋に向かうため海岸線を離れ、農道のような田舎道に入る。そのまま海岸線沿いに進んで、渡し舟に乗って四万十川を渡る遍路コースもあるが、今現在渡し舟は休業しているという情報を事前に得ていた。円滑に遍路歩きをするためには、他のお遍路さん(特にこれから向かう道を歩いてきた逆打ちのお遍路さん)や地元の人とコミュニケーションを取って、多くの情報を得る事が大事。

無人野菜販売所で雨宿り

昨日は宿泊場所の確保に苦労させられたので、二の舞を踏まないようにと早めの12:00に宿の予約。雨宿りして電話ができる場所を探し、道路脇にポツンと建っている無人野菜販売所の軒下に入る。あまり遅くならないうちに着きそうな場所で、遍路地図にチェックしてある評判のいい宿に電話をしてみるが、満室や休業中などの理由で続けざまに3軒断られてしまい、4軒目でやっと予約が取れる。やはりGW中は何処も満室らしい。自分がいる場所から宿までは約20kmあるので、到着は18:00頃になるかもしれないと伝えると反応がよろしくなかったので、出来るだけペースを上げて歩かなければならない。

何とか早めに宿に着けないかと、無人野菜販売所の狭い軒下で遍路地図をじっと眺めていると、一台の乗用車が自分の目の前で止まり、運転席の女性に声を掛けられる。どちらまで行かれるんですか、よかったら町まで送りましょうか、と。雨に立ち往生して困っていると思われたのだろう。何処の誰とも分からない雨に濡れて汚れたお遍路に、自分の車に乗るよう声を掛けてくれる親切心に感激。寛大なご厚意に甘えたいところだが、どうしても車に乗るわけにはいかないので遠慮させてもらう。しかしとても親切な気持ちをもらい元気が出た。雨に負けず宿へ向けて再び歩き出す。

雨風に晒されながら何も無い道をひたすら歩く

四万十大橋

四万十大橋からの眺め

13:00に四万十川の最下流に架かる橋、四万十大橋を渡る。晴れていれば橋からの眺めがよさそうだが、生憎の天気で遠くの景色は全く見えない。四万十大橋を渡り国道321号線に入ると雨脚が強まり、強い風も吹きつけ横殴りの雨に。これはたまらない。しかし宿の到着時間の事もあり、いちいち雨宿りをしている余裕も無いのでとにかく歩く。そんな雨の中、前方に1人のお遍路さんの姿が見え始め、追いつくと小柄な若い女性だった。本降りの雨が続き歩き遍路の姿自体全然見かけないのに、ガッツのある女性もいるのだなと驚く。挨拶を交わして女性を追い越し先へ進む。

雲に景色が覆われる

国道321号線を歩く

雨の中を歩いていて、ふと異変に気付く。両足の膝の辺りに白い泡のようなものが付いている。手で払っても暫くするとまた泡状のものがついている。これは一体何…?洗濯してズボンに残った洗剤が雨に濡れて泡を出しているとか?とにかくこれはかっこ悪い。人通りは皆無なので別に気にする必要もないのだが、何だかとても気になるので泡が出たらとりあえず手で払う。しかし直ぐに何度でも出てくるので諦める。。

膝辺りに泡…

国道は山道に入る。降り続ける雨は昨日よりも冷たい。疲れが出てきたが休憩すると体が冷えるし、そもそも雨を凌いで休憩する場所が無いので黙々と歩く。暫く上り坂を進んでいくと、全長約1.6kmの長いトンネルが。ほんの一時でも雨に打たれる事から開放されるトンネル、しかも1.6kmは結構嬉しい。ロクに休憩も取れずに歩いたきたので、雨を凌げるトンネル内で小休憩。それなりに歩道の幅が広いトンネルで助かった。

山道に入る

雨の日は嬉しい長いトンネル

トンネル内で小休憩

トンネルを出てからは緩やかな下りが続く。14:30を過ぎてだいぶお腹が空いたので、廃業したドライブインの軒下に入りパンを食べる。するとトンネルの手前で追い越した女性のお遍路さんが通り過ぎていった。自分も負けていられないと、食事を済ませてすぐ歩き出す。やがて女性に追いつき、また追い越して行く。雨は16:00前に止み、コンビニの外に設置されたお遍路さん用のベンチで休憩していたら、女性のお遍路さんが追いついて再開。少し談話して今晩の宿泊先の話になり、自分が昼に予約した宿に女性は2週間も前に電話を入れたが、満室で予約できなかったとの話。おそらく自分が電話した時は、雨などの理由で予約のキャンセルが出て運良く当日に予約が取れたのだと思う。女性の話によると、その宿は結構評判のいい遍路宿らしい。

廃業した遍路案内所

朝から40km近く歩いてきたので疲労も溜まり、足の裏にまたマメができたようで痛い。ただ宿まではあと3kmもないので、力を振り絞るように気合を入れて歩き出す。歩き出して直ぐに「四国霊場巡拝案内所」と書かれた建物を発見。しかし「売地」と書かれたパネルが建物に貼られている。一応玄関に手を掛けてみるが開かない。やはり廃業したようだ。何か情報を得られるのではないかと期待しただけに残念。。

 

宿までの残り2、3kmの道のりがやたらと長く感じてしんどく、ヘロヘロになりながらも16:40宿に到着。予定よりも1時間以上早く着くことができた。ロクに休憩も食事もせずに、約9時間で40kmも歩いた。昨日に続き本当によく歩いたなと感心してしまう。昼に電話で宿を予約した時に、まだ四万十川の3、4km手前にいることを伝えていたので、随分早かったじゃないと宿の人にも言われた。本当にくたびれた。昨日に続き1日中雨の中歩いたので靴は中まで完全に雨が染みこんでいる。完全防水を謳っているゴアテックスでも、1日中本降りの雨の中を歩く事までは想定されていないようだ。玄関にはすでに新聞紙の詰め込まれた靴が2足。そして自分が靴に新聞紙を詰めている時に1人のお遍路さんが宿に到着。雨でも頑張っている人もたくさんいる。

民宿いさびり

宿泊する部屋

宿泊する部屋は随分綺麗でこざっぱりしていて、1人で泊まるには広い部屋。カバンの中の荷物を全部出して、濡れたものを乾かすため部屋に広げる。程なく入浴の順番がまわってきたので、離れになっている浴室へ。浴室もこざっぱりしていて、湯船の前に窓があり外の景色を見ることができていい感じ。暫くゆっくりしていたいところだが、自分の後に入浴を控えているお遍路さんがいるのでそうもいかない。たまには大きな入浴施設で時間を気にせず好きなだけ湯に浸かりたい。

快適な浴室

夕食

入浴後すぐに夕食。この宿は皆一緒に食事をするのではなく、入浴した人から順に食事をしていくスタイルのよう。食事はなかなか豪華でおいしい。部屋・浴室・食事と三拍子揃ってとても満足のいくもので、この宿が評判がいい事にも納得。但し宿泊費は遍路宿としては高めの7000円。ダイニングでは既に2人のお遍路さんが食事をしていて、こちらから声を掛けてみるが反応が悪く、会話の無いまま2人とも先に食事を終えスッとダイニングを出て行ってしまった。自分としては宿では他のお遍路さんと積極的に会話をして、情報交換や世間話などでコミュニケーションを楽しみたいので、話しかけないで欲しいオーラを出されると残念な気分になってしまう。まあ、お遍路さんも人それぞれなので仕方ない。2人が出て行った後には、自分より後に宿に着いたお遍路さんが食事のためダイニングに入ってくる。自転車で区切り打ちをしているという若いお遍路さんで、その人とはいろいろと話をすることができた。お遍路同士のコミュニケーションは大切だと思う。

今後の巡拝計画中

夕食後に洗濯を済ませ、濡れた荷物を拭いたり翌日の計画を立てたり、足の裏にまたできてしまったマメの水抜きをしたり。21:00頃から外は土砂降りの大雨になり、部屋に雨音と時折雷の音も聞こえてくる。天気予報では翌日も雨。天気ばかりは自分ではどうしようもない。23:00就寝。