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その1  1日目早朝〜昼

 

往路で乗船するフェリーは島根県本土の七類港を9:30に出航する。1年前に往路で乗船したフェリーよりも30分遅い出航なので、起床時間も1年前より30分遅い3:30、自宅出発も1年前より30分遅い4:00にした。そして1年前と全く同じ道のりを1年前よりも少しゆっくりと運転し、1年前には立ち寄らなかった高速道路のパーキングで小休憩しつつ、終始車の流れが良く1年前と同じようにサクサクと進み、七類港に着いたのは1年前よりも70分遅い7:30。それでもフェリー出航の2時間前に着いてしまった。万が一の事故渋滞や道路工事渋滞などを想定し、絶対にフェリーに乗り遅れないよう早めの自宅出発なので仕方ない。

七類港

(しちるいこう:島根県松江市)

七類港

誘導員の指示に従い車を航送車両待機列に移動し、ターミナルの窓口に車検証を提出して乗船手続きを済ませる。1年前と同じく、7日間の期間で本土⇔隠岐往復1回+隠岐四島を何度でも自動車航送できるフリー切符を購入。5m未満の乗用車で44,770円と安くはないが、通常切符なら本土〜隠岐の片道で22,450円するのでかなりお得。

隠岐四島を何度も行き来できるフリー切符

知夫里島の来居港へ

1年前に七類港に到着した時の空模様はどんよりとした曇り空で、フェリーの出航前から雨が降り出すという最悪の天気だったが(それでも隠岐の島に着くと晴れていたのでよかった)、今回の七類港は快晴で気分も晴々。しかし天気は急変する事もあるので隠岐の島に着いてみないと分からないし、旅行1日目は天気予報通り晴れでも2日目以降は予報が外れて曇りや雨になるかもしれない…などと天気の心配ばかりしながら車の中で乗船時間まで時間を潰す。

乗船するフェリー「くにが」

乗船時間まで待機

8:40頃から車の積載が始まる。1年前は車の積載順が一番最後の方になってしまい、客室に入ったのは一般の乗客が乗船した後だったため、じゅうたん敷きの二等客室は既にいっぱいで横になって仮眠をとるスペースを確保できなかった。今回は幸い4番目に積載できたので一般客が乗船する前に客室に入ることができ、足を伸ばして横になるだけのスペース確保に成功。ただ、1年前に乗船した島後行きのフェリーと比べると乗船客は少ない。小さな島が3つ集まった島前よりも隠岐四島で一番大きい島後の方が乗船客は多いよう。

フェリーに車を載せる

1年前の島後行きよりは空いている

定刻通り9:30に出航。フェリー乗船中は特にすることも無く、スマホを少しいじってから横になって仮眠。

知夫里島東部の陸地

ふと眠りから覚めてフェリー後部の屋外デッキに出ると、島前三島に囲まれた内海にフェリーが入っていくところだった。左手にはこれから観光する知夫里島の陸地が広がり、山の上には翌朝日の出見物のために行く予定の知夫里島灯台が小さく見える。1年前は強風でフェリーが大揺れして船上での写真撮影が困難だったが、今回は風が穏やかで揺れが少ないので写真がブレる事もなし。

視界不良でズーム撮影はボケ気味

風が穏やかで気持ちいい

青空が広がる晴天なのは嬉しいが、どうも遠くの景色が霞んでいて視界が良くない。時期的に黄砂の影響か、それともPM2.5か、いずれにせよ中国大陸から流れてきたものが原因ではないかと思う。視界が悪いせいかズーム撮影した写真はピントが甘い。まぁ、晴れて明るく強風も無いので良しとする。1年前の爆風とも言える風は本当に厄介だった。

1年前に島後から乗船したフェリーとすれ違う

来居港が見えてきた

来居港

(くりいこう:島根県知夫村)

定刻通り11:30に知夫里島の来居港に到着。翌日朝に知夫里島から西ノ島へ渡るために乗船する島前内航船の混雑状況を聞くため、島内観光を始める前にフェリーターミナルの窓口へ立ち寄り。

来居港ターミナルと知夫里大橋

知夫里島を発着する島前内航船は1日2便しかなく、小型のフェリーで普通車10台程度しか積載できない。しかも事前の自動車航送予約はできず早く並んだ順となるので、フェリーが満車でマイカーを載せられず西ノ島へ渡れない!という事もありうる。なのでGWに入ってからの内航船の自動車航送状況をターミナル窓口で尋ねたところ、何と前日に船に載せられなかった車が1台あったとの事。どれくらい早く港に着いておけば確実に乗船できるかを訪ねたところ、出航の1時間前までに来ていれば大丈夫との事だが、心配なのでもっと早めに港に着くようにしようと思った。

知夫里大橋を見上げる

知夫里大橋を見下ろす

来居港駐車場の上にあるらせん状の道路が知夫里大橋。真新しい感じの橋だなと思ったが、よくよく周りを見てみるとフェリーターミナルを含め港が全体的に新しい感じ。ちょっと調べてみたところ、知夫里大橋の完成は1999年、現フェリーターミナルは2017年に完成したものだった。それから知夫里島には1960年代までまともな港が無かったらしい。

河井の地蔵の湧水

(かわいのじぞうのゆうすい:島根県知夫村)

知夫里島観光のハイライトは「知夫赤壁」と「赤ハゲ山」の2ヶ所で、早速その2ヶ所がある知夫里島西部へ向かう。来居港から知夫里大橋を上って島内に1本しかない県道に入り、県道に1つしかないトンネルを通って島の南岸へ向かう。その途中に湧水があるのでついでに立ち寄り。

道路脇に並ぶ地蔵

道路脇にさりげなく数体の地蔵が並んでいる「河井の地蔵の湧水」。道路に案内標識も駐車スペースも無く、気に留めていなければ素通りしてしまいそうな場所。道路脇を意識しながら車を運転していても、目に留まったところで車を停める場所が無くいったん通過。Uターンして湧水の少し手前にある広めの路肩に車を停める。

10体並ぶ地蔵の中にかわいいタヌキ像があり、タヌキが持つ酒壷?から湧水が出ている。タヌキ像の台座部分には、「た たおされても  ぬ ぬかれても  き きぼうもて」という文字が彫られている。しかし何故タヌキ?と思ったが、知夫里島で最も多い生き物がタヌキで、島内に2000匹前後いるらしい。ちなみに知夫里島の人口は2017年時点で600人ちょっと。

とりあえず飲んでおく

屋根付きの地蔵

島根名水百選なるものに選ばれているので、とりあえず湧水を一杯飲んでおく。ここの湧水は雨が降らない日が続いても枯れる事がなく、今までで一度も枯渇した事が無いとの事。

御越鼻メグリ照射灯

(みこしはなめぐりしょうしゃとう:島根県知夫村)

河井の地蔵の湧水から県道を進んで島の南岸に出て、県道を外れて海沿いの道路を西へ進みつつ、途中で灯台に寄り道。ここも案内標識も駐車場も無く、車は雑草が生えた道路脇に駐車。そして生い茂る草木に囲まれた細道を少し歩いて小ぶりな灯台にたどり着く。特に観光するような場所でもないが、観光スポットが限られる小さな島なので通り掛かりついでに。

駐車場も案内標識も無い

細道を歩く

小ぶりな灯台

灯台の先にある岬

高台に建つ灯台の先には岬があり、灯台からさらに続く細道を歩いていけば岬の突端まで行けそう。岬の先には石碑のようなものが立っているので少し気になったが、上り下りの続く道のりで疲れそうなので歩いていくのは止めた。島内を一通り観光して時間が余っている状態だったら行ったと思う。

灯台から東側の眺め

灯台から西側の眺め

灯台からの眺めはまぁまぁ。特に眺望のいい場所という訳でもなく、本当に小さな灯台があるだけの素朴な場所。しかし、個人的には観光客が多い有名スポットよりも、人があまり来ないようなマイナースポットの方が滞在時間は長い傾向にある。人がいなくて静かで落ち着ける場所なら、ささやかな風景でもリラックスした気分になれる。ここもなかなかそんないい場所だと思う。

知夫赤壁

(ちぶせきへき:島根県知夫村)

知夫赤壁へ向けてさらに道路を進んで行くと、途中から車のすれ違いが困難な細道に。しかも路面はボコボコで乗り心地が悪い。そんな細道を対向車が来ない事を念じながら進んで行くと、道路脇に佇む牛発見。隠岐の島はそこら中で牛の放牧が行なわれていて、1年前は牛の群れに進路を妨害されたり道路に牛の糞があった事を思い出す。

牛一号

細道を進む

細道を暫く走って知夫赤壁の駐車場に到着。知夫里島を代表する観光スポットのひとつなだけに、ちゃんと駐車スペースがあり他の観光客の車も停められていた。駐車場からは牛避けの柵に囲われた遊歩道が続いていて、柵の入り口手前にはドラマロケ地の記念碑が。知夫赤壁はNHK連続テレビ小説「だんだん」のロケ地らしい。普段テレビ番組は見ないのでドラマの事も知らなかったが、知夫赤壁のシーンは観てみたい気もする。

駐車場から遊歩道に入る

遊歩道の途中で振り返る

柵に囲われた緩い上り坂を200mほど歩いて知夫赤壁の展望スポットに到着。実際の壁は赤色というより赤茶や黒っぽい色をしていて、それらの色は酸化鉄によるものらしい。ちなみに正式名称は”知夫赤壁(ちぶせきへき)”だが、一般的には単に”赤壁(あかかべ)”と呼ばれているよう。

知夫赤壁

海が綺麗

知夫赤壁は高さ50〜200mの断崖が約1km続いているが、展望所から見られるのはほんの一部のみ。それでも間近で眺める異色の断崖絶壁は見応え十分。写真ではその大きさと迫力が全く伝わらないのが残念。展望所も赤壁の上にあるので足元は断崖絶壁。正面の赤壁や断崖下の岩礁を少しでもよく見ようと身を乗り出すと足がすくむ。

断崖の上でも柵は無いので注意

晴れでも景色が霞んでいるのが惜しい

念願の快晴下での隠岐再訪となったが、やっぱり遠くの景色が霞んでいる事だけが惜しい。赤壁のように近くのものを見る分には影響無しだが、遠くの景色は結構霞んで見映えしない。まぁ、1年前の西ノ島観光のような曇天風景よりはマシだが。そして1年前の隠岐訪問時と比べて明らかに暑い。1年前は何処へ行っても強風に晒されたが、今年はほぼ無風で日差しが強い。この天気だと汗もかくし旅行中ずっと入浴できないのは辛い。今年は中ノ島の入浴施設が営業していてよかった。知夫里島には入浴施設が無いので旅行1日目は入浴できないが。

赤壁の向かいにある断崖…これも赤壁の一部か

写真だと大きさが伝わらない

赤ハゲ山

(あかはげやま:島根県知夫村)

知夫赤壁から細道をさらに進んで赤ハゲ山へ。山頂にある展望所へ向かう途中で、耕作地などを区切る「名垣(みょうがき)」と呼ばれる石垣を横切る。名垣で区切られた一方には花が沢山咲いていて、もう一方には牛が放牧されていた。名垣の石積みだけでは柵としての機能が十分ではないのか、名垣に沿って有刺鉄線の柵が設置されている。

道路のあちこちに牛

赤ハゲ山に続く名垣

えーとこの花の名前は…

名垣で仕切られた放牧地

名垣が続く丘の上まで歩き、赤ハゲ山展望所がある方を眺めてみる。広くて長閑で、静かで落ち着くいい眺め。島の西寄りに位置する赤ハゲ山からは東へ続く知夫里島の陸地も眺望できるが、景色がだいぶ霞んでしまっているのが残念。もうこればっかりは仕方がないと諦める。

山頂に建つ展望台が見える

知夫里島東側を眺める

長閑な風景だ

そして赤ハゲ山展望所に到着。展望所からは360°の景色を眺望でき、知夫里島の北にある西ノ島や中ノ島がはっきりと近くに見える…はずだったが、視界不良が酷くてはっきりとは見えない状態。うーん、やっぱり惜しい、とても惜しい。1年前の西ノ島では曇天のため景色が映えず、今回は知夫里島で視界不良のため景色が映えず。なかなか隠岐の島は自分を悩ませてくれる。それにしても10連休の真っ只中というのに、知夫里島を代表する観光スポットでも観光客の姿は数人だけ。隠岐四島の中で最も面積の小さな島で観光スポットも限られるので、元々訪れる人は少ないのかもしれない。

赤ハゲ山展望所の駐車場と展望台

展望所から西ノ島を眺める

<< SCROLL    展望所から北側の眺め パノラマ写真180°    SCROLL >>

駐車場の隣に建つ展望台にも上ってみるが、当然ながら視界不良な眺めは変わらず。まぁ、肉眼で見た景色の方が掲載写真よりは少しマシだし、この霞んだ具合が幻想的だと思えばそう見えなくもない、気もする。しかし今回の旅一番の目的地である西ノ島の国賀海岸では、満足のいく風景が見られる程度の視界に回復して欲しいと切に願う。そうでないと1年前の曇天西ノ島観光のリベンジを成し遂げる事ができない。

展望台

展望台から北側を眺めるが…激しく視界不良

<< SCROLL    展望台から東〜南の眺め パノラマ写真180°    SCROLL >>

赤ハゲ山の観光を終えたのは14:00過ぎだったが、自宅を出る前に軽い食事をしてから何も食べていなかった事に空腹感を覚えて気付く。1年前は上陸できなかった知夫里島の観光に夢中だった。とりあえず持参してきたコンビニおにぎりを2つ食べて空腹を満たす。相変わらず車中泊の一人旅においては、観光と移動が優先で基本的に食事はどうでもいい位置づけ。