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その2  1日目昼〜夜

 

ウグイガ崎

(うぐいがさき:島根県知夫村)

赤ハゲ山から北西に続く道路

馬も放牧

赤ハゲ山から知夫里島西端のウグイガ崎へ向けてさらに先へ進む。相変わらず道幅は狭く、そして牛に加えて馬も放牧されていて、路上のあちこちに糞が落ちている状態。車のタイヤで糞を踏み潰したくはないが、道幅が狭い事もあり全てを避けるのは不可能。もう仕方ない、靴で踏むよりマシだと開き直る。そして今年も牛による進路妨害。数匹の群れが路上に集まっていたり、地面にしゃがみ込んでくつろいでいたり。牛は車を全く恐れず、ぶつかりそうなくらい接近しないとどいてくれない。放牧地の中にある道路は本当に厄介だ。

放牧牛による進路妨害多発

景色も凄いが糞も凄い道路だ

ウグイガ崎まで進むと突然道路が途切れ、車を草原に無造作に駐車。そして車を降りると結構強めの糞の匂い。何処に落ちているのかと辺りを見回したら、何と車の右前輪にベットリと糞が着いていた。しかも真新しく泥のように柔らかい糞…これは臭いっ!視覚的にも臭覚的にも顔を背けたくなるほどの惨状。これだけでも衝撃だが、タイヤに付着した糞がボディー側面に少量ながら散っているのに気付き衝撃倍増。こんな糞害人生で初めてだ。しかしどう考えても手の施しようがない(と言うか自分の手で施したくない)ので、放置する以外に術はない。まぁ、走っているうちに少しずつ落ちていくだろうし、そのうち乾燥して匂いも気にならなくなるだろうと、希望的観測をもって気分を落ち着かせることにした。

大自然の真っ只中に駐車

人生最悪の糞害に遭う(衝撃写真なのでモザイク)

気を取り直してウグイガ崎の突端へ向けて歩く。観光スポットと言うほどの場所ではないので、人の姿は自分以外に1人だけ。草が茂った地面にもあちこちに糞があるので、常に足元を見て歩かなければならない。草が高く茂って地面の様子が分からない場所を踏んではいけない。さすがに出来立てホヤホヤの糞を靴で踏んだら後始末が大変な事になる。1年前に観光した西ノ島の一部も放牧地となっていたが、こんなに糞は落ちていなかったので正直困惑。

ウグイガ崎から眺める西ノ島南端の陸地

道路が途切れた場所から斜面を歩いて下りていくと、目の前に西ノ島南端の陸地が姿を現す。相変わらず景色は霞んでいるが、赤ハゲ山展望所からの眺めと比べるとだいぶはっきり見える。西ノ島最南端の黒島鼻からウグイガ崎までの距離は700mほどと近い。ここから見える西ノ島南端の陸地の一番高い所が、1年前の旅行4日目に日の出見物をした鬼舞展望所。今回も旅行3日目に同じ場所で日の出見物することになっている。

この陸地の一番高い場所に鬼舞展望所がある

黒島鼻突端に建つ小さな灯台

ウグイガ崎から知夫里島北岸側の道路に入り、東へ向けて進む。道幅はさらに狭くなり、両側を木々に覆われ閉鎖感があり余計に狭く感じる。そんな狭小道路を進んでたら運悪く対向車に遭遇。相手は来居港で貸し出しているレンタカーの軽自動車。できれば車体の小さな相手側に動いて欲しいところだが、バックする気も脇へ寄せる気も無いようで停止したままなので、仕方なくこちらがバックしつつ少し道幅が広い場所で車を脇へ寄せる。と、ガタンッ!という音と軽い衝撃と共に車の左前方が沈み込む。…やってしまった、左前輪を道路脇の側溝に落としてしまった。

狭小道路が続く

この側溝に左前輪がハマる

アクセルを踏んでもタイヤは空回りして側溝から出られず少々焦るも、ハンドルを少し切ってアクセルを踏んだら難なく抜け出す事に成功。しかしボディ下側にキズが入ったりFRP製のスポイラーが割れたのではないかと、車を降りて恐る恐る左側に回り込み確認。すると不幸中の幸いボディへの傷は無く、溝にハマッた左前輪のホイールに少しキズが付いただけだった。安く買った中古車なので少々のキズは気にしない。それにしても車外に出ると臭い…この車で街中はとても走れない。右前輪は糞まみれで左前輪は側溝にハマッて、何だか知夫里島ではツイてない、糞は付いてるけど。車の運転中にまさかのアクシデントに遭ってしまったが、それよりも車が糞まみれで臭い方が精神的ダメージは大きい。

天佐志比古命(一宮)神社

(あまさしひこのみこと(いっくう)じんじゃ:島根県知夫村)

ウグイガ崎から狭小道路を東に進んで再び島唯一の県道に入り、知夫里大橋と繋がる交差点まで進んだところで知夫里島西側を一周。そのまま県道を進んでまたトンネルを通り、河井の地蔵の湧水を通過。そして今度は南岸に出る直前で東へ折れる県道をそのまま進み、知夫里島の東側へ。

神社入口

参道の階段を振り返る

県道が東に折れたところに、知夫里島で一番有名?な社寺である天佐志比古命(一宮)神社があるのでついでに立ち寄り。駐車場は無いので神社入口手前のスペースに車を停める。やっぱり車を降りると臭い…周りに人がいなくてよかった。参道の階段を上っていくと社殿があり、その右手に「後醍醐天皇御腰掛の石」というものが。掲示されている説明文によれば、その名の通り後醍醐天皇がこの石に腰を掛けてお休みになられたらしい。それだけでただの石が祭られるくらいなら、もう何でもありだなと思った。

社殿

後醍醐天皇御腰掛の石

お松橋

(おまつばし:島根県知夫村)

神社を後にして島の東へと延びる県道を進んでいくと、前方に特徴的な橋が見えてくる。あれが次の目的地の「お松橋」かな、と思ったらそうではなく、汐見橋という県道の橋だった。地図を見る限りでは、海岸の入り江をまたぐために架けられた橋のよう。ただの橋と言えばそうだが、特徴的な構造をしていて目に留まる。

県道を進んで知夫里島の東へ

汐見橋

汐見橋を通った先から県道は海崖の上を通り、幅が狭くなり曲がりくねった道路に。側溝脱輪アクシデントの件もあるので、対向車とのすれ違いが困難な細道はあまり走りたくない。そんな海崖の道路を進んでいくと、途中で眼下に橋が姿を現す。今度こそ間違いなくお松橋。そして海崖を下りて小さな漁港に出たところで、道路は県道とお松橋へ続く道に分かれる。しかし案内標識等は見当たらず、車を何処に停めればいいのかも分からず(持参した観光マップには[P]のマークがある)、目に留まったそれらしい空きスペースに車を停める。少し前から小腹が空いていたので、観光を始める前に車内でおにぎりを2つ食べる。糞の匂いが車内に入ってきたら食欲が失せるので窓は閉める。正直なところ、車の運転中でも窓を開けていると薄っすら糞の匂いがする事がある。

海崖からお松橋を見下ろす

<< SCROLL    知夫里島から眺めるお松橋 パノラマ写真180°    SCROLL >>

お松橋は歩行者専用の橋で、知夫里島の南東にある島津島とを繋いでいる。早速島津島へ渡ろうとお松橋へ行くと、入口がアルミ梯子で塞がれているので通行止めなのかと焦る。梯子に貼り紙があるので確認してみると、放牧牛が逃げ出すのを防ぐためのもので通行は可能と書かれていてホッとする。梯子を横にずらしてお松橋に入り、細道を進んでいくとここにも複数の糞が。軽く糞トラウマになりそう…

牛が逃亡するのを防ぐ梯子

お松橋から東側の眺め

島津島 …の西へ

(しまづしま:島根県知夫村)

お松橋を渡って島津島の北端に入ったところで遊歩道はふた手に分岐。一方は島津島の南端へ向けて約1km続く遊歩道で、夕景スポットにもなっている。南端へ続く遊歩道は放牧地の中を通るので、入口には牛が逃げないようにするための扉がある。もう一方の遊歩道は島の北岸沿いに西端へと続く。旅行1日目は島津島かこの後向かう知夫里島灯台から夕日見物をする予定でいたが、時間はまだ16:00と日没時間まで3時間近くある。なので夕景スポットがある南端へ続く遊歩道に入るのは後回しにし、先に西へ続く遊歩道を進む。

島津島の南へ続く遊歩道は放牧地

島津島の西へ続く遊歩道

島津島からお松橋を見る

海水浴場を通る

舗装された海岸沿いの遊歩道を歩き、途中で海水浴場になっている砂浜を横切り、そして遊歩道西端まで行くと渡津神社という小さな神社にたどり着く。神社からは入り江状になっている海水浴場を見渡す眺め。神社の側には向かい合う2つの碑があり、そのうちの一方がお松橋と同じ名前の「お松の碑」。島津島は隠岐民謡の「どっさり節」発祥の地で、お松という人が考案者らしい。

渡津神社

渡津神社から海水浴場を眺める

お松の碑

お松の碑は海岸手前の草の生えた広場にあり、広場はキャンプ場になっている。それゆえか海岸にはゴミが散乱。誰が捨てたのか冷蔵庫まで転がっている残念な状態。海岸からの眺めは特に印象的なものでもなく、時間的に西側の風景は陰っているので見栄えもせず、早々に遊歩道を引き返してお松橋まで戻る。

冷蔵庫捨てたの誰だっ

海岸からの眺め

夕景は島津島南端から見るか知夫里島灯台から見るかまだ決めていなかったが、とりあえず先に灯台へ行って眺めが良ければそのまま日没まで留まり、何らかの理由で灯台よりも島津島の方がいいと思ったら戻ってくる事にした。という事で、お松橋を渡って車へ戻り、知夫里島灯台へ向かう。

高平山

(たかひらやま:島根県知夫村)

知夫里島灯台は知夫里島南端にある高平山の山頂にある。車で狭小道路を上り(知夫里島は狭い道路ばっかり!)、灯台の建つ山頂まで続く遊歩道の入口で車を停める。そして少々急勾配の遊歩道を約300m歩いて山頂に到着。高平山も牛の放牧地になっていて、山頂は足の踏み場に困るほどに糞だらけ。観光のために人が訪れる場所としてはあまりにも過酷な惨状。今までに見たことのないカオスな光景に思考が停止しそうになる。

山頂へ続く遊歩道

高平山山頂

放牧牛の排泄場と化した高平山山頂に酷く動揺しつつも、足元に細心の注意を払いながら知夫里島灯台へ。灯台は小ぶりで至ってありふれた形のものだった。灯台の左手からは知夫里島より東の海を見渡す事ができ、翌朝ここから日の出を眺めようと決める。しかし翌日早朝に再びこの牛糞まみれの場所に来なければいけないのかと考えると、いっそう気が重くなる。

知夫里島灯台

高平山から東側の眺め

西側の風景を見渡せる場所へ灯台から移動する途中、”ムニュッ”という嫌な感触が… 散々注意していたにも関わらず右足で糞を踏んでしまう。そしていつの間にか左足の靴にも軽く糞がついていた。草地なので分かり辛かったか。必死に両足の靴を草に擦りつける。ひたすら草に擦りつけて何とか糞を落とし切る。視覚的にも臭覚的にも、そして精神的にも高平山の糞害は許容の範囲を遥かに超えている。本当にヤバイ!

<< SCROLL    高平山から西側の眺め パノラマ写真180°    SCROLL >>

糞害で甚大な精神的ダメージを受けつつも、山頂から西側の風景を眺望。西へ広がる知夫里島の陸地や南北に細長い島津島を一望できる。夕景を眺めるにもいい場所に違いないので、このまま高平山に留まり夕日見物をするか島津島の夕景スポットへ行くか、景色を眺めながら暫く迷う。

島津島南端の展望所が見える

お松橋も見える

山頂には柵と壁で囲われた広場があり、入口には牛が入れないようにするため「コ」の字に有刺鉄線が張られている。ただ、人間が通るにもギリギリの幅しかないので、カバンや衣服を鉄線に引っ掛けて傷つけないよう注意して通る。しかし広場の中にも糞がちらほら。囲いの一部が崩れているのでそこから入ったのか、いずれにせよ観光地としての維持管理はあまりされていないよう。まぁ、いくら放牧地とはいえ足の踏み場に困るほど糞まみれな時点で観光地には向いてない。

有刺鉄線が張られた広場入口

知夫里島観光は牛糞との戦いだ…

日没まではまだ2時間もあり、それまで高平山にずっといるのは時間をもてあそぶ事になるし、何より糞まみれの場所に居続けるのは精神的にも辛いという事で、結局夕日見物は島津島でする事に。

島津島 …の南へ

(しまづしま:島根県知夫村)

再びお松橋を渡って島津島へ

できれば放牧地は避けたい

再びお松橋。橋の入口のアルミ梯子を横にズラすのが面倒なのでまたいで通過。そして島津島南端へ続く遊歩道の入口にある扉を開けて放牧地に入ると、予想通り遊歩道を含めそこら中が糞だらけ。それでも舗装された道は糞が落ちている場所がはっきり分かるだけ、草が茂った高平山山頂よりはマシ。水平線に沈む夕日が見られることを期待していたが、時間と共に太陽は知夫里島西部の陸地の上へと移動していく。

遊歩道からの眺め

糞だらけの遊歩道を歩く

南端へと続く遊歩道

遊歩道の終点に東屋

島津島北端から約1km遊歩道を歩き、終点にある東屋に18:25到着。島津島のほぼ南端に位置する場所まで来ても、残念ながら太陽の位置は陸の上にある。あともう少し南へ移動すれば太陽の位置が水平線上にズレるかもしれないと、諦め悪く東屋から未舗装の草地を南に進んで行くが、変わらず太陽は陸の上にあり諦める。もっと日照時間の短い時期なら水平線の上に沈む夕日を見られたのかもしれない。草地を歩いていると脚にチクッときたので何かと見たところ、1年前に島後の浄土ヶ浦海岸を散策した時にもチクッとやられた紫色の植物だった。

色鮮やかな紫色の花

間もなく日没

<< SCROLL    島津島南端から眺める夕景 パノラマ写真180°    SCROLL >>

いつの間にか西側には厚い雲が広がっていて、翌日以降の天気が急に心配になる。そしていつの間にか少々強い風が出ていて寒いので、しゃがんで風を凌ぎながら日没を待つ。自分のすぐ側には牛が二匹草をむさぼっていて、こっちに来るなよと横目で警戒しつつ沈みゆく夕日を眺める。そして18:40を過ぎたところで太陽は陸地の影に隠れ始め、それから2分ほどで完全に姿を消した。

いつに間にか雲が広がっていた

西に沈む太陽

水平線に沈む日没風景を見ることができなかったのは残念だが、日没直前の輪郭がくっきりとしたオレンジ色の太陽を見られたので良しとする。20分ほど風に晒され身体が冷え切ったので早歩きで引き返す。日没前から急に姿を現した雲はますます広範囲に広がり、翌日の天気がさらに心配に。旅行2日目は西ノ島へ渡り、曇天で全く風景を楽しめなかった1年前のリベンジを果たすのが目的なので、絶対に晴れてくれないと困る。

島津島での夕日見物で旅行1日目の観光は終了。あとは食事をして寝るだけ。何処で車中泊するかは特に決めていなかったが、お松橋手前の駐車場(と思われるスペース)の側にある公衆トイレの裏手に車を停めるスペースがあったので、車をそちらへ移動。別に駐車場(と思われるスペース)に停めたまま車中泊しても問題なさそうだが、民家の隣なので夜間のドア開閉音が迷惑になるかもしれないと思い、念のため。住民の目に留まって変に怪しまれるのも困るし…

公衆トイレの裏で車中泊

夕食の準備中(湯を沸かすだけ)

駐車場(と思われるスペース)からお松橋まで続く海岸沿いの道の防潮堤の上で、夜の海を眺めながら(と言ってもほぼ真っ暗)の夕食。さほど空腹でもないのでメニューはカップラーメンと缶詰のコンミートだけ。シングルバーナーで湯を沸かして準備完了。

プリウスだって寝袋車中泊ができる

身長177cmでギリギリ足を伸ばせる広さ

食事を済ませて歯を磨いたら、後は寝る他にすることは無い。車の後部座席を倒してエアーマットを膨らませ、その上に寝袋を敷いて寝床の完成。1人なら寝袋を敷いて足を伸ばして寝られるという、プリウスの潜在能力の高さのお陰で車中泊の快眠度が一気に上がった。もう運転席をリクライニングするだけの車中泊には戻れない。21:40頃就寝。