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その4  2日目昼〜夜

摩天崖

(まてんがい:島根県西ノ島町)

馬も放牧

車に近寄る馬

天上界から車で摩天崖へ向かう。細い上り道を進んでいくと、途中から放牧された馬を何頭も見かけるように。牛と同じく馬も車に慣れていて、至近距離まで近づいても逃げない。車を停めて車内から写真を撮っていたら、こちらに寄って来て開いた窓から車内に頭を入れてきそうな勢いの馬もいた。一般的な野生の馬牛もこんな感じなのだろうか。見かけた馬は明るい茶系の毛色が多く、日差しを浴びた毛並みは手入れをされているかのように綺麗に見える。差別はよくないが牛より馬の方が目の保養になる。

摩天崖の上も放牧地

トイレには動物侵入防止の扉がついている

天上界の駐車場から3.5kmほど山道を上って摩天崖の駐車場に到着。天上界で急に曇った空模様は日差しが出るまでに回復。しかし空全体に薄雲が掛かったような感じで、遠くの景色はさらに霞んであまり見えなくなってしまった。それでもせっかく天上界から車で移動してきたので、駐車場から摩天崖の先端まで続く緩やかな高原を歩いていく。

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摩天崖の上も放牧地となっていて、訪問時は馬が二頭だけいて草を食んでいた。やはり毛並みがよく眺めているだけで目の保養になる。フサフサのたてがみを触ってみたくなるが、下手に近づいたり触れたりしたら足で蹴られて大変な事になるに違いない。ところで、ここで放牧されている馬は何のために放牧されているのだろうか。馬は完全放置なのか、それとも誰かが手厚い世話をしているのか、考えてみればその辺の知識が全く無い事に気付く。

足が黒いと力強そうに見える

たてがみが素敵

摩天崖先端からの眺め

そして摩天崖の先端に到着。本来なら国賀海岸の断崖風景を一望できるのだが、空模様の変化による視界不良の悪化で全く景色が映えない。天上界で曇った時点でこうなる事は予想していたが、実際にその場に立って酷く霞んだ景色を目の当たりにするとさすがに落ち込む。そんな景色でも「凄いね〜」とか「写真には収まりきらない絶景だね」などと言っている観光客も。霞んだ風景でもそんじょそこらの景勝地より雄大な眺めであることは確かだけど… 天上界〜展望所までの観光では1年前のリベンジを果たせたと思えたが、やはり摩天崖からの眺めも十分に満喫できないと満足できない。なので摩天崖へは翌日も訪れる事になる。

気持ちのいい高原道路

摩天崖の観光を終えたのが13:10。中ノ島にある入浴施設へ行くために乗船する予定でいた島前内航船の出航時間が14:40だったので、別府港までの時間を考えるとちょうどいい時間になっていた。摩天崖から高原を下りるのに通った道路は天上界から上って来たのとは別の道で、1年前には通っていないので初めて走るルート。この道路からの景色がとても良く、車を運転していてとても気分がいい。穏やかな高原風景が広がる中を、緩いアップダウンとカーブを繰り返す道路。何かのテレビCMに出てきそうな雰囲気の道路だった。

木のトンネル

細道が暫く続く

別府港へ向かう途中で、今回の西ノ島観光の重要拠点であるスーパーマーケットに立ち寄りお買い物。昼食の弁当・翌朝食もしくは小腹が減った時用の菓子パン・お茶2本を購入。天上界の観光途中から空腹になり始めていたので、やっと飯にありつくことができた。そして営業時間を確認。9:00〜19:00となっているので日没後の食料調達はできない。中ノ島で入浴したら直ぐに西ノ島へ戻り、再び天上界へ行って夕日見物をする予定なので、その前に夕食を購入する必要がある。昼食と一緒に夕食も買っておけば楽だが、昼に買った出来合い弁当などを夜まで車内に置いておくのは良くないと思い、入浴後再び天上界へ向かう途中にまたスーパーに立ち寄る事にした。

自分には大変貴重な存在

とりあえず昼食の弁当を買う

別府港に着いたのは内航船出航50分前の13:50。既に乗船待ちの車が2台待機していた。念のためフェリーターミナルの窓口で乗船手続きが必要か尋ねたところ、知夫里島の来居港と同じく手続き不要だった。ただし窓口で整理番号が書かれた札を受け取る必要があり、それを車のワイパーに挟んで車両待機列に並んで待つ。もしも整理札を受け取らずに並んでいたら乗船順は最後になってしまうのだろうか。それがもとで内航船に車載できなくなったら揉めそうだ…

乗船待機中にスーパーで買った弁当を食べる。従来の車中泊旅行であれば、道中の何処かしらにコンビニがあり食事に困る事はなく、どちらかと言えば出来合い弁当は手頃な食事処が無かった時の選択肢という感じだが、1年前の隠岐の島旅行では食べ物に少々苦労した(特に塩分過多…)ので、普通の出来合い弁当でもありがたいと感じる。

再び島前内航船

車両待機列に並ぶ

今回は3番目

早めのフェリー到着

車内で食事をしている間に港に車が立て続けにやってきて、出航40分前の時点で乗船待ちの車は7台に。やはりその時々で利用者数は変わるので、内航船に車を載せるなら出航の1時間くらい前に港に着いていた方が安心。フェリーの自動車航送予約ができないのは少々不便だ。

フェリーは早めに港に到着したので、今回は遅れることなく定刻通りに出航。車は9台積み込まれ、車両甲板の空きスペースは残り1台分だった。やはり内航船の自動車積載台数は10台のよう。ともあれ、無事内航船に車を載せることができて一安心。14:40発の便を逃したら次は16:42。それでも入浴施設は21:00まで営業しているので問題無いが、中ノ島発西ノ島行きの内航船は17:15の便が最後なので、入浴したら最終便に間に合わない。隠岐の島の島前三島をマイカーで行き来する旅は、便数も車両積込数も限られた内航船をいかに効率良く利用するかが肝になる。

車両甲板中央は車一列分しかない

一旦西ノ島を離れる

予定通り中ノ島の入浴施設へ行ける事になり安心したのも束の間、約10分の乗船で中ノ島の菱浦港に接近すると、明らかに内航船の車両積込数を超えた数の車が乗り場に待機しているが見え、入浴後に西ノ島行きの内航船に乗船できるのかという不安が生まれる。万が一内航船に乗れなかったとしても、本土と隠岐四島を行き来する隠岐汽船の大型フェリーを利用する手もあるが、隠岐汽船の中ノ島発西ノ島行きフェリーの午後の便は15:15発の1本のみ。結局当日中に西ノ島へ戻るには島前内航船最終便の17:15発しかない。

短時間でも船の移動は楽しい

中ノ島の菱浦港に接近

中ノ島の菱浦港に到着したら直ぐさま入浴施設がある「海士町保健福祉センター ひまわり」へ。菱浦港から約3kmの場所にあり5分ほどで到着。ここはプールやスポーツジム、テニス・ゲートボール・フットサルコートなどがある施設。小さな離島で普段どれだけの利用者がいるのか分からないが、訪問時はひと気が無くガランとしていて営業していないのではないかとさえ思った。1年前に訪れた時は本当に営業していなかったが。

海士町保健福祉センター ひまわり

シンプルな温泉

フロントで入浴料300円を払って浴場へ。湯船がひとつあるだけのシンプルな入浴施設だが、利用客は自分だけで貸し切り状態なのがいい。しかしふと疑問が。ネットの情報ではヒノキ風呂があることになっているが、どう見てもヒノキ風呂ではない。館内の一部が工事中だったので、もしかしたらヒノキ風呂がある浴室が工事中だったのか、それは1年前のボイラー故障が影響しているのか。まぁとりあえず、隠岐の島で入浴施設を利用できるだけでもありがたいので大した問題ではない。それよりも17:15発西ノ島行きの内航船に車を載せられるか、そればかり心配しつつもせっかく入浴のためだけに中ノ島まで来たので、15:10〜15:50までゆっくり入浴。そして菱浦港に16:10に戻ると、内航船待ちの車は1台も停まっていなかった。

菱浦港→入浴→菱浦港

1番乗り

西ノ島からの到着時に乗船待ちで十数台並んでいた車のうち、内航船に載り切らなかった車は隠岐汽船のフェリーを利用したのかもしれない。ともあれ、これで無事計画通りに旅が進められる事になり一安心。たった一度の入浴のためにこんなに手間隙掛かったのは、これまでの車中泊の旅の中でも前例が無い。

旅行2日目の入浴のために島前内航船で二島間を行き来する際、予定通りに乗船できず西ノ島へ戻るのが3日目の午前中になってしまうことも考え、今回の隠岐の島旅行は最低でも4日間の日数を確保するようにしていた。実際は全て計画通りに進んだので、この時点で翌日の午後に隠岐の島を発つ事を決める。天気予報は翌日が晴れで翌々日は曇りとなっているし。まぁ天気予報はアテにならないが。それに寝袋を利用した車中泊とはいえ、40歳にもなると体力的にも精神的にも車中泊の連泊は疲れるし、GW終盤は自宅でのんびりしたいというのもある。ともあれ、念願だった快晴下での国賀海岸観光ができたので(摩天崖では視界不良だったが…)1年前のリベンジを果たす事が出来、もう十分目的を果たせたと結論を出す。しかし実際はまだまだ十分ではなかった事が、翌日の摩天崖観光と国賀海岸周遊の定期船観光を体験して解る事になる。

17:15発の内航船出航まで1時間あるので、のんびり休憩しつつチョコレート菓子と乳飲料で小腹を満たす。自宅を出てから飲み物はお茶だけだったので、ターミナル内の売店で買ったカフェラテが妙においしく感じた。適度な糖分摂取も必要だ。のんびりと内航船を待つ間に、帰路のため翌日午後に乗船する隠岐汽船の予約も済ませる。そして内航船は時間通りに西ノ島の別府港へ向けて出航。積み込まれた車は4台だけだった。

フェリーが来るまでのんびりと

乗船中の船の前方には、上空を雲で覆われた西ノ島の姿。周囲の景色を見渡す限り他は青空が広がっているのに、何故か西ノ島上空だけ完全なる曇り空。これはいったいどういう事だ…これでは国賀海岸の天上界からの夕景を楽しめないじゃないかと、心の中で少々嘆く。ただ一方ではまぁ仕方ないかと、前日は島津島でそれなりの夕景を眺め、朝は知夫里島灯台からそれなりの朝日を見られたのでいいかと、入浴して心身共にスッキリした事もあり心に余裕。

 何故か西ノ島の上空だけ…

雲が広がり青空が遮られる

夕食購入

夕日を見られる希望は薄いが、とりあえず別府港に着いたら天上界へ向かう。その途中で昼に食料調達したスーパーに再び立ち寄り夕食を購入。数種類ある弁当の中から腹持ちしそうなチキンカツ弁当を選び、こってりしたものだけではアレなのでさっぱりしたお新香も追加。カップ麺と缶詰がメインだった1年前の食事と比べたら(あと前日夜の食事も)、栄養も味もバランスが良くまともな食事。そして食事の準備も必要なし。やはり自分の車中泊旅行スタイルには、手間暇掛からない出来合い弁当が向いている。

国賀海岸の天上界

(くにがかいがんのてんじょうかい:島根県西ノ島町)

18:00に天上界に到着。予想通り日が沈む西側は曇っていて、夕日は雲の後ろに隠れた状態。時折雲の薄い部分から太陽のシルエットが見えるも、直ぐにまた隠れてしまう。ただ、時間と共に雲の状態も変化して夕日がくっきりと姿を現すかもしれないので、とりあえず日没時間の18:50まで天上界に留まる事に。

雲に隠れていた太陽が…

雲間から姿を現す

天上界の遊歩道をぶらぶらと歩きながら曇った夕景を眺めていたら、18:15に雲間から太陽が姿を現す。そしてここでふと思い出す。複数の奇岩がある天上界の中でも特に印象的な形をした観音岩は、観音像に見えることからその名が付けられた細長い岩だが、同時に夕日が岩の先端に重なってローソクのように見える「ローソク岩」でもあるという事を。もしかしたら夕日が灯った観音岩を見られるかもしれないと思い、太陽と岩がちょうど良く重なって見える場所を探して歩く。

あと少し…

ちょい右にずれた

観音岩に点火!

さらに日は沈む

そして観音岩がローソク岩に見える場所を発見。ずっと観音岩の方に一眼レフカメラを向けている2人が目に留まり、ここに違いないと行ってみると正にベストスポットだった。夕日は右へと移動しながら沈んでいくので、自分が少しずつ左へ移動して位置修正しつつ、夕日が岩の先端に乗るを待つ。そして18:19に夕日は観音岩の先端にくっつきローソク点火。

日没直前の通天橋

1日の終わりを見送る

今回は太陽の位置の関係で、観音岩の手前に別の岩が重なって見える場所からの見物だったので、ローソクのように細長い観音岩本来の姿ではなかったが、季節によって太陽が沈む位置も変わるので仕方ない。ともあれ、曇り空で夕日を見られるかも怪しい状態だったところ、考えてもいなかった観音岩に日が灯る夕景を見ることができて大満足。太陽は18:46に水平線上の雲の後ろに姿を消す。そして日没を迎えて旅行2日目の観光を無事終えた時、もの凄く空腹であることに気付く。

日没直後の天上界

天上界を後にし、翌朝に日の出見物をする事になっている鬼舞展望所へ向かう。鬼舞展望所は西ノ島の最南端にあり、西ノ島観光のハイライトである天上界〜摩天崖エリアから10km近く離れている。加えて周辺には他に観光スポットが無く、日没後という時間もあり、天上界からの道のりは一度も他の車とすれ違う事もなく。国賀海岸という日本屈指の景勝地がありながらも、GW10連休の真っ只中でも観光客の少ない西ノ島。本当に穴場的観光地だと思う。

鬼舞展望所へ向かう

そして19:20鬼舞展望所の駐車場に到着。1年前の隠岐の島旅行では3日目にここで車中泊をしようとしたが、高台にある駐車場はあまりに風が強く風音と車の揺れで眠れず、駐車場から少し道を戻って風を凌げる木陰に車を停めて車中泊をした。今回もそれなりに風が出ていて車内にいても風音が聞こえるが、車が揺れるほどの爆風ではなく睡眠の妨げにはならない。車から降りると風の影響で結構寒く、上空は晴れているが駐車場から一望できる西側の海の先には雲が広がっていた。

高台の駐車場で車中泊

駐車場から海を眺める

ここでやっと夕食の時間。夕方にスーパーで買った弁当とお新香で空腹を満たす。後は歯を磨いて、荷物整理をして、後部座席を畳んで寝袋を敷いて、鬼舞展望所到着から1時間後にはやることが無くなる。スマホをいじって時間潰しをするも直ぐに飽き、寝るには早過ぎる21:00過ぎに就寝…が、寝付けず身を起こしてまたスマホいじり。一応読みかけの文庫本を持ってきているが、読書という気分ではない。車中泊の一人旅の場合、就寝地に着いたら基本的に寝る以外することが無いのが難点。理想は観光終了後に大きな入浴施設に立ち寄り、のんびり入浴して旅の疲れを癒し、寝転がれる休憩所でゴロゴロしたりテレビを観たりしてマッタリ時間を潰す。これが一番。