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その5  3日目朝〜昼

鬼舞展望所

(おにまいてんぼうじょ:島根県西ノ島町)

駐車場から丘の上へ

最悪な空模様…

4:30起床。まだ風が出ていて車から降りると寒い。外は薄明るくなっていて、空一面に雲が広がっているのが分かる。これでは日の出見物は絶望的だとほぼ諦めつつも、せっかく西ノ島南端まで来たので展望スポットとなっている丘へ上がる。ここも放牧地であちこちに糞が落ちているので、草が高く茂って地面の見えない場所は避けて歩く。丘の上には薄雲が下りていて、それが風に流されていて更に寒い。駐車場を振り返るとマイカーがぽつんと1台停まっているだけで、周囲に人の姿も無し。おそらくマイナーであろう鬼舞展望所に、早朝でしかもこの天気の中散策しようと思うのは自分くらいなのかも知れない。

駐車場にはマイカーだけ

丘の上を南へ進む

丘の上からの眺めも全方位曇り空で、特に東側は雨が降っていてもおかしくないような空模様。これでは日の出見物どころか日中の観光すら満足にできないではないかと、心の中で嘆き気分が落ち込む。そして日の出時刻の5:15を過ぎても太陽どころか日の光すら見えず、寒いので諦めて車に戻ろうかと思ったところで、東に見える西ノ島東部の陸地と雲の間から光が漏れ始める。それから次第に雲間に朝焼けが広がり、そして厚い雲の後ろで輝く太陽を確認。

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日の出は見ることができなかったが、この調子なら綺麗な朝焼け風景が見られるかもしれないと思い、暫く東の空をじっと見続ける。雲は風に流され絶え間なく姿を変え、やがて雲間から太陽光が放射状に射すようになり、だんだんと幻想的な眺めになっていく。そして日の出時刻から30分経ってやっと朝日が姿を見せる。太陽の高さからして快晴時では眩しく輪郭がはっきり見えないと思うが、雲がフィルターの役割をして輪郭のはっきりとした太陽が見える。

雲間から放射状に伸びる太陽光

諦めていた太陽が姿を現す

絵画のような風景

太陽が高く上がるにつれ放射状の太陽光も広範囲に広がって行き、薄オレンジ掛かった朝焼けに雲と陸地の影が映える幻想的な風景に。これは快晴時の眺めよりもずっとインパクトがある。曇り空で朝日も朝焼けも見られないと思っていたのが、想定外の絶景を目の当たりにする結果に。流れる雲と昇る太陽で刻々と変化する朝焼け風景を夢中になって撮影。ただ、寒さで手がかじかんでカメラの操作がし辛い。

朝焼けを十分満喫したところで丘の上をさらに南へと進み、旅行1日目に観光した知夫里島が見える場所へ移動。日の出前は一面曇り空だったのが、いつの間にか青空が目立つ空模様になっていた。朝日に照らされた知夫里島は輪郭以外はっきりと見えないが、そのモヤっとした朝靄風景感が柔らかい印象の眺めにしている。日の出時刻から1時間が過ぎて高く昇った太陽は、雲のフィルターで眩しさが抑えられていてまだ輪郭がくっきり見える。風景を楽しむのに快晴がベストだとは限らないものだと、今回の鬼舞展望所で教えられた。まぁ基本的には快晴の方がいいけど。1年前も同じく曇天下での朝日見物だったので、今回は快晴下で日の出を眺めたかったというのが本音。

丘の上から眺める西ノ島最南端と知夫里島

6:15の太陽

知夫里島観光で島の北端にあるウグイガ崎を訪れた時に、西ノ島最南端の黒島鼻に建つ小さな灯台が見え、鬼舞展望所の観光時に余裕があれば灯台まで歩いて行こうかと考えていた。しかし鬼舞展望所の丘の上から眺める西ノ島最南端はまだまだ先で、尾根に続く未舗装の道を2、3kmは歩く事になりそう。標高差も結構あり本格的なハイキングになりそうなので、西ノ島最南端まで歩くのは止めた。

国賀海岸のある北西側も雲がまばらになり青空が広がっていた。すっかり晴れ渡った景色は視界良好で、遠くの景色までよく見える。旅行3日目にしてようやく文句無しの好視界になった。これなら前日は視界不良で残念な眺めだった摩天崖のリベンジもできる。それにしても、短時間で一面曇り空から快晴への変貌振りには驚かされる。天気は本当に分からない。

国賀海岸がある北西側の眺め

という事で、再び摩天崖へ向かうため駐車場へと引き返す。何だかんだで鬼舞展望所に上がってから2時間も経っていた。丘一面に生えている草は朝露で濡れていたため、気付けば靴もズボンの裾もびしょ濡れに。まぁ糞は踏まずに済んだので問題ない。この日が旅行最終日という事で、寝袋とエアーマットをきちんと畳んで片付け、荷物の整理も済ませておく。それから前日の昼にスーパーで買った菓子パンを朝食として食べて、7:30過ぎに鬼舞展望所を出発。

赤尾スカイライン

(あかおすかいらいん:島根県西ノ島町)

赤尾スカイライン

3日目は好視界

鬼舞展望所から摩天崖へ行く前に、天上界の奇岩群や通天橋を離れた所から眺望できる赤尾展望所へ向かう。展望所までは赤尾スカイラインと言うワインディングロードが通っていて、展望所の直ぐ手前に絶景を見られる展望スポットがある。実は天上界の奇岩群や通天橋を眺望するなら、赤尾展望所よりも赤尾スカイラインの展望スポットの方が眺めがいい。

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1年前にここを訪れた時は曇り空で日が差さず、空も海も灰色掛かって全く景色が映えずガッカリだったが、今回は抜けるような青空で視界も良く、1km強先にある天上界と周囲の地形がはっきりと見える。早朝の曇り空が嘘のような雲ひとつ無い快晴になった。とにかく最高にいい眺め、文句無しの絶景。写真ではこのスケール感が全く伝わらないのが本当に残念。

天上界を眺める

通天橋35倍ズーム

通天橋は周囲と比較して間近で見るよりもずっと大きく感じるのは錯覚だろうか。そして間近で見るよりも印象的な形に見えるのも気のせいだろうか。いずれにせよ、これだけ離れた場所から眺めても通天橋はインパクトがある。

赤尾展望所

(あかおてんぼうじょ:島根県西ノ島町)

赤尾展望所

木造の展望台

7:50赤尾展望所に到着。国賀海岸の海崖の上にある赤尾展望所からの眺めは、水平線に分けられた空と海が視界いっぱいに広がる絶景。もう本当に最高の眺めだ。前日の天上界の観光に続き、赤尾スカイラインと赤尾展望所も1年前の完全リベンジを果たせた。同じ場所でも快晴か曇りかで目に見える風景の印象は全く別物になる。

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赤尾展望所からも天上界が見えるが、周辺の地形が赤尾展望所の高台の陰になって隠れているので、構図的に赤尾スカイラインの展望スポットからの眺めの方がいい。通天橋の見える角度も変わり穴が狭く見える。時間は8:00を回っているが、展望所から見る限り天上界にはまだ観光客の姿は無く、赤尾展望所にいるのも自分だけ。この雄大な景色を自分1人が独占しているようで気分がいい。宿泊施設を利用している観光客は朝食を終えてこれから観光へ出掛ける頃だろうか。日の出前から行動を始めることができ、観光客のいない朝早い時間に観光地や風景を独り占めできるのは、時間を最大限自由に使える車中泊の一人旅ならではだと思う。

展望台右手に天上界

角度的に通天橋の穴の形が微妙

展望台左手の風景

自分の影を撮ってみる

赤尾展望所にはかなり強い風が吹いていて、今回の旅で一番の強風体験。1年前のような直立しているのが困難なほどの爆風ではないが、展望台の側に停めてある車が揺れる程度の強さ。結構寒いし長時間外で景色を眺めているのはしんどい。なので程々で展望所を後にし、もう一度赤尾スカイラインの展望スポットに寄ってのんびりと景色を楽しむ。

摩天崖

(まてんがい:島根県西ノ島町)

摩天崖駐車場に8:50に着くと、さすがに数台の車が停まっていて観光客の姿があった。雲ひとつ無い快晴は保たれ、駐車場からの眺めで既に絶景。気分は最高潮に達し、はやる気持ちを抑えて摩天崖突端へ向けて高原を歩いていく。これまで日本各地を旅していろんな風景を見てきたが、ここまで気分が高揚して景色に夢中になるのは久しぶりな気がする。正にテンションMAX!視界に広がる広大な風景を写真に収めようとパノラマ撮影するも、このスケールはとても写真では伝わらない。

摩天崖駐車場からの眺め

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<< SCROLL    摩天崖からの眺め パノラマ写真180°    SCROLL >>

そして標高257mある摩天崖突端に到着。晴れ渡った空の下で眺める国賀海岸の風景は正に絶景。他に言葉に表しようが無い、そしてこの壮観な風景の感動は写真では伝わらない!これで一年前の曇天下での国賀海岸観光のリベンジを完全に果たす事ができた。

標高二五七メートル

正に絶景

写真では凄さが伝わらないのが残念

せっかく好視界の快晴に恵まれたので、前日に通天橋から遊歩道を登って行った展望所に、今度は摩天崖から下って行ってみる事に。これで通天橋⇔展望所⇔摩天崖の区間の遊歩道を全て歩いた事にもなるし。

摩天崖から遊歩道を下る

再び摩天崖の絶壁が見られる展望所へ

遊歩道となっている高原の斜面を下りていく途中で、放牧されている馬牛が何頭もいる平地に差し掛かる。普段馬を目にする機会が全く無い(牛も見ないけど)自分には、毛並みの綺麗な馬は本当に目の保養になる。そういえば、若いうちに一度は乗馬体験をしておこうと思っていたが、気付けば実現しないまま40歳になっていた。

馬牛の放牧

綺麗な栗毛

途中に獣道のような狭い道があり、地面の土には馬のヒズメ跡が沢山残されていた。人が通る遊歩道を馬も歩いているんだなぁと。狭い道で不意に馬と鉢合わせしたらさすがにビビりそうだ。

こんな道も通る

馬のヒズメ跡が沢山

摩天崖から続く遊歩道はひたすら下り道。行きは楽だが帰りがしんどい。しかしながら前日に歩いた通天橋⇔展望所までの遊歩道とは景色も道の様子も違うので、そういう点でも展望所⇔摩天崖までの遊歩道も歩いて正解だった。

天気も視界も良くとにかく眺めがいい

再び通天橋の上の摩天崖展望所

摩天崖は陰になっていた

景色を楽しみながらのんびりと歩いて、摩天崖から20分ほどで展望所に到着。展望所の北側には摩天崖の絶景があるが、時間は9:30を過ぎたところで西向きの断崖にはまだ日が差さず、残念ながら完全に陰っていた。快晴で周りが明るい分余計に暗く見える。ここから明るい摩天崖を見るなら太陽が西へ傾いた午後がお勧めという事だろうか。まぁいいさ、南側に見える天上界は最高に眺めがいい。前日はかなり霞んでいた風景が遠くまでくっきり見える。摩天崖の上からだと天上界はこの展望の後ろに隠れているので、ここまで下りないと見られない。

天上界

天上界よりさらに南にある赤尾展望所のある岳まではっきりと見える。ズーム撮影すると木造の展望台に人がいない事まで分かる。さらにその先に「大神の立岩」という特徴的な岩が見える。午後には観光船に乗り海から国賀海岸観光をして、大神の立岩の目の前まで行く事になる。

前日より断然眺めがいい!

視界がいいので遠くまでよく見える

赤尾展望所

大神の立岩

写真には収まりきらないこの雄大な景色を動画に収めようとデジカメで撮影してみたが、撮った動画を後から確認したところ素人丸出しのヘタクソ動画だった。写真撮影を主とするカメラでの動画撮影とはいえ、カメラワークが酷くて観ていてつまらない。これならまだ写真の方がマシという事で動画は全消去。自分はYouTuberには向いていないと確信。

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いつまで眺めていても飽きることの無い風景、そしてこれ以上壮観な風景は今後滅多に見る機会は無いだろうという事で、気の済むまで国賀海岸の風景を眺める。しつこいようだが写真ではこの絶景の素晴らしさが全く伝わって来ない。せっかく快晴なので展望所から通天橋まで下りてみようかと少し考えたが、通天橋と国賀海岸の観光は前日に十分できたし、摩天崖までの復路が約2kmずっと登りになるので止めた。展望所を後にして摩天崖の上まで戻ったのが10:50。観光客が随分と増えて駐車場は満車になっていた。

帰りはずっと登り

帰りも馬の観察を楽しむ

日本最大級の海崖からの眺めは相変わらず素晴らしく、その場を立ち去るのが勿体無いと思うほどに摩天崖からの眺めに魅了されてしまった。この後の予定はマイナースポットの岩を2ヶ所観光してから、13:10発の観光船に乗り国賀海岸を海から観光し、そして帰路へ向かうため15:45発のフェリーに乗って本土へ戻る事になっていたが、摩天崖からの風景をいつまでも眺めていたいので岩2ヵ所と観光船は止め、フェリーの時間までずっと摩天崖でのんびりしていようかと考える。しかしそれではさすがに時間をもてあそぶ事になりそうなので、後ろ髪を引かれる思いで摩天崖を後にする。

三郎岩とメド岩

(さぶろういわとめどいわ:島根県西ノ島町)

ここが三郎岩の眺望スポット

三郎岩

観光客がほとんど訪れないようなマイナースポットへも立ち寄るのが自分のいい所…という事で、西ノ島西岸の摩天崖から北東へと島を縦断(と言っても15km弱)し、中ノ島の北岸から約200m沖にある三郎岩の眺望スポットへ。ここから名前の由来通り三つの岩が並んだ三郎岩が見られる。但し三郎岩は約2km先にあるので小さい。西ノ島北東部には観光スポットと言える場所が無いため、車はほとんど通らず人の姿も無い。

三郎岩の展望スポットからメド岩も見える

メド岩

メド岩は道路脇にある

ユアーズ様様

三郎岩の眺望スポットからは、メド岩という穴の空いた特徴的な岩も見える。メド岩は海岸沿いに続く道路の脇にあるので、間近から見ることができる。馬が蹴り飛ばして穴ができたという伝承があり馬道(メド)岩と名付けられたらしい。メド岩のある海岸一帯には赤っぽい海藻が浮いていて、対岸には中ノ島北西部の陸地が連なる風景が広がっている。特別印象的な風景ではないが長閑でいい眺め。時間はちょうど12:00を回り、ここで車を停めて景色を眺めながら昼食。摩天崖からの移動中に立ち寄ったスーパーで買った弁当を食べる。

<< SCROLL    メド岩がある道路からの眺め パノラマ写真180°    SCROLL >>