トップページ

その3  2日目昼〜夜

 

平根崎波蝕甌穴群(ひらねざきはんしょくおうけつぐん)

海岸の岩盤に波の浸食によって出来た穴が沢山ある平根崎波蝕甌穴群。駐車場からは岩場のゴツゴツした斜面を降りて行くのだが、これが結構険しい急斜面。足を滑らさないように注意しながら降りて、甌穴群のある岩盤へ。 

険しい岩場から甌穴群を見下ろす

人物対比こんな感じ

甌穴はどれも海水で満たされていて、中を覗くとコケや石が入っているのが見える。大きさ・形・中の様子とさまざまで、一つ一つ見てまわるのがおもしろい。まるで小さな海を沢山見ているような気分。平根崎の波蝕甌穴群は国内ではかなり貴重なものらしく国の天然記念物にもなっていて、世界的に見ても甌穴の数が多い場所らしい。

ところで甌穴群の駐車場の前には飲食店か何かの廃墟があったのだが、佐渡島では廃墟を本当に多く見かける。過疎化が原因なのか、観光客が減少しているのか、なんだかちょっと心配になってしまう。

尖閣湾(せんかくわん)

甌穴群の次は、長く続く断崖や奇岩が見られる尖閣湾の見物をしようと行ってみると、何と景色を見るには有料の敷地内に入らなければならない形になっていた。しかも入り口はお土産売り場の中にある…何かセコ過ぎる。ちょっと海辺の景色を眺めるのに有料というのはどうかと。同じ事で文句をこぼしている観光客を見かける。それでも折角来たので、入場料500円を払って有料敷地内へ。

映画のロケ地にもなったらしい

小さな灯台あり

橋を渡って尖閣湾を一望できる岩へ

遊歩道を歩いて橋を渡り、尖閣湾を一望できる岩場の展望台へ。「尖閣湾」という名前は、景観が似ているというノルウェーの「ハルダンゲルフィヨルド」を日本語にしたもの。展望台からは高さ20mの断崖が長く続く風景を眺めることができる。が、特別印象的な眺めと言うほどでもないかなと。快晴ならばまた違った印象を受けたのかも知れない。やはり天気のせいか?

尖閣湾からは海岸に点在する奇岩を周る遊覧船が出ているのだが、曇り空で陽が射さず景色が映えないのでパス。しつこいようだけど、こういう自然の景色はどんなに有名な景勝地でも、天気が悪く陽が射さないといい景色には見えない。逆に何気ない風景でも、陽が射し明るいといい景色に見える。やはり自然の景色を楽しむ旅には空模様が最も重要なのだなと改めて痛感。おまけにほとんど海岸風景ばかり見ているので、いい加減海辺と岩場の景色に飽きてきた。

高さ20mの断崖

遊覧船乗り場

海岸線の岩場

夫婦岩(めおといわ)

大きな岩が寄り添うように立ち、その周りには岩礁が広がっている。夫婦岩の目の前はドライブインになっていて、沢山の観光客で賑わっていた。佐渡1日目で最も沢山の人を見かけた場所だと思う。ここは夕日スポットでもあるようなのだが、まだ16:00過ぎで日没まで時間があるし、どの道この天気では夕日など見えそうにもないので先へ進む。

佐渡歴史伝説館(さどれきしでんせつかん)

基本的に車中泊の旅では資料館などにはあまり行かないのだが、ジェンキンス氏が勤務しているという事でネタにもなりそうなので寄ってみる。佐渡歴史伝説館の駐車場には車が数台しかなく、辺りを見回しても観光客をほとんど見かけない。閉館時間17:30まで1時間を切っているせいもあるかも知れないが、それにしても閑散としていて少し不安になる。伝説館がどういうものなのか全く知らないまま、入館料700円を払って入館。

入り口を入るといきなり小さな人形劇場。コンピューター制御のリアルな等身大人形が語り部に合わせて動く。一つの人形劇は数分と短いもので、一つ見終わったら通路を進んで次の人形劇を見て、また次を見て…という感じに複数ある人形劇を順々に見て進み、佐渡の歴史と伝説を知るという仕組み。資料館としては結構斬新なシステムかも知れないが、かなり微妙な気がする。自分はあまり歴史と伝説には興味が無いので、各劇をチラッとだけ見てサクサク先へ進む。

ハイテクからくり人形

なかなかよく出来てる

子供がずっと見てると思ったら…

人形劇のセットの1つに一人の子供がずっと食い入るように眺めていて、劇が終わって繰り返し初めから始まってもじっと見続けている。そんなに老夫婦の人形のセットが気に入ったのかと、訝しげにその子供を見ていた。しかし後から歴史伝説館のパンフレットを見てみると、あれっ?あの子供が映っている!何と人形劇をじっと見ていた子供も実は人形だった。薄暗かったせいもあって全然気づかなかった…こりゃ一本取られた。

人間国宝佐々木象堂

瑞鳥

展示物いろいろ

ジェンキンス氏の写真

人形劇エリアを抜けると、日本一の鋳金家で人間国宝の佐々木象堂記念館に入る。サクサクっと見ながら先へ進み、ジェンキンス氏が勤務しているお土産売り場へ。しかしジェンキンス氏はいないようで、他の店員と一緒に撮った写真が掲示されていた。まぁ、何となく居ないとは思っていたけど少し残念。

佐渡歴史伝説館を出てこの日最後の目的地、人面岩へ向かう。17:30を過ぎて空が赤く染まり始めている。ん、なんか随分雲が晴れてきているように見える。あまり曇っていては夕焼けも見えないはずだし。人面岩がある真野湾は夕日スポットでもあるので、もしかしたら海に沈む夕日を見ることが出来るかも知れないと、ほのかに期待を膨らませながら車を走らせる。

水田に映る夕焼け

真野湾にある人面岩

人面岩と真野湾

(じんめんいわとまのわん)

17:50に人面岩に到着。人面岩、確かに横を向いた人の顔の形をしている。夕日の見物スポットでもあるのだが、日の入り時刻にはまだ少し早いからか、それとも微妙な天気のせいか、人影は無い。日の入り時刻は18:35頃。視界に広がる真野湾は夕焼け空と同じ色に染まっているが、太陽はまだ雲に隠れている。もう少し太陽が下がれば雲から出てきそうなので、人面岩の前で夕焼け風景を眺めながら暫し待つことに。

暫く待てば太陽が顔を出すはず…

あと少し…

出た!

時間と共に雲も晴れていき、18:20過ぎに遂に太陽は雲から完全に出る。太陽が沈んでいくにつれ、空と真野湾はどんどん濃いオレンジ色に染まっていく。観光客もちらほら来るようになり、人面岩と真野湾の夕焼けを撮って去っていく。自分は完全に日が落ちるまで人面岩のある海岸に留まる事に。

それにしても、こんなに色鮮やかで綺麗な夕日と夕焼けを眺めるのは何年振りだろう。夕日スポットというのは伊達じゃない。佐渡島1日目は朝から曇り空で何処の景色もイマイチ映えず、念願だった旅だけに心も晴れなかったが、最後の最後で最高の景色を眺める事ができて、とても救われた気分。

日没間際になると観光客はいつの間にか居なくなっていた。誰も居ない真野湾の海岸で一日の終わりを眺める。そして18:35日没。真野湾の向こうの陸に姿を消す。

佐渡観光1日目を終え、空腹を満たそうと人面岩の近くにある町に入るが、飲食店はおろかコンビニすら見当たらない。静まり返った町の中を車でうろうろしていると、「焼肉」と大きく書かれた看板を発見。お食事処とも書いてあるので、普通の定食もありそう。看板下の駐車場に車を停め、住宅地の細道に入りお店へ。注文したカルビ定食は予想以上のボリュームで満腹。ちゃんとしたご飯を食べられる店があってよかった。空腹を満たしたら次は1日の疲れを癒しに温泉へ。

八箇所調べておいた立ち寄り温泉のうち、焼肉屋から一番近い温泉へ行き、1時間ほど入浴して時間は21:30。それから両津港の近くにある、佐渡島唯一の道の駅へ行き車を停める。辺りはカエルの鳴き声だけが聞こえる。空を見上げると雲でぼやけた月が見える。まだ空には雲が広がっている様子。佐渡2日目も天気予報通り曇りなのだろうか。せめて雨だけは降らないで欲しい。いや出来ることなら晴れて欲しい。そんな風に翌日の天気を気にしながら眠りにつく。