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その4  2日目朝〜昼

 

経ヶ岬

(きょうがみさき:京都府京丹後市)

スマホの目覚ましで4:30起床。空腹だったので朝食用に買っておいた菓子パンを食べ、約15km先の経ヶ岬へ向けて道の駅を4:50出発。暗い夜道を走っていると動物が目の前を横切り思わずブレーキ。キツネかタヌキだろうか。以降動物に注意しながら運転しつつも、計3回も動物が目の前を横切る。そして経ヶ岬の駐車場に着いたのが5:20。駐車場からは日本海を一望でき、日の出見物と思われる数人が三脚を立てて待機していた。前日の夕方から曇り始めて天気が心配だったが、周囲はすっかり晴れていて一安心。駐車場から山道を歩いた先に経ヶ岬灯台があり、灯台からも日の出が見られそうなのだが、木々に覆われた山道はまだ暗くて歩きづらいだろうし、日の出時刻の5:40まで20分を切っていたので、かなり迷ったが灯台へ行くのは止める。

経ヶ岬駐車場

駐車場から僅かに見える灯台

日の出まで駐車場で時間潰し。駐車場からは経ヶ岬灯台の上部だけが遠くに小さく見え、ズーム撮影してみると思った以上にはっきりと撮影できた。購入価格3万円の安価なコンデジながらもなかなかやるなと感心。ふと空を見上げるとほぼ満月の月が見えるので、買ったばかりのカメラの性能を試してみることに。果たして手持ちで月のズーム撮影はできるのか。最大ズームの光学35倍にもなると、シャッターボタンを押した際の僅かなブレでも被写体の位置がズレてしまうので、セルフタイマーを2秒に設定し、夜景手持ちモードで月を撮影。シャッターボタンを押した際の被写体ズレをシャッターが切られる前に修正し、液晶画面の中心に月をしっかり捉える。そして撮影された写真を液晶画面で確認すると、月面の模様やクレーターがはっきりと撮られていて驚いた。

ズーム無しで撮った月

光学ズーム35倍で撮った月

小型の三脚も持参してきたので、車の屋根に三脚を立てて夜景三脚モードで再度撮影。意外な事に手持ち撮影と三脚使用で月面の鮮明さはほぼ変わりなく、手持ちは背景に少しノイズが入る程度の差だった。予想以上のカメラ性能に少し感動。こんな高性能カメラが3万円で買える時代なんだなと、しみじみ思った。

月の撮影に夢中になっていたら日の出時刻の5:40を過ぎていたので慌てて海側へ。しかし水平線の上には雲があり、まだ太陽が出てくる気配がない。できれば水平線から顔を出す朝日を見たかったが、まぁ仕方ない。そして6:04になってようやく雲の後ろから朝日が顔を出す。取り分け印象的な眺めではなかったが、日の出見物するのは久しぶりなので結構満足した。

雲の後ろから顔を出す朝日

6:05

よくある日の出風景ではある

6:08

無事日の出見物をしたところで、山道に入り経ヶ岬灯台へ向かう。山頂展望所もあるが眺めは灯台からと大して変わらないだろうと思い、朝一から歩き疲れたくないという事もあり灯台にだけ行く事に。山道と言っても勾配部分は階段になっているところが多く、どちらかと言えば遊歩道という感じの道で比較的歩きやすい。木々に囲まれまだ薄暗い道に木漏れ日が射し込み、なかなかいい雰囲気。それでも山頂展望所には行かない、夜型人間は朝一に弱い。

山道を歩いて灯台へ向かう

朝日を浴びる遊歩道

駐車場から10分ほど歩いて経ヶ岬灯台の入口に到着。まだ誰もいないと思っていたが、大きなレンズをつけたカメラを持った先客1人が灯台を後にするところだった。もしやと思い灯台と海が見える場所へ移動すると、いい感じに灯台と朝日が並んでいる光景が。ここから日の出見物すればよかった… まぁ、「灯台と日の出」は見ることができなかったが「灯台と朝日」は見ることができたので良しとしよう。

灯台敷地内の入口

ここから日の出見物すればよかった

経ヶ岬灯台は小さないながらも、両サイドに部屋が設けられた印象的な形の灯台。レンズは全国で6灯しかない最高級の第1級レンズを使用…との事だが、素人の自分にはよく分からない。灯台も灯台からの日本海の眺めも良く、日本の灯台50選に選ばれている。ちなみに自分が今までに訪れた事のある日本の灯台50選の灯台は27ヵ所だった。

経ヶ岬灯台

レンズ

なかなかいい眺め

歴史のある灯台

灯台から眺める日本海と朝日

灯台からの海と朝日の眺めは駐車場からよりもずっと良く、経ヶ岬から南東に続く海岸線を見渡す事もできる。やはり駐車場に着いて直ぐに灯台へ行けばよかった… 自分以外誰もいない灯台で暫くのんびりしてから駐車場へ戻り、次の目的地の伊根の舟屋へ向かう。

景色のいい国道を走る

経ヶ岬から海岸沿いの国道を走る。7:00過ぎという早い時間で交通量はほとんどなく、程よいカーブが連続するワインディングロードを快走。快晴で抜けるような青空の下、車窓からは綺麗な海岸線風景が広がり景色も言う事無し。途中途中で写真を撮るために車を停めようと思いつつも、いい気分でドライブをしている最中に停める気にはなれず、なかなか写真が撮れない。

途中で蒲入展望所という展望スポットがあり、そこでやっと車を停める。展望所からは経ヶ岬方面の海岸線風景を一望。陸地の一番先には経ヶ岬灯台が極々小さく見える。ここでもカメラの高倍率ズームを生かして灯台を撮影。よし、コンデジにしては良く撮れてる。こうズーム撮影が楽しいと、さらに高倍率ズームができるカメラが欲しくなってしまう。

蒲入展望所からの眺め

蒲入展望所から眺める経ヶ岬灯台

国道は蒲入展望所から先は内陸部に入ってしまい、伊根の舟屋まで山あいを進む。途中の集落では路上にたむろする数匹の猿に遭遇。旅行2日目は夜明け前から路上で野生の獣によく遭遇する。東京に住んでいた頃だったらかなり珍しい事だが、現在住んでいる東広島市の自宅周辺ではキツネ・タヌキ・イタチをよく見かける(路上に飛び出したキツネを車で撥ねそうになった事が2度ある)ので、さほど珍しい事でもないか。

伊根の舟屋

(いねのふなや:京都府伊根町)

今回の車中泊旅行で特に楽しみにしていたのが、「舟屋」と呼ばれる船揚場が設けられた伝統的建造物が多数残されている伊根地区の散策。伊根湾を囲むように舟屋が軒を連ねている。舟屋の観光は車に載せてきた折りたたみ自転車で周るため、舟屋群のほぼ中間にある「道の駅 舟屋の里伊根」に車を停める。

道の駅 舟屋の里伊根

NHKドラマのロケ地

道の駅に到着したのは7:50。まだ観光客の姿はほとんど無く、飲食店や土産物売り場は閉まっていた。建物の裏手は展望台になっていて、目に付くところにNHK連続テレビ小説「ええにょぼ」のモニュメントが。ここは映画やドラマのロケ地にもなっているらしい。そして高台にある道の駅の展望台からは伊根湾を一望。伊根湾をぐるっと囲むように建ち並ぶ舟屋を眺める事ができる。ここは絶好の展望スポット。

<< SCROLL    展望台から眺める伊根湾 パノラマ写真180°    SCROLL >>

展望台からは木造建築の舟屋が隙間無く建ち並ぶ様子がよく分かる。舟屋は1階が船揚場や物置、作業場などになっていて、2階が生活の場となっているらしい。現在は2階を民宿にしている舟屋も多いとか。ここにこれだけ多くの舟屋が集まったのは、伊根湾が干満差が少ないというのが理由のひとつらしい。

展望台から眺める伊根の舟屋

展望台から眺める伊根の舟屋

展望台からの眺めを十分満喫してから、車に戻って折りたたみ自転車を出す。舟屋が並ぶ通りは道幅が狭く車を駐車できる場所が限られるため、自転車で観光するのがベスト。暫くサイクリングと言えばロードバイクに乗っていたので、久しぶりに折りたたみ自転車を活躍させることができて嬉しい。ちなみに伊根町内では無料のレンタサイクルをやっているので、自転車を持ってこなくてもサイクリングすることができる。道の駅を含め4ヵ所のサイクルポートがあり、誰でも自由に利用する事ができる。これは親切すぎる!ただし各サイクルポートに置かれている自転車の数には限りがあるので注意。

久しぶりに活躍できる折りたたみ自転車

自転車で伊根の舟屋散策

自転車に乗って道の駅から長い下り坂を下りて、舟屋が並ぶ湾沿いの通りのほぼ中間に位置するT字路に突き当たる。道の駅の展望台からの舟屋群の眺めは、西側は日が差して明るく、東側は太陽がまだ低いため背後の山の影に隠れて暗かったので、T字路を右折して先に西側の舟散策をすることに。

民家の並ぶ通りを進む

風情ある舟屋風景

T字路から伊根湾沿いの道路を進んでいくと、両側に古い木造家屋が並ぶ狭い通りに入る。道路の左手に並ぶ民家の奥に舟があるのだが、道路からはでは見ることができない。なので岸に出て水際から舟を見られる場所は無いかと進んでいくも、家々は隙間無く建っていて意外と岸に出られる場所が無い。勝手に民家の敷地内に入るわけにもいかないし。そして民家の並びを抜けたところでやっと岸に出られる場所が。意外と撮影スポットは少ないのかなと思いながらさらに先へ進むと、有料駐車場が設置された小さな埠頭あり、湾を挟んだ向かいに舟屋がズラリと建ち並ぶ風景があった。

有料駐車場もある

真正面に広がる舟屋群

<< SCROLL    七面山駐車場から舟屋群の眺め パノラマ写真180°    SCROLL >>

そして有料駐車場の直ぐ先には伊根浦公園という小さな公園があり、ここも素晴らしい舟屋展望スポット。手前から奥へと舟屋が軒を連ねるいい構図の風景。古い町並み風景が好きな自分には、舟屋群風景に非常に惹かれるものがある。とっておきの観光スポットを発見できたようで気分上昇。旅行2日目が快晴になってくれて本当によかった。

伊根浦公園からの眺め

伊根浦公園からの眺め

サイクリングライクな写真も撮りたい

さらに道を先へと進む。昔の診療所を想わせる白塗りの建物や江戸時代から続く酒造など、古い木造建築や白壁が残されている。舟屋群が並ぶ通りには小さな見所がいくもあるのだが、散策マップのコピーを自宅に忘れた為分からない。さすがにマップに書かれた細かな内容までは覚えていない。しかし、気分良くサイクリング観光している最中にスマホでチマチマ検索する気にはならず。まぁ、晴天の下素晴らしい舟屋群風景を堪能できるだけで良しとしよう。時間が早いからかここまで観光客の姿はほぼ無く、釣りをする人を数人見掛けただけ。

何となく診療所っぽい

江戸時代から続く酒造

ここで古い自転車らしき乗り物を発見。前輪の上にエンジンらしきものがあるが、ペダルがついているので自転車に違い無いと思われ。この動力を利用してペダルを楽に漕げるようになるのだろうか。だとしたら現在の電動アシスト自転車と同じ位置づけの乗り物?いずれにせよこんな乗り物は今まで見たことが無い。デザインや腐食具合からして何十年も前のものに見えるが、いつのものだろう。

今で言う電動アシスト自転車的なもの?

エンジン?モーター?

舟屋群を見下ろす景色を見られるという展望スポットの八坂神社へ行ってみるが、高台の上にある境内は木々に囲まれていて外の景色は見えず、神社入口の鳥居がある階段道から景色が見られた。しかし眺めは家々の屋根だけで舟屋は見えず。まぁ旅にこういう事は付き物だ。自分の脚であちこち散策して、1ヵ所でもいい場所を発見できればいいのさ。

八坂神社

八坂神社への階段道からの眺め

ウルトラマンっ

八坂神社を下りて自転車でさらに西へと少し進んだところで、もうこれ以上舟屋群はないだろうと引き返す。が、実際はもう少し先にも舟屋群があったと後から知って少し後悔。散策マップを忘れたのはやはり少々痛かった。旅行に出る直前の持ち物確認はしっかりしないといけないと改めて痛感。毎回自宅を出て車に乗り込んだ時に、忘れ物は無いか車内を確認しているのだが、何故今回は確認忘れをしたのか本当に不思議だ。

この先で引き返す

道の駅から坂道を下りたところにあるT字路まで戻り、今度は伊勢湾の東側を散策。時間は9:30をまわりだいぶ日が高くなり、道の駅の展望台から眺めた時よりも明るくなった。東側は車の交通量も人の姿も西側よりも少なく、と言うよりほとんど無く、随分ひっそりとしている。観光客はこちらまではあまり来ないような雰囲気がある。そして道路が綺麗に舗装整備されている西側に対し、東側は舗装状態が悪くガタガタしている場所が多い。小径タイヤの折りたたみ自転車では強い振動が身体に伝わり、運転していて少々疲れる。

伊根湾東側

東側の通り

東側も岸に出て舟屋を見られる場所がなかなか見つからず、だいぶ先まで進んでやっと眺めのいい場所を見つける。正面に舟屋が並び、その後ろの高台には神社の紅い鳥居が見える。神社の上からの眺めがよさそうなので、帰りに寄ってみることにした。

おもしろいもの見つけた

帰りにあの鳥居まで上ろう

舟屋

舟屋群の端まで進んだ所には小さな赤灯台が。灯台の側ではイカを天日干しにする作業が行われていた。地元で「秋イカ」と呼ばれるアオリイカで、秋イカの天日干しは伊根の秋の風物詩との事。この灯台周辺が日当たりと風通しが良く特に乾くらしい。

赤灯台

秋イカの天日干し

赤灯台からは伊根湾を一望でき、湾の東岸に軒を連ねる舟屋風景を見ることができる。そして赤灯台の目の前には伊根湾の入口に浮く青島。この島が大きな波を防いで湾内の波は穏やかになり、舟屋を守っているらしい。

赤灯台からの眺め

赤灯台からの眺め

<< SCROLL    赤灯台から伊根湾の眺め パノラマ写真180°    SCROLL >>

赤灯台から引き返しつつ、高台にある鳥居へ続く道を探してそれらしい石段を発見。自転車を置いて石段を上って行くと、先ほど見えた紅い鳥居のある神社に着くが、石段はさらに上へ続いているので上って行き、途中で後ろを振り返ると伊根湾東岸の舟屋群と青島を見渡す眺め。ここからでも十分に眺めがいいが、せっかくなので一番上にある慈眼寺というお寺の入口まで上り、舟屋が軒を連ねる風景や青島を眺望。伊根湾西側で立ち寄った八坂神社からの眺めはイマイチだったが、こちらは非常に眺めが良く立ち寄る甲斐があった。ここで伊根の舟宿観光は終わり。

ここから高台へ

階段道からの眺め

慈眼寺前からの眺め

走行距離

道の駅に戻ったのが10:15。約1時間半の伊根の舟屋観光サイクリングで走った距離は9.1km。これだけの距離を歩いて観光するとなると、それなりの時間と体力を消費する事になるので、やはり伊根の舟屋観光は自転車利用がベスト。朝はひと気の無かった道の駅は乗用車や観光バスで満車になっていて、多くの観光客で賑わっていた。展望台へ行ってみると中国の団体観光客で混雑していて、皆伊根湾の風景写真を撮っていた。伊根の舟屋は日本人以外にもいい景色に映るらしい。

今回は自転車で散策しただけだったが、時間にもっと余裕があれば伊根湾巡りの遊覧船に乗船したかった。湾上を航行する船からの舟屋群風景も良さそう。まぁ陸からの方が間近で舟屋群を見られるので、今回はこれで良しとしよう。ちなみに、忘れてきた伊根浦散策マップを帰宅後に見たところ、マップに印をしておいた舟屋群の撮影スポットは全て周っていた。自分の散策能力に少し感心した。