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その3  1日目昼

 

新村遊歩道

(しむらゆうほどう:高知県室戸市)

室戸スカイラインを抜けて海沿いの国道を高知市方面へ走り始めて直ぐ、道路脇に立つ「新村遊歩道駐車場」と書かれた看板に目が留まるも、あっ!と思った時には通り過ぎていた。ここは時間に余裕があって気が向いたらついでに立ち寄ろうかなと考えていた場所なので、そのまま素通りしてしまおうかと一瞬思ったが、予定より1時間も早く室戸岬観光が済んでいたのでやっぱりUターン。南海側の道路に入ってからずっと交通量も信号も少なく快走だったため、車での移動時間が予定よりだいぶ短縮されていた。

この看板が目印

新村遊歩道は、4000万〜3500万年前の深海の地層を見ることができるスポット。要は海岸の岩場を散策する遊歩道。岩は室戸岬で散々見たし、あまり観光客が訪れないマイナースポット的な印象を持っていたし、大して楽しめないだろうなぁ、と思いつつも折角なので立ち寄る事にした訳だが、実際は思いのほか楽しめる場所だった。

新村遊歩道を歩く

駐車場から続く遊歩道を歩いていくと途中でT字路があり、海へ向かって延びる方へ折れると岩場に囲まれ突き当たる。何層にも地層が重なり独特な模様になった岩場が広がっている。室戸岬の岩とは随分印象が異なり、なかなか見応えがある。

岩場に囲まれた突き当たりへ

しましまの地層(写真だとあまり見えない)

通路には地層について説明しているパネルが複数枚設置されている。しましまに見える地層や蓮根(れんこん)という水の流れた痕など、どのようにしてそうなったのか絵・写真・文章で説明しているので理解しやすい。「生物が動いたあと」という説明パネルもあり、暫く岩場を探してみたが見つけることはできなかった。ちょっと悔しい。ともあれ、新村遊歩道は特徴的な地層風景を楽しめて学習もできるスポットだった。それにしても夫婦岩・室戸岬の海岸・新村遊歩道と、何気に岩場の観光が多いな。

蓮根・水の流れたあと

何気に岩尽くしの旅だ

遊歩道をさらに進む

岩場に出るのはやめとこ

海岸に沿って続く遊歩道をさらに先へと進む。大きな岩が敷き詰まったような海岸に出られる所があったが、かなり歩き辛そうでつまずいて転倒したら損なので止めておく。それに気温が上がり初夏のような暑さになってきたので、暑さで体力を消耗したくないし汗だくにもなりたくないし。GWってこんなに暑かったっけ?と思うくらいに暑い。

空海修行の地なのか

巨岩がゴロゴロ

駐車場から続く舗装された遊歩道はやがて終わり、階段を上って断崖の上へ。すると「空海修行の地 修行御座石→」と書かれた人型の案内板が立っている。そこから見下ろす巨岩がゴロゴロ転がる海岸風景が結構インパクトある。その中に「←空海 修行御座石」と書かれた板切れが置かれているが、矢印がどの岩を指しているかイマイチ分からない。台風なんかの荒天で板切れが動いて矢印の指す位置がずれている可能性もありそうだし。ともあれ、ここから眺める岩だらけの海岸風景はインパクトがあるので、遊歩道まで戻ってやっぱり海岸に出ようか少し考えたが、暑くて面倒くさくて結局止めた。

どれが修行御座石か分かりにくい

何となくいい海岸風景

崖っぷちと岸壁の間の細道を進む

道はさらに続いていた。断崖の縁と岩壁に挟まれた細道があるが、どこまで続いているのか分からないので駐車場へ引き返そうかと考える。暑いので無駄に外を歩く気にはなれない。ただ、駐車場にある新村遊歩道の案内図には、遊歩道の終端辺りに「不動岩」と書かれてあったがまだ見ていない。気付かないうちに不動岩を通り過ぎてしまったのか、それとも空海の修行御座石の事なのか、そもそも不動岩がどんなものなのか分からない。それでも折角ここまで来たのだからと、とりあえず細道を歩いてみる。

岩につくられた入口発見

岩の中に入る

程なくして岩壁に造られた入口に行き当たる。これが不動岩?案内標識も何もないので分からないが、きっとそうに違いない。これはいい発見だ、修行御座石が見える場所で引き返さないでよかった。岩の中の奥行きは浅く、小さな祠が祀られていた。きっとここも空海修行の場なのだろう。四国八十八ヶ所を歩いて周った経験がある自分ではあるが、正直なところ空海や仏教などには全くと言っていいほど関心が無い。まぁそんなものなのだ、それでいいと思う。

祠が祀られていた

新村不動堂の大師堂と石碑

修行御座石が見える場所まで戻り、遊歩道へは下りず断崖の反対側へ回り込むと新村不動堂というお堂があった。お堂のすぐ側には小さな大師堂と石碑。「そそり立つ ここは岩屋の不動尊 岸うつ浪も 法のとどろき」と石碑に彫られてある。宗教無関心ながらも少し碑文が心に響いた。それから新村不動堂の向かいに沢山咲く黄色い花に目が留まる。花に詳しくないので名前は分からないが。新村遊歩道を駐車場まで引き返す間にも別の黄色い花が。普段の生活で花を見る機会はあまりない(目に入っても留まらない)ので、たまに色鮮やかな花を見ると感受性が刺激される。

新村不動堂向かいに咲いていた花

新村遊歩道に咲いていた花

駐車場に戻ったところで時間は13:00を少し過ぎていた。腹が減ったので車内でコンビニおにぎりを3つ食べる。ご当地グルメでもすれば旅行記のネタが増えるが、飯時に飲食店を探すのが面倒だし食事にあまり時間を割きたくない。男の一人旅だからそんなんでいいのだ。…と、毎回旅行記に同じような言い訳をしている気がする。

やたら背の高い塀に目が留まる

家の窓が完全に隠れてる

何となく周囲を眺めながらおにぎりを食べていたら、国道を挟んだ向かいにある民家の塀がやたらと高い事に気付く。塀の間の入口から見える民家は平屋建てで、屋根より下が塀にすっぽり隠れている。その奥にある家の塀も高い。ちょっと興味を惹かれ、国道の一歩奥にある住宅地の通りまで歩く。どの家も塀が高く平屋建てでほとんど屋根しか見えない。これは海風から家を守るための防風壁じゃないかと思う。これまでの車中泊旅行で何度か、このような防風壁が並ぶ家並みを見た事がある。ここのようにブロック塀や石積みの塀だけでなく、細長い木の板を縦に並べた塀や背の高い生垣などもあった。普段は見ない町の風景を散策するのは面白い。

海風を防ぐための塀だと思う

平屋建て+高い塀の民家が並ぶ

ほんのついでに立ち寄った新村遊歩道だったが、見応え十分の地層や綺麗な海岸風景に加えて、ちょっとした発見もいくつかあり想定外に楽しめる場所だった。観光客で賑わう有名スポットよりもこういうひっそりとした隠れスポット的な場所の方が、ゆっくりと落ち着いて散策を楽しめる。孤独を楽しむ車中泊の一人旅にはぴったりな観光スポットだ。

引き続き高知市へ向けて国道を進む。海沿いの国道を運転していてひとつ気付いたのが、津波の避難施設である高台を何度も見かけた事。2012年4月に四国遍路で高知県を歩いた時は、海抜を示す標識や津波避難に関する看板を度々目にしたが、避難施設を見た記憶は無い。2011年3月の東日本大震災で津波被害に対する対策が改められ、以降各地に避難施設が造られるようになったのだと思われ。四国遍路の時は東日本大震災から1年しか経っていなかったので、避難施設の完成はまだで海抜表示や避難指示の設置までに留まっていたと推測。いつ起きてもおかしくないと言われている南海トラフ地震が起きれば、四国南海側は甚大な津波被害を受ける可能性が高い。それについて地域住民はどう思っているのだろう。

琴ヶ浜

(ことがはま:高知県芸西村)

国道の坂道を下っている時に印象的な海岸風景が目に飛びこんで来た。琴ヶ浜という約4km続く砂浜。四国遍路でも目にしていて印象に残っていた。しかし車だとあっという間にフレームアウト。その直後に「P」マークのついた休憩所の標識が目に入るも、それもあっという間に通過。Uターンできる場所があったら引き返そうと考えているうちにどんどん先へ進んでしまい、やがて引き返すのを諦める。なので四国遍路で撮った琴ヶ浜の写真を代わりに掲載。後日この写真とGoogleマップのストリートビューを見比べてみて、写真は例の休憩所から撮ったものだと確信。やっぱり休憩所まで引き返せばよかったと後悔。

四国遍路の時は悪天候だった

お龍君枝姉妹像

寄り損ねた展望スポットにモヤモヤしつつも、4km続く琴ヶ浜のほぼ中間にある展望台へ。例の場所から見る琴ヶ浜は緩い弧を描くように続く海岸線が構図的によかったが、海岸からではありきたりな眺めだろうと決め込んでいた。なので新村遊歩道と同じく気が向いたらついでに立ち寄ろうと考えていたが、絶好の展望スポットに寄り損ねてしまったし、運転疲れが出てきたので車から降りて気分転換したくなり、休憩ついでに寄り道。

駐車場の側に展望台

きずなスポット展望台

琴ヶ浜駐車場の隅には「お龍君枝姉妹像」という2人の像。手を振っているのが坂本竜馬の妻であるお龍で、もう1人が妻の妹の君枝。翌日朝一で観光する高知市の桂浜にある坂本竜馬像に向かって手を振っているらしい。へぇそうなんだ、日本の歴史に無関心な自分にはその程度の反応しか出ない。まぁ多くの人が同じ反応に違いない。で、その側に平屋の建物があり、屋根の上が展望台になっている。展望台の一角には「きずなスポット展望台」と書かれた小さな見晴台が設置されていて、そこに上がり琴ヶ浜を眺望。思っていた通り海が広がるだけのシンプルな眺めだったが、視界の端から端まで青い海の水平線と海岸線が真っ直ぐに続く光景はなかなか気持ちがいい。物思いにふけりながらボーっと眺めていたくなる。

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展望台の建物中央に海側へ下りる階段があり、下りた所に床板が敷き詰められた舞台がある。「琴ヶ浜松原野外劇場」というものらしい。なかなかイカしたロケーションの劇場じゃないか。それと展望台に設置されたベンチにはマスコットキャラ的なものがちょこんと座っている。ブルースターという青い花のイメージキャラクターで、「COCOROちゃん」て名前。よくある癖の強いご当地ゆるキャラと比べたらシンプルで可愛らしい。

琴ヶ浜松原野外劇場

COCOROちゃん何でこんなところにいるの?

海を眺める

ただ海を眺める

琴ヶ浜から海岸風景を眺めていると、暫くボーッとのんびりしていたい気分にさせられる。観光客の姿も無く、とても静かで落ち着くし。海が目の前の駐車場に停めた車の窓を全開にして、シートを倒して昼寝するのもいい。息抜きをするのにいい雰囲気の場所だ。しかしそうも行かない。時間は15:00を回ったところで、この後に観光する高知城までは約50kmの道のりがあり、天守閣の最終入館時間は17:30まで。城がある高知市街の道路は間違いなく交通量が多く渋滞に遭う可能性もある。なのでのんびりしている余裕はない。という事で、長居することなく琴ヶ浜を出発。