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その1  1日目〜2日目昼

 

今回のGWは5/3(土)〜5/6(火)の4日間。観光に丸2日間は必要と考え、2日の夜か3日の夜に自宅を出発して深夜にフェリーで対馬に渡り、朝一から観光をしようという計画。観光する2日間が天気の良い日になるよう出発日を調整することにしたのだが、GW中の対馬の天気予報がイマイチぱっとせず出発日を決められぬまま5/2を迎えてしまう。迷いに迷った挙句5/2夜に出発しようと決め、あらかじめ調べておいたフェリー会社に夕方になってから電話し、3日0:00博多港発のフェリーの予約を申請。が、既に予約がいっぱいだった。翌日の午前中出航のフェリーなら空きがあるとの事だったが、それだと対馬観光1日目は夕方からとなってしまい、計画通りに旅ができないので断念。早く予約しておけばよかったと後悔。17:00過ぎに急いで帰宅し、他に対馬行きのフェリーを運行する会社は無いかとネットで検索して見つけ、電話をすると幸運にも博多港0:30発の空きがあったので予約。ホッと息つく暇も無く荷物の準備をして食事をする間もなく18:00出発。旅行計画はしっかりと立てていたものの、天気を気にし過ぎて出発直前でバタバタしてしまった。ただ、2社目で予約を取れたフェリーは最初に電話をしたところよりも往復で約8,000円も安かったので、とりあえず結果オーライ。

自宅最寄のICから高速道路に入り、山陽自動車道・中国自動車道を走って九州に渡り、そのまま九州自動車道・福岡都市高速と進んで、目的地のフェリー乗り場のすぐ側にあるICを下りる。GW初日の前夜ということで、高速道路の混雑が心配だったが、一度も渋滞することもなく終始快走。離島は決まってガソリン代が高いので、下りたICから市街に入りガソリンスタンドで給油。そしてフェリー乗り場に到着したのが22:00。予想以上に順調に車を走らせることができたので、予約したフェリーの出航時間の2時間半前に着いてしまった。

フェリー営業所

乗船するフェリー

車両乗船口

利用する事になった「壱岐 対馬 高速貨物フェリー」の営業所は思っていたよりも小さく、名前からして観光客の乗用車よりも輸送トラックを対象としたフェリーのよう。だからGW直前の土壇場で予約が取れたのかもしれない。予約がいっぱいだったフェリー会社の方は大手で、HPのつくりからして観光客をターゲットにしている感じだった。ともあれ、計画通り博多港を深夜に出航するフェリーを予約することができてよかった。営業所でフェリーの往復料金38,500円(車両3m以上〜4m未満)を支払い、休憩所で本を読んで時間を潰し、23:00に乗船。

乗船券

これをダッシュボードに乗せる

フェリー車両デッキ内

やはり乗船する車のほとんどがトラックで、車両デッキに停めたマイカーはトラックに囲まれる。トラックドライバー向けのフェリーだからか、何と基本料金でベッド付き。一般的なフェリーは基本料金だと2等船室で、カーペットが敷かれた広いスペースを他の客と共有する事になる。2等船室には大抵毛布と枕が用意されているが、熟睡できる環境ではない。フェリー乗船中に睡眠をとっておこうと思っていたので、ベッドを利用できるのは本当に助かる。ちなみに利用したフェリーには浴場もあった。

船内ラウンジ

割り当てられたベッド

定刻通りフェリーは0:30出航。持参してきたおにぎりを食べて就寝。ベッドという快適な環境で寝られるので熟睡できると思ったのだが、船は時々大きく揺れ何度も目を覚ましあまり熟睡できず。。

5:30に目を覚ますと夜が明けていたので、ベッドから出て船首の甲板へ出る。空には一面薄雲が掛かりちょっとがっかり。航行中の船上は風が非常に強くかなり寒い。とりあえず計画通り対馬まで来ることはできたが、これから空模様がどう変化していくのか不安になる。島内滞在中ずっと曇り空では旅を楽しめない。

船上から厳原港を眺める

厳原港

5:45、対馬の厳原港に到着。下船して車から降りると、外はやはり強い風が吹いていて寒い。乗船した船と厳原港の様子を数枚撮影したのだが、訳あって掲載できる写真は右上の1枚だけ。その訳は後ほど… 空模様が残念だが後々晴れる事を期待して対馬一周の旅を開始。南北に細長い対馬。北と南どちらの方が晴れるか考えてみても分かるはずはなく、何となくの感で北へ向けて車を走らせる。

万関橋

パンクして空気の減ったタイヤ

まず万関橋展望台へ行くため、万関橋前のパーキングに車を停める。車を降りて橋の前を少しうろついてみるが、展望台らしき場所も展望台へ続く道も見当たらない。名前からして橋のすぐ側にあると思っていたのだが、どうやら勝手な思い込みだった。旅行計画時によく調べておかなかったのが悪いが、どうせ日の射さない曇り空では眺めもよくないだろうからいいやと、あっさり諦め車に戻る。と、車の左後輪の空気が随分減っているように見え、タイヤを手で押してみると…ヘコヘコだっ!!明らかにパンクしている。いつからパンクしていたのだろう、全然気付かなかった。とにかく完全に空気が抜ける前に気付いてよかった。

曇っているけどいい眺め

ヤマネコとびだし注意

とにかく空気の抜けたタイヤを何とかしないといけない。しかし、ガソリンスタンドやカーショップなどでパンク修理をしてもらうにしても、まだ7:00前で営業はしていないし、そもそもそういう店は当分ありそうにもない。とりあえず空気だけでも満タンにしてその場を凌ぎたい。こうなったら誰かに空気入れを貸してもらうしかないと思い、タイヤに負担をかけないよう気にしながら車を走らせ、人を探す。フェリー予約のバタバタに次いで想定外のアクシデント。2度あることは3度ある、この先まだ何かあるんじゃないかとイヤな予感。そんな事を考えながら車を走らせていると、人の姿がある工務店を発見。工務店のおじさんに空気入れはあるか尋ねると、ここには無いけど自宅にはあるから取って来てくれると言うので、お言葉に甘える事に。おじさんは軽トラに乗って5分ほどで工務店に戻り、ありがたく空気入れを借りてタイヤに空気注入。空気圧計の無い空気入れなので、とりあえず目一杯入れてパンパンに。この先途中でパンク修理をするか旅行中はそのままにするかは、空気の減り具合の様子を見て判断する事に。できればパンク修理に時間を取られたくない。

琴の大銀杏

巨木の脇に鳥居と祠

琴の大銀杏

(きんのおおいちょう:上対馬町琴)

対馬北端に向けて島の東側の林道を進む。時間が早い事もあり道路はガラガラで快走。途中道路脇に大きなイチョウの木があったので立ち寄り。駐車場に車を停め、まずタイヤの空気圧を確認。どうやらまだ全く減っていない様子でひとまず安心。

樹幹を失った幹の中心

樹齢1500年で日本最古と言われる銀杏の木らしいが、外から眺める分には何処にでもあるちょっと大きめの木という感じ。幹は中心から四方に裂けていて、中心は空洞。裂けた幹はいくつもの鉄柱で支えられている。大昔の落雷で幹が裂け、中が焼けて空洞になったらしい。空洞となった幹の中心部に入ると、樹皮の一部が焼け跡のように黒くなっている。これは当時の落雷の焼け跡だろうか。幹の中心部から上を見上げると、裂けた幹が外側へ広がりながら上へ延びているのが分かる。不思議な木だ。

幹の中心から見上げる

琴の大銀杏から北上を続行、もみじ街道という林道に入る。名前からして秋には紅葉が楽しめそうだが、5月のもみじ街道は木々に囲まれた普通の林道。それでも鬱蒼と生い茂った木々の中を車で走るのは気持ちがいい。

もみじ街道

ところで、対馬の道路を走っていると、空き缶のポイ捨てをしないよう促す看板をよく見かける。そんなに対馬では空き缶のポイ捨てが多いのだろうか。対馬は韓国人観光客が非常に多いので、モラルの無い韓国人が捨てているのかな…などと勘繰ってしまう。でもほとんどの韓国人は日本語読めないか。とりあえず道路脇に捨てられている空き缶は見かけなかったので、看板が効果を出しているようだ。

こういう看板が多い

この案内標識にだまされてはダメ

鳴滝

(なるたき:上対馬町浜久須)

日もだいぶ高くなってきた8:40、対馬に上陸して最初の目的地らしい目的地に到着。対馬唯一の滝である鳴滝。道路脇に立つ案内標識を見つけるが、駐車場は見当たらず路肩に駐車。しかも標識の指す矢印の先は整備された遊歩道など無い林。こんな扱いということはかなりのマイナースポットなのかなと思いつつも、とりあえず林の中にる。

林の中には何の案内板もなく、先は急な斜面。いくらなんでもここは道ではないだろうと思いつつも、もしここで合っていたら引き返したことを後悔する事になるので、足元に十分注意して斜面を下りる。車道から滝までの道のりまでは調べていなかった。と、先が道らしくなっていたのでさらに先へと進む。しかし滝に辿り着く気配は全く無く、結局引き返す。往復で15分ほどの時間のロスと、無駄に体力を消耗してしまった。滝へ行けずモヤモヤした気分で車を出して直ぐに、鳴滝自然公園の入口が。こちらが滝への入り口だった。あの案内標識は絶対紛らわしいっ!矢印の向きを「→」ではなく「↑」にするべきだと思う。

道なのかよく分からないところを進む

ここが鳴滝への入り口

遊歩道を進んでいく

鳴滝自然公園入口の隣に駐車場らしきスペースがあるのでそこに停め、タイヤの空気圧を確認してから遊歩道へ。林の中を延びる道は小川に沿って続き、やがて滝に到着。鳴滝は落差15mと大きくはないが、切り立った岩壁を気持ちのいい音を立てて流れる様はなかなか満足できる光景。ただ、水量が少なく滝と言うには流が弱々しい時もあるらしい。それにしても、対馬には山が沢山あるのに滝はこの鳴滝ひとつだけというのはかなり意外。

遊歩道の階段からの眺め

鳴滝正面の見晴台からの眺め

鳴滝の正面にある見晴台に着き、カバンを手すりに掛けようとすると…尺取虫だらけっ!他の部分を見てみてもやはり尺取虫がうようよしていてキモいっ!辺りは中尺取虫だらけ。木の枝からも蜘蛛の巣に引っ掛かった尺取虫がぶら下がっている。とりあえず服やカバンに尺取虫が付いていないか確認してみると…やっぱり付いていた。

手すりに群がる尺取虫

鳴滝から遊歩道を引き返す時に辺りをよく見てみると、至る所に尺取虫が。行きは全然気付かなかった。車に戻ってからシャツを脱いでよく払い、ズボンとカバンと頭もよく払う。知らぬ間に服に付いた尺取虫を潰してしまい、服に体液がべっとり付くのは勘弁…

ここにもぶら下がってる

網代の漣根・洗濯岩

(あじろのれんこん・せんたくいわ:上対馬町網代)

鳴滝からさらに北へ向け林道を進んでいくと、北側の空の雲がどんどん引いて行き、海沿いの景色が開けた道路出ると周囲は一面青空に。これで景色を楽しめると一気にテンションも上がる。南側は相変わらずの曇り空なので、厳原港から北を目指して正解だった。せっかく晴れ空となったので、観光スポットと言うほどの場所ではなさそうだが、ついでに立ち寄る事にした洗濯岩。

待ちに待った青空

網代の漣痕

洗濯岩は網代の漣痕という場所にある。特に珍しくも無いよくある洗濯岩だった。そもそもここは洗濯岩よりも漣痕(砂質の堆積物の表面にできた波状の地形)が見どころなのだが、訪問時は漣痕というものが何なのか知らず、気にもしなかった。

洗濯岩

別の旅の洗濯岩でも同じポーズしてます何処でしょう

洗濯岩の他に何かないかと、洗濯岩から続く防波堤を歩く。防波堤の内側は漁港、外側には海に浮かぶ大小の岩がぽつぽつ。何でもない風景だが、早朝のどんよりとした曇り空から一変して快晴になったので、そんな普通の風景を見ているだけでも気分がいい。

洗濯岩から続く防波堤

防波堤の突き当たりまで行くと水際まで下りられる階段があり、とりあえず下りてみるが何もない。辺りは浅瀬で、海面から筋状の模様の底が見える。干潮になればもっと先まで歩いて行けそうな感じ。で、後から知ったのだが、ここが網代の漣痕だった。海面の底に見えた筋状の模様は洗濯岩で、そこを歩いた先に日本最大級規模の漣痕があるらしい。またしても事前の調査不足だった。

堤防突き当たりの階段を下りる

ここが網代の漣痕らしい

青い空と青い海、視界に広がる明るい景色を眺めながらのドライブ。GW初日で島内の交通量は多いだろうと構えていたが、10時を過ぎても車の通りは非常に少なく、理想的な条件での対馬旅行。対馬に着いたときは曇りで本当に心配した。フェリー代往復4万円弱払って来たのに、ずっと日の差さない曇り空の下での旅になったら残念過ぎる。旅はある意味天気が一番重要だ。車を降りる度に確認している左後ろのタイヤは、空気が減る気配もなく暫く持ちそうな感じ。よかったよかった。

集落を抜ける

小さな港の前にある集落に入ると、電柱に巻かれた海抜表示板に目が留まる。まだ汚れも剥げもなく真新しい。東日本大震災以降、海抜の低い地域で真新しい海抜表示板をよく見かけるようになった。3.11の大津波を経験し、日本人の津波に対する危機意識が一気に強くなった証拠。津波は人命も綺麗な景色も奪ってしまうので、本当に起きて欲しくないね。

津波に備えて

豊砲台跡

(とよほうだいあと:上対馬町鰐浦)

10:30に対馬最北端にある豊砲台跡に到着。対馬には戦時中に造られた砲台の跡地が今でも点在している(31箇所あるらしい)。その中でも豊砲台跡は、当時世界最大級の巨砲が設置されていた場所で、屋内施設跡も良い状態で保存されている、対馬内で一番有名な砲台跡。

砲台跡入り口

入り口から延びる通路

砲台入り口を入ると通路が奥へと続いている。途中途中に部屋の入り口があり、半分ほど進んだ所に別の通路が延びるT字路がある。と、途中で照明が突然全て消えて真っ暗に。人が入り口から入ると照明が点き、一定時間で消えるようになっているのかと思い、一度入り口まで戻って再度入ってみるが点かない。仕方ないので真っ暗の中通路の奥へと進む。入り口で100円を投入すると30分間照明が点灯するという事を後から知る。

砲動力機室

T字路を曲がった通路

通路の一番奥まで進んだところに砲台跡がある。砲台が載っていた大きな縦穴があり、その周囲を通路が囲んでいる。縦穴からは明るい日差しが入り込み、老朽したコンクリートの戦争遺産に緑と青空が映える。なかなか絵になる光景。縦穴の中に立ってみると、コンクリートの壁にぐるりと囲まれ丸く切り取られた青空が頭上にあり、何とも不思議な空間にいる気分。

砲台通路

砲台跡

駐車スペースの奥側に見晴台へ続く散策路があるので入る。気温は上昇し長袖のシャツでは暑いくらいになり、外を歩いていると汗が出てくる。木々の茂った階段道を上っていくと、砲台跡の縦穴の上に出る。安全のため穴は金網で囲われているが、金網越しに縦穴を見下ろすことができる。さらに道を進んでいくと、いつの間にか体に尺取虫がくっついている。もう尺取虫は勘弁して… そして小さな見晴台に辿り着く。少々景色を期待していたのだが、周囲の木々でほとんど景色は遮られ、一方向の海岸風景しか眺めることができず。正直、暑い思いをして来るほどの場所ではなかった。

砲台跡を見下ろす

見晴台

見晴台からの眺め

韓国展望所

(かんこくてんぼうじょ:上対馬町鰐浦)

次は豊砲台跡の近くにある韓国展望所へ。対馬の中でも韓国がよく見える場所として有名な観光スポット。対馬に上陸して以来、ここで初めてまとまった観光客と遭遇。韓国人の団体観光客のよう。半月前に韓国で旅客船セウォル号が沈没し、乗船していた300名近くの修学旅行生が犠牲なった事故の影響で、韓国内では旅行自粛ムードになっていると聞いたので、普段よりも韓国人観光客は少ないのかもしれない。韓国人にとっては最も身近な海外という事で人気の対馬であるが、日本人にとっては際立った観光スポットもなくアクセスも容易ではない、あまり旅行向きではない島という位置づけになっているようだ。

韓国展望所入り口

韓国展望所

韓国展望所

韓国の建築様式をした六角形の展望所の中に入ると、展望所から見える韓国の夜景の写真が貼られている。韓国第二の都市釜山の夜景。しかしこのような夜景はいつでも見られるものではなく、気象条件が良く空気が澄んでいる時のみらしい。夜景でも簡単には見られないので、日中に釜山の陸地を見られる確率はさらに低いだろうし、肉眼でははっきりと見えないと思われ。ネットやパンフレット等に載っている釜山の写真は山の形状がはっきり分かるくらいに写っているが、かなり手が加えられているに違いない。

韓国展望所の中

韓国展望所からの眺め

この水平線の先にに釜山がある

韓国展望所のある辺り一帯は、白い花を咲かすヒトツバタゴという珍しい植物の生息地になっていて、開花が4月下旬から5月上旬なのでちょうどいい時期だと思っていたのだが、展望所からはそれらしい花が群生する場所が見当たらない。そこで展望所の駐車場で観光案内をする人に尋ねてみると、雨などの影響で例年よりも早くほとんどが散ってしまったとの事。まぁ別に花に興味があるわけではないのでガッカリはしないが、絶滅危惧類に指定されているほどに珍しいものなので、少し損をした気分はある。駐車場の片隅に、僅かにヒトツバタゴの花が咲いていたので撮影。あまり知られていない、よく分からない木ということで、「ナンジャモンジャ」とも呼ばれているらしい。

駐車場に咲くヒトツバタゴの花

ヒトツバタゴの花