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その2  2日目昼〜夜

 

北端の韓国展望所から今度は南へ向け車を走らせる。韓国展望所を出て少しすると道路は入り江沿いに続き、綺麗な海と山々の風景を眺めながらのドライブ。快晴の元で海沿いのドライブは本当に気持ちがいい。対馬は以外にも、海を眺めながらドライブできるような海沿いの道路が非常に少ない。地形的なものなどが関係しているのだろうが、海に囲まれた離島なだけにその点について物足りなさを感じてしまう。入り江沿いの道路は直ぐに終わってしまい、南へ延びる国道に入る。

入り江沿いの道路

入り江の眺め

次の目的地も韓国が見えるという展望台。異国の見える丘展望台という場所なのだが、韓国展望所以上に韓国が見られる事は少なく、観光するほどの場所でもないとの前情報。それでも、異国の見える丘展望台の近くに他に観光する場所があるので、ついでに立ち寄る事にした。が、右折するべき所を通り過ぎてしまい、暫く進んで別の場所で右折。その曲がり角にあるタバコの自販機に商品を詰めていたおばあさんに道を尋ねると、”道なりにずーっと進んで、田んぼの中をまーーっすぐの道の先を右に曲がって、橋を渡った先に…”と、的確な説明を受ける。

田んぼの中のまーーっすぐの道

土地改良記念の碑なるものがある

説明に出てきた”田んぼの中をまーーっすぐの道”はそんなに真っ直ぐなのかと気になりつつ道を進んでいくと、本当に真っ直ぐな道に出る。このような直線道路が特別珍しいという訳ではないが、山にぐるりと囲まれた田園風景の中を一直線に延びる農道、という構図が非常に印象的。車から降りて道路を歩きしばし散策。とても静かで長閑な風景が広がっていていい場所だ。こういうちょっとした発見が旅をより楽しいものにしてくれる。

長閑な田園風景

おばあさんの説明どおり、直線道路の先で右折し橋を渡って海沿いの細道に入り、展望台を目指す。このところ自宅のある広島は黄砂やPM2.5などが影響してるのか、晴れていても景色が随分と霞んでいる事が多く、青々と澄んだ色の空と海が見られないでいた。なので対馬でも多少なり景色が霞んだり淀んだりしているのかと思ったが、そんな事はなくコントラストのきいた鮮やかな景色が見られて大満足。

空も海も文句なしの青

異国の見える丘展望台

(いこくのみえるおかてんぼうだい:上県町佐護北里)

海沿いの細道を上っていくと、道路脇にぽつんと佇む展望台に辿り着く。これが異国の見える丘展望台。これは確かに観光スポットと言うほどのものではないかも。。展望台からの眺めはやはりと言うか当然と言うか、これだけ天気が良くても異国である韓国の陸地は全く見えない。まぁそれでも、誰もいなくて静かだし、青々とした大海原の水平線を広く見渡せるのでいい場所だと思う。

異国の見える丘展望台

展望台2階部分から

展望台1階の突き出し部分

のんびり景色を眺めていたら1人のおじさんが展望台にやってきて、挨拶をしたら話しかけてきたので暫く談話。その人は近所に住む地元住民だった。やはりこの展望台から韓国が見られることは少なく、たまに空気が澄んだ夜に夜景が見られる程度との事。毎年10月に行われる釜山の花火大会が見えるらしい。それと日本人観光客はとても少なく、代わりに沢山訪れる韓国人観光客はほとんどがツアーで、あまりお金を使わないからツアー客を受け入れるホテルや飲食店以外は儲からないし、マナーの無い人が多く道や公共施設を汚したり壊したりするので、韓国人が来ることをあまりよく思っていない人も多いとの事。確かにマナーの無い団体客ほど始末に終えないものはない。対馬には領土問題以外にも韓国問題を抱えているので大変だ。

棹崎公園

(さおざきこうえん:上県町佐護西里)

異国の見える丘展望台から南西に少し進み、日本の最北西端の地である棹崎公園へ。駐車場から灯台の建つ高台まで続く遊歩道が途中から長い上り階段が続き、日差しが強く結構な暑さで体力消耗…半袖のシャツも持参してきているのだが、腕を思いっきり日焼けして旅に支障が出ると困るので長袖のまま。どうも自分は肌が弱いらしく、旅行中に酷い日焼けをして痛い思いをした事が何度かある。そうなるとゆっくり温泉にも浸かれないので本当に困る。

棹崎灯台

日本最北西端の碑

日本の最北西端の地という事で、公園の丘の上に建つ棹崎灯台は日本最北西端の灯台。灯台の側には日本最北西端の碑がある。ここからも条件が揃えば韓国の陸地が見えるらしい。駐車場には10数台の車が停まっていたのである程度人がいると思いきや、辺りに人影は全くなし。

これは砲台だった場所だろうか

展望サークル

棹崎公園も戦時中に砲台が築かれた場所。公園内の所々に上の写真のような円形のものがあるが、これは元々砲台だった場所なのだろうか。灯台から続く丘の上の遊歩道を歩いてくと監視所だった建物がある。監視所の中に入ることができ、監視窓のある部屋には地下へ下りる階段が。階段を降りて進んでいくと別の出入り口から外に出られる。監視所の屋根の上は展望台になっていて、周囲の景色を一望できる。

監視所

監視所の中

監視所展望台からの眺め

監視所展望台からの眺め

アゲハチョウが飛んでるよ

棹崎公園内にある対馬野生生物保護センターは、日本では対馬にしか生息していないツシマヤマネコについて詳しい施設。ガラス越しにツシマヤマネコを観察することもできるらしい。時間に余裕があれば立ち寄ろうと考えていたが、後の予定を考えると時間が押していたので入館せず。施設展示物や飼育物よりも、自然の風景をよりたくさん見たい。

対馬野生生物保護センター

木坂御前浜園地

(きさかおまえはまえんち:蜂町木坂)

棹崎公園からさらに南下し、キャンプ場などがある木坂御前浜園地へ。キャンプ場の片隅にある藻小屋という石積みの小屋が見たかったのだが、実物を目の前にして見ると特別印象的なものでもなかった。海岸に流れ着いた藻を貯えていた納屋で、現在は使われていなく中はベンチや椅子があったりするだけ。もっと歴史を感じさせる史跡的なものだと思っていたのだが、それほど古さも感じず復元物のようにも見える。何処かに詳しい説明書きがあったかも知れないが、面倒で見ていないので詳しいことは全く分からない。。

藻小屋

六つの藻小屋が建っている

御前浜園地の海岸に出るといくつかの積み石がある。大きめの石が積み上げられ結構な高さ。これはヤクマの塔というもので、祭事に使われるものらしい。それにしても海岸には沢山のゴミが散乱していて景観が悪い。そういえば他の海岸でもゴミが目立っていた。ちょっと調べてみると、思ったとおり韓国などの近隣諸国から流れて漂着したゴミだった。この漂着ゴミの回収や引取り先、費用面などが問題になっているらしい。

御前浜園地の海岸と木坂展望台のある丘

ヤクマの塔

藻小屋のあるキャンプ場から車で海岸沿いの小高い丘の上まで上がり、自然道を歩いて展望台へ向かう。自然道から見下ろせる藻小屋は、真新しくも見える赤茶色の屋根が目立ち、復元物っぽさがより際立って見える。修復して綺麗になったのかもしれないけど。そしてここでも尺取虫。対馬は尺取虫が多いな。。

展望台へ続く自然道

自然道から見下ろす藻小屋

丘のてっぺんまで上ると質素な造りの木坂展望台がある。展望台からの眺望はなかなか良い。ただ、展望台に着いたのは16:30過ぎで、日が傾き始めていたからか風景のコントラストが弱い。それにしても、韓国展望所で韓国人団体客を見た以外は、島外から来たと思われる観光客の姿をほとんど見ていない。GW中というのが嘘のようだ。フェリーの予約がいっぱいになっていたのは、観光客ではなく帰省客だったのだろうか。やはり日本人にとって対馬はマイナーな島のようだ。

木坂展望台

展望台から北側の眺め

展望台から南側の眺め

ゴリラ島がある島群が見える

木坂御前浜園地の観光を終えた時点で日没に近い時間であれば、木坂御前浜園地より少し南にある夕日鑑賞スポットに行く予定だった。そこはいくつかの小島のシルエットに沈む夕日を見ることができ、”ゴリラ島”と呼ばれる、ゴリラの横顔に見える島もある。しかし日没にはまだ早く、次でこの日の観光を終えるには時間が勿体無い。どうしようか悩んだ結果ゴリラ島での夕日鑑賞は止め、あと2ヵ所の観光スポットをまわりつつ、そのどちらかで夕日鑑賞をすることに。

和多都美神社

(わたづみじんじゃ:豊玉町仁位)

海中に鳥居が建ち、潮が引くと歩いて鳥居まで行ける和多都美神社へ向かう。できれば夕日鑑賞は和多都美神社の次の目的地でしたいので時間が押していたのだが、国道を離れてからの道が分からず迷ってしまい(ナビは無く、持参した対馬地図は日本全国地図から切り取った、縮尺率が高く細かい道路まで載っていないものなので…)、地元住民に教えてもらい道を進む。この道で本当に合っているのかと少々心配しながら進んでいくと、道路に大きな鳥居が建っていて、そのすぐ先に和多都美神社が。17:40到着と少し遅めになってしまった。そしてここも人影無し。

神社少し手前の道路に大鳥居

潮が引いた状態の鳥居

境内の見物は後にして、まず海中に建つ鳥居の方へ…と言っても、訪問時は潮が引いていて鳥居まで歩いて行ける状態になっていた。満ち潮の時の方が視覚的印象はあるだろうが、引き潮の時なら鳥居まで歩いて行けるので、どちらがいいとは決められない。和多都美神社の鳥居は拝殿正面から直線上に5つ並んでいて、そのうちの2つが海面上に建っている。

潮が引いて土台まで姿を見せる2つの鳥居

一番端っこの鳥居

拝殿まで一直線に建ち並ぶ鳥居

だいぶ日は傾き鳥居の影は長く延び、逆光となった鳥居は海をバックに黒いシルエットとなって、なかなか絵になる風景。遅い時間の到着となってしまったが、かえっていい景色が見られたので得した気分。計画通り・時間通りに進まず思わぬ発見や展開にめぐり合えるのも旅の醍醐味。

日没が近づく

これは誰だろう

鳥居から海岸沿いの遊歩道を歩いていくと、木造の船が収められた建物があり、その辺りからの海の眺めがなかなかいい。夕日に照らされて金色に輝く海面、和多都美神社もなかなかの夕景スポットだと思う。ここは浅茅湾(あそうわん)という、リアス式海岸に囲まれた湾の入り江のひとつで、山々に囲まれた湖のようにも見える。

玉井の出逢い

船が収められた建物の前に、何やら古そうな絵が掲げられていて、”玉井の出逢い”という題が書かれている。面倒なので説明までは読まず。その側には井戸が。絵に井戸らしきものが描かれているので、その井戸なのかもしれない。きっと伝説か何かの類なのだろうが、それらには無関心なので。。最後に和多都美神社境内をざっくり見てまわって終わり。

ちょっと怖い感じの井戸

和多都美神社境内

和多都美神社拝殿

烏帽子岳展望台

(えぼしだけてんぼうだい:豊玉町仁位)

烏帽子岳展望台

展望台の様子

対馬観光1日目最後の目的地、烏帽子岳展望台に18:40到着。標高176mの山頂にあり、南北に細長い対馬を分断するように広がる浅茅湾を一望できる場所。広大な風景を眺望するには時間が遅すぎたと思ったが、予想以上の絶景に気分が高揚。視界いっぱいにリアス式海岸の地形や湾に浮かぶ島々の特徴的な風景が広がる光景。そして東側の風景は夕日に照らされ緑は黄緑色に、陸の地肌部分は淡い紅色に染まりいい絵になっていた。

東側の眺め

東〜南にかけてのパノラマ写真

さすがに西側は影と逆光で暗いが、それもまたいい眺め。陸地のシルエットと夕日に照らされた海面のコントラストが印象的。日没を見るため展望台のベンチに腰掛け、カバンに入れてある文庫本を読んで30分ほど時間を潰す。その間に展望台を訪れた人は1人だけ。5分ほど夕景を眺めて引き返していった。

西側の眺め

間もなく日没

水平線に沈む夕日を期待したのだが、西の遠くの空には雲が広がっていて、水平線まであと一歩という所から太陽は消え始める。ちょっと惜しいがそれでも綺麗な日没だったのでよしとしよう。19:13日没。

実は木坂御前浜園地辺りから空腹になり始め、直ぐにでも腹に食べ物を入れたかったので、和多都美神社へ向かう途中に目を付けておいたスーパーに立ち寄り弁当を購入。和多都美神社へ向かう時にも立ち寄ったのだが、営業時間が22:00までとなっていたので、観光を優先して食事は後回しにしていた。朝から車を走らせていてスーパーやコンビニなどの商店をほとんど見かけなかったので、いい場所にスーパーがあって助かった。

スーパーで弁当購入

幕の内弁当B 620円

スーパーの駐車場に停めて車の中で弁当を食べるのは少々目立つので、暫く国道を南に走らせ朝に立ち寄った万関橋前のパーキングに車を停めて食事。スーパーの電子レンジで温めるのをうっかり忘れていたが、ご飯は後乗せで温かかったのでセーフ。考えてみればこの日の食事は、博多港を出航したフェリーの中で食べたおにぎり2つと、観光の途中途中で食べた菓子パン2つだけだった。車中泊の一人旅の時は、食欲よりも観光欲の方が遥かに高いのだ。

食事をしてさらに国道を南下し、厳原港より10kmほど北にあるホテルで立ち寄り入浴。対馬グランドホテルという立派そうな名前のホテルの、海望の湯という温泉なのだが、広くない浴室ひとつにサウナ&水風呂だけという質素さ。露天風呂も無く、しかもこれで入浴料1,000円とは高い。ホテルの向かいに入浴料600円の真珠の湯という入浴施設があるのだが、そちらは営業時間が20:00までで間に合わなかったので仕方ない。到着したのは20:40で、海望の湯は22:00までなのでたっぷり1時間強入浴できる。遅い時間にゆっくり入浴できるだけありがたいと思わねば。

対馬グランドホテル

海望の湯

22:00まで入浴し、後は寝るだけ。翌朝に厳原港側の漁火公園で日の出鑑賞する予定だったので、公園駐車場に車を停めて車中泊しようと考えていたのだが、公園まで行ってみると駐車場に子供達が集まっていて賑やかだったので就寝場所を変更。厳原港のある通りへ行くと路肩に車が何台も停まっていたのでその並びに駐車。この時点で左後ろのタイヤの空気圧はまだ十分と思われる状態。もしかしたらパンクではなく自然と空気が減っていただけなのではとも思うが、やはりそれは考え難いので翌日以降も点検は怠れない。とりあえず23:30就寝。